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2018年4月12日 (木)

犬神サアカス團ワンマン『新宿ゴーゴー』レコ発巡業千秋楽~私のディープ浅草<その6>

  

大分遅くなってしまってかたじけない。
ナ、ナ、ナント4ヶ月も前の犬神サアカス團のライブ。
でも、それはそれは…内容の濃い素晴らしいモノだった。
しかし、最近は「イベントよりワンマンの方がお客さんの入りが良い」なんてことが当たり前のように言われるようになったじゃない?
我々が若い頃はライブハウスなんかホントに少なかったし、高価だったレコードを自由に買い込むなんてことはできなかったし、ましてやYouTubeなんてモノは当然あるワケないしで、対バンイベントで知らないグループを観たり聴いたりできるのはすごく得な感じがしたモノだったですよ。
逆にひとつのバンドしか出ないライブの方が当たり前だったからね。
つまり、音楽が無料ではなかった時代の話ね。
もう何回もこんなことを書いているけど、やっぱりあの時代はヨカッタと思うよね。
今では「CDを売っていることが信じられない」ぐらいのことが言われているけど、いいじゃないのCDぐらい。
買いなよ。
CDを買ってステレオで音楽を聴きなよ。
音楽ってそういうもんだよ。
確かに私も調べごとをする時にインターネットの力を借りて音を確かめたりはしますよ。
でも好きな音楽ぐらい「形のあるモノ」で持っておきたいとは思わないかね?
ハイハイ、若い人はそうは思いませんよね~。
生まれた時から音楽はコンピューターで聴くのが当たり前なんだから。
「レコード・ブーム再燃」なんて言われているけど、マァ、長続きはしないんじゃないかしら。
そもそもブームになっているようには見えないし。
「ブーム」なんてのは、「流行の終着駅」の私みたいな人間に「お~、ハヤってんね~」と言わせてこそ「ブーム」って言えるんだよ。
で、話を戻してそのイベントについて…今回はみんなが言っていることもわかるような気がしたわ。
イヤ、正直わかったわ。
ワンマンでなければ絶対に実現できないような最高に充実したレコ発ライブのプログラムを組んでくれたのだ。
マァ、これも肝心の新しいアルバムの内容がよいからこそそうなったんだけどね。
そこは犬神、過去の代表曲にしがみつくなんてことはしません。

10…ということで今日は最近作『新宿ゴーゴー』レコ発ツアーの千秋楽のレポート。

20cdステージにはデーンと「暗黒礼賛ロックンロール」のバックドロップ。

100幟も用意しちゃってヤル気満々!

25vそして、ズラリと並んだゴーゴー・グッズ。

30この時はまだ旧年中だったので今年の手帳もシッカリと用意されていた。
去年は「その日暮らしの手帳」だったんだよね。
後のMCでミスプリントが発表されたけど。

40ウワ!お数珠まで始めたのか!と思ったら「念じょいブレスレット」。
前からあるね。

50ベイビー缶バッジも大好評。
さて、誰でしょう?

60犬神印のハイテク・アイテム、携帯充電用バッテリー。

70コレはチェキ・アルバム。
名刺ホルダーにも使えるそうだ。

80犬神さんのグッズはよくできていて大変おもしろうございますな。

90ほぼ定刻通りに客電が落ち、「マクンバの夜」のオープニングSEに乗ってメンバーがステージに現れる。
呪殺魔術、マクンバ。

110オープニングは早速アルバムのタイトルチューン「新宿ゴーゴー」。

120犬神凶子

130v犬神情次2号

140vジョニーちゃんは今日も愛器を携えての登場。
JCM800 2203と1960A。

150vお足元のようす。

160犬神ジン

170vジン兄さんはEDEN。

180v人気のちっちゃいヘッド、Terra Nova TN501と4x10"キャビネットD410XSTが2台。

190お足元のようす。

200犬神明

210v明兄さんもいつものNATALのアッシュ。

220切れ味鋭いソリッドなナンバーで一気に会場の熱気が上がる!

