晴れて銀座のsimo <後編>~森園勝敏合流!
珍しく雨が降らなかったsimoのライブのレポート<後編>いきます!
「それでは大変長らくお待たせ致しました…私の師匠です。
四人囃子の…世界に誇るオン・ギター、オン・ボーカルズ*…森園勝敏!
師匠、ご無沙汰でございます!」
(「vocal」という言葉は、パート名を表す時には「vocals」と必ず複数形で使われます)「オレは弟子を取った覚えはない!」
ハハハ!全く昔のママだわ。
森さんと関ちゃんの「7年ぶりの邂逅」というステージが始まった!
そうか、それぐらいになるか…。
私もずいぶん久しぶりにお会いしたんだけど、「ウシさ~ん!」と全く以前と変わらない雰囲気で接して頂いてとてもうれしかった。
1曲目はスイス人ピアニスト、ジョー・ザヴィヌル作の「Mercy, Mercy, Mercy」。森園勝敏 森さんもMarshall。森さんにご登場頂いたMarshall Blogは2018年2月27日のクロコダイルのTHE FEBが最後だった。
だから今回は5年ぶり。
その当時の森さんはASTORIA DUALがお気に入りだった。 ということで、今回もASTORIAを用意していたのだが、「ん、チョット待てよ…森さんだったら絶対にお気に召すに違いない」と思い、関ちゃんとお揃いでSTUDIOシリーズのSV20HとSC112をセットしてみた。そしたら案の定「コレ、音いいね~!」と、ドップリはまって頂いた。
こうなると思ったよ。
キャビネットもヨカッタんだと思う。
このキャビ、ビンテージ感丸出しの独特な中域を出すのね。
森さんのスタイルにマッチしているということも大きいけど、ホントにいい音だったわ。足元のようす。「関雅樹!」と森さんがソロイストを紹介。(以前、Marshall Blogでは「soloist」のことを「ソリスト」と表記していたかも知れませんが、今後は「ソロイスト」に改めます。)第2部用にキープしていたレスポール・スペシャルに持ち替えてトリッキーなソロを披露。「石井為人!」と森さんは次のソロイストを紹介。
そして最後に森さん自身ががソロをプレイ。いい雰囲気だわ~!ベースは宮野和也。
高校時代からのお友達、岡井'GREAT'大二。考えてみると…そもそもですね、森さんとお近づきになったのは関ちゃんがキッカケではなく、その反対で森さんに関ちゃんを紹介して頂いたんだよね。
だから時間的には森さんとのお付き合いの方が長いんですわ。
今のMarshall Blogでその頃の最古に記事を探してみると…2013年1月31日のクロコダイルが出て来た。
コレは関ちゃんのリーダーセッションで、「関4」とジャズのコンボみたいなチーム名で活動していた。10年前の関ちゃん。
もう2187Xを使っている。
森さんのMarshall、懐かしいな~。
「知る人ぞ知る」ってヤツ…チョットここには書けないヤツ。ドラムスは大二さん。そして7年ぶりのご共演が今日というワケ。
ところで、この「Mercy, Mercy, Mercy」ね、Weather Reportのおかげで作曲者のジョー・ザヴィヌルの名前がひとり歩きしている感があるけど、元々は1966年のキャノンボール・アダレイ・クインテットのヒット曲。
日本じゃ「マイルス、マイルス」って、おおよそジャズを聴いていないような連中までマイルス・デイヴィスを崇拝しているかのような不思議な現象が認められるけど、本国アメリカではキャノンボールの方が人気が高かったからね。
実際、メッチャかっこいいからね。
そんなキャノンボールのクインテットにザヴィヌルがいなかったら、この曲は無名のウチに終わってしまっていたのではなかろうか…ということを書き添えておきたい。「なかなかステージで『関雅樹!』って呼んでくれる人がいないんですよ。
久しぶりです…そういう風に言われたの。
新春に何かスペシャルなことやりたいな~と思っていて、そうだ!とフト思いついたのは今日の企画です。
メンバーにも全く相談せずに久しぶりに森園さんに電話してキメちゃいました。
そしたらちょうどヤングギターの取材を受けている最中だったんですよね」
「ア~、そうだっけ?
