第8回 がんばっぺ福島! 応援の集い<前編>
東日本大震災と原発事故から今年で14年。
「福島とダイバーシティー」をテーマに『第8回がんばっぺ福島!応援の集い』が開催された。
田川ヒロアキさんが出演されるということで先日銀座で開催された『ダイバーシティ・マラソン』というイベントをレポートしたが、最近「ダイバーシティ」という言葉が目に付くようになりましたな。
漱石か、子規か、はたまた諭吉か…誰が「多様性」という訳語を当てたのか浅学にして全く見当がつかないが、この「diversity」の語源はラテン語の「di(=バラバラ)」と「verse(=向きを変える)」から成っているのだという。
「バラバラの方面に向きを変える」という語源から、元々「矛盾」とか「対立」とかいうネガティブな意味合いを持っているが、一方では「様々な形になる」というポジティブな意味も併せ持っていて、現在では後者の意味合いで使われているのが「ダイバーシティ」という言葉。今回も国内外の鑑評会で高い評価を受ける福島自慢の日本酒や福島のおいしい食材を楽しみながら、福島との絆を深めるにぎやかで楽しいイベントとなった。
開場前の宴席のようす。
スタッフさんは最後の準備に余念がない。
何しろ会場が広いので大変だ。
今回準備した席数はナント約700!
回を重ねるごとに規模が大きくなっている。福島の名酒蔵の幟。
私もここ数年でようやく日本酒の愉しみを覚えましてネェ。
若い頃は敬遠しがちだった日本酒だけど、こうして年老いてみると実においしい。
すると、尚更このイベントが楽しみになって来るというもの…Marshallを運ぶために車で行くので現場では一切飲めないんだけどね。さぁ、準備が整ったところで本日のスタッフ全員の記念撮影。
アレ?
ナゼかひとりだけギターを抱えてMarshallのTシャツを着ている人が混ざってるぞ!そして、いよいよ開場の時間。
お客さんは福島の特産物を並べた屋台村を通って会場内に入る。
この屋台村を見て歩くのも『がんばっぺ!福島』の楽しみのひとつ。
今回はどんなお店が出ているのかな?まずは「福島県」の屋台。
「来て」「ふくしま」
そうなの、行きたいの…会津に行きたいんですよ。
作家で会津の歴史に関する本を多数著した「星亮一」さんの本を何冊か読んだらどうしても行きたくなってしまったのだ。「会津」の本と言えば、少女を通して鶴ヶ城陥落から斗南藩での過酷な生活を描いた津村節子先生(吉村昭先生の奥方)の『流星雨』という作品もとてもヨカッタ。
その隣りには石川県のブース。
「令和6年能登半島地震災害義援」のための募金箱が設置された。『東京2025 デフリンピック』の展示。
冒頭で触れたヒロアキくんが出演した銀座の万博開催前のイベントでも「デフリンピック」が紹介されたが、今回この『がんばっぺ!福島』でも大きなスポットライトが当てられた。福島の特産の食品の数々。
「もものポテチ」が目を惹くわ~。
福島の酒がズラ~リ。
コチラはトマト系食品のお店。
ココはお米。
福島県のお米や喜多方ラーメンが当たるガチャガチャ。
A賞は福島県産のコシヒカリが5kg…昨今の世情ゆえ、当たったらうれしいけど持って帰るのが大変だ。いいね~、ジン。
向かって右側のは「柚子カカオ」だって。飲んでみたい。
日本は全くだけど、イギリスに行くと「地ジン」とでも言うのか「ジンのダイバーシティ」っぷりがスゴイ。
信じられないぐらいたくさんの種類のジンが出回っていて楽しいんだよね。昨年紹介した双葉郡大熊町のキウイの国「ReFruits」の展示。
キウイはキュウにはできません…苗を植えてから実が生るまで3年を要するということを昨年教わったが、やっぱり今年はまだなんだって。
来年、初めての収穫となる見込み。
楽しみだね!おなじみの「スパリゾートハワイアンズ」。
ハワイ・テイストの食料品がにぎやか!
