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2022年6月10日 (金)

金属恵比須~猟奇爛漫FEST vol.4 <後編>

 
「星空に消えた少年」と「ゴジラ対キングギドラ」を演奏し終わってレス・ポール・モデルに持ち替えた高木さん。
「プログレっぽいでしょ?
思想的には『現代音楽をロック化する』ということで、ELPの『トッカータ』とかあるじゃないですか…。
そういうことをヤッパリ日本人の作品で演りたいなぁ~…っていうのが先行しましてこういう曲を演ってみました。
コレ疲れるんだよね…も~、ギターの練習をしてる感じがズ~ッと続く。
『星空に消えた少年』…コレも1時間半で作ったワリには良く出来たかナァ~と自負しております。
コレも誰に頼まれたワケでもなく、TVサイズみたいな感じになっちゃって、チョット主題歌っぽく作ってみました。
どなたかTV関係者の方がいらしたらナニかのオープニングテーマに使ってください」
10v大賛成!…「既存の素材のロック化」の方ね。
 
前回、金属恵比須さんはMarshall Blog初登場だったので<前編>では恐る恐る文章を書き進めたんだけど、<後編>では好きにやらせて頂きます。
ということでMarshall Blog名物の「脱線」イキます。
ELPが演奏した「トッカータ」はアルゼンチンの作曲家、アルベルト・ヒナステラの「ピアノ協奏曲第1番」だったっけかな?
「Tarkus(タルカス)」もヒナステラの「3つのアルゼンチン舞曲集」が元のネタだった。
昔、このことを知って「パナンビ」や「エスタンシア」とかいうバレエ音楽や「ポポル・ヴー」なる管弦楽曲を買って聴いてみたけど、あんまりピンと来なかったナ。
キース・エマーソンは他にもヤナーチェクとか、バルトークとか、プロコフィエフとか、ネタ探しが大変お上手で、それらのネタを破天荒にカッコよくロックに仕上げてくれる能力が素晴らしかった。
ちなみにELPの人気曲のひとつ、「Jerusalem(エルサレム)」もELPの曲ではありませんからね。
エルガーの「威風堂々」は皆さんもご存知でしょう。
イギリスでは「エルサレム」は、「威風堂々」と並ぶ「第2の国歌」的な国民の愛唱歌なのです…というか、イギリスの人に訊いてみると、どちらかと言えば「エルサレム」の方が「第2の国歌」に近いと言っていた。
アメリカで言えばホーギー・カーマイケルの「Stardust」っていうところか…雰囲気が大分違うナ。
さらにエマーソンは、クラシックだけではなく、ホレス・シルバーの「Quicksilver」やチャーリー・パーカーの「Scrapple from the Apple」のテーマを丸ごと弾いてみたり、ディジー・ガレスピーの「Salt Peanuts」を引用したりと、ジャズ・ネタも盛んに取り込んでいた。
Ab 実は私もクラシック・ロックが生き残るためのひとつの方策はココにあると思っています。
そもそもロックは外部の要素を貪欲に吸収して進化してきた音楽なんだから、良いモノができるのであれば遠慮なしにパクるべき。
クラシック音楽で言えば、ショスタコーヴィチなんか聴きようによってはすごくロック的だと感じるし、リゲティとかグレツキとかペンデレツキなんてロック化しやすいネタがあるのではないか?
ハンガリーのバルトークなんかは民族色が濃くてオモシロイと思うし、そういう意味ではハチャトゥリアンなんていい曲あるよ~。
カリンニコフの「交響曲第1番」なんて涙が出るほど美しいし。
そういう意味ではフランスのMagmaなんてかなりストラヴィンスキーを研究している風にも聞こえるもんね。
残念ながら詳しくはないけど、その点、「日本の現代音楽」の作品ということになると、そうした題材に使うのはなかなか難しそう。
ホンの一時期聴いていたことがあったけど、サッパリわからなかった!
でも一柳慧の「千年の響き」なんて曲は結構ショックだった。
武満の「November Steps」は是非ロックで聴いてみたいナァ。
あの鶴田錦史の琵琶のパートを高木さんがいかに料理するのか今から楽しみだ!(←勝手にキメてスミマセン!)Nsまた、バルトークといえば…、キューブリックの『シャイニング』ね。
ダニーが三輪車に乗ってホテルの廊下を走る回るあのシーン。
やがて問題の237号室の前にたどり着く…コワいですね~。
そのコワさを劇的に演出しているのはバルトークの『弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽』の「第二楽章」。
映画はもう軽く10回以上は観ているんだけど、そのシーンの音楽が何たるかは知らなかった。
それで、ある日バルトークのCDを聴いていてあの不気味な音楽が出て来てブッ飛んでしまったというワケ。
こういうことは、音楽を聴くひとつの大きな楽しみですな。Snついでにキューブリックといえば、『2001年宇宙の旅』の最後の方で延々とギュイ~ンとやるシーンね。
