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2013年1月24日 (木)

SCANDALコピーバンド/ヴォーカリストコンテスト vol.3

今、日本でもっともアマチュア・バンドにコピーされているガール・バンド、SCANDAL。

ギターのMAMIちゃんがマーシャル・プレイヤーということもあってマーブロでも応援させてもらっていることはすでに皆さんご承知の通り。オッサン、のめり込んじゃってるのもご存知の通り。いいのですよ、何回も言うけど…。実にいい、SCANDALは。アマチュア・バンドがSCANDALの曲を演奏したくなるのは至極当然のことだと思う。

だから『SCANDALコピーバンド/ヴォーカリストコンテスト』がある。去る2012年12月9日、第3回目の決勝大会が渋谷AXにて開催された。実はこのコンテスト、私、第1回目で審査員を務めさせていただいている。そして、今回は写真撮影とマーブロの取材ということでお邪魔した。

昨年はお休みせざるを得ない事由があって拝見していないのだが(ホントは見たかったのよん!)、今回は第1回目に比べ、参加者の幅も演奏レベルも格段にグレード・アップしていることに驚いた!おそるべし、SCANDAL人気!だってSCANDALをコピーしているバンドだけを集めてコンテストが成立しちゃうんだから。まさに平成の「勝ち抜きエレキ合戦」。世が世なら、ヘタしたら若大将だってエントリーしていたかもしれない。

確か、第1回目の時は東大名から来たバンドたちだけが参加したように記憶しているが、今回は仙台やら隠岐の島やらから参加してくれてにぎやかなことこの上ない。

驚くべきはナント今回の最年少の参加バンドは中学校1年生よ!小学校3年の時からバンドやってたんだって!で、これがどんな演奏かと思いきや、ウマい。年齢の低さなど何のハンデにもなっていない立派な演奏だった。

開演前に各バンドのポートレイトを撮ったんだけど、これも楽しかったナ。いろんなポーズをお願いして、ナニを言ってもケタケタケタケタ笑ってくれる。みんな明るくて、楽しそうで、本当にかわいい!自分も35年ぐらい前はこんなにハツラツとしていたのかナァ~…としきりに思ってしまった。イヤ、私の場合はプログレッシブ・ロックに狂って音楽変態道を一生懸命突き進んでいたな。

さて、アマチュア・バンド・コンテスト…とにかく昔に比べてみなさんうまくなりましたよね~。

私が初めてこの手のコンテストに出場した時、演奏した曲はウィッシュボーン・アッシュだった。「剣をすてろ」ってね。「ギターを捨てろ」ってなヒドイ演奏だった。別の機会では山岸潤史さんや鳴瀬喜博さんに審査していただいたこともあった。妹尾隆一郎さんの時もあったっけ。

大分前にナルチョさんとご一緒した時、この話をした。「エ~、オレなんつってた、その時?」、「イヤ、ワウワウを踏むときリズムが乱れるって」、「イヤ~、ゴメンゴメン!そんな生意気なこと言えたもんじゃないよね~!」と大笑い。

今にして思うとコンテストに出てどうしようってんだろうね?プロになりたかったんだろうナァ~。ずいぶん金も時間もかけたもんナァ~。

その頃はヴァン・ヘイレンがちょうどデビューした時分で、みんな♪ティラリティラリに夢中になっていた。「ライトハンド奏法」なんて立派なお名前がなかったから。でもまだディープ・パープルは結構定番だったな。一方では「一触即発」だとかマキOZの曲、珍しいところではサディスティック・ミカ・バンドの「嘉永●●年」で出場するバンドがいたもんね。高校生がこんな曲を演っていたんだから昔の人はエライ。RCサクセション大ブレイク前々夜の頃だ。まだいい時代だった。

当時はうまいバンドはケタ違いにウマくてカッコよくて、ヘタなバンドはチューニングすらできていなかった。ヒドイ時にはチューニングが合っていさえすればマシな大会もあった。

