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2016年10月17日 (月)

SPORTS of HEART 2016~田川ヒロアキ代々木第一体育館で「Seaが代」再演!

今年は雨ばっかりで「秋がない」なんて言ってたけど、それが一転してウソのようなこの晴天!
夏のへヴィな暑さと湿気から解放された、カラっとした日本の秋の晴れ空は本当に気持ちがいいね。
チョット前にキャノンボール・アダレイ・セクステットが1963年に来日した際のライブ音源を聴いていたら、コンサートのMCで、「フゥ~、東京はスゴイ湿気だね~」とキャノンボールが迷惑そうに言っていたのを聴いて吹き出してしまった。やっぱりそれだけmuggyな国なんだな~。
ジョン・コルトレーンは1966年の7月に来日した時、朝から晩までアイス・キャンディを何十本も食べていたという。
コルトレーンはこのちょうど一年後に肝臓ガンで他界したが、間断なくアイスを食べていたのは糖分を要求するガンという病気のためだけでなく、当時はエアコンもロクに浸透していなかった日本の蒸し暑さに耐えられなかったのではなかろうか?
いきなり脱線で申し訳ないが、このコルトレーンの来日時にすごくいい話があるので紹介しておこう。
新井和雄さんという、当時19歳の熱烈なコルトレーン・ファンがいた。お金を貯めて自費でコルトレーン一行の巡業について回った。
今でいえば「オッカケ」というヤツ。
バンドのメンバーと何度も顔を合わせているウチに仲良くなり、スタッフとしてローディのような仕事をさせてもらうようになり、朝食を一緒に摂るようにもなったという。
メンバーのなかではベースのジミー・ギャリソンと一番仲がヨカッタらしい。
で、ある朝、いつもいるハズの新井さんが食卓にいないことに気が付いたコルトレーンがその理由をスタッフに尋ねると、資金が底をついてしまったため、新井さんは同行を中止せざるを得なくなってしまったことを知る。
するとコルトレーンは、自分が出したということを絶対に伏せておくようにスタッフに命じ、残りの旅程にかかる新井さんの同行費用をすべて負担したという。
いい話しじゃないの~。
コレとほぼ正反対のことをした有名なギタリストも知ってるけどね。
脱線終わり。
さて、いい天気に戻って…ここで普通だったら「厳しい冬の寒さの前のしばしの安息」ぐらい書くんだろうけど、夏ギライの私は、Marshall Blogで気候の話になるといつも冬を擁護しているのでそうも書けまい。
今日はそんな秋晴れの一日を楽しいイベントで過ごしたというお話だよ。
明治神宮もたくさんの人でにぎわっていたね~。

10すぐお隣の原宿駅。
皆さんもご存じの通り、この駅舎が取り壊されることになった。

20vコレは1924年(大正13年、関東大震災の翌年。ジム・マーシャル1歳)に落成した東京で最も古い木造の駅舎なのだそうだ。

30私が「たけのこ」をやっていた頃(ウソですよ~)は、ずいぶん足繁く通ったものだが駅舎なんか気に留めたこともなかった。
でもこうしてマジマジと見てみると実にシャレた建物だ。

40オリンピックに向けての計画らしいが、こうした歴史的な建造物を平気で取り壊してしまうのはイギリスやアメリカでは考えられない「愚行」だ。
イギリスにおいては「鉄道発祥の地」だけあって、巨大なターミナル駅は言うに及ばず、ローカルな無人駅でも長年の風雪が駅舎にいい風合いを与えていて実に味わい深い。
何か「改装」、「増築」のような形でこのい駅舎を残すことはできないか…ま、しないだろうだろうな、日本人は。
そう思い、近い将来に姿を消す前にこうしてその風貌をMarshall Blogに残しておくことにした。
同じことを考えているのか、多くの人が駅舎を写真に収めているようすが目についた。

60今日の現場はココ。

70昨年もレポートした『SPORTS of HEART』が今年も開催されたのだ。

80『SPORTS of HEART』とは;
パラリンピアンの呼びかけによりスポーツ選手・ミュージシャン・文化人たちが共鳴し合い、団体・企業・省庁協力のもと「すべての人たちが共に分かち合い、心豊かに暮らせるニッポン」をめざすプロジェクトとして誕生しました。
「障がい者も健常者も一緒に楽しめるスポーツと文化の祭典」を通して障がい者アスリート・アーティストの凄さや魅力を発信し、彼らの社会的な知名度の向上を目指しています。(公式ウェブサイトから抜粋)…という三日間にわたって開催される国レベルの大イベントなのだ。