ひとつビックリしたんだけど、「スパリゾートハワイアンズ」の前身、「常磐ハワイアンセンター」はかつての浅野と大倉の財閥が経営していた「常磐炭田」から排出される温泉を利用した設備だった…ということは知っていたんだけど、その「常磐」の「常」側、すなわち茨城の日立側の炭鉱の掘削機械の開発やメンテをするために設立した会社が「日立製作所」だったんですってネェ。私は歴史の勉強をするために、著名な政治家や実業家や医家が数多く葬られている『谷中霊園』の研究をしているんだけど、下の写真のように日立製作所の創設者である小平浪平(おだいらなみへい)さんも谷中に眠っている。
どんなに大きな業績を残した偉人でも遺族がほったらかしにしているのでカラッカラになっているお墓が多い中、会社に担当者がいるのか、小平さんのそれは花が供されていることが多くい~ッつもキレイになっている。サッカー日本代表専属シェフが監修したサバカレー。
サバは小名浜海星高校の生徒が水揚げしたモノを使用している。サバの次はエビ。
「葛尾(かつらお)」という海に面していない山間の村で養殖されているエビ。
海がない場所で海産物を養殖する、いわゆる「陸上養殖」という産業形態を採っている「HANERU葛尾」という会社の展示。本日出演のアーティストのCD類。
もちろんヒロアキくんのアイテムも並んでいる。
一方、会場内では…
お客さんが席に着くのを見守るスタッフの皆さん。すべての席が埋まるには少々時間がかかる。
ナニせ700席ですからね!お客さんが全員着席し、開宴時間となったところで司会の中井美穂さんが登場。
「大勢の皆さまにお集まり頂きまして誠にありがとうございます。
今年は東日本大震災から14年が経過致しました。
そして、昨年のお正月には能登半島でも大きな地震がありました。
この会を始めるにあたりましてお亡くなりになりました皆さまのご冥福を祈って黙とうを行って参りたいと思います。
恐れ入りますがご起立をお願い申し上げます。
それでは、亡くなられた皆さまに黙とうを捧げたいと思います」1分間の黙とう。
「ありがとうございました。
それでは改めて会を進めさせて頂きたいと思います。
私は父が福島出身で、第1回から司会をしている中井美穂と申します。
この会は私にとりまして福島に少しでも恩返しができる、そして福島のことを皆さまにたくさん知ってもらえる…そんな機会となっております。
心を込めて、そして楽しく皆さまと一緒に過ごして参りたいと思いますのでどうぞ最後までよろしくお願い致します」 続いて主催者を代表して「株式会社 無洲」代表取締役会長の浅野正義さんよりご挨拶。
「本日は『第8回 がんばっぺ福島!応援の集い』にご来場頂きありがとうございます。
まずお礼と感謝の気持ちを申し上げさせて頂きたいと思います。
今日は本当に満席で、もうこれ以上テーブルも椅子も入りません。
約700席の席にこれだけ多くの方にお越し頂きました。
お忙しい中本当にありがとうございます」
また、協賛の企業、並びに第1回から参加されている福島県知事に向けて感謝の言葉が発せられた。「今回テーマにしたのは「ダイバーシティ=多様性」です。
私たちの周りには心身をご不自由にされている方、国籍の違う方、性の問題で悩まれてる方、色んな方が多くいらっしゃいます。
今回は『デフリンピック』という言葉を耳にされるかと思います。
パラリンピックに耳の不自由な方が出場できる競技がないことをご存じでしょうか?