若い読者のみなさん、「チューニングもできないの?」って笑っちゃいけませんぜ。当時はチューナーというものが高価で、普通は買えなかったんです。というよりは、必要なかった。みんな500円で音叉を買ってきて、どこかに当てては音叉の端っこを耳に突っ込んで5弦の5フレットのハーモニクスをそれに合わせていたんですよ。それがひとつの耳のトレーニングだった。

だいたいね、この頃はドラムがしっかりしていて、ギターのチューニングが合ってて、ボーカルがウマければなんとかなった。この条件さえ満たしていれば予選を突破することができたコンテストも多かった。

ひとつ不思議なことがあって、昔は洋楽のコピーって絶対にボーカルが鬼門だったんですよ。つまり、西洋人のようなキーで歌えるヤツってまったくと言っていいくらいいなかった。要するにイアン・ギランやロバート・プラントね。パープルとかツェッペリンの曲を演りたくてもボーカルがダメだった。高校の文化祭なんかでは「Rock'n'Roll」をオクターブ下で歌ってるヤツなんかいたもんね。でも最近はどうだろう?平気で「Burn」とか演奏できるようになったでしょ?これって食べ物のせいなのかな?ますます西洋人化が進んでるってこと?

とにかく最近のマチュア・バンドはうまくなった。まず、みんな歌やコーラスがすこぶる上達した。これはおそらくカラオケのおかげだろう。それからギターのチューニングが正確になった。これは何といっても安価で優秀なチューナーが普及したせいに他ならない。いまだに音叉しかなかったらまずこうはいかないだろう。

さらにドラムがうまくなった。この理由はわからない。8ビートのような西洋のリズムが日本人のDNAに組み込まれ出したのかもしれない。コンテストに出るような子たちのご両親はもう完全にロック世代なのだから。

もうひとつうまくなった…というよりうまく聞こえる理由がある。それは、コピーの対象となる音楽の器楽演奏レベルが著しく低くなったことだ。だって考えてもごらんなさい。我々が子供の頃はギター始めるとコピーの対象がいきなりリッチー・ブラックモアやジェフ・ベックだったんですよ!できるワケないじゃん!もちろん譜面なんてありゃしない。TABなんてこの世に存在していなかったんだから!

それでもカセット・テープが擦り切れるほど聴いて聴いて1音ずつコピーしたものだ。「耳コピ」なんて言葉もなかった。コピーはコピー。耳でなければできない仕事だ。

今はギター・リフもソロもない。思いっきりギターを歪ませてジャカジャカやるだけになってしまった。しかも、どんな曲でも譜面が出ていて気軽にバンドをやるにゃ楽かもしれない。音楽というものは誰でも簡単に楽しめることも重要なことであることは理解している。

でもね、ギターに限って言えば、今の若い人たちのやっていることを見ると、ロック・ギターの一番おいしいところを切り捨ててしまってるようにしか思えない。これがマグロだったら大変だよ。天然マグロの大トロ(ギター・ソロ)と中トロ(ギター・リフ)をまとめてゴミ箱に入れているようなものなんだから!みんなトロのおいしさを知らずにスーパーの売れ残ったタイム・サービスの赤身ばかりをおいしいおいしいと言って食べているようなもんだ。

それに昔の音楽は発展性があった。60~70年代のバンドが好きになるとそのバンドのルーツを追いかけてドンドン音楽の幅が広がったものだ。ブルース・ロックがお気に入りならブルース地獄に、プログレが好きならジャズ地獄かクラシック地獄に…。今の音楽は「J-POP」なんて呼べば聴こえはいいけど、それだけで凝り固まってしまってまったく発展性がない。ルールを少しさかのぼったとしてもまったくオリジナルだけが持つすごさにたどり着くことはできない。

これは若い人たちのせいじゃない。黄金期のロックやロック・ギターのカッコよさを教えない大人が悪い。だからロックの黄金期を知っている年配の方々はみんなで教えてあげなければいけない。パープルやツェッペリンの魅力(個人的にはザッパ!)を知らずして死んでいく人生なんてあまりにもかわいそうでしょ?映画でいえば『七人の侍』を見ずして死んでいくようなもんだ。