230「犬神サアカス團です!今日は『新宿ゴーゴー』のレコ発ツアーのファイナルだぜ~!最後まで盛り上がっていくぜ~!」

2402曲目も『新宿ゴーゴー』から「毒虫」。

250_dm情次兄さんのギター・ソロ炸裂!そう、この曲はジョニーちゃんの作品。

260v先日、文豪・島崎藤村の出身地として有名な中山道第42番目の宿場、馬籠に行って来た。
藤村の実家は馬籠宿の本陣で、お母さんの生家がそのひとつ手前の妻籠宿の本陣の出だ。
この家屋はレプリカで、有料で開放されているが、見学時には注意が必要だ。

1_0r4a7743「カメムシ」が出るらしい。
…といってもカメムシって、どういうヤツ?屁をこくヤツだっけ?
ヤダな~、虫は苦手だ。
でも「毒虫」よりはマシか?
当日は4月にも関わらず雪がガンガン降るような寒い日だったせいか、幸いカメムシは出なかった。
カメムシ、出て来いや~!
屁なら負けんぞ!
木曽のお話の詳しくは後日Shige Blogで…。

1_0r4a7748 「今、ワタシ、できてた?歌詞は間違えなかったけど、わかんなくなっちゃった…。みんながワ~って言うからです」
そう、スゴイ盛り上がりようだったの。
「ファイナルっていうことでワタシ緊張してるのかな?ココに来て前髪を切ろうと思っていたんだけど忘れちゃった!
今日は元気よくがんばります!」

270v_mc3曲目は『地獄の子守唄』から「夜が終わっちまう前に…」。

280_yo_ud曲の舞台が新宿だからね。
私はこの曲が大スキなの。

300v数ある犬神さんのお気に入りの中でもベスト5に入るな。

310このどうしようもない絶望的でシアトリカルな展開がタマらないのよ!

320v「元気よくがんばります」という凶子姉さんの言葉じゃないけど、ホントにこの日は4人とも実に滑らかでノリノリの演奏を見せてくれた…と思う。
続けて「鬱病の道化師」。

290v「皆さん、『新宿ゴーゴー』聴いてくれたでしょうか?ミディアム・テンポの曲があっていい気分なんだけど、よく動くので大変なの!
でも売り上げ1位になったでしょ?もう、うれしくて!皆さんのおかげです!」
ヨカッタ!
実際内容がいいからね。
「アタイら20年以上もバンドやってんだよ。
筋金入りよ。
そんじょそこらのバンドとは違うのよ!
カッコいいだけの雑魚いバンドとは違うのよ!
アタイらのロックはね…
アタイらのロックはね…
アタイらのロックはね…
ガキの遊びじゃないのよ!」

330v_mcと、『新宿ゴーゴー』からこれまたソリッドに「昔みたいに」。

340_mm他のバンドとは違うことはよくわかってますから!
だからライブ会場に来るファンも若い人が少なくないのよ。
最近ね、音楽だけでなくどの分野も同じモノばかりになってしまって、消費者の一部はそういう状況に気付いて、他にはないオリジナリティを持っている事物を求めているのではないか?…と私は思っているのです。
まさに「♪昔みたいにドキドキしないの」だ。
このパートの凶子姉さんがいいんだ~。

350まだまだ続くニュー・アルバムからのレパートリー。
これでいいのだ!レコ発なんだから。
今度は「白昼夢」。

360v_hjm今度はチョット時間をさかのぼって『玉椿姫』から「邂逅」。

370_kk上っ張りを脱ぎ捨てた明兄さん。
ん~、やっぱりNATALのアッシュってのは気風のいい音がするね。
イナセなドラムスだ。

380『新宿ゴーゴー』に戻って「あだうち」。

390_auしょっちゅうMarshall Blogに出て来る私の大スキな吉村昭に「敵討」と「最後の仇討ち」という短編が収められた『敵討』という本がある。
また内容に及ぶと長くなっちゃうので今日は「作品がある」というだけに止める。
「仇討」と「敵討」は同じ。
「仇討」や「敵討」は江戸時代には制度として合法だった。
ヨーロッパの「決闘」みたいなイメージだよね。