この『デフリンピック』が今年11月、日本で初めて東京で開催され、サッカー競技は『福島Jビレッジ』で開催されます。
今日はそのお話を伺いながら私たちの人間の多様性、ダイバーシティーを一緒に考えていきたいと思います」「それと、お願いがございます。
皆さん、福島県を応援する気持ちで今日はココにお越し頂いているかと思いますが、日常の生活の中でも福島を応援することはできます。
まず、行きつけの居酒屋に行った時、メニューに福島のお酒があれば絶対にそれを選んでください。
飲んだことがなくても、行ったことがなくても間違いなくおいしいです。
それからスーパーへ行って色々買い物をする時には福島県産のモノを買ってください。
桃は山梨より福島の方がボクはおいしいと思っています。
それから3つ目は、ご旅行に行くのであれば、是非福島県に足をお運びください。
『浜・中・会津』…それぞれにいい温泉もありますし、観光地もございます。
是非お寄り頂きたいと思います。
それから、今日は能登半島支援の募金箱をロビーに置かせて頂いておりますので、そちらもご協力賜りたく存じます」「最後になりますが、この会は福島を応援する皆さんにお集まり頂いていることも大切なんですが、皆さま同士の人間の交流でエネルギーの輪を広げて頂きたいと思っております。
ところで、皆さまの前にお弁当箱をご用意しております。
ある方が『1次会から食べていいのか?』、『飲んでいいのか?』とお訊きになっていましたが今日はダメです…と申しますのは新しい仕掛けがあるからです。
福島県の選りすぐりの食材をウチの調理師たちが腕にヨリをかけてお料理しました。
今日はなるべく安全に温かいお弁当を召し上がって頂きたいと思ってある仕掛をしました。
私がタイマーを見ながら『もういいですよ!』と言うまでお弁当は召し上がりないようにご協力ください。
今日は目、耳、舌、鼻、手の五感を使った『福島づくしの1日』になりますので最後まで楽しんでいって頂きたいと思います」続いてのご挨拶は福島県知事の内堀雅雄さん。
「皆さん、こんにちは。
今日は『がんばっぺ!福島』にこのように多くの皆さんに駆けつけて頂いたこと、そして一緒にこの場にいることができることを本当にうれしく思います。
こうして福島を応援するあったか~いイベントを開催して頂ける、今、一生懸命心を込めてご挨拶をされた浅野会長をはじめ、株式会社無洲の皆さん、そしてこのイベントを支えて頂いているご関係の皆さん、さらにナニよりもこのイベントに参加して『さぁ~、今日は楽しむぞ!』と思って頂いているお客さまのおかげです。
心から皆さんに感謝いたします。ありがとうございます」「今日は『3つの風』についてお話をさせて頂きたいと思います。
1つ目は『風化』です。
今週火曜日の3月11日に東日本大震災から14年を迎えました。
歳月が経つ、そして全国で大きな災害が頻発する中でどうしても東日本大震災の記憶は風化していきます。
2つ目の風は『風評』です。
風評払拭…今日、会場にいらっしゃる皆さんのお力を借りながら前に進んではおりますが、やっぱりまだ残っている部分もあります。
この「風化」と「風評」…ふたつはネガティブな風なんですが、今日ご紹介したい3つ目の風はポジティブな風です。
それは『しあわせの風』です。
『それ、なんだ?』と思われると思います。
福島県は、今年から3年連続で大型観光キャンペーンの『ふくしまデスティネーションキャンペーン(ふくしまDC)』を開催します。
そのキャッチコピーが『しあわせの風ふくしま』です」「福島県は大きな県です。
東京、神奈川、千葉、埼玉、首都圏よりも大きな県の中にたくさんの魅力や宝物があります。
ゼヒ!…国内外の多くの皆さんに福島に来てもらい、観て、食べて、笑顔になって幸せを感じて頂きたい。
そんな思いで『しあわせの風ふくしま』というキャッチコピーを作りました。
今日会場にいらっしゃる皆さんもどこかでチャンスを作ってお越しください。
皆さんのことをメチャメチャ歓迎いたします。
さぁ、それでは今日のこの会場は東京ではありません…福島です!
この後の素晴らしいステージ…チョット待たされちゃいますが美味しい食事と最高の酒。
そして、ココにお集りの皆さん同士が仲良くなって頂くことで心ゆくまで『がんばっぺ!福島』を楽しんでください。
ありがとうございます」その後、ステージに上がったのは「東京2025デフリンピック応援アンバサダー」の川俣郁美さん。
川俣さんは手話で先刻浅野会長が触れた「デフリンピック」について説明した。
古いロック・ファンであればThe Whoの「ピンボールの魔術師(Pinball Wizard)」を通じて「デフ(deaf)」という単語をご存知かも知れない。
「deaf」というのは聴覚が不自由な人のこと。
川俣さんの後ろのスクリーンにあるように「deaf」と「Olympic」をカバン語(ポートマントー)にして「デフリンピック」というワケだ。
私も「パラリンピック」に聴覚障害者が参加する競技がない…ということをこの日初めて知った。川俣さんの話しはすべて手話通訳者が流暢に翻訳。
まさに大通詞!
