【Music Jacket Gallery】メッセージ・ジャケット特集<vol.3>
『メッセージ・ジャケット特集』の最終回。
いよいよ最後の展示棚に移る。
§ 5 - a
このあたりは近未来系のデザイン・ゾーン。
バーコードも扱いやすいモチーフだ。
その分、「ありきたり感」がでてしまうのもやむを得ないかな?
左はThe Kinksのデイヴ・デイヴィスが1980年にリリースした初のソロ・アルバム『AFL1-3603』。右はアイルランドのパンク・ロック・グループ、Stiff Little Fingersの同じく1980年の『Nobody Heros』というアルバム。
しかし…『AFL1-3603』なんて覚えにくいタイトルだナァ。
でも、秋吉敏子の『Sumie』というアルバムに収録されている「A-10-205932」という曲名を覚えるよりはラクか… 。
この敏子さんの方の曲名は、1950年代にアメリカに渡った敏子さんに最初に付された移民の登録ナンバーだそうだ。
確かあまりにも覚えにくいということで、後に改題したんじゃなかったっけかな?
ナニになったのか忘れちゃった。
一方、このデイヴ・デイヴィスのアルバムの「AFL1-3603」とは何ぞや…。
コレはこのレコードの製品番号なのだそうだ。
このアルバムがリリースされた1980年あたりからレコード・ジャケットにバーコードを入れるようになった。
ジャケットはミュージシャンにとっては作品の大事な一部分でしょ?
そこにこんな無粋なシマシマを入れるとは何事だ!…と、デイヴは世間の美的感覚を窺うようにして抵抗して見せたというワケ。 久しぶりに聴いたけど、このアルバム、まだまだ古き良き「ハードロック」のテイストが残っていてとても良いナ。
何しろデイヴの歌がスゴイ。
The Kinksでもデイヴがリード・ヴォーカルズを担当している曲がチョコチョコあるけれど、ハードに叫ぶこのアルバムでの歌唱はまったくそれとは似ても似つかないモノだ。
The Kinksのことはロンドンのを絡めて書きたいことが山ほどあるけど、その内特集を組むつもりなので今はガマン。
このバーコード、シマシマがナニを表しているのかはわからないけど、下のアルファベットと数字は架空のモノ。
私は昔、教則ビデオの仕事をしていた時に600個からの商品すべてにバーコードを付ける作業をしたことがある。
も~、大変で夏休み返上で取り組んだ。
専門のソフトがあって、商品名を入力すると勝手にバーコードをひねりだしてくれるんだけど、何しろ飽きる!
その作業で覚えたのは、日本で流通している「JANコード」のシマシマの下についている数字の意味ぐらい。
頭の2桁が国を判別するコードになっていて、日本の場合は「49」。
次の5桁がその製品を作っている会社のコード。
その次の5桁がその製品自体のコードになっているということ。
こんなことを知っていても何の役にも立たんな…。
Stiff Little Fingersの方は数字ではなくて、よく見るとバンド名を表したアルファベットになっている。
The Tubesの5枚目のスタジオ・アルバムは『Remote Control』。
コレはわかりやすい…機械が赤ちゃんを育ててるの図。
もう既にこんな世の中になっちゃってるんじゃないの?
プロデュースはトッド・ラングレン。
デビューからライブ・アルバムぐらいまでのThe Tubesってすごく好きなんだけど、1979年のこのアルバムはもうスッカリ80年代サウンドになっちゃっていてナ二だな。
モナリザも色んなところでよく使われるわナァ。
ミロのヴィーナスと相乗りか…。
The Dammed の『Lively Arts』。
まったく通過していないのでナニです。
折に触れてパンク/ニュー・ウェイヴ以降のロックは苦手…と、Marshall Blogに書いてきたけど、このXTCっていうのはよろしいな。
ある雑誌のインタビューでアンディ・パートリッジが「コード進行と歌のメロディの組み合わせが普通でないように作曲するよういつも心がけている」みたいなことを言っていたのが印象的だった。
また、彼は「ビートルズ・フリーク」としても有名だそうで、そのインタビューの中で「A Day n the Life」の最後の大フェルマータ中にオーケストラの人がイスを引いて出してしまうノイズのことを嬉々として語っていたのには好感が持てた。
下は1978年のXTCのセカンドアルバム『GO 2』のジャケット。
『Go 2』ってツトム・ヤマシタさんのアルバムにもあったよね?