Au キューブリックの『バリー・リンドン』にその決闘のシーンが3回ぐらい出て来る。
この映画、私が中学2年生ぐらいの時に封切られて映画館へ観に行ったけど、長くて辛かった。
でも、今観るとヤケクソに面白い。
ストーリーも、演技も、映像も、音楽も、衣装もすべてが素晴らしい。
さすがキューブリック!

Blまだまだ続く「ゴーゴー」レパートリー。
今度は「侮辱の傷」。

400_bk「さぁ~、身体も温まってきたところでもっと機敏に動いていきたいとおもいます!」

430_vaタンバリンを手にした凶子姉さんが歌いしは「ビバ!アメリカ」。
アメリカ、シリアでまたやりそうだね~。またロシアとおかしくなっちゃうんだろうか?
アメリカってのはホントに戦争で成り立っている国なんですな~。

435v続けておなじみ「平成デモクラシー」。
あと数年で「平成」も終わっちゃう。
その時、また何か新しく犬神さんの名曲が生まれてくるといいね!

440v_hd空間を切り裂く鋭いトーン。「音ヌケがいい」というヤツ。
コレはやっぱり真空管のアンプでないとムリ。
決裁書の改ざん、自衛隊日報の隠蔽…もうまやかしだらけの世の中じゃないか!
デジタル・テクノロジーへの要らぬ忖度など抜きにしてギターぐらいはホンモノの真空管が入ったアンプで弾こうじゃないか!

450やっぱりこのあたりはギンギンに盛り上がるね。

460『ゴーゴー』から「栄光の日々」。

470_eh80年代を話題にしたMCがはさまれた。
世良公則や沢田研二、荻野目ちゃんの名前が挙がっていたけど、レコード大賞受賞曲だけで探ると、80年代ってのはまだ「歌謡曲」が健在だったんだね。
90年代に入ると「レコード大賞」の形態が時代にそぐわなくなったのか、「演歌部門」と「ポップス部門」に細分化して、ポップスの方は「おどるポンポコリン」が大賞を獲得している。
ハヤったもんね~。
そして、このあたりからバンド形態あるいはロック系バンドを従えた歌手が興隆して一気に歌謡曲が駆逐されている。
そして、また93年から賞は一本化されてロック系の歌手しか受賞しなくなっているんだね。
私なんかはこのあたりからの曲は全くわからないわ。
言い換えると、コレって若者から年寄りまでが歌えるヒット曲ってのが消滅した瞬間なんだよね。
昔はね、お父さんやお母さんが口ずさむ歌は幼稚園生も大抵歌えたもんですよ。
「この先どうなっちゃうの?」なんて心配は無用。
時代が変わって、ゲームやパソコンの出現で、かつてはエンタテインメントの王者だった「音楽」の地位が格段に下がっただけの話。
または、「世代を超えたヒット曲」なんてものの存在を知らない世代が増えてそういう音楽が必要なくなっただけの話。
実はエンタテインメントの主役は「演じる方」ではなくて、お金を払って「楽しむ方」なんですな。
だから、作る方は映画でも音楽でも色んなモノを送り出して、楽しみ方の幅を広げて消費者の数を増やすべきなんだけど、何とかラクして儲けようとするもんだから同じようなモノばかりになってしまう。
こうなるとナニが起きるかというと、消費者の音楽を聴いたり楽しんだりする能力が衰えちゃうんだよ。
実はコレが一番怖い。
耳が貧しくなってしまうんだね。
「他とは違うモノ」…だから私は犬神さんをプッシュしてるワケ。
日本のロックに関して言えば、犬神さんみたいなのを聴いていればまず間違いないって。
凶子姉さんが…
「アタイら20年以上もバンドやってんだよ。
筋金入りよ。
そんじょそこらのバンドとは違うのよ!
カッコいいだけの雑魚いバンドとは違うのよ!
アタイらのロックはガキの遊びじゃないのよ!」
…と言っているのは当然なワケ。
アメリカみたいにロックがヒップホップにヤラれちまう前に何とかしなければ!…ということでその見本のような「暗黒礼賛ロックンロール」。
『新宿ゴーゴー』のリード・チューンだ。

