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2016年12月 8日 (木)

【訃報】 黒沢健一さんのこと

「アレ?大二さんだ」とつぶやきながら、携帯電話のディスプレイの「通話」ボタンを押す。
「あ、ウシさん……」と切り出した大二さんの語気にまったく張りがない。会話を始めた途端、いつもとは違うことがすぐにわかった。
用向きは年明けにリリースされる四人囃子の未発表音源CDと、あるレコーディングにお使い頂くNATALに関することだった。
双方結構なお話で、それらに関して大二さんが元気をなくすなどという理由は見当たらない。
ホンの少し間をおいて、「それと…」と切り出した話を耳にして合点がいった。
「黒沢くんが脳腫瘍で亡くなったんですよ…」
驚いた…黒沢健一が亡くなった?
もう二年もお会いしていないが、お元気な印象しかない。
そして、「またか…」とハラが立った。
どうして神様はこうもワザワザ才能ある人を選って天に迎え入れてしまうのだろう。
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Marshall Blogにいつも書いているように、私は子供の頃から巷間に流布している音楽を自らすすんで聴くことはまったくなくて、常に「普通の人なら知らないようなモノ」、「周囲の人が聴かないモノ」を探してひとり悦に浸って来た。要するに天邪鬼なのだ。もしくは卑怯者か?
だから、「L⇔R」並びに黒沢さんについては失礼ながら何の知識も持ち合わせていなかった。
「四人囃子の岡井大二」がプロデュースをされているということぐらいは認識していたが、音楽に接する機会がなかった。
ところがある時、状況が一転した。
大二さんにNATALをお使い頂くようになり、Marshall Blogで黒沢健一さんのコンサートの取材をさせて頂くことになったのだ。
そして、まずはリハーサルをやっていた目黒のスタジオにお邪魔した。
大二さんにご紹介して頂き、この時初めて黒沢さんにお目にかかった。
始終ニコニコされていて、とてもキチっとした感じで、やはりどこか才気にあふれている印象だった。
「黒沢くんは大瀧さん、達郎くんの系譜を継ぐ『ポップスおたく』なんだよ」という、自身も「大ポップス狂」である大二さんの言葉も効いたのかもしれない。
このリハーサルは2013年年末の大久保の「東京グローブ座」で開催されたソロ・コンサートのためのモノだった。
大舞台でのNATALということもあって、当然取材を楽しみにしていたのだが、この日はあいにくと先約がガッチリと入っており、どうしても本番を拝見することができなかった。
仕方なく、本番前のリハーサルを取材させて頂きレポートを掲載した。
  
黒沢健一 Live 2013~Rock'n Roll Band without Electricity~

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それから早や一年。
翌年も同じ場所でコンサートが開催されると聞いて「チャンス到来!」。今度は慎重にスケジュールを調整して本番に臨んだ。
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詳しい内容はかつて掲載したMarshall Blogに譲るが、それは本当に素晴らしいコンサートで、演奏される曲のクォリティがどれも高く、かつ味わい深いもので、まさに「音楽のカタマリ」ともいうべき空間がそこに広がっていた。
曲の良さもさることながら、黒沢さんの声にも大きな感動を覚えた。
静かな曲でジックリと聴かせるシーンはもちろんだが、後半のロックンロールのパートではカッコよすぎてトリハダが立った。
ビックリしちゃったんだね、あんな声でいきなりゴキゲンなロックを演奏したから。
大ゲサな話ではなくて、この時の黒沢さんのシャウトを今でも思い出すことがあるのだ。
  
この時、黒沢さんとは本当にご挨拶程度だったが、とてもお元気そうで、ちょうど二年後にこんなことになるなって一体誰が予想できたであろうか? 
この時私が撮った写真をマネージャーがご覧になり、お褒めの言葉をたくさん頂戴した。だからまた撮影させて頂く機会を楽しみにしていたのに…。

  

黒沢健一 Live at the Globe vol.VI~大二 Plays NATAL

250また、日本の音楽は大きな才能を失った…このセリフを一体何回吐いたことだろう。
音楽の伝統を背負った黒沢さんのような才能ある人の物故が音楽シーンに与えるダメージが想像以上に大きいことをもっと我々は認識すべきなのではなかろうか?
  
黒沢健一さん 享年48歳
心よりご冥福をお祈り申し上げます

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(一部継承略)