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2016年12月 7日 (水)

野獣 NOKEMONO LIVE at 鹿鳴館

通称「ワテロク」…つまり先般シリーズでレポートした中野重夫の還暦記念コンサートでも触れた通り、野獣が復活しツアーを敢行した。
今日はその東京公演のもよう。

10まずはオリジナル・メンバーの紹介から…
ボーカルはAce Nakaya

20vギターはおなじみShigeo "Rolla" Hendrix…中野重夫。なんか、シゲさんステージネームがスゴイことになってるな。

30vベースが千蔵"Cherry"正明。

40vそして、この三人に加わったサポート・メンバーは…
ギターに日下部"Burny"正則。

50vドラムに川口千里

60v野獣のウリのひとつはよく練られたメロディを一糸乱れぬコンビネーションで聴かせるツイン・リード・ギターだろう。
その魅力は、長い付き合いのバーニーがサポートで参加したことによって倍増した。
そして、この手の音楽になくてはならないのがMarshallだ。

70シゲさんは…あ、今日はRollaか…。
「ローラ」ったって「カローラ」のローラだからね!

80vRollaのMarshallは1959SLPと1960A。
今日はストラトキャスターで見慣れた「中野重夫」ではなくて、VとSGの「Rolla」だ。

90足元のようす。
Rolloverの時とは異なりかなりコンテンポラリー!
細かく書いてあるのは曲の出だしのキッカケとか構成とか…。
こんなに細かいの本番中に読めるワケない!
こういうところがいかにもシゲさんらしい。一種のお守りということなのだろう。

100バーニーのMarshallも最近は小型化が進んで1936を使ったりしているが…

110v今日は1987Xと1960Aのハーフ・スタック。
やっぱりバーニーほどの名人は4X12"キャビでド~ンとブチかますのがお似合いだ!

120v_2バーニーの足元。

130冒頭、バーニーのアルペジオに導かれて曲が始まる。
240v
一曲目は「Down to Hell」。

140_dth「いかにも!」という感じの「日本のハード・ロック」チューン。
野獣が「80年代の新しいメッセンジャー」としてデビュー・アルバム『地獄の叫び From the Black World』をリリースしたのは1979年のこと。
サウンドといい、歌詞といい…瞬時にして鹿鳴館はその時代にタイムスリップした。
この時私は高校二年生だったんだけど、ご多聞に漏れずそのバンド名を「やじゅう」と読んだ。
いわゆるジャパメタ・ブーム以前。イギリスではパンクの嵐が吹きすさんでいた時代。
早熟だったのか、歳を取っているだけなのか…私はコチラ、すなわち「ジャパメタ紀元前」の世代だ。
150vコレコレコレコレコレ、ハード・ロックのツイン・リード・ギター。
いいよな~。

160こういうバンドってホントになくなってしまった。
今でも超絶技巧を使ったリード・プレイ・アンサンブルを聴かせるバンドもあるが、違うんだよな~。
この「Wishbone Ashを通って来なければ絶対に生まれてこない精神」っていうのかな?
「ブリティッシュ・ロックの香り」っていうのかな?
何しろ日本人の心の琴線に触れまくるパフォーマンス…それがこの手の「ツイン・リード」だ。
170そのツイン・リード・ギターを着実にサポートするCherryさんの低音!

S41a0096 そして、今回の見どころのひとつ、千里ちゃんのドラミングが暴れまくる!
千里ちゃんはヒロアキくんのソロ・コンサート以来のMarshall Blogへのご登場。
今回の衣装は「野獣」Tシャツ。
街で「野獣」なんてTシャツを着ている女の子に出くわしたらビックリするだろうな。イヤ、「野獣」ファンと納得するべきか?

180一曲終えたところでAceさんがご挨拶。
「35年ぶりの東京です!昨日は厚木で騒いで…今日はもっと騒ぐぞ!」
35年ぶり!
歓声を上げたお客さんはその時から35も齢を重ねたといいうことか…あ、ワタシもだった。

190v二曲目はデビュー・アルバムのタイトル・チューン、「From the Black World」。

200_ftbwまたAceさんの声がいいんだよね~。
そして、「ロックのコブシ」とでも言おうか、歌い回しが完全にソレなんだよね。
今の若いバンドってこういうメロディのなぞり方をしない。
それも最近のバンドの「ロック臭」を抑えている要因のひとつといえるだろう。

210ココでも二人のギターがタップリとフィーチュアされる。

220v

S41a0063 間髪入れず「Big Wednesday」。

230_bwズンズン来るヘヴィなテイストがタマりまへんな~。

250バラード「灰に消えた過去」。
「灰」といえば、この時代、東京のミュージシャンはハイライトを吸っている人が多かったナァ。
ちなみにハイライトのパッケージのデザインは和田誠の仕事だ。

260_hiメンバー紹介を経て「偽曲」。
シゲさん、イヤ、RollaはVもよく似合う。本人曰く、「フライングY」だそうです。また、「末広がりの八」でもあるそう。

270gkここも続けて「Love Machine」。

280_lmそのままステージの照明が落とされ、ピンスポットはシゲさんに…あ、Rollaに!