490伝統的なリフ。

480シンプルなエイトビート。

520サラ・ヴォーンで有名な「Black Coffee」にも似た重くブルージーな歌メロ。

500_arrもちろんギター・ソロもカッチリとキメる。
アタシャやっぱりこういうロックが好きだナァ。
お客さんも一緒に歌って楽しかったね!

510vメンバーの皆さんのMC。
お題は「ツアーを振り返って」。
「ツアーでは美味しいモノを食べて楽しかったですね。でも今年、胃カメラを2回飲みました。十二指腸潰瘍の手前…食道もやっちゃいまして、1週間で体重が8kg落ちました。
その時に撮った写真が『新宿ゴーゴー』のジャケットです。

Img_0129ん~、そう言われてみると…。
20年前、初めて犬神のメンバーと出会った頃の貴重なショットが収められたとのこと。
でも、1ヶ月で8kg戻ったそうです。
ヨカッタ、ヨカッタ!

1_jin_ 情次にいさん。
「ツアー楽しかった!今年は色々あって胃の調子があまり良くなくて、胃カメラ飲みたくて飲みたくて!…で、胃カメラやったんだけど、チョット荒れていたぐらいでした。
犬フェスやったのはヨカッタね!
来年は戌年だし、ナニかやりたいですね!」
私はこれまでの人生で3回ぐらい胃カメラ飲んだかな?
大キライなの。
ま、胃カメラ好きなのはジョニーちゃんぐらいなもんか?
でも、バリウムが大好きっていう人いるよね。
「バリウムならいっくらでも飲めちゃう」ってヤツいたもん。
胃カメラを2回目にやった時かな?
長野の病院で、軽い麻酔をして、寝ている間にカメラを突っ込んじゃうっていうのをやったのよ。
ところが、麻酔が効かなくてゼンゼン眠くならないのよ。
どうするのかと思ったら先生が「仕方ないのでこのままカメラを飲んで頂きます」って言うワケ。
「チョチョチョ、それじゃこの病院に来た意味がないじゃないですか!」
「大丈夫、すぐ終わりますから!」
と言われて泣く泣く素の状態でカメラを飲んだ。
相変わらず辛かった。
「ハイ、お疲れさまでした。少し休んでいってくださいね」…と言われ、ベッドで横になっていたら麻酔が効いてきたのが、ガーガー寝込んでしまった。
次…。
3回目の胃カメラ。
ラクだというので、鼻から入れるヤツをやってみた。
コレは真っ向から口に入れるのより確かにラクですよ。
以前に比べてカメラの直径が格段に小さくなったこともある。
ところが、鼻からズズイとカメラが入り込んでくるのはいいんだけど、当然ノドを通過させなければならない。
この時、「タイミングを合わせてゴクンと唾を飲むようにカメラを飲み込んでください」って言うワケ。
「エ~、唾とカメラじゃ大分違うじゃないの~!」なんてことはカメラが鼻に突き刺さっているので口にすることはできない。
で、「セ~ノ」でゴクンとやると、カメラがメリッとノドを通過していく。
アッという間なんだけど、コレがメッチャ辛い。
おかげさまで毎回大した異状は見つからなくてヨカッタんだけどね。
私はバリウムを飲まないようにしているの。
ナゼかというと、大学の時に大きな病院でバイトをしていたんだけど、医者も看護婦も絶対にアレをやらないってその時聞いたから。
あの放射線が相当身体に良くないんだって。
だから私ももし検査をしなければならない時は胃カメラにしてる。
でも情次兄さんのように「飲みたい」と思ったことはないよ!

