FullMooN そして再び伝説へ <後編>~FullMooN
13年の歴史の中で創りあげた69曲を3日間にわたってすべて披露するというFullMooNのライブ…人呼んで『FullMooN 3DAYS ONEMAN LIVE 今日という日の全曲ワンマンに乾杯!!!!~そして再び伝説へ~』。
単純に3で割ると「23曲/日」…そうしたボリュームのセットリストはこれまでに何度も経験していることであろうが、3日間連続で上演するのはシンガーのノドにかなりのムリがかかるのでは?
…と心配してしまうのは何年か前、Marshallでサポートしていたイギリスの世界的に有名なバンド(註:私世代の話しね)が来日した時にこんな経験をしたからだ。
そのバンドの来日公演は大型のライブハウスで3日間連続のスケジュールが組まれていた。
私がお邪魔した最終日の開演前、楽屋のトイレに入ると洗面台でシンガーが念入りにウガイをしているところだった。
鏡の中で目が合ってしまい、無視するのもどうかと思って「ノドの調子はいかがですか?」と尋ねた。
そのシンガーが「ああ、大丈夫だよ!」と答えるかと思ったらトンデモナイ。
本当に不快そうな顔をして「3日も連続で歌わせるなんて全くクレイジーだよ!」と真剣に怒ったのだ。
そのバンドは器楽演奏が主体の音楽を演奏するイギリスを代表するプロッグ・ロックのチームだ。
つまり歌のパートの比率がかなり少ないレパートリーなのだが、それでも極端にイヤがっていたことを鮮明に覚えている。
それをですよ…歌が主体のFullMooNが3日連続で延べ69曲も演奏するというのだから、コレがいかにスゴイ企画であるかがわかろうというものぞ。コレが3日間の通し券。
会場の入り口には鮮やかな祝い花が飾られた。
お、HADESからも贈られているわ。FullMooNの屋台村のようす。
SiriusuとEmpressのエキサイティングなパフォーマンスで客席が十分に温まったところでいよいよFullMooNの登場!
3日目のオープニングにして全体の49番目の曲は「世界にひとつだけのパーリナイツ」。
3日間連続で地球を救ってくれるのは…赤い月 スマイル星からきたパワフルドラマー…葵。
緑の月 ミント星の救世主…りん。
ピンクの月 ニコピポップ星かきた暴れん坊将軍…えれん。
青い月 地球の輝きを取り戻すために歌います…ねね。
スゴイ!いきなり熱気大爆発!
最初からコレでホントに「最後までイケんのか~?!」お立ち台に上がったえれんちゃんの右手には…
光線銃!
今日もたくさんのお客さんがコレにヤラれてしまった。続けて「イェイイェイ」。
「♪イェイ、イェイ」が楽しいね!
「♪イェイ、イェイ」
イエ~!
えれんちゃんの背後にも「JCM900 4100」と「1960A」がセットされた。もう1曲続けて…葵ちゃんからスタ―トしたのは「破天荒解」。
「ウォ!ウォ!」とねねちゃんに向かってコブシを突き出すお客さんたち。
そのコブシに自分のコブシを合わせて熱唱するねねちゃん。
ただ今51曲目。
あと18曲。「皆さん、『FullMooN 3DAYS ONEMAN LIVE 今日という日の全曲ワンマンに乾杯!!!!~そして再び伝説へ~』にお越し頂き誠にありがとうございます。
最終日となりました…配信を観てくださってる皆さまありがとうございます。
今日は途中で退出するという方がいて、『お願いだからMCを短めにお願いします』と言われました。
なので、せっかくこの日のために考えて来たFullMooNのショートコントを披露することができなくて実に残念です。
今回は、スゴく速めにいきますからね。
チョット待って、汗が…」…と、「給油」とか言ってステージに置いてあったオリーブオイルのビンを口に当ててグイと傾けた。
コレ「BOSCO」のラベルが貼ってあるけどホンモノのオリーブオイルなのかしらん?
私もいい加減イタリアン好きだけど、オリーブオイルそのものは飲めんな~。
本当にノドにいいのかしら?
かつてスティービー・ワンダーは声の調子が悪くなると「岩塩を舐める」とか言っていたよ。「焼酎、焼酎!
マァ、3日目ともなりますとね、それはそうですよね。
本当にスミマセン。
ハッハッハ~、まぁ、負けんよね」ねねちゃんがえれんちゃんの肩に腕を回して歌う「いつまでもこの胸に」。
そのえれんちゃんはお立ち台に上がってガッツリとソロをプレイ。
オルゴールの音色からスタートするその名も「オルゴール」。
オルゴールが決して奏でることのない痛快なドライビング・チューン。りんちゃんのキメのフレーズもバッチリとキマった!
続けざまに演奏したのは「missing」。
昨年8月に発表した最近作『SPREAD』からのチョイス。
アップ・テンポに乗った情熱的なパフォーマンスにお客さんは大喜び!
「ありがとうございます!
3日間、知ってる人は知っていると思うんですが、へアメイクが変わったんですよ。
メイクも顔がいつもと違って今日は引田天功みたいな顔していますが、頭もそういう風にしてもらっています。
3日間、アクセサリーなんかも全部Empressの手作りなの」
引田天功なんてよく知ってるな…ま、私の世代の引田天功は男性だったけどね。「昨日、最終日には鳩を出しますって言ってたんだけど、チョット鳩を捕まえることができなくて…申し訳ない。
本当にガンバったんだけど、渋谷に鳩がいなかった!