ちなみに黒澤明は『七人の侍』の脚本制作で行き詰った時、トルストイの『戦争と平和』を参考にしたという。つまり温故知新だ。温故知新こそ今の音楽に必要なものであると確信している。また同じこと言ってる~、とお思いかもしれないが、何度でも書く。

いかん、いかん、またやっちまった!アメリカにまで来てこんなにグダグダ書くつもりじゃなかったんだけど…(現在NAMMショウで来たロサンゼルスのホテルでコレを書いてます)。

とにかくSCANDAL!SCANDALのコピーは楽しいと思うよ。まず曲がいい。歌詞の語感と曲が美しくマッチしている。それにコムズカシイ技術を必要としない。これは前述と矛盾しているように見えるかもしれないが、そうではない。こうしてキチットしたアンサンブルにおいては中途半端なソロなどかえって曲を台無しにしてしまう。このあたりの要素が絶妙に混ざっているのがSCANDALだ。つまり音楽的によく練らているということだ。あえて言うならば歌謡曲のクォリティの高さとロックのスリルがいい塩梅に混ざり合っているのだ。だから好きなのよん!

前置き以上!

さて、当日はまず、エントリーした510組(!)の中から予選を勝ち残った11組のファイナリストが演奏した。詳細は後で紹介する専門ウェブサイトを見て欲しい。

彼女たちの(男性の出場はひとりだけ!)演奏を見る(撮る)前に、ひと組ずつポートレイトを撮ったでしょう?たったそれだけの事前のふれあいなんだけど、いざステージに上がって演奏をしているところを見ると、すごく親近感が沸いてしまって、どの組も熱心に応援してしまった!いいオヤジだなオレも…。

そして、全ファイナリストの演奏終了後、お待ちかねのSCANDALの演奏が始まった。

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MAMIちゃんはいつもの愛用のDSL50と1960AX。

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こんなこと言ったら怒られちゃうけど、「さすが!」の演奏であっという間に会場は大いに盛り上がった!

3

短時間ながらSCANDALエキスが十分に詰め込まれた演奏で楽しかった~。

3月3日の大阪城ホールのチケットはとっくに完売!SCANDALの勢いは誰にも止められない!

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そして、いよいよドキドキの結果発表!

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彼女たちが注目の中学校1年生のバンド、Chee bur。

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小型のMAMIちゃんゆえに「コマミ、コマミ」とよばれていたギターの瑞歩ちゃんがMAMI賞をゲット!

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MAMIちゃんから贈られたMG10CF。

Mg

終演後楽屋で記念撮影!うれしそう!何しろみんな開演前もチョットでもSCANDALのメンバーの姿が見えただけで天地がひっくり返るほどの大騒ぎなんだから!これはうれしいでしょう。

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そして、優勝はこのDOLLさん。真ん中のボーカルの七海ちゃんはHARUNA賞も同時受賞したんだけど、圧倒的な歌唱力だった。ポートレイトを撮っていた時はおとなしくしていて想像だにしなかったんだけど、もうね、マイクを握った瞬間からものすごい存在感で、完全にステージの華になっていた。こういう人っているんだよね~。もちろん、声量も音程もバッチリ。バックもしっかりした演奏をきかせてくれた。

DOLLはSCANDAL主催のイベントにて上演する権利をゲットした。

朝、早くから現場に入ってずっと写真を撮っていたけど、楽しかったナァ~。あっという間の一日だった。オレもまたバンドやろうかな…。

がんばれ、若人!目指すはSCANDAL!いい音楽を聴けよ!アンプはマーシャルだゾ!

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SCANDALの詳しい情報はコチラ⇒SCANDAL Official website

SCANDALコピーバンド/ヴォーカリストコンテストの詳しい情報はコチラ⇒teena

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(一部敬称略 2012年12月9日 渋谷AXにて撮影)