この手話通訳ってスゴイよね。
だって常に同時通訳で、逐次通訳をしている人を目にしたことがない。21競技、約6,000人の参加を予定している『東京2025デフリンピック』は11月15~26日の12日間にわたって開催される。
福島で開催されるサッカーは14~25日。
競技に参加予定のアスリートもステージに登場した。福島市出身でデフサッカー女子日本代表候補の西戸湖乃華さんと…
西白河郡西郷村出身でデフバスケットボール男子日本代表候補の越前由喜さん。
やはり手話通訳者の流暢な翻訳を通じ、2人のデフリンピックへの理解と競技にかける情熱が語られた。
この肘を曲げて両手を上げ、手のひらをヒラヒラさせる仕草は手話で「拍手」を意味する。
手話にも各国語が存在するが、この仕草は世界共通。
またこの仕草に加え、両足で床を踏み鳴らし、その振動で目の不自由な方にもその様子を伝えることができる。場面が転換して「東京パラリンピック」出演者のステージへと移る。
「『がんばっぺ!福島』の第1回目から参加している」と紹介されたのは…田川ヒロアキ!
ピアノを前にしたヒロアキくんからまずはごあいさつ。
「こんにちは、田川ヒロアキです。
ただ今ご紹介頂きましたように私は第1回目から『がんばっぺ福島』に出演しております。
それだけでなく、そのもっと前に『福島酒援』というイベントが『ピアシス』で開催され、その頃からずっと参加させて頂いています」「復興とか応援とか、私にナニができるのかとよくよく考えてみますと、毎年出演させて頂いていて思うのが、無力でないのであれば微力であっても福島の美味しいモノを頂いたり、おいしいお酒を飲んだりとか、そういうことで福島に思いを寄せることができればいいナァということです。
実際にコンサート・ツアーで福島にお邪魔する機会があるんですが、『がんばっぺ!福島』を通じてたくさんの福島の方とご縁ができて本当にうれしく思っています。
音楽専門の私は微力ですが、音楽で福島に思いを寄せることで何かできたらな…と。
小さな力を1人1人合わせることで何か出来るのではないかと思ってこの曲をお届けしたいと思います」
と前置きをして鍵盤をやさしく叩き出した。ヒロアキくんが演奏したのは、おなじみのメロディ。
「We are the World」の日本語バージョンをピアノの弾き語りで熱唱した。写真の右端は真剣な面持ちでヒロアキくんの演奏に接する内堀知事。
まったくケレン味のない演奏は、まさにヒロアキくんの言葉を具現化したような仕上がりで、内堀知事だけでなく、全てのお客さんの耳をステージに集中させた。
中井さんから「カッコいい~!」のひと声がかかる。
「福島の震災の後のメッセージとして歌詞が最高だと彼が選んでくれました。
ありがとうございました。
田川くんはピアノもうまいんです。
実は自分のアルバムではベースからドラムから琴から全部自分で演奏しているんですよ!」
「マルチプレイヤー!」コレがすべての楽器をすべて自分で演奏し、中井さんのおっしゃるところの「マルチプレイヤー」ぶりを存分に発揮した田川ヒロアキの最新作『THE ROAD SEEKER』。
「続いては佐藤ひらりさんです。
このイベントへは初の参加となります。
ひらりさんは新潟の三条市のご出身で、小学生の時に東日本大震災に胸を痛め、自分で『みらい』という曲の作詞作曲をされました。
そしてマネージャー兼お母さまがその曲をCD化して発売したところ大変な評判を得て、その売上金の中から100万円を震災孤児に寄付されました。
東日本大震災には非常に思い入れがあるアーティストです。
ニューヨークのアポロシアターのアマチュア・ナイトでその素晴らしい歌声を披露してウィークリー・チャンピオンを獲得されました。