420v胃カメラファンの皆さんにもう1冊吉村昭の本を紹介しておこう。
胃カメラはオリンパスの発明品なんだけど、その開発ストーリー。
小型のカメラを作って、それをどうやって実験に供したのか?
犬に麻酔をかけて、コンドームに入れたカメラを寝ている間に口から突っ込んだっていうんだよね。
そうか…考えてみると、あの時の私は犬だったのか…。
犬とカメラを使ってこの世にないモノを作り出すという、サーカスのようにナニが起こるかわからない手探り状態。
すなわち「犬カメサアカス團」だったのだ。
これから読む人のためにこれ以上は書かないけど、メッチャおもしろいよ。

Hh「ツアー楽しかった!『次はアレをやらなきゃ!』と思いながらやっているので、あまり振り返ることができなかった。アッという間に終わっちゃいました!」
そして、『新宿ゴーゴー』に関しては…
「今までと違う感じにしたかったんだよね。衣装もパーッといこうと思って…。いろんなことがエスカレートしたね!」

426v凶子姉さんもツアーが楽しかったそう。
「久しぶりに広島にも行ったけどお客さんがたくさんでビックリした!」
やっぱりマーブロ効果かね?…んなことないかな?
「来年は健康に気を付けたいですね。差し入れを頂けるようであれば健康のヤツをお願いします!」

410いよいよ終盤。
ココもスゴかった!

530_sbrだってまず「スケ番ロック」じゃん?

540大好きな「ドグマの呪い」じゃん?

550vそして、最後に「命みぢかし恋せよ人類!」だもん。

560v代表曲の連続に大盛り上がりだった!

570v明兄さんのスティック・ベロンチョもバッチリ!

580vアンコールでは担当のジン兄さんがグッズを紹介。
内容は今日の記事の冒頭のアイテムね。

560この日はアンコールもスゴかった。
まず「運命のカルマ」と「Sleeping Beauty」を演奏。

Img_0348 でもそれだけでは収まらなくて2回目のアンコールで「死ぬまでROCK!」。

Img_0408 ココでこの日予定していたすべてのプログラムを演奏し終わったんだけど、ナント、もう一度アンコールに応えたのだ!
曲は「最後のアイドル」!

610

620v

630v

640v新譜の魅力を十分に伝え、さらにヒット・パレードを織り込む非の打ちどころのない最高の内容だった。
だから、最初にあんなことを書きたくなっちゃったのよ!
今週末から『ゴーゴー!ゴールデンウイーク!』と題した8本のツアーが始まる。
5月19日のココ高田馬場CLUB PHASEでの千秋楽では、約束通り『犬フェス』のコピーバンド大会で優勝した「犬っ子サーカス團」も登場するんだって!
楽しみだ!

660v見て、終演後の物販の行列!
書き入れ時ですナァ~!(「掻き入れ時」は誤り)

670犬っ子さんもこの通り。
690vカ~ッコいい~!
680v犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁

700
(一部敬称略 2017年12月2日 高田馬場CLUB PHASEにて撮影)
  

さてさて、犬神サアカス團の「女火箸殺人地獄」に触発されて前回からスタートした「私のディープ浅草」シリーズ。
そう、まだやってるの。
アレから吉原に関する色んな本をチョコチョコ読んでるんだけど、やっぱり本によってずいぶん言ってることが違うんよ。
この先どうしようかと思ったけど、都度考えて書き進めることにした。
興味のない人はココでサヨナラ。
興味をお持ちの方は、下で切り離して前回の分と合わせて保存していつでも読めるようにしておいてくださいな。
--------------------------きりとりせん------------------------