100そのオープニング・セレモニーに今年も田川ヒロアキが登場して田川流の「君が代」を披露した。
ヒロアキくんはカーレースをはじめ、全国各地で国歌を演奏してきたが、その多くはメタル・ギターを礎にしたギュインギュインのソロ演奏だ。
しかし、この『SPORTS of HEART』の舞台では共演者を得て、また違うスタイルの「君が代」を聴かせてくれる。

110定刻になり客電が落ちるとステージ後方の電光スクリーンのイメージ画像とともに、下手の着物姿の三人にスポットが当てられる。

140「イヨッ!」の掛け声とともに鮮やかなバチさばきで見事な津軽三味線のアンサンブルを見せてくれたのは「疾風(HAYATE)」の永村幸治、柴田雅人、杉山大祐の三人。
リハーサルの時、失礼ながら黙って後ろでチューニングの様子を拝見させて頂いたが、「B」、「F#」、「B」としていた。
私は詳しくはないが、三味線にはいくつかのチューニング方があって、ルート、五度、ルートという調弦法は「二上り」といって今回はそれに従っているようだった。
普通はキーは「C(あるいはD)」にすることが多いと聞いていたが、今回は「B」。
このことをヒロアキくんに尋ねてみると、開放弦を多用する三味線は、曲に合わせてキーを変えてチューニングをすることが珍しくないそうだ。
三味線はカポを使わないからね。(ちなみに英語で「カポ」は「ケイポゥ」と発音する)
そこで今回も曲のキーに合わせて土木的にチューニングを変えたそうで、とても考えられた調弦の選択だ…とヒロアキくんが説明してくれた。

150そしてスポットライトが上手に移動。

160そこには昨年ヒロアキくんとデュオで演奏した大倉正之助の姿が!

170こちらは「イヨ~!」とフェルマータ気味の掛け声だ。
乾いた鼓のサウンドが実に気持ちいい。

180vそして、センターステージには田川ヒロアキ!

190_2ヒロアキくんも「イヨ~!」と元気よく声を張り上げながら…ウソウソ!
この巨大な空間にいつもの田川トーンが鳴り響く!

200vお共は当然Marshall!
JVM210のフルスタックだ。
ヒロアキくんは歪み系の一切使わず、空間系のエフェクターをセンド&リターンにつないでいるだけ。
歪みっ気のサウンドはすべてJVMが作り出していて、ギターのボリュームでその歪み具合をコントロールしている。
その分、フットコントローラーを駆使していて、今回はフットスイッチのチャンネル1にOD/ORANGEを、そして、クライマックスで使うOD/REDをチャンネル2にアサイン。
さらにチャンネル3はミュートとしてCLEAN/GREEN。
そしてチャンネル4には、ループにつないだエフェクトのオン/オフをアサインした。

9_jvm2 演奏したのは「君が代」なのだが、それはさっき触れたように田川流の「君が代」だ。

220よくヒロアキくんのコンサートのオープニングで演奏される「Seascape」から「♪ち~よ~に~」から「君が代」になだれこむアレンジ。
すなわち「Seaが代」。
あるいは「君がScape」。
このアレンジ、大倉先生や今回楽屋でご一緒したヴァイオリンの古澤巌さんから大絶賛されていた。

230前回は大倉先生とのデュエットだったが、今回は強力な三味線チームも加わり一層スリリングな展開を見せる。
ステージ中央から疾風をあおるヒロアキくん。

240猛然とバチで弦を叩く三人!
「さわり」ってのはいいもんだね~。
この日本独特の文化であるところの「さわり」についてはまた別の機会に詳しく触れたいと思う。

250そして、ステージ下手を向くヒロアキくん。

260「イヨー!」、「ヨー!」と恐ろしくヌケのよい声とともに鼓を打ち込む大倉先生。
先生の声もかなりMarshall。クリーン・チャンネルね。
大倉正之助さんは、「重要無形文化財総合認定保持者 能楽師 囃子方大倉流大鼓」…と、肩書はすさまじいが、とても気さくな方で、楽屋でもとても気安く接してくださる。
今回二回目ということもあって親しくお話をさせて頂いたが、私のことを完全カメラマンだとお思いだったとのこと。
そして正体を明かすと…「だからMarshallのシャツを着ていたんですね!」とおっしゃる。
何と先生、Marshallをご存知なワケ。驚いた!
やっぱり何かひとつのことに長けている人の知見はスゴイと思った。