340_gs

「アメリカ国家」以外では珍しいシゲさん(ココはOK)のア・カペラのギター・ソロ。
360v
ん~、聴き慣れたMarshall+ストラトでなくして、このVのコシのあるサウンドも素晴らしい。
どういう事情があるかは「ワテロク」のレポートをご参照頂きたいが、シゲさんは現在オール・タイムのギタリストではない。
しかし、研究に研究を重ねて完成させた「トラクション・コントロール・ピッキング(逆アングルピッキング)」がヒネリ出すトーンはシゲさん独特のモノで、日本屈指のギター・サウンドと呼んでもよかろう。

350
ココは「Ezy Rider」やチラリと「Purple Haze」を引用して自分のルーツをシッカリとアッピールした。

S41a0211 次に「蟻地獄」。

290_ajこんなアクションも!チョットしたEXILE状態?
Aceさんはとてもいいギタリストでもあるからね。

300出身地が近いということで耳栓をしながら参加している千里ちゃん。「野獣はウルサイ」って!MCで大ウケ。
何しろバッシバッシと気持ちいいドラミング!
いつも書いている通りこういう新旧の交流は大歓迎だ。

305v「時々休まないと息が切れる」と小休止がわりのMCをはさむ。
Aceさん、トークめっちゃ上手だからね。MCも楽しみだ。
休憩の後は「アンジー」。

310_ang続けて「閉ざされた街」。
OZの「♪腐った猫」とは同名異曲。アチラは「町」だ。

320_tm「失われた愛」。
申し遅れましたが…現役時代、私は野獣を観たことなかったんです。
「野獣デビュー」みたいなチラシを野音でもらった記憶があるんだけど…ああいうの捨てないで取っておけばヨカッタなぁ。
もうチョット言うと、音も聴いたことがなかったの。
この頃は聴く音楽としてはプログレッシブ・ロックに夢中で、ごく一部を除いては日本のロック・バンドのレコードにお小遣いを充てる余裕がなかったのね。
だから、今こうして野獣に接してみると、ずいぶん時代は変わったナァと思うよね。
それを顕著に感じることのひとつはこれらの曲のタイトル!
今は耳にしないテイストのものばかりだ。実に味わい深い。

330v_ua今度はバーニーのソロ!

470
もうね~、ホントいいわ。
まさに「燃えたぎるギター」。
いつもバーニーのプレイを「ロック・ギターの教科書のような」と表現しているが、やっぱりその通り。
何のギミックもない正統派ギターは内野ゴロでランニング・ホームランをしてしまうような豪快にして爽快な魅力がある。
それでもシゲさんは、前日の厚木でバーニーが猛烈な速弾きを披露したので、今日はそれに対抗して自分らしさを出すべく、上に書いたようにヘンドリックス・フレイバーをマブしたのだそうだ。

480v

そして、このMarshallサウンド!
いいとか悪いとかでは全くなくて、このステージでは100Wと50Wの違いがよくわかるサウンドを聴くことができた。

Img_0086 ドンドン出て来るレパートリー…「Wait a Minute」。
「昔取った杵柄」とはいえ、シゲさん、コレ覚えるの大変だったろうナァ。

370_wam

ショウはいよいよ最後のセクションに突入する。

400v

「Back Street」…

380vSGに持ち替えたRolla。
DYNAGONの時はいつもSGだが、このギターのシェイプもシゲさんによく似合う。
そう、シゲさんってギター自体が似合うんだよね。
440
「You Believe in me」…

390_bs実はバーニーは高校生の時に野獣に誘われたことがあったそうだ。
ご両親に相談すると「頼むから高校だけは出てくれ!」と言われ断念。
もしその時野獣に加入していたらどうなっていたか…。
こうなっていた!

410当然、千里ちゃんもソロを披露。
お待ちかねの人も多かったのでは?

490
スティック・トリックでも魅せる!

510v
ハッシ!
難なく着地成功。

520v

失礼ながら、時に「早く終わって頂けると大変ありがたい…」というドラム・ソロも世の中にはあるけれど、千里ちゃんのソロは見ていてゼンゼン飽きないナァ。
もうドンドン演っちゃってくだされ!

530

曲は「Runaway」。
現役時代リーダーだったCherryさんの作品。

420vこの曲は何とカラオケになっているそうだ。
ところが、「野獣」を「のけもの」ではなく、「やじゅう」と誤って登録してしまったため、歌手検索を「ナ行」でしても見当たらない。
「ヤ行」のページで「八代亜紀」の次に出ているそうだ。
ま、両方ともMarshall Blogつながりということで…亜紀さんはコチラでご登場頂いている。「八代亜紀」から「野獣」まで…こうして見るとMarshall Blogスゴクない?
450
とうとう本編最後の曲、「Blue Scorpio」。

430vこうして見るとみんな実に楽しそうだ。

460もちろん客席も35年ぶりに東京に現れた野獣たちのワイルド演奏を存分に楽しんでいた。

560

アンコールは「Let's Break」と…

570_en「Terrible Noght」の二曲を披露。
結果、デビュー・アルバムを全曲演奏するという当時のファンにはタマらない内容になった。

580熱狂冷めやらない観客のアンコールに応えて五人は再びステージ現れ「Born to be Wild」を演奏してすべてのプログラムを終了した。
550v

590v

600v

610v

620vイヤ~、おもしろかったな~。
やっぱりこういうブルースに根差した伝統を踏まえたロックを聴かせてくれる正統派バンドの演奏というのはいいね。
「いい音楽を聴いた!」という幸せな気分に浸らせてくれる。
また、来年の5月も決まったみたいよ。
今回見逃した方はゼヒ!若い人にも見せてあげて!
  
中野重夫の詳しい情報はコチラ⇒facebook

630(一部敬称略 2016年10月16日 目黒鹿鳴館にて撮影)