吉永GOKI訓春生誕祭<後編>~DEALS
さて、高円寺のロックバー「Magic V」主催の『吉永GOKI訓春生誕祭』もいよいよトリのDEALSの出番を迎える。客電が落ちて会場に流れたのはエアロスミスの「Sweet Emotion」。
このテンション!イヤ~、思い出すナァ、47年前の初来日の武道館!
その時私は中学校2年生だったワ。
エアロスミスに重なる「Please welcome! Tokyo! We are DEALS!」の叫び声は雨宮敬義。すかさずベースの轟音が入り込んで来る!
ベースは横山壮五。shu-yaのドラムスが加わり…
本日の主役、吉永GOKI訓春のギターが唸る!コレがDEALS。
さぁ、今日もゴキゲンなロックで…Let's make a deal!!
1曲目は全員のコーラスがド迫力のストレートなナンバー「Flash Back」。以前触れたように今回は記事の構成を考慮し、順番を入れ替えてVAXPOPのステージを<前編>でレポートした。
つまり、実際にはDEALSは居抜きでVAXPOPの出番の直後にステージに上がった。
だからGOKIさんのMarshallもVAXPOPの時と同じ。
「JCM900 4100」と「1960A」のハーフ・スタック。shu-yaさんも全く同じ流れで…NATALのブビンガのキットを使用。2曲目は「Wasted」。
なるほど、「Sight for Sore Eyes」とか「Three Mile Smile」とかを想起させるエアロスミス・テイストのファンキーなヘヴィ・チューン。
コレはいいわ~。
まさにこのチームにピッタリじゃん?
TAKAさんの壮絶なシャウト。
しかし、TAKAさんってのはホントに「ロックの人」だと思うよ。
ロックを演るために生まれて来ているとしか思えん。
TAKAさんがステージに上がっただけでロックの空気がグッと濃密になるのだ。
落語で言えばまさに五代目古今亭志ん生だ…もちろん実際の高座を観たことはなかったが。2人のギター・プレイもタ~ップリ。
まずはこうして最新の音源『The Signs of DEALS』からの2曲を演奏して一気に盛り上げた。 「吉永さんの誕生日…こういうの『生誕祭』って言うんだって?
ありがとうございます。
すいませんネェ…あ、今日の合言葉は『さーせん』だから。
とびきり今日主役に来てるんだけど。
『さーせん』とか言って。うまいこと…」
あれほど説得力のある歌を聴かせてくれる一方、TAKAさんのMCをこうして文字に起こししてみると、その話の内容を正確に理解することはかなり難しい。
しかし…リハーサルの時の話。
今回のイベントの主催者であるロックバー「Magic V」の「V」をTAKAさんは「ファイヴ」ではなくて「ヴイ」だと思っていた…なんて話をしてメンバーにしてヤイノヤイノ言われていたが、実は私はコレの正反対をやったことがある。
というのは、松戸に「Stage V」というライブハウスがあって、私はそれを「ステージ・ファイヴ」かとばっかり思っていた。
ところが、そっちの「V」は「ファイヴ」ではなくて「ヴイ」だったのだ!
「?」と思ったら「すぐ確認!」ですな。
TAKAさんが機材の調子を確認している間にshu-yaさんがMCを引き継ぐ。
「さっきVAXPOPを叩いて感動しちゃった!楽しかったです!
DEALSも突っ走っていきますので皆さんよろしくお願いします!」TAKAさんがボトルネックを指にハメたのは「アタシの悲しいブルース」。
DEALSのステージではおなじみのシャッフル・ナンバー。 「♪Boogie woogie, baby boogie woogie」のコーラスが曲を盛り上げて…ディレイを深めにかけたサウンドでGOKIさんのギターが暴れ回る。TAKAさんのボトルネック・プレイも実にアーシーだ! サングラスをハズしたTAKAさんが次の曲のタイトルを叫ぶ。
「The next song is Candy Color Maker!」2人のギター・アンサンブルでスタートする問答無用のドライビング・ナンバー!信頼のおける「ロックンロールの神様」が手厚くサポートしているとしか思えないTAKAさんの歌声。シンプルなメロディでバツグンのノリを発揮するツインリード・パートから…GOKIさんはウーファー・スピーカに飛び乗ってソロをブチかました。無念無想で突っ走るロックンロールのカタマリのような1曲。横山さんと… shu-yaさんのロック・グルーヴも最高だ!そしてTAKAさんがジャン~プ!