そして、東京パラリンピックの時に『君が代』を斉唱されたのが佐藤ひらりさんです。
今日はギターで田川くんも一緒に演奏して頂きます」ギターを提げ、Marshallの前に移動したヒロアキくん。
ピアノに向かうのは佐藤ひらり。
耳を疑うような美しい声と自らの言葉で明るい未来を歌い上げるひらりちゃん。
コレは誰が聴いてもウットリしちゃうよネェ。
ダイバーシティー豊かな人の歌声というモノには様々な魅力があるが、私はジュリー・アンドリュースとかジョーン・バエズとか倍賞千恵子のような可愛く美しい声の女性ボーカルズが問答無用で大好きなんです。
聴いていてとてもシアワセな気分になっちゃう。
ひらりちゃんの歌を聴いていて、約30年前にリンカーン・センターのエイブリー・フィッシャー・ホールでキャスリーン・バトルを観た時の感動を思い出したわ。ヒロアキくんはアルペジオのバッキングからボリューム奏法が導く間奏へ。
ひらりちゃんの歌声に呼応するように、Marshallでこの上なく美しいギターの音色でやさしいソロを聴かせたヒロアキくん。
今日は愛用の「JVM210H」と「1960AX」を使用。
「ありがとうございます。
シンガーソングライターの佐藤ひらりです。
まず1曲目は私はワタシが小学校4年生の時に、目が見えない私だから伝えられる、皆さんに明るい未来に向かって進んで行ってもらえたら…と、そんな想いで東日本大震災をキッカケに作っていく未来でした。
そして、この『みらい』のCDを出した時のジャケットは、当時高校生だった南相馬の女の子が描いてくれました。
そんな、私にとってとても意味のあった思い出の曲です。
では、もう1曲…私にたくさんの奇跡を運んできてくれる曲です。
今日こうしてみなさんとつながり合えたことに感謝して歌わせて頂きます」ひらりちゃんのピアノから始まったのは「アメイジング・グレイス」。
ヒロアキくんもワーミー・バーを随所に使いながらMarshallが出す美しい音色でメロディを弾いた。
典型的な田川節!…音色もさることながら、妙なフェイクを一切配したこの素直な歌い回しがタマらなく魅力的なのよ。情感豊かに歌い上げる後半はまさに圧巻!
「美しい中にこそある力強さ」を感じる。 「もっと聴きたい!」と思ったのは決して私だけではあるまい。
私なんか仕事柄しょっちゅうヘビメタじゃん?
ひらりちゃんの歌は「自分の耳にいいことをしてあげた」…そんな美の瞬間だった。ココで内堀知事が再度登壇。
ヒロアキくん、ひらりちゃんと共にデフリンピックの3人を例の拍手で迎え入れた。「ありがとうございます。
会場の皆さんと一体となったこのステージ…すごく真剣に観て、そして感動でいっぱいになりました。
5人に感謝の思いを伝えたいんですが…突然ですみませんが、このテーブルからこちらの方は手話の拍手を、そしてこのテーブルからそちらの方は大きく音が出る拍手をお願いしたいと思います。
それでは、5人の全ての皆さんに感謝の思いを込めてお願いします!」内堀知事の音頭で2種類の拍手がステージの上の5人に送られた。
「ありがとうございます!
デフリンピックに熱い思いを持っているお三方にも、最高の演奏をしてくれた田川さんや佐藤さんにも感謝の思いが伝わったと思います」そして、ステージに上がった5人の皆さんに知事が直接話を伺った。
「デフサッカーの一番の魅力は何か教えて頂けますか?」
「今までスポーツをする時には人口の補聴器を付けた状態でプレイしていたのですが、デフサッカーは補聴器をかける必要がなく、まったく聞こえない状態で相手とアイコンタクトでコミュニケーションを取ってプレイするところが魅力だと思っています」「スピードがあるバスケットボールの場合、チームの中でコミュニケーションはどうやって取っているんですか?
