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2017年7月 7日 (金)

TOSSED JAM~小笠原義弘・宅間善之・椎谷求・丹菊正和

 
いつもスカイツリーの見えるところにいて、タマに東京タワーを目にすると、「アッレ~、こんなに小さかったけか?」なんてつい思ってしまいますな。
サイズという点では話題はスカイツリーに譲らざるを得ないが、東京タワーの見慣れた佇まいはエレガントで美しい。
ココは六本木。

10v私はこうした盛り場がまったく苦手で、用もないのにプラプラと寄りつくなんてことはまずしない。
六本木に来る用事といえば、Hard Rock Cafe Tokyo。
以前、名所めぐりの『vol.26~ハイド・パークのカドッコで』に記したように撮影の仕事を頂戴していた頃はよく足を向けた。
20_2 それとライブ・ハウスですな~。
もう影も形もなくなっちゃったけど、ピット・インはよく来たものだ。
大学の時、初めて香津美さんを観たのもココだった。

20こんなアルバムもあるもんネェ。
今となってはこのアルバムの主もいなくなっちゃった。
そういえばこんな入り口だった。

Ahそれと、ピット・インよりもう少し六本木通りに行ったところにスペースシャワーさんがあって、数年前の一時期、何回か足を運んだ。
そう、このMarshallの本を編むための打ち合わせだった。

130_2そして、そのピット・インのあったビルの通りを挟んだ道をほんの少し入ったところにまた新しいライブ・ハウスがオープンした。
現場に来てみて思い出したのだが、このあたりには昔も中規模のライブハウスがあって、弾き語りのシンガーソングライターのライブで一度お邪魔したことがあったナァ。
今回オープンしたのは「Ho'okipa Square(ホオキパ・スクエア)」というジャズ系のお店。
場所がらソフィスティケイトされた雰囲気だが、値段もお手頃で、仕事帰りにちょっとジャズでイッパイなんて時にもってこいのライブハウスといえよう。
「Ho'okipa」というのはハワイのマウイ島にあるビーチの名前。
ウインドサーフィンのメッカとしてその名を知られているそうだ。
「ライブハウスが多すぎる!」と普段ブーブー言っている私だが、それはロック系のお店の話。ジャズのお店なら何ら問題あるまい。

30今日ステージに上がるのはTOSSED JAMというコンボ。

40v実は2015年に「YOKOHAMA 4」という名前でMarshall Blogに登場しているヴィブラフォン入りのカルテットだ。

50ヴィブラフォンの宅間善之

60vギターの椎谷求

70v椎谷さんはMarshall ASTORIA CLASSICを使用。

80足元のようす。

90ベースは小笠原義弘。

100vオガンちゃんはEDEN。

110vWTP-600とD410XSTのコンビネーションだ。

120ドラムはは丹菊正和

125vさて、今日は本題に入る前にスペシャル・セミナーをお届けしたいと思う。
「ヴィブラフォンの組み立て方」講座だ。
宅間さんにお願いして、組み立てるようすを撮影させて頂いた。
こんなの滅多に見れないよ!
コレを読んでおけば、いつヴィブラフォンの組み立てを頼まれても大丈夫。
ま、組み立てはできても肝心の演奏は無理だろうけど。
何しろこの楽器は打楽器の技術でピアノを弾いているようなもので、楽器の中でも取り分けマスターするのがムズカシイと言われている。
  
さて、まずはメインとなる台を取り出す。

130その台に足を取り付けて…と。

140取り付けるとこういう感じ。

150共鳴パイプを台に取り付ける。

160これでヴィブラフォンらしくなるね。
でも、まだ音を出すことはできない。

170ピアノでいう白鍵用の音響パイプも取り付けよう。

180実は、今回宅間さんが使用するのはシンセ・ヴィブラフォンだ。
今、台に取り付けている銀色のバーは音板に取り付けたピックアップからの信号を受け取る装置。

190こんな感じで取り付けられる。

200上から見たところ。

210vそしていよいよ音板を乗せる。

220まずはピアノでいう黒鍵の方から。

230ビヨーンと広げて台の上に広げて乗せる…。

240音板を乗せたら、ひとつひとつを正しい位置にハメ込んでいく。

250白鍵の方も同じ。

255音板が正しく配置されたところで今度はピックアップの結線をする。

260音板ひとつひとつにピエゾのピックアップが取り付けられていて…
290
それらをさっきの銀色のバーにつないでいくワケだ。

270そしてそのピエゾから送られてきた信号はこの装置でミックスされてシンセサイザーのコンソールに送られる。

300そして、そのコンソールから出て来た音をアンプリファイするという仕組み。
イヤま~、合体がデカい楽器だけに取り扱いは大変だよね。
でも、それだけにこの楽器から得られるサウンドは何モノにも替えられない美しさがある。
楽器というものはCDなんかで再生される音とナマで聴く音の差が大きいものだけど、ヴィブラフォンほどその差が大きい楽器はないのではなかろうか?