SiriusもEmpressもありがとう!
お手伝いやゲストで出演するだけじゃなくて、最初から最後までずっとライブを観ていてくれるの。
私だったら絶対ライブを観ているフリをしてお菓子食べながら携帯イジってるよね。
時々チラチラ観ておいて、後で『アソコ良かったよ!』みたいな感じで…。
最高の後輩たちじゃないですか?ありがとう!
終わったら1人ずつ抱きしめてみたいと思います。
全員ウチに連れて帰りたいと思います」親愛なる仲間たちへの感謝を述べた後は「Story」。
ねねちゃんがバッキング・トラックのピアノに合わせて歌い出す。曲はメンバーのピックアップ・ソロでクライマックスを迎える。
「ドラム…葵!」「ベース…りん!」
「ギター…えれん!」
「キーボード……いません!」
続いて「花火」。
ココで雰囲気が変わって「フラッシュバック」。
ねねちゃんがピンスポットを浴びてジックリと歌って…曲が爆発してそのまま「Change Song」へと続いた。
右に左に手を振るお客さんにコマメに接するねねちゃん。
曲が終わるとFullMooNのメンバーは一旦ステージを離れた。
替わって姿を現したのはこの日2番目に登場したEmpressの皆さん。
ジャンケン大会が始まり、勝ち残ったお客さんには賞品が贈られた。
盛りだくさんなのである。ニギニギしくジャンケン大会が催された後、FullMooNのメンバーがステージに戻って3日目も後半に突入する。
59曲目は「Another」。
オリーブ・オイルの効果が絶大なのか、ねねちゃんは全くパワー・ダウンすることがない。えれんちゃんはお立ち台に上がってタッピングを交えたソロを披露。
曲は「覇王樹」…
「Edge of the World」と続いた。
葵ちゃんの物販紹介コーナー。
続く「alive」で再びスポット・ライトを浴びてねねちゃんが独唱。
曲は華やかな展開を見せそのまま次の曲…
「空」へと続いた。
このセクションの最後に持って来たのは「DRAWINGSTARS」。
後半に入っても相変わらずバツグンにエキサイティングなステージが続いているが、お客さんのパワーもスゴイ!
「今回もたくさんのスタンド・フラワーをありがとうございます。
HADES、ありがとうございます!
あんなに大きなお花をバンドマンからもらうことなんて超ないよ。
差し入れもしてくれて信じられないぐらいいいバンドですよ。
皆さん、今後HADESをごヒイキにお願いしますね」
会場に来ていたHADESの紗良ちゃんとMayoちゃんから「FullMooN最高!」と答辞あり。りんちゃんから今後のライブの告知があって…
いよいよ『FullMooN 3DAYS ONEMAN LIVE』のクライマックスに突入だ!
このセクションでも間断なく4曲をたて続けに演奏した。まずは「サバイバル」…
「BLACKBOX」…
「blue max」…
「絆」…
そして最後はねねちゃんの大ジャンプで本編の幕を閉じた。
「そして今日も青い月の平和は守られたのであった。
だがしかし!また油断はできない。
ブラック・ムーンの魔の手はキミの後ろに迫っているかも知れない。
行けFullMooN!
スーパージェットで飛び出せ~!」アンコールはTシャツに着替えて登場。
アンコールで演奏する予定の1曲を含んで「全69曲」ではいかにもハンパだろう…ということで、この日時点ではまだタイトルも付けられていない新曲を披露した。
「コレで本当にラストの70曲目です。
この曲を終わったら私たち伝説になります!
伝説に立ち会ってくれた皆さま、本当にありがとうございます!」と前置きして最後の曲「しゃむちゃら」を演奏。こうしてFullMooNは3日間のショウの頂上に到達したのであった!
すべての曲を演奏し終えて最後のご挨拶。
記事の冒頭では「ねねちゃんの声が心配」と書いたが、そんなの全くの杞憂だった、ゴメン。
最後の最後まで見事に歌い遂げたねねちゃん…感極まって号泣!
「本当にありがとうございます。
今日来たら声が全然ガサガサしてて、ホントにどうしよう!ってなっていたら後輩とか周りの人たちが励ましてくれたんです…本当にありがとう」
りんちゃんによれば、本当に本番前には「声が出ないよ~」と楽屋で泣いていたという。
「本当に怖かったんだよね…緊張とか、『歌えなかったらどうしよう』っていうプレッシャー。
今回この4人でやり切れれたから、今度は何でも乗り越えられる気がする。
皆さんも3日間、2日間、1日でもFullMooNのために時間とお金を使ってくれて本当にありがとう。
これからもよろしくお願いします!」そして、各メンバーからもひと言。
このライブに賭けた想いや感想…
そして、お客さんや関係者の皆さんに感謝の言葉が伝えられた。
後輩たちからメンバーへの花束贈呈。
「FullMooNさん、本当に本当にお疲れさまでした!」
泣きじゃくるねねちゃん。
「ありがとうございました!」
こうして3日間にわたる大コンサートの幕が感動とともに締めくくられた。
FullMooNの詳しい情報はコチラ⇒FullMooN公式ホームページ<おしまい>
(一部敬称略 2025年2月24日 渋谷Guiltyにて撮影)