さて、フランク・ザッパが吉原にやってきたことを前回お伝えした。
フランク・ザッパが記者会見を行ったのが下の写真の左側に写っている場所にあった「松葉屋」というかつての引き手茶屋。
そのすぐ横の通り。

1_0r4a4815この通りは吉原があった頃、「お歯黒どぶ」と呼ばれる堀だった。
幅は最大のところで9mmあったらしい。
もう一度書くと、下の写真で自転車に乗っているオジちゃんやおバアさんが歩いている場所はかつて水の中だった。
まっ黒の水。
「お歯黒どぶ」と呼ばれたように、お歯黒をするための溶液をそのまま流していたので水がまっ黒だったらしい。
信じられないよな~、ココにお堀があったなんて。

1_0r4a4819何がしかの痕跡が残ってはいないか?…と思っていたら本シリーズの第1回目に登場した「一葉記念館」の受付の方が教えてくれた。
堀の石垣のごく一部が残っているというのだ。
場所は上の写真の道をホンの少し行った左側。

570 コレ。
まず、マンションの建っている場所が階段6段分ほど高くなっているでしょ?
これは堀を掘った土砂で嵩上げされているかららしい。
そして、右下の石垣に注目。

1_0r4a4822_2この大谷石の部分はどう見ても新しいモノとすぐにわかる。
その下の黒い石の部分がその名残りで、お歯黒の溶液の黒い成分で石が黒くなっているっていうワケ。
エ~ッ?と半信半疑だったのは、新吉原が出来たのは1657年のことだからね。
今から361年前のことでしょう。
素人の私が見てもコレがそんなに古いモノとは思えない。
後に改修しているのかもしれないけど、それじゃ意味がない。

190…と、感動半分、疑惑半分で写真を撮っていたらアッと驚くタメゴロー!
昔、一緒にお仕事をさせて頂いた方にバッタリ出くわした。
その方は近くに倉庫を持っていて、タマタマそこを訪れたというのだ。
コレは千載一遇のチャンス!と思って、この石垣について尋ねてみた。
普段は「吉原見学ツアー」でチラホラ観光客も訪れるらしいのだが、答えは「否」らしい。
ナゼなら、古くからココに住むオバサンがいて、「アレは戦前はなかった」と明言しているのだそうだ。
浪漫失われたり~!
ま、仕方ない。
しかし、ココがお歯黒どぶであったことは間違いないのだ。
親切な私はワザワザ一葉記念館まで戻ってこのことを伝えた。
記念館の人は惜しげもなく大きな驚きと絶望の声を上げていた。
「もう一度調べてみます」ということだった。
どこかのテレビ番組で取り上げてくれないかな?

180_2同じ通りをそのまま進む。
ここもズ~っと堀だった。
ハイ、右。

170「カストリ」って言葉を最初に聞いた時、何とも変な印象を持った。
「カストロ」なら将軍なんだけど、「カストリ」ね~…カストリ後を濁さず、ナンチャッテ。
「カストリ」というのは、終戦直後に出回った粗悪な密造焼酎のこと。
元は酒粕が原料だったことから、「粕から取る」焼酎で「カストリ焼酎」といったのだそうだ。
酒粕から作るちゃんとした焼酎とはまた別のモノということになる。
そして、やはり戦後「カストリ雑誌」という大衆向けの娯楽雑誌が出回った。娯楽雑誌と言っても内容はエログロが中心で、赤線の情報などを掲載していたらしい。
で、そうした雑誌は刊行が長続きせず、3号も出したらコロっと潰れてしまうことが多かった。
つまり、「カストリ雑誌」という名称は「3合飲むとつぶれる」と言われた品質のよくないカストリ焼酎に引っ掛けたワケだ。
誰だ?こんなウマいことを言ったのは?
ちなみに、このカストリ雑誌の前の時代、つまり大正から昭和の初期にかけての「カフェー文化」と言われる時代が盛んなりし頃に出版された『グロテスク』とか『犯罪科学』なんてエログロ雑誌は、宮武外骨のような教養の高い筆者が揃っていてすこぶる面白いらしい。
読んでみたい。
この宮武外骨という人は『滑稽新聞』という刊行物を通じて政府批判や風刺を行った著作家・歴史家。
著作物を直接読んだことはないが、『府藩県政史』という本の中で、面白いことを指摘していることを知った。
というのは、今、県名と県庁所在が異なる県が東京と沖縄を除いて全国で17あるらしんだけど、そのうち14の県は明治維新の時に幕府を味方した藩が勢力を持っていた県である…ということを指摘いているのだそうだ。
今の総理大臣は?私にも山口県や鹿児島県出身の親友がいるのでこの先のことは書くまい。