さて、マジなのか、フザけているのかわからないが、これこそメッセージ・ジャケットの究極の姿だ。何せ自分の作品に関するメッセージがそのまま書かれているんだから。
同時にジャケットのことにも触れている。
オモシロイので少し読んでみる。
「これはレコード・ジャケットであ~る。ここに書かれている文字はジャケットのデザインであ~る。デザインはレコードのセールスを助けるモノであ~る。我々はこのデザインに興味を持ち、あなたがこのレコードを手にすることを望んでいるのであ~る。ジャケットを手にした時、中の音楽を聴くように説得されるだろう…このケースではXTCの『Go 2』であ~る。そしてあなたにそれを買って欲しいのであ~る。あなた以外にもそうしてもらえれば、ヴァージン・レコードやマネージャーのイアン・リード、そしてXTC自身にもお金が舞い込んでくるワケであ~る。これはこの上ない喜びなのであ~る。いいジャケットというものはたくさんの人の目を惹き、更なるお金をもたらすワケであ~る。このメッセージが見目麗しい写真のように皆様の目を惹きつけるよう試しているところ。あなたが読むようにデザインされているのです。これを『犠牲者おびき寄せ』と呼び、あなたこそが『犠牲者』なのです。でもいつでも読むのを止めていただいても構いませんよ!なぜなら今我々がやろうとしていることは、あなたにこれを読んで頂こうとしていることに他ならないのですから。(つまり、この先を読んでもらえないようならXTCの試みが失敗だったということになるというワケ)」
…とこんな調子。
と、植村さんとは別の切り口でジャケットの重要性を説いているともいえる。
ま、シャレでやっているんだろうが、やっぱり写真や絵やグラフィック・デザインのジャケットの方が魅力的だわな。
ここで一句。
「ヴァン・モリソン 日本に来ない ヴァン・モリソン」
1973年の『Hard Nose the Highway』。
邦題は『苦闘のハイウェイ』といったらしい。
ジャケットのイラストは一目でマイルスの『Bitches Blew』とか『Live Evil』を手がけたマティ・クラ―ワインというドイツのイラストレーターの仕事…とばかり思っていたんだけど、どうも違うらしい。
ロブ・スプリンゲットというハービー・ハンコックのアルバムのジャケットのデザインを担当した人らしい。
ホントかな~。
ナンカ狐につままれたような感じ?
§ 5 - b
いよいよ最後の展示棚!
The Pretty Thingsってのは日本で人気があるのだろうか?あるいは、あったのだろうか?…みたいなことをいつも書いているけど、実際のところどうなんだろう。
この 『Parachute』は1970年の7枚目のアルバムでUKヒットチャートの3位まで上がっている。
私も持っているけど、聴くとカッコいいような、そうでもないような…。
いい曲のような、そうでないような…。
ハードのような、ソフトのような…。
でも『Silk Torpedo』とか『Savage Eye』とかジャケットはいいよね。
ヒプノシスだから。
このアルバムもヒプノシス。
…なんだけど、どうも「らしく」ない感じがする
1977年から活動を続けるAngelic Upstartsの1980年のセカンド・アルバム『We Gotta Get out of This Place』。
「We Gotta Get out of This Place」は「朝日のない街」というオチャラケた邦題を付けられてしまった1965年のThe Animalsのヒット曲。
このバンドはこのパンク調で同曲を収録した。
ジャケット自体はユーモラスなんだけど、とても深刻な雰囲気のイラストはニック・ホックリーという人の作品。
「ココから出ていかなくちゃ!」というタイトルからしても、公害問題を訴えているように見える。
私はこのバンドは全く知らなかった。
パンクだし。
で、調べてみると、このバンドはイングランド北部のサウス・シールズの出身なんだね。
ジャケットに描かれているオジさんたちはランプ付きのヘルメットを被り、スコップを手にしている。
このオジさんたちは「Miner(マイナー)」、つまり「炭鉱夫」だ。
サウス・シールズの約5km南には「Whitburn Colliery(ホイットバーン・コーリエリー)」という炭鉱があったが1968年に廃坑になった。
それでアタマを抱えているのではなかろうか?
そして、「もうサウスシールズから出て行