「とても手話をしている時間がないので、前もって頭を触ったり、指の形を示したりするサインをチーム内で前もって決めてみんなで覚えるんです」「川俣さんはアメリカに留学されて日本との違いをどんな風に感じられたか教えてください」
「アメリカの場合、高校や大学の中に手話で学べる選択科目というモノが入っているところが多いんですね。
手話ができる人や手話通訳の養成コースがあって、町の中でも手話で会話している人を多く見かけることができました。
また、地域で学んでいる方もたくさんいらっしゃいます。
ですから日本も町の中で『ありがとう』のような手話が広がっていったらいいな…と思います」 「続いて佐藤さん…素敵な歌声を本当にありがとうございました。
聴いていてまさに心が震える感じがしました。
佐藤さん自身が『過去、現在、未来、みんな歩いて行けるよ』と素敵な歌詞を歌っていらっしゃいましたが、佐藤さん自身としてはこんな未来に向かって歩いていきたいな…という、そんな未来がありますか?」
「今は『障害があるシンガーソングライター』としてフィーチュアして頂くことがありますが、障害は関係なく私の歌が全国に届いて聴いた人に感動してもらえるような『日本のスティービー・ワンダーさん』みたいになりたいですね。
そしてスティービー・ワンダーさんと共演できたらうれしいです…ガンバります!」
「きっとその夢は叶うと思います」と内堀知事。「続いて田川さん。
今日は最初はピアノで後半はギター…歌声も含めてメチャかっこいいです。
ボクもヘヴィメタルは好きなので観ていて憧れの存在だなぁ~と思っていたんですが、田川さんはギターの奏法もオリジナルでやっぱり独創的じゃないですか。
このギターのスタイルってどういう風に作り上げたのか教えてください」「小学校の時にギターを始めたいなと…元々ピアノをやっていたんです。
ピアノはレッスンに通いましたが、ギターは独学で、始めた頃は床の上にフォークギターを置いて琴みたいに弾いてたんですね。
他の人たちがどういう風にギターを弾いているのか後にも先にも見たことがないので…。
そうこうするうちに中学校になってエレキ・ギターを買って、どうやらロック・バンドは床の上で演らずに立ってギターを弾く…ぐらいのことを知ったんです。
まだ日本酒も知らなかった頃」
「うまいっ!」
それから床の上に置いていたギターを段々立てていき、「猿から人間に進化した」ことをヒロアキくん自身が明らかにした。「最初は琴みたいに弾いて…だからピアノみたいな弾き方なんですね?」
「そうですね。よく見えないのにギターを弾いてなんて言われることがあるんですけど逆です。
見えないからこそ生みだしたモノがあって、自分のスタイルとかサウンドを追求して、気が付いたら『がんばっぺ福島』にいた…みたいな」
「カッコいい!MCもメッチャうまいですね~!皆さん、田川さんに大きな拍手を!」「中井さん、皆さんと少しずつですが、お話をして多様性ってこうなんだ…と思いました。
それぞれの違いを理解して、我々1人1人がその違いを認め合い、お互いにリスペクトし合うということを今日このステージで改めて学ばせて頂きました」 「本当にそう思います。
少しずつ、少しずつ、お互いのことを知っていく時間が必要です。
そのためには積極的に自分の方が動いていくっていうことがとても大事になってくるな…と思いました。
ですから私たちもいつもやってる恒例の『がんばっぺ!福島!』をガンバれないかな?
チョット挑戦してみませんか?」 中井さんの発案で川俣さんのご指導のもと、いつも会場の全員でやっている「がんばっぺ!福島!」のエールを今回は手話でやることになった。
まずはみんなで練習して…
ヒロアキくんメチャクチャ上手!
そして本番。
中井さんのご発声に合わせて…「がんばっぺ福島、オー!」
バッチリとキマりました!以上が「第1部」。
続いけて「第2部」に入る。
「小さいカップに乾杯用のお酒が入っています。
まだお弁当を食べないでくださいね…ジラし作戦です。
タイマーを取ってきますから!」会長がジラしているのはこのお弁当のこと。
弁当箱から出ているヒモを引くと、中で生石灰(CaO)と水(H2O)が混合し、その化学反応により高熱を発し、15分後にはお弁当がチンチンに温まる仕組み。
会長はその15分を正確に測りたがっているワケ。
そして、ようやくヒモを引き抜く許可が出た!
とても興味深いのは、700人が一斉に加熱すると会場内がどうなるか?だよね。一方、舞台には「福島酒援」の主役でもある福島の蔵元の皆さんが集結した。
「この蔵元さんあっての今日のお酒のパーティがありますので、皆さんと一緒に乾杯をしたいと思います。
『がんばっぺ!福島』もコロナ禍で中断したことがあります。
実はその回で西田敏行さんにご出演して頂けることになっていたんです。
そこでその時、私が事務所に行ってVTRを頂戴してきました。
今日はそれを持って来ていますので、少しですがご覧頂きたいと思います」「皆さん、おばんです!」と始まり、『がんばっぺ!福島』への応援の言葉が綴られた。
お会いしたことはないけれど、西田さんって私の高校と大学の先輩なんですよ。「本当に福島を愛し続けて、福島のために活動された西田さんでした」
「そうですねぇ。西田さんのメッセージ、大好きな日本酒…私たちが『がんばっぺ』の中で美味しく頂いて参りましょう。
…ということで、いよいよ待たせしました!
乾杯に移らせていただきたいと思います」 <後編>につづく