S41a0004それで、調子に乗って楽器について少しお話をうかがった。
鼓は、本体(ドラムで言えばシェル)とヘッドであるところの革を「調緒(しらべお)」と呼ばれる紐で張っているだけの構造。
ま、ドラムやラテン・パーカッションとまったく同じ構造なのだが、その音ヌケのヨサたるや尋常ではない。
それで、先生がお使いの楽器の本体は江戸時代につくられたモノだそうだ。
「へ~!」と驚いていると、「こっちはね…」ともうひとつ見せて頂けたのが「安土桃山時代のモノですよ」と来る。
あーた、安土桃山といったら500年前、織田信長の時代ですからね~。
58年や59年製のレスポールなんかで驚いてなんかいられない。
また500年前の楽器が形も一切変えずに今も使われている…というところがスゴイのだ。

270二回目とあって大倉先生との息もピッタリのヒロアキくん。

290vいよいよギター・ソロの番だ!

295JVMの野太いトーンを自在に操り手に汗握るプレイを見せてくれた!
疾風が加わったせいか、はたまたスッカリ慣れちゃったせいか、昨年よりもはるかにハードなプレイだ!

300三者三様の個性が十分に盛り込まれた破天荒にドラマチックな4分間の「君が代」。
写真を撮る方は大変なのだよ!撮り逃しは許されないからね~。

320今年も大イベントのトップバッターという重責を見事にこなしたヒロアキくんなのであった。

330v最後は出演者全員がステージに勢ぞろい。

340いたいた!
帽子をかぶっているのがヴァイオリンの古澤さん。
楽屋では例のハチャトゥリアンの「ヴァイオリン協奏曲」の話で盛り上がっちゃった!古澤さんも演奏されたことがあるそうで、やっぱい「アレはカッコいいよね!」とおっしゃっていた。

360しかし、いろんな現場の仕事が多いよね~。
Marshall Blogで取材させて頂くという大義名分でくっついて歩かせてもらっているが、他流試合も多いヒロアキくんのこと、私もずいぶん色んなこと経験し、勉強させて頂いている。
東京に住んでいれば戦後二番目に大きい台風を宮古島で経験するなんてことはおいそれとはできないからね~!
そういえば宮古島のレポートも今は見れないんだよね。
またいつか時間が出来た時に書き直してMarshall Blogにアップしたいと思っている。

390v終演後、出演者の寄せ書きボードにサインを入れるヒロアキくん。

410ついマネージャーの美瑞穂さんも!

420チョット失敗したか?イヤイヤ上出来、上出来!
小さく「ギター」と書かれた美瑞穂さんの解説がおもしろい!

430思い返してみるに、あのアレンジ。
「君が代」をグワ~っと弾くなんてことは誰でも思いつくだろう。ギタリストならジミヘンのやったことをみんな知っているからね。
しかし、「君が代」をブッたぎって、自作の曲と何の違和感もなく、しかも壮大なスケールでヒッつけてしまった。
一歩間違えば大事故にもなりかねないような所業だ。
そこはヒロアキくんのこと、バッチリとキメてくれた。
ところで当日、このアレンジに感銘を受けて絶賛した人がもうひとりいた。
その方は、段取りの都合で残念ながらヒロアキくんの実際の演奏を見ることがかなわなかったが、聞こえてくるステージの演奏に耳をそば立て、終演後、ヒロアキくんを捕まえて「素晴らしいアレンジだった!」とその感動を伝えたという。
その人とは、誰あろう山本寛斎。
デヴィッド・ボウイにも音楽のインスピレーションを与えたに違いない世界のトップ・ファッション・デザイナーからの思いもかけぬ惜しみないおホメの言葉にヒロアキくんも大層喜んでいたことをつけ加えておく。

440

田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano

SPORTS of HEART 2016の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

S41a0083 (一部敬称略 2016年10月15日 代々木第一体育館にて撮影)