200_2このカストリ書房さんは別に焼酎を作っているワケでも、雑誌の出版をしているワケでもない。
看板にあるように遊郭に関する書籍を専門に扱っている本屋さんなのだ。
見ての通り普通の家屋で、中に入ってみても普通の家屋。
そこにありとあらゆる遊郭に関する本が展示してある。
確かチョット前まで違う場所にあったよね。
興味のある方はゼヒ。

205さっきの道路を進んで突き当たった道。
ココもかつては堀だった。
この左側、すなわち吉原遊郭の中と通りの右側のエリアは通りの向きがズレていることがすぐにわかる。
それは碁盤の目状に作られた吉原遊郭へ来たお客さんや住人たちが、床に入った時に北枕にならないように方位を考慮しているからだ。

210v今、お歯黒どぶがあった場所をグルリと一周しようとしているのね。
遊郭の入り口である大門の方と両サイドはどこが堀だったかすぐにわかるんだけど、反対側がわからない。
この左手にある吉原神社のロケーションを考えると、多分この細い道がそれに当たるのではないか?と思うのだ。
この遊郭の突き当りを「水道尻」といって、「秋葉常灯明」という常夜灯が建っていた。
「秋葉権現」はいつか『私の秋葉原』で説明したように火除けの神様だ。
井上ひさしの『四千万歩の男』に出て来るように何度も火事に遭っている吉原だけど、やっぱり火事がコワかったんだね~。

220大門から見て左側の堀はここを通っていた。
見てみたかったな~。
ところでこの堀を作ったのは、もちろん遊女たちが脱走するのを防ぐためだったのだが、反対に外部から不審者が入って来るのを防ぐ役割も果たしていた。
いくつかのハネ橋は設置してあったが、もちろん一般の人は使うことができなかった。
前回紹介した『吉原はこんな所でございました』の著者であり、吉原で育った福田利子さんは、そのハネ橋を渡って学校に通った…ということを述べている。

1_0r4a4814また樋口一葉の『たけくらべ』を引用すると…書き出しはこうある。
「廻れば大門の見返り柳いと長けれど、お歯ぐろ溝(ドブ)に燈火うつる三階の騒ぎも手に取るごとく…」
コレは、お歯黒どぶがあるためにグルリと回り道をしなければならないから、見返り柳まで結構距離がある。
そして、「三階の騒ぎ」というのは、一葉がこの作品を著した明治時代の遊郭の建物は3階建てだったということが示されている。

240お歯黒どぶを1周して吉原大門に戻って来た。
ココがお歯黒どぶに囲まれた吉原遊郭の唯一の入り口だった。
この先はどんなにエライ人でも帯刀は許されず、医者以外は駕籠で入ることができなかった。
どんな様子だったかは、江戸時代、明治時代、大正時代とさまざまで、インターネットで調べれば錦絵や写真などでその姿が確認できる。
ま、今のコレは当時の影も形もござんせん。

250コレが吉原のメインストリートだった「仲之町通り」。

260現在は「台東区千束4丁目」。
色気もナニもあったもんじゃない。

270次回からは吉原の中に入っていくよ。

280<まだまだ続く>
 

200