パット・メセニーとか、ディ・メオラとか、昔はいっぱいインタビューしたんだよね、あの雑誌で。
アグネス・チャンもインタビューしたことあるよ。
ナニを訊いた聞いたかって言うと、『アグネス・チャン』っていうんですか?
それとも『アグネス・チャンちゃん』って言うんですか?って。まあその程度」
「ボクが初めて森園さんにお会いした時のことはもちろん覚えていらっしゃらないかも知れないですけど…西荻窪でライブハウスで森園さんの曲を勝手にカバーしてたんです。
そしたら森園さんが客席で観ていて『オレの曲はあんなに難しくないんだよ。オマエ!』って言われたのが最初でした」
「Terraでしょ?
でも、それ言ったのは覚えてないわ。
金子マリのバンドのツアーの時、大阪のホテルにチェックインした途端、ボクが脳卒中になってその場で倒れちゃったんだよね。
ボクは入院したんだけどツアーは続行して関くんに代わりに弾いてもらったんだよね」
関ちゃんはマリさんから突然電話がかかって来て大層ビックリしたそう。
ココからは森さんをフィーチャーしたブルース・コーナー。
2曲目はエディ・ボイドの「Third Degree」…といっても私は知らないんだけどね。
何しろ私がブルースを聴く機会は、この森さんの演奏ぐらいだからして…。為人さんのピアノ。
シ、シブい!そして、関ちゃんも思いっきりブルージーにキメて見せた。絶望感満載の典型的ブルース・ナンバー。
もう「got, got」って…イギリスのお母さんが耳にしたら怒り出すこと必定。
イギリスでは「アメリカ人みたいにgetという言葉を使ってはイケません!バカだと思われますよ!」と子供を注意するようだからね。
でも「get」なしにはブルースはできません。
「もうこのThired degreeには耐えられん!」ってなことを歌っているんだけど、「third degree」というのは警察が容疑者に対して行う「厳しい取り調べ」とか「拷問」という意味。
この曲はウィリー・ディクソンが共作しているんですな?
この人はスゴイよね。
今の世に残る有名なブルースのスタンダード曲をたくさん作ってる。 続けて「Crazy Mama」。J.J.ケールの大変にダルなブルース。
森さん曰く「簡単すぎてムズカシイ。ナニも起こらずに終わってしまう」…という曲。
ホントにその通り。
J.J.ケイルが好きな人ってものすごく多いんだよね。
クラプトンが取り上げるからかネェ?
ナニがいいのか私にはサッパリわからないが(失敬!)、森さんが楽しそうに演奏しているので問題なし。「思い出した!
昔ね、大二と大西くんっていうベーシストと3人で九州にツアーに行ったんだよ。
で、大西くんはプロの酒飲みなんだよ。
だから出番の前に一升瓶半分空けてもヘッチャラなんだよ。
プロだよね、酒の。
で、プロじゃない大二が調子に乗ってそいつと一緒に飲んで、ライブを演った。
それでも、どうにかこうにか終わった」
「で、終わってからすごい熱心な四人囃子のファンの子が大二と話がしたくて2人ぐらい連れて寄って来たワケ。
一生懸命色んな質問をしてたよ…大ファンだから。
ところが大二は完全にベロベロじゃん?
何を訊かれても『そう言われると照れるな~』…それしか答えないワケ。酔っ払ってて。
とにかく『そう言われると照れるな~』しか言わない。
そしたらその子たち、しまいには怒っちゃって『こんなヤツだとは思わなかった!バカヤロー!』ってドアをバーンって閉めて帰っちゃったの。
オレと大西はもうビックリしちゃってサ!」
「思い出したわ!」
「森園さん、大二さん…もう残るはお2人ですから。
四人囃子は大好きなバンドなんでね。
お2人がこうして一緒にステージに並んでる姿は本当にすごく楽しい。
本当は客席で観ていたいんです。
そういう気持ちで次の曲に行きます」森さんが選んだ次の曲はフレディ・キングの「I'm Tore Down」。
コレもクラプトンが取り上げているのね?