あのノイズに近い音楽はリゲティの「レクイエム」。
Pink Floydはあのシーンにシンクロさせて「Echoes」という曲を作ったことはつとに知られている。
そういうやり方もある。
とにかく、高木さんには積極的にこの方面に取り組んで頂くことを希望します。
ストラヴィンスキーの「結婚」なんてどうですか?
アレ、ホンモノすごかったですよ。
ハイ、1回目の脱線終わり。
2001
次の曲は『紅葉狩(第四部)』。
きたきたきたきたきた!コ、コレは!
勇ましいイントロ、バツグンにカッコいい7/4のリフ…ビビビと来たぜ!
もうこの曲の精神は「Red」でしょう。20_hgm74 上へ下へとダイナミックに音域を移動させるベース・ラインがまた実にカッコいい!50vそして、『Discipline』の世界へ!
コリャたまらん!と思っていたらアララ、弦が切れちゃった!
そこですぐに青いセミアコにギターを持ち替えた。
40ビャ~っとメロトロン風の分厚い音色がバンド全体を包み込む。
しかし、70年代を象徴するかのような、この「メロトロン」という楽器はスゴイよね。
最近の人はチョット曲が長いと「プログレっぽい」、チョット変拍子のパートがあると「プログレっぽい」、歌詞が奇抜だと「プログレっぽい」…って言っているように私には見えるんだけど、「プログレッシブ・ロック」ってそんなモノではなくて、もっと精神とか思想によるところが大きい音楽だと思うんですよ。
でも、そうした歪んだ「プログレッシブ・ロックの定義」でひとつだけ同意できそうなのが、メロトロンを使っていると「プログレっぽい」というヤツ。
コレは許す。
Marshallが「ハード・ロック」という音楽を作ったように、メロトロンは「プログレッシブ・ロック」という音楽の一部を作ったのだと思う。
したがって金属恵比須が取り組んでいる音楽は「70年代サウンド」であり、「プログレッシブ・ロック」であると素直に感じ入るのであ~る。
30ま~、稲益さんの忙しいことよ!
とっかえひっかえ、この曲だけで3~4種類の打楽器を叩くんだから。Img_0027 それにしてもタフな「紅葉狩」だな~。
どちらかというと落ち葉を拾うというより、地雷を掘り起こしに行くようなヘヴィなサウンドだ。
70vコレが「第四部」か…第一から第三部はどうなっているんだろう?
気になるな…。80♪ジャンジャン…………ジャンジャン、稲益さんが両腕を大きく動かしてキメに合わせるのは「ハリガネムシ」。90_hgmこの曲でもバッチリとギターリフを繰り出してくれる。
うれしいな~。
だってコレが70年代のロックの特徴だから。
かつてベースの巨人、チャールズ・ミンガスが70年代の雑誌のインタビューでこう言った。
「フン、今のロックが連中やっていることは、すでにオレが50年代にやっていたことじゃねーか!」
つまり、ロックの人気を妬みつつ、ミンガスはギター・リフのことを言っているのね。
確かにミンガスはディープ・パープルのようなブルース・ペンタトニックで作るギター・リフ的なモノを1950年にベースで奏でていた。
それだけ、「ギター・リフ」というのはロックという音楽に不可欠なモノのハズだったのに…なくなっちゃったネェ。
だから高木さんには金属恵比須で徹底的に奮闘して頂きたい。
120vそんなギター・リフの数々もこの世にMarshallがあったからこそ生まれた話。
カッコいいロックとMarshallはいつの世も「組」になっているのだ。
130そしてそのギター・リフに絡むシンセサイザーの音色。
ああ~、コレも「ロック」を感じるナァ。
100「♪キミはボクの中にいて」
ウワ~、たまたま数日前に「ハリガネムシ」ってのテレビで見たんですわ。
寄生虫でしょ?
目黒の「寄生虫館」は行きたくない場所のひとつ。
でも曲はカッコいい!
パープルの「Stormbringer」を聴いているような気分になる。
110
曲の中盤、稲益さんが叫ぶ。
「ベース、栗谷秀貴!」140v「ドラムス、後藤マスヒロ!」150v後藤さんのドラムスをバックに栗谷さんのソロ炸裂!
イケイケ~!160「ギター、高木大地!」
高木さんはボトルネックでのソロを披露。170v高木さんと稲益さんが絡んで「Strange Kind of Woman」も入り込んで来た!
いい調子だ~!180「キーボーズ、宮嶋健一!」190vステージに3人がそろい踏みして曲はクライマックスを迎えた。210「イヤイヤイヤ…史上最大に疲れるセットリストなんですよ。
さっきも言ったけど、3年のブランクがありまして、年も3歳年取ったワケですからね。
休み休み演っていいですか?
告知はありませんか?」
220v「私が告知しましょう…7月の最終週ですね。
3日間、D.H.C.が名古屋、大阪、東京の順でツアーをすることになったのでよかったらゼヒ遊びに来てくださ~い!
結構距離が近い感じのところで演ると思うので、また違う感じで観れると思います」