フィニッシュもバッチリだった。「今日は色んな人が集まって来て、もうこの世に思い残すことはないだろう?
ゴキだけにしぶといんだよな。
もう何百年もギター弾いてるんだからよ!」とGOKIさんに話しかける。
「オレは普段はチャラいよ…イヤ、チャラいを通り越してるかも知れんな。
でも、ギターに関してだけはマジメやね」
GOKIさん、カッコいい~!
「あ、そうなんですよ!
コレを言わなきゃイケないんだった!
今日はニュー・アルバムを販売しています。
以前はお買い上げ頂く時に『ロッケンロール』って言ってくれたらステッカーをプレゼントしていたんだけど、今日は『さーせん』って言ってくださいね。
アッハハハ!」コレがTAKAさんがMCで紹介した新しい3曲入りCD『THE SIGN OF DEALS』。 当日、会場内のDEALSの屋台村でいずれかのアイテムを購入する時に「さーせん」と言うとDELASのロゴ・ステッカーがもらえるというワケ。その新しいアルバムに収録されている「Rescue Me」を次に演奏した。
ちなみに既に触れた通り、このアルバムには今日の冒頭に取り上げた「Flash Back」と「Wasted」も収録されている。
「Rescue Me」は陽気でストレートなロックンロール。TAKAさんはキックもかまして大いにノリノリ!
華麗なツイン・リード・パ―トも大きな魅力の1曲。次の「Dance with the Devil」では、今度はGOKIさんがボトルネックを披露。アルバム『Kick Ass Rock'n Roll』のオープナー。何人も否定し得ぬ正真正銘のロック・チューンだ!コレを聴くと私の場合、テッド・ニュージェントを思い出す。
1978年、当時テッド・ニュージェントは「世界で一番大きな音を出すコンサート」という触れ込みだった。
高校1年生で若かった私は期待に胸を膨らませて日本武道館に観に行った。
でも、大したことなかったな。
それよりもアリーナ席の私の眼の前で発生した外国人客と警備員の大乱闘の方が迫力があった。
私のこれまでの人生の中で「最も音がデカイ」と感じたのは、KISSでもAC/DCでもなく、ダントツでブルース・セットのゲイリー・ムーアのギターだった。
アンプはもちろんMarshallで、「1959SLP」のハーフ・スタックを2セット鳴らしていただけなのだが、ほとんど歪ませていないので音ヌケの鋭さが尋常ではなかった。
職権濫用で一番前まで行ってそのギター・サウンドを浴びたところ、こっちの頭蓋骨が共鳴してしまって実際には弾いていない音まで聞こえて来る始末だった。
スゴすぎちゃって決してうるさくは感じなかったよ。
今巷でハヤっている機材の子供ダマシの音では到底実現できない素晴らしいサウンドだった。
アレは一生忘れない。
ま、音の大きさは別にして、テッド・ニュージェントのステージもワイルドでとてもカッコよかったよ。
そのワイルドさが共通しているからこの曲でテッド・ニュージェントを連想してしまうのかも知れない。TAKAさん、再びジャ~ンプ!
ほら、ワイルドだろう?「オイ、ちょっと主役、タマにはしゃべってちょうだい。
チューニングをしながらでもしゃべれるんだっていうのを見せてやって!」
「それは無理だよ。
今日は足元の悪い中、たくさん集まって頂いてどうもありがとう!
DEALSは今日が今年最後のライブです。
だから盛り上がってチョーダイ!」
今日はGOKIさんの64回目ぐらいの生誕を祝う祭。
それにもかかわらずこのライブ、ケーキも出て来なければ「♪ハッピーバースディ」を歌う気配もない。
この恬淡(てんたん=アッサリしていて名誉や利益に執着していないこと)ぶりは素晴らしい!
いつからコンサートの最中にケーキを出して来たり、プレゼントを渡したりするようになったんだ?
アレをダラダラとやるのは勘弁して欲しい。
昔はあんなことしなかったよネェ?(70年代からロック・コンサートに通っている皆さんに尋ねています)
ロックは不良や反逆者のモノ…そんな連中が♪ハッピバ~スデイなんてノンキに歌うワケがない。
答えは…80年代に入ってロックではない音楽が「ロック」と呼ばれ出した時からだと思います。
その点、DEALSも私は今でも「ロック」のままなのだ!続いては同じ『Kick Ass Rock'n Roll』から「Are You Ready」。1970年代、イギリスのBBCテレビで『Old Grey Whistle Test』という当時の人気のバンドがゾロゾロ登場する音楽番組があった。
最近YouTubeでチョクチョク見かけるのでご存知の方も多いことと思う。
このタイトルの意味ね…ビルの警備員をやっているような白髪アタマのオジさん(old grey)に向かって新しく作った曲を口笛で吹いて聞かせる(whistle)。
そのオジさんが口笛のメロディに対して良い反応を示すかどうか?
反応が良ければヒットの可能性大。
そうでなければヒットの可能性なし…を見極めるテストが「Old Grey Whistle Test」。
要するに一発で一般の人の心をつかめるかどうか?ということ。DEALSがこのテストを受けたら、多くの曲で白髪のオジさんは良い結果を示すと思うんですよ。
この「Are You Ready」なんかはとても良い例だと思う。
つまり1回聴けば耳にコビりついちゃう。
だから「♪アー、アー、アア、アーユーレディ」とお客さん参加して歌うコーナーも大盛り上がり!
TAKAさんも客席に降りてエキサイト!
世が世ならDEALSはBBCの番組に出ていたかもね?!出番の最後を飾ったのは「サ・ヨ・ナ・ラ」。 TAKAさんのギターと歌にGOKIさんのディレイ・トリックを使ったバッキングが重なる。
タイトルからはシットリとしたムードの曲が連想されるが、イヤイヤとんでもない!…全員参加のコーラスで華やかムードを演出するアンプ・テンポ・ナンバー。2人のギターもタップリとフィーチュアして…DEALSのおいしいところをゼ~ンブ見せてくれた!「サンキュー!
また呼んでね…長生きすっから!」 こうして『吉岡GOKI訓春生誕祭』の本編が終了した。そしてアンコール。
まずは盛山さんがDEALSに合流して1曲。
キーボーズの入ったDEALSは初の試みだそう。
曲は「傷と裏切り恋焦がれ」。盛山さんの分厚いオルガン・サウンドがバンドを覆い尽くすと…このロマンチックなロッカ・バラードが一段と華やかな色どりを見せた。
TAKAさんの歌声にピッタリだね。そこへGOKIさんの泣きのギター・ソロが絡んでくる。
とても感動的な場面だった。
こうなってみると、盛山さんに弾いてもらうロックンロール・ピアノを加えた他のナンバーも聴いてみたくなるのは人情というものであろう。
更に演者が加わってもう1曲。VAXPOPの小栗さん…MOONSHINEの藤井さんが参加して…これまたDEALSのキラー・チューン「Please」を演奏。ギター・チームは左右のスピーカーの上に乗って大暴れ! イヤ~、盛り上がりましたな~!「ありがとうございました!また来年ね~!」
最後に記念撮影。
主役であるハズのGOKIさんが一番ハジッコ?
まったく花を持たせる気配がない!
コレがまたサッパリしていていいじゃないか!しからばMarshall Blogが…
GOKIさん、お誕生日おめでとうございました!<おしまい>
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