DEALSワンマンライブ~Blow Away the Recession!!!!<前編>
楽しみにしていたDEALSの単独公演。
「Blow Away the Recession!!!!」…「不景気なんかブッとばせ!」とは何とも景気のいいタイトルをつけてくれた。
本当に世の中どんどんヒドくなって来ているもんね。
facebookでつながっている方はご存知だと思うけど、私はここ2、3年というもの、古い日本映画にハマっていましてね。
「古い映画」というのは、戦前からせいぜい1960年代ぐらいまでのトーキー作品ね。
この国は「映画」という産業を利用はしたものの、全く保護しなかったので、戦前の作品ともなると保存の状態が劣悪で、映像も音声もノイズもヒドく、鑑賞するのにかなりの忍耐を要する作品が少なくない。
しかし、昔の東京の風景や、今では見ることがなくなってしまった前時代的な生活様式などを目にするのは大変に楽しいし、とてもいい勉強になる。
そして、出て来る女優さんのナント美しいことよ!
キレイなだけでなく、知性的で鬼のような監督たちに鍛えられた演技は非の打ちどころが全くない。
私は10歳になる前、すなわち50年前から映画に夢中になったんだけど、日本の映画を観ることなんて昔はまずなかった。
それがこの歳になって…まぁ、ナントいうか人生の機微がわかるようになって観ると実にオモシロイのだ。
そうした古い映画を観ていて強く感じるのは、この国はつくづく「無知」と「貧乏」で出来ているということなんだよね。
驚くほど多くの作品の中で示し合わせたように出て来る共通のセリフがある。
それは「景気が悪いネェ」と「いつになったら景気がよくなるのかネェ」。
他の国もマァおなじだろうけど、この国はいつでも景気が悪いということだ。
状態が変わらないのは景気の良し悪しだけじゃない、少子化問題でも電力の問題でも、今、世の中で起こっている問題のほとんどは、最近起こり出した問題ではなくて、どう少なく見積もっても50年以上前から続いている問題なんですよ。
みんなでズ~っとほったらかして来ているの。
まずはそういうことから知らないと「Recession」を「Blow」することは残念ながら不可能でしょうな。
待てよ…でもDEALSならできるかも知れんな。
そんな景気のいいステージの模様を2本立てでレポートする。では、早速…まずはステージのようすから。
MarshallにNATAL…いい景色!
ロックの景色だ。お客さんが入りきったところでいよいよショウがスタートした!
雨宮敬義
TAKAさんはMarshall。
JVM410Hと1960A。足元のようす。
やっぱりいくつになっても気になるね…トーキング・モジュレーター。驚くほど原始的なれど、オモシロいことを考えたもんだ。
吉永'GOKI'訓春
GOKIさんもMarshall。
JVM410Hと…1960BX。
足元のようす。
GOKIさんってどちらかというと「1959直結」みたいなトラディショナルなイメージだったんだけどトンデモナイ!
ナント…「ナント」なんて言ったら怒られちゃうか。
GOKIさんはMIDI機能を利用して自分のボードでJVMを操作しているのだ!
ハイテクだぜ!横山壮五
山市修也
山市さんはNATAL。
イヤ~、メチャクチャいい音を出して頂きました。
このバスドラムのサウンドはナンなのよ!ショウは2部構成で、第1部はコピー特集。
1曲目は「Fool for the City」。
さすがDEALS!
Foghatですよ!
うれしいね~。
やっぱりスゴイTAKAさんの声。
ロンサム・デイヴ・ぺヴァレットそのもの。
そういえば西城秀樹もこの「Fool for The City」を歌っていたのをテレビで見たことがある。Foghatの前身はSavoy Brownだもんね。
だからギターもタップリ!TAKAさん、また「Free Bird」をクォートしてた。
お好きなんですな~。
Foghatっていいバンドだった。
私は高校の時にBad Sceneがレパートリーに入れていた「Honey Hush」で知ったんだけど、「Train Kept a Rollin'」と「レモンティ」とゴッチャになってエライ騒ぎだった。
でも「Honey Hush」はFoghatのオリジナルじゃないんだよね。
元はBig Joe Turnerというブルースの人。
「どうしてコレがああなるんだ?」というぐらいFoghatバージョンとは様子が異なるんよ。続いては「English Rose」。
後で演奏した曲目を見て「アレ?Fleetwood Mac」なんて演ったっけ?と思ってGOKIさんに確認したら「そんなにシブくない」と叱られちゃった!失礼しました。
コレはMotorheadの「English Rose」。
カッコいい曲ですな~。ギター2人のソロをギンギンに盛り上げるのは…
鉄壁のリズム・セクション!
「English Rose」にちなんでか、単独公演を祝うカラフルなバラの花が贈られていた。
バラはイギリスの国花ですからね。
「どうも!DEALSです!
ずいぶん前からいつもこんなラジオ局に出ております、ウハハハハ!」
いきなりTAKAさんが出演しているFMラジオの話!
Takaさんが見せているのはコレ。
出演している「78.9MHz かつしかFM」のマスコット・キャラクター「かつし君」のステッカー。
ウソウソ、「かつし君」という名前は未確認情報です。
「こないだね、番組で生ウタ歌っちゃった!
ところで、今日は2部構成なんでチョットゆる~く演らないと我々オジさんなんで死んじゃうんですよ~」
「しゃべり出したら止まらない!」と横山さん。3曲目はガラっとネタを変えて「バカの輪」。
イヤイヤ、アレサ・フランクリンの「Chain of Fools」。「♪チェチェンチェ~」
大幅なアレンジを加えての演奏。
コレがまたカッコいい。GOKIさんのソロが冴えわたる!
ハイテクで操作するJVMもいい音しとる!こういう曲を選ぶのがまたこのチームのセンスのいいところなんだよね。
ところで、アレサっていうのは『ブルース・ブラザーズ』の「Think!」のおかげで一般の人の間にも認知度が高まったように見えるけど、レコード会社によると、アレサはテコでも日本ではウケないアメリカの超大御所歌手の筆頭だったらしい。
ナンでだろうね?ま、かく言う私もCDを何枚も持っていても全く聴かないんだけどね。
本格的過ぎるんじゃないだろうかね?
日本人って何でもオリジナルのままを受け入れたがらない人種なんだろうね。
受け入れやすいようにアレンジしてあげないとダメなの。
「この間ラジオでしゃべったんだけど、高校の時『自画自賛』ってさ…『ジガジ』っていう人がいるのかと思ったのよ。
それと『暗中模索』…コレも人の名前かと思ってたんだよね!」
そ、そんなバカな! 「そういうアホな高校生なんだから、たとえ『小学校からやり直せ!』って言われてやり直しても、多分おんなじだと思うんだよね。
知らない、わかからないモノはいつまでもわからないからサ!ハハハ!」
潔し。「Thin Lizzyの曲を演ります」というTAKAさんのアナウンスがあって、ナニを取り上げるのかな?と思ったら…。
「♪アーイアムジャスタカーボーイ」
そして、あのツイン・リードのパートへ。
ウワ~、懐かしいナァ。
やっぱりTAKAさんの声の存在感がスゴイ。
「フィル・リノットに似ている」とか、そんなこととは全く関係がなく、「歌」というものが持つ説得力みたいなモノがズバ抜けてるだよね。
「ひとつの音楽」として、「コピー」とか「オリジナル」とかの枠を越えている…と感じてしまった。 そのTAKAさんの歌声に呼応するかのようなGOKIさん入魂のソロ。
ブライアン・ダウニーって全くスポットライトが当たらない地味な印象だけど、実はケタ外れにウマい人だと思う。
もちろん山市さんはそのパートを完璧に再現。 そのまま続けて「Snorchin' Whisky」。
「♪Snorctin' whisky, drinking cocaine」
「snort」というのは本来「強く鼻を鳴らす」ということだけど、俗語で「麻薬を鼻から吸引する」という意味があるそうだ。
「ウイスキーを鼻から吸って、コカインを飲む」と逆になっているのが英語圏の人にはすごくオモシロいらしい。以前ポール・ギルバートがこの曲をよく演っていて、一緒にいたイギリス人がそんなことを言っていた。
楽屋で「私は『Gettin' Betta』が好き」とポールに言うと、その場であらかた1曲弾いて見せてくれた。
あの人もパット・トラヴァースが大好きなんですな。ギター陣、大熱演!
モロにギターの人向けの曲だからね。
こういう場面には持って来いだ。 2人のギターがMarshallで炸裂!
そして、山市さんのドラム・ソロが曲をゴージャスに締めくくった。
パット・トラヴァースといえば…いつかカナダの楽器関係者の人と話をしていて、「アナタの国はSteppenwolfとか、Guess Whoとか、The Bandとか、BTOとか、Heartとか、ニール・ヤングとか、ジョニ・ミッチェルとか、スゴいバンドやミュージシャンがいますよね~。
あ、パット・トラヴァースもそうだわ」
というと、一瞬ピンと来なかったようだったが、すぐに彼はこう言った。
「パット・トラヴァース?………ああ、『ブンブン』のことを言ってんの?」
私はこの時、パット・トラヴァースが本国では「ブンブン」呼ばわりされていることを知った。
ヒットした曲の力ってのはスゴイもんだ。
一方、日本で「ブンブン」といったら、まず「マギー・ミネンコ」となるだろう…「燃えるブンブン」。
調べてみるとこの曲が大流行したのは1974年のこと。
私は小学校6年生で、日光の移動教室でキャンプファイヤーを囲んでみんなで歌ったことを覚えている。
日本のブンブンも50年経ったのか!
「アニキ~!アニキ~!」
この頃からTAKAさんへのお客さんの「アニキ」コールが吹きすさぶようになって来た!
そんな中、横山さんからひと言。
「第1部はカバー・タイムなんですけど2曲目…みんな知ってた?」
「アニキ~!アニキ~!」
「ウチが演るのは意外かな?と思ってね」
「アニキ~!アニキ~!」
「次はどんな感じかな?みんなで気をつけながら歌いましょう」
「アニキ~!アニキ~!」
次は「Crazy Mama」。
え?…後でセットリストを見て「J.J. ケイル」なんて演ったっけな?と大変不審に思い、コレもGOKIさんに確認したところ、「そんなにシブくないですよ!」って!
で、この「クレイジー・ママ」は「Mama Weer All Crazee Now」のことだった!
そりゃそうだわな。Sladeね。
でも、J.J. ケイルって取り上げる人が多いんですよ。
クラプトンの影響なのかな?
桑田圭祐さんなんてものすごくJ.J.ケイルを感じる。こういうロックはいいよね~。
ただ、一瞬タイトルに使われるヘンな綴りを読み解くのが面倒なのです。
コレも当時は大ヒットしたんだよね。前回、東高円寺で初めてTAKAさんの歌を聴いた時、即座にSladeを連想して、終演後にノディ・ホルダーの話をした。
そのせいではなかろうが、今回取り上げてくれたのはうれしかった。
大分前、新宿の厚生年金会館があった頃、あるイベントで二井原実さんが「Cum on Feel the Noize」を歌ったことがあった。
素晴らしいパフォーマンスでね、歌い終わった後に二井原さんはこうおっしゃった。
「このSladeの曲をね、原曲と同じキーで歌える人はそうはいないんですよ」
そうでしょう、そうでしょう。
ノディ・ホルダーの歌をこうして歌えるシンガーって日本に幾人もいないでしょう?
でもDEALSのシンガーが歌える!
コーラスもバッチリ!
そうDEALSはコーラスもいい感じなのだ。ところで、Sladeね。
上でチョコっと触れた通り、イギリスではものスゴイ人気だった。
下の写真はPink Floydの『狂気』のコンサートやLed Zeppelinの『Physical Graffitti』のレコ発ライブで数々の伝説を生んだアールズ・コートの「エキシビジョン・センター」。
Sladeも1973年の7月に2万人を集めてココでコンサートを開いたのはイギリスの年寄の間では有名な話。
その数々の伝説を生んだ歴史あるイベント・ホールの今の姿がコレ。
無残。
イヤ、この写真を撮ったのはコロナの前なので、今となっては住宅地になってしまっているかも知れない。
こうしてイギリスでも着々とロックの歴史が消え失せて行っているのはとても残念なことだ。第1部のコピー特集を締めくくったのはトミー・ボーリンの「Teaser」。
自分のことばっかりでゴメンなさいね。
でもコレも中学生の時以来で懐かしくて!
トミー・ボーリンが死んだのを知ったのはその中学校への通学の電車の中でのことだった。
すぐ前に立っていたオッサンが読んでいたスポーツ新聞の記事が目に入ったのだ。
1976年の12月に亡くなる数か月前、ボーリンは『Private Eyes』というアルバムをリリースしていて、その新聞には「ジャケットで『當墓林』と『墓』という漢字を使って自分の名前を表したのがマズかったのでは?」みたいなことが書かれていた。
しかしね、この「當墓林」という表記…問題は「墓」ではなくて「當」ですよ。
だってこの「當」という字は「富(とみ)」じゃなくて、「当」の旧字体ですから!
トー・ボーリンじゃそれこそマズイだろ。
残念!アニキ…じゃない、TAKAさんのボトルネックのイントロから終始ゴキゲンな演奏で第1部を締めくくった4人!
「アニキ~!アニキ~!」
「1部は終わりなんです。
ちょっとくつろいでいてください。またすぐ演りますから!」
「アニキ~!アニキ~!」
第2部の「オリジナル曲特集」が楽しみだ!
「アニキ~!アニキ~!」
DEALSの詳しい情報はコチラ⇒Official Twitter
<つづく>
☆☆☆Marshall Music Store Japanからのお知らせ☆☆☆
今回のDELASもThin Lizzyの曲を取り上げていましたが~、フィル・リノットの魂を受け継ぐバンドがGRAND SLAM。
<Gone Are the Days>
Marshall Recordsから『ヒット・ザ・グラウンド』絶賛発売中!
お求めはコチラ⇒Marshall Music Store Japan
レコードもあり〼。
お求めはコチラ⇒Marshall Music Store Japan
Marshall Music Store Japanでお買い上げのお客様にはMarshall特製スクエア・ロゴ・ステッカーを3枚プレゼント!