230_kc金属恵比須らしい曲を標榜して作ったという新曲「誘蛾灯」。
イヤイヤ、どの曲も金属恵比須さんらしいと思うんですけど!230_ygtコレはまたオドロオドロしい…今までとは少々トレンドが異なる1曲。
当然チャンとしたリフ・ロック!
240稲益さんの歌も不気味な雰囲気。250v曲の雰囲気に呼応した怪しげなキーボーズ。260vSGモデルに持ち替えた高木さんのギターがリードする曲の中間は…Img_5706 5/4拍子のスリリングなインスト・パート!
270_54
こういうパートにおけるこのリズム隊のシャープさは他に類を見ないね。280メリハリが利いていて実に気持ちがいい。290最後までオドロオドロしく歌い切った稲益さん。300「早いもので終盤に近づきます。
大丈夫です…最後の曲が長いんで大丈夫です。
一応今の『誘蛾灯』も説明しておくか。
これも『魔少女A』と絡まっておりましてですね。
『虚無回廊』から来ている『SS』という巨大な宇宙船みたいな物体の歌でございました…以上でございます。
久しぶりだから、なんかコミュニケーション不足です。
なんか3年前みたいにうまくいかないよね!
どうしたらいいんだろうね…お元気ですか?皆さん!
初めて来た人はわからないかもしれないけど、以前は「キャー」とか黄色い声援とか飛んでたワケですよ。
声が出せないってことも、けっこうツラいと思います。
何年も在宅で仕事をしていて、久しぶりに会社に行って、コミュニケーション不足になっちゃうってよくわかりますよね」
ホント、チョットしたことほど「アレ?コレどうするんだっけ?」ってなっちゃうんだよね。
「それと去年30周年を記念した『キンゾク万博2021』にお越し頂きまして皆さんありがとうございます。
次は35周年、40周年までガンバれればいいなと思っておりますんで、引き続き応援をよろしくお願い致します」
310v「ゼヒゼヒ!40周年って何年になるの?…’91結成でだから2031年かぁ。
まだ結構先だね!」320v「今年はあと1回くらいライブを演りたいと思っております。
レコーディングも開始します。
新曲も出来ましたし…今回に間に合わなかった曲がいくつもあります。
映画『ブラックホール』のテーマって曲出来たんだよね。
マスヒロさんの曲もあるしね。
あと宮嶋くんの作った曲が、まんまクリムゾンだった。
そこに被せる秀貴くんが作るのもクリムゾンっぽいんだよね。
色々曲はストックがございますので、レコーディングが出来て、なんかの形で発表できればと思っております。
引き続きよろしくお願いします。
今日は本当にありがとうございました」330v久しぶりに取り上げたという「阿修羅のごとく」。340_asrg_54ココでもいきなりメロトロン・サウンドが炸裂。
360「♪でんでん むしむし かたつむり ツノどこにある
でんでん むしむし 阿修羅のごとく」
シンプルながら歌詞のインパクト強し!
350vその歌詞のシンプルさとは対照的に、曲は5/4の変拍子。
370vしかし、ゼンゼン変拍子を感じさせない。
こういうのは変拍子の曲の成功例なのだ。380vかつてポール・ギルバートと話していて、彼の新しい曲が5/4拍子だったことに気づき、それを告げると彼は間髪を入れず「自然に聞こえた?」と訊いてきた。
正直「阿修羅のごとく」のごとく、「自然に聞こえるよ」と答えると「Yes!」とすごくうれしそうにしていた。
特段、変拍子がエライわけでも何でもないんだけど、オモシロイし好き。
390v本編を締めくくったのは「猟奇爛漫」。400_rr高木さんのリード・ボーカルズ!410今度は栗谷さんがクリムゾン風の反復フレーズを奏でる。420中間部の7/8拍子のパートの雰囲気がGenesisっぽいなと思ったら…Img_5706_2 宮嶋さんが「Dance on Volcano」のスティーブ・ハケットのフレーズを弾き出した!
おお~!素晴らしい!
 