310会場は超満員!
しかし、お店は天井も高く、すごくユッタリしていてとてもいい雰囲気だ。
  
1曲目は椎谷さん作の「Mouffetard」。
フランスに実際にある通りの名前が曲名。

320ジンタを想起させる何ともレトロスペクティブな雰囲気が魅力の1曲。
ソロが各メンバーに回される。
ま、挨拶がわりのソロやね。

330

340

3502曲目は「水が集まるところ」を意味する「Xel-ha(シェルハ)」。マヤ語だそうだ。
宅間さんの作品。
自然な森の中をイメージしたような静謐なサウンド。
390v

丹ちゃんはギロとコンガ、ドラムスとコンガと、器用にひとり二役をこなす。
得意の「スパイシー・ビート・パーカッション」だ。

370v続いてはチョット意外な「Take Five」。
昔はね~、この曲を作曲したPaul Desmondが性に合わなかったんだけど、今は大好き。
ま、『Time Out』を聴くことはまずありませんが…。

380_t5ヴァイブのふくよかなサウンドが曲によくマッチするね。

360v

前回も取り上げた椎谷さんのオハコ、Bill Withersの「Ain't No Sunshine」。

400v第一部の最後を飾ったのは「Shotgun」という曲。
テキーラをボン!とテーブルの上に置くイメージなんだって。
ここでオガンちゃんのベースが炸裂。
もうこのベース・ラインを追っているだけで曲が楽しめるどころか、ドンブリ飯が3杯はイケる。

410v_sgその素晴らしいプレイに乗って椎谷さんもディストーション・サウンドで自由闊達なソロを展開。
ん~、やっぱASTORIAの音ってスゴイな。

420v宅間さんは3本マレットで目にも止まらない早いパッセージを遠慮なくブチ込んでくるし!

430vあ~、快感。
またEDENが演出するオガンちゃんのベースの音の素晴らしいことといったら!

440v第二部は丹ちゃんの歌で「Unlucky Day」。
最近はドラムだけでなく、歌の仕事でも忙しいとか。
このソフトな歌声は確かに替えのきかないものだ。

450丹ちゃんの熱唱を追いかけるように各人のソロがフィーチュアされる。

460v

470v

480v続いてはこの日、日本語のタイトルを持つ唯一の曲「夜光列車」を演奏。
前回も取り上げた宅間さんの作品。
「夜行」ではなくて「夜光」で間違いないのよ。

490_yrココでもオガンちゃんのベース・ソロをフィーチュア。

500v一部の「Take Five」につながる流れなのか、次に飛び出したのは「The Girl from Ipanema」。

510_imさて、次はこの日のギグの見どころのひとつとなった宅間さんの作品「Labyrinth」。
宅間さんのご厚意で譜面をココに掲載させて頂く。
パッと見ると四分音符と二分音符がおしとやかに並んでいるように見える。
私でも初見でメロディをなぞることができそうな譜面ヅラなのだが、そうは問屋が卸さない。
演奏しているうちに自分が迷路の中にいるように、どこを演奏しているのかかわからなくなってしまうらしいのだ。
だからタイトルが「迷宮」。
実際、リハーサルの時も何度もやり直しとなるシーンが見受けられた。

520v曲は何の問題もないナチュラルなもの。
しかし、この真剣な顔!
こういう曲こそおもしろいんですよ。

530宅間さんの他にオガンちゃんと椎谷さんのソロがフィーチュアされた。

540vもちろん本番は完璧。
残念ながら(?)誰も「迷宮」に入り込むことはなかった。

550vヴァイブに関するおもしろい話をうかがった。
Frank Zappaはマリンバやヴィブラフォンを加えるインストゥルメンタリゼーションを好み、Ruth UnderwoodやEd Mannという大名手の演奏をフィーチュアしたが、演奏する際には必ずマリンバやヴィブラフォンにチューニングを合わせていた。
ナゼなら鍵盤打楽器はチューニングというものが一切できないので、バンドの基音とならざるを得ないから。
それで、他の楽器をチューニングする時に、故意にマリンバやヴィブラフォンの音程より高くしたり、低くしたりすることがあるのだそうだ。
周囲の楽器のチュー二ングによって、バンドの中での鍵盤打楽器の聴こえ方が変わってくるのだ。
つまり、低くチューニングすると鍵盤打楽器が目立って聴こえたりするのだとか…。
こういう話はメッチャおもしろい!

560vそして、本編最後の曲。
オガンちゃんの作品で「Valle Colorado」。

570vブッ早い7/8拍子で灼熱の演奏を繰り広げる!

580もちろんオガンちゃんのベース・ソロが大フィーチュア。
本編を締めくくる手に汗握るパフォーマンスだった。

590vアンコール。
「今回演った曲はムズカシかったですね~。ホテルに入ってムチャクチャ練習しましたわ~。でもまたやってみたい!」と今回のステージを振り返るオガンちゃん。
「アンコールは、せっかく盛り上がったのにこの曲かい!という感じです」

600オガンちゃんが心を込めて歌うBilly Joelの「New York State of Mind」。

610あ~、こういう曲でのヴィブラフォンはタマりませんな~!

620v小笠原義弘の詳しい情報はコチラ⇒DANCIN' FUNKY BASS!!!

630_2そう、是非またやってチョーダイね!
このコンボは選曲も演奏も実に楽しみどころが多いのだ。
うん、場所はココHo'okipa Squareがいいね。

640(一部敬称略 2017年5月23日 六本木Ho'okipa Squareにて撮影)