CANTAの15年 "黒歴史" 千秋楽
最近は結成30周年とか35年周年とかいうバンドがゾロゾロ出てきた。
それは取りも直さずベテラン勢が元気に活動していることを示すワケで、とても素晴らしいことだと思う。
しからば世界規模で見て、現役で最もキャリアの長いチームはどこか?…と調べてみると、どうもザ・ベンチャーズらしい。
1959年のデビューというから58年のキャリアということになる。
いいね、今なら「ザ・ヴェンチャーズ」と書くところだろうけど、以前「ベンチャーズ」と綴るところがいい。
「デズニーランド」みたいなものだ。
アレ、お年寄りがナゼ「ディズニー」ではなく「デズニー」となってしまうのかというと、日本語に「ディ」という発音がないかららしい。
ま、今もないんだけどね。「ディズニー」は外来語の固有名詞だもん。
その代わり、昔の人は「ぢ」と「じ」の音を使い分けることができたとか…。
さて、日本ではどうなるか?
ジャズのビッグバンドになるが、宮間利之とニューハードが1958年から活動を開始。
1950年に結成された前身も含めれば67年のキャリアということになり、コレが最長らしい。
…と言いたいところだが、宮間さんが昨年94歳の若さで亡くなったため、オーケストラが現存しているのかどうかは不明。
下がその宮間利之とニューハード。2002年の撮影。
真ん中でアルトサックスを吹いているのは私の親友。
大学時代にビッグバンドで一緒に演奏していた。
今もバリバリに第一線で活躍している。
大学時代、「将来、彼はプロのジャズ・ミュージシャンになり、私はジャズ喫茶のマスターになる」という契りを交わした。
彼はチャンとその約束を果たしたが、私はMarshallになっちゃった!
すまん、約束は忘れてくれ!
オレは今の仕事が大スキなんだ!
30周年記念とかになると、よく「いいですか?30年というと、私たちがデビューした時にオギャーと生まれた赤ちゃんが、今30歳になってるんですよ!」
って言うじゃない?
ホントだよね。
早いもんですよ、ヨソの家の子が大きくなるのは…。
で、ルークさんは地球デビュー30年になるワケだけど、CANTAは15周年。
「15年」というヤツをこの話に当てハメてみると、チョット微妙な感じがすることを発見した。
「オマイさん、こないだ生まれた横丁のクマさんとこの子ね…」
「オウ、あの与太郎かい?」
「そう、もう15になるんだってサ」
「そうかい」
で終わっちゃうような…。
それよりも!
「オマイさん、こないだ75って言ってたウラの八っつぁんね…」
「オウ、どうした?グエェでも悪くしたのか?」
「そうじゃないよ、もう90になるんですってよ」
「それじゃオメエ、『卒寿』じゃねーか!コイツぁメデェ!オメエ、近所のマイバスケットでも行って赤飯買って来ネェ!」
…なんてこともあるもんで。
同じ「15」でも当てハメるところによって、印象てぇモノがずいぶんと違うもんでございます。
エ~、エヘン(咳払い)。
我々のロックの世界ってーと、30年連れ添う徒党もあれば、アッという間に離れ離れになってしまう連中も多いようで…。
近頃の若いバンドってイヤぁ、チョット売れて来るってーと、すぐバラバラになってしまう。
これじゃイケませんな。
同じ志を持って集まった連中だ。
最後の最後まで添い遂げてもらいたいと思うワケでしてな。
やっぱり~、「15周年」てーと、メデテェもんでございます。
オイ、どうしたい!エエ?
CANTAの『黒歴史』もオメェ、千秋楽だってーじゃねーか。
落語を聴かない方にはMarshall Blogがブッ壊れてしまったのではないかとお思いの方もあろう。
コレは古今亭志ん生風にやってみたところ。
大学の時に夢中になった落語が最近私の中で猛烈なブームになっていましてな…。
ヒマさえあれば志ん生を聴いてるてぇヤツで。
あ、イカンイカン、また!
それに加えて浪曲という新しい楽しみを見つけてしまって、広沢虎造の声にウットリしている毎日なのである。
浪曲って、日本の「ひとりミュージカル」だからね。
すごくおもしろい。
CANTAの15周年を祝う3週連続のコンサートもいよいよ最終回になってしまった。
グループの歴史を振り返って3週連続でライブハウスのステージに立つ…なんて企画はなかなかないんじゃないの?
今にして思うと何のパロディだったのかな?…というのは、東京おとぼけキャッツが5日連続で渋谷の屋根裏に出演したりしたこともあった。
また、彼らは「日本で一番高いところで開催するコンサート」と称して、東京タワーの展望台でライブをしたり(私は両方とも観に行った)。
高いところつながりで言えば、当時世界で最も高いギャラを取ると言われたジャズ歌手のエラ・フィッツジェラルドが、空を飛ぶ飛行機の中でコンサートをしたり(コレは観ていないが話題になったのは知っている)…とか、マァ、皆さん色々とやられているワケだけど、このCANTAの企画も必ずや珍しい部類に入ることだろう。
それも今日が千秋楽。
3週間なんてアッという間だったね。
最終回の今日は7枚目から9枚目のアルバムからのレパートリー、つまり一番最近のCANTAの姿をお見せすることになるワケよね。
この3回すべてのステージでルークさんのお供をしたMarshall…
1959RRと1960X。
15年目のCANTAのMarshallを記憶に留めておこう。
前回は「1959講座」もやっちゃったからね。
記念にクローズ・アップを1枚。
「NATURAL BORN FIGHTERS」を続けて演奏。
さすが『セヴン』からの曲ともなると何となく楽勝に演奏しているように見えるのは目の錯覚か?
イギリスの名門プログレッシブ。ロック・バンド、ソフト・マシーンにも『Seven』というアルバムがあるんだけど、双方『7』と表記しないところがおもしろい。
私はこのソフト・マシーン好きが昂じて、出身地のカンタベリーまで2回行ったわ。
原宿アストロはこのシリーズだけで3回。
ああ、コレで終わっちゃうなんて寂しいナァ。
「サンキュー!ありがとう!CANTA黒歴史・千秋楽へようこそ!」
ルークさんの最初のMC。
「一番最近に近い音楽を演るワケですけど楽しみにしていましたか?」
お客さんが「イエ~!」で応える。
「その楽しみ加減をオレたちにブツけてくれ~!
再度お客さんの「イエ~!」。
「受け止めました!」…と、ルークさんが『セヴン』とそれに続くアルバム『My Generator』の話をしていると、どうもお客さんは早く演奏が聴きたい様子。
それを敏感に見て取ったルークさん…「曲だね?わかったよ!オマエたちとはわかり合えない!」とお客さんをイジってピアノから始まる「Flower Song」。
2013年の『My Generator』からのチョイスだが久しぶりの演奏となったそうだ。
「行こうぜ!」
「シャボン玉放りDay」と「Fantasize」をつなげる。
この「シャボン玉」は濃密な社会派ソングなんだね~。
ルークさんとは政治の話をしたことは一切ないけれど…とにかく今度の選挙、皆さん必ず投票しに行ってくださいね。
「Fantasize」は最近でもよく取り上げる重要ナンバーだもんね。
それだけに実に濃密な演奏となった。
あ、他の曲ももちろん十分濃いです。
「この辺の曲も楽しいね!
大丈夫かい?
みんなボクのつまらない話について来てくれるかい?
ついさっき『わかり合えない』って言ったけど、わかり合っちゃったからね!
音楽は壁をブチ破る時があるからね。
このライブの中にもそういう瞬間があったら大成功かもね!」と、ルークさんは客席の後ろまでウインクを届けた。
イントロがお気に入りという「Home」。
エエ~、「壁」なんてあったんですかッ?
確かにMarshallの壁はなかったけど…。
このシリーズ、CANTAとお客さんの間に壁を感じた瞬間はまったくなかったよね!
「Home」と連続に披露したのは最近作、桃の『LOVE FIXXXER』から「My Dear Friend~世界は寂しいでできている~」。
これまで初日、中日と「暗黒」っぽいイメージで構成した中盤。
イヤ、実際はゼンゼン違ってただただカッコいいんだけどね。
今回もそういう設定にした。
ルークさん曰く、「ボクの中ではシットリした曲。シットリした中にも骨太さがある最悪の暗い曲です」
またまた~。
演奏したのは「Born to Love」、そして「Campanella」。
3曲目にはギターを持ち替えて、『My Generator』から「Round & Round」。
白いストラト・タイプのレフティ。
このギターを弾くルークさん、始めて見た。
使用したのもこの曲だけだった。
ココで恒例のMCコーナー。
「3日目、ありがとう!アッという間の6月だったね!」
「今日はかなり緊張感があります。15周年にふさわしいイベントができてヨカッタ。」
ルークさんがMASAKIさんに合流。
吹き出しちゃったのはダテ眼鏡の前防衛大臣の話。
ルークさんがそのダテ眼鏡を手ではなく口でそっとハズしてあげるとかナンとかで大盛り上がり!
「次のライブはメガネのお客さんが増えちゃったりして!」
あ、Marshallもメガネやサングラスをやってますからね。
伊達や酔狂ではありません。
コチラをご参照あれ。
「あんなこともやりたい、こんなこともやりたい」という楽しみな話を経て…
「さぁ、盛り上がる曲をやっていこうか!コレも久しぶりです!」
「デカい声出して行こう!」と「HEAVEN'S WAITING」!
ルークさんとお客さんを猛然とプッシュしまくるリズム隊がまさに一大スぺクタクル!
「楽しかったかい?!
オレも楽しかった~!オマエらのおかげだぜ!
最後の最後でわかり合えたな!」
そんなことないでしょうって!
「次の曲は最高に気に入っている曲!…その後でアンコールでもやったら?」とルークさんが紹介した千秋楽の本編を締めくくる曲は最新作の『LOVE FIXXXER』から「EVERYBODY NEEDS SOMEBODY」。
ルークさんにいわれないまでも、もちろん早速アンコール!
「イヤ~、千秋楽。ヨカッタね。
いい企画だったね。おもしろかった。
アルバムを1枚ずつ演るのもいいかもしれないね!」の言葉に盛大なレスポンス。
アンコール最初の曲は『セヴン』から「MIRACLE」。
「ミラクル起こしていこうぜ!
じゃあお祭りだ!」
「Virginity」と「Bound for Freedom」…
そして「月とチャリとGuitar」をプレイして千秋楽のプログラム、そして、『CANTAの15年"黒歴史"』3公演すべての演目を完結させた。
これほどアッという間の3週間もなかったね。
そして、ショウを締めくくるルークさんのクリシェ…「またやろうな!また来いよ~!」
3回とも実に楽しく、見ごたえのあるショウだった!
この分だと20周年なんかすぐに来ちゃいそうだね。
楽しみだ!
現在『秋CANTA’17 夜の匂いに目眩を覚えた、それは15の秋でした♥』と題したツアー続行中!
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