ちなみにスティーブ・ハケットさん、とても感じのいい人です。
Marshallの粗品を差し上げたら大変喜んでくれました。
<スティーブ・ハケット関連のMarshall Blog>
PROGRESSIVE ROCK FES 2010 IN TOKYO~Steve Hackett(スティーヴ・ハケット)編
Steve Hackett GENESIS Revisited 2013 Japan Tour<前編>
Steve Hackett GENESIS Revisited 2013 Japan Tour<後編>440v後半はお客さんと一緒に体操を楽しむコーナー。
「♪りょうきらんまん りょうきらんまん」450「♪りょうきらんまん りょうきらんまん」
お客さんの腕がジャンジャン上がって来る!
470_2本編最後のギター・ソロで暴れまくる高木さん!480盛り上がったね~!
コレにて本編終了。490アンコール。
 
「3年ぶりなんでMCのやりかたすら忘れてるんですよ!
前説の時にけっこう緊張しました…今だから言うけど。
初めて来たお客さんの中にはショックを受けてる方もいらっしゃるかも知れないね。
こういうの『スッピンみたいな感じ』って言うんかな?」
ま、緊張しているようにはゼンゼン見えませんでしたけどね。500アンコールは「イタコ」。
510_itk木魚を叩きながら声を張り上げる稲益さん。
この曲もスゴイ歌詞だナァ~。
 
イタコといえば恐山。
そういえば<前編>の『星に消えた少年』のところでご登場頂いた渡辺宙明さんの作品に「恐山」というイタコの「口寄せ」を取り入れた曲があるね。
中村とうようさんのプロデュースで、芸能山城組が井上堯之バンドをバックに吹き込んで1976年に発表された。
スゴイ作品だよ。60v 怒涛のスピード・チューン!
メンバー全員が大暴れ!0r4a0041

Img_5877

550v

560v高木さんはギターを…590v宮嶋さんはリボン・コントローラー(←っていうんでしたっけ?)を…
そして、稲益さんは木魚のマレットを振り回す激演!580初めての金属恵比須…オモシロかった~!
やっぱりロックは70年代だな。0r4a0202 最後は撮影タイム、
サービスも満点!

金属恵比須の詳しい情報はコチラ⇒Kinzoku-yebis Official Web

600 

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 200(一部敬称略 2022年4月30日 高円寺Highにて撮影)