ザッコザッコと大二さんのシャッフル・ビートが実に気持ちいい。為人さんのキーボーズのソロから…関ちゃんのコンテンポラリー・テイストのソロへ。森さんが合流して子弟コンビのソロの応酬となった。
お客さん大喝采!森さんの出番最後の曲もフレディ・キングで「Big Legged Woman」。
フランク・ザッパの「Big Leg Emma」なんかもそうだけど、この「Big Leg」というのは文字通り「脚が太い」…つまり肉感的で魅力的な女性という意味と共に「性悪女」という意味があるらしい。
simoメンバー全員のソロがフィーチュアされて大いに盛り上がった!
関ちゃんのギターから…為人さん…そして、みやんにソロが引き継がれる。森さんは手拍子を打ってソロを盛り上げる。そして、大二さんのタムのベンドをフィーチュアしたソロから…森さんへ。森さんは数年前に体調を壊し、その後は指の動きが以前ほど自由にならないとのこと。
「もともと指が動かないんだけど、ますます動かなくなっちゃってサ…」と私におっしゃっていたが、「指が動く」とか「速く弾ける」とかいうことが音楽の感動とはほぼ無関係であることを証明してくれたような演奏を見せてくれた。
それにしても何とギターの音色の美しいことよ。
もちろん森さんがMarshallをうまく使いこなしてくれていることもあるんだけど、やっぱり「美しい音色」というものは「美しいフレーズ」を弾いているからこそ美しく響くんだね。
速弾きがどうの、機材がどうの…と騒ぐギターキッズにこそ、体験してもらいたい演奏だと思うね。
ナンカ、ものすごく美味しいモノを食べたような感覚?
わかっちゃいるけど、改めて実に結構なモノを拝見させて頂きました!「森園勝敏さんでした!ありがとうございました。
森園節炸裂でしたね。
ボクは森園さんファン歴を楽しんでいるんです。
四人囃子と言う名前を意識したのは、高校生くらの時。
その時は、そんなに熱心に聴いたワケではありませんでした。
その後、テレビで夜中にやってた番組にチャーさんやマリさんやかまやつさんと一緒に森園さんもよく出演されていたんですね。
当時はスタインバーグという小さなギターを使っていて、このギターの人はすごくコード感がしゃれてるな~と思いました」
「それですごく興味もったのが最初ですね。
それから追いかけるようにして四人囃子の後のソロ作品をたくさん聴いたりして…。
ホントに最初はタダのファンでした。
やっぱ好きっていう気持ちを極めていくと不思議な出会いがあったりしますよね。
大二さんと今一緒に演らせて頂いているのもやっぱり森さんの縁ですからね。
もう10何年も前のような感じ…今夜は個人的にもそのあたりのことを楽しみつつ演奏させてもらいました。
最後は四人囃子の曲を演って終わりたいと思います」本編を締めくくったのはsimoのオハコ、「眠い月」。
演り慣れた曲だけに最高にロマンチックかつドラマチックな演奏を聴かせてくれた。
森さんを交えてのアンコール。
「イヤ~、しばらく見ない間に芸風変わったね?
以前よりロック色が強くなったよ」
「そうですね…当時の森園さんの言葉を覚えているんです。
『そういことばっかりやってると、バックバンドの人になっちゃうよ』って笑われたんです。
ボクはそのひと言がキッカケになったんです。
『自分の語り口でちゃんと伝えろ』ということ教えてくれたんじゃないかなとボクは勝手に解釈したんですけど。
本当にボクの音楽人生のキッカケになった」
「覚えていないけど、そう言われると照れるな…」
大二さんも会場も大爆笑! と、森さんが上手に落としたところでアンコールにはお待ちかねの「Lady Violetta」。以前はsimoもよく取り上げていたが、最近はご無沙汰だった。
この夜は作曲者を交えて大変感動的な演奏を聴かせてくれた。
ウン、今日もとてもいいライブだった!
simoの詳しい情報はコチラ⇒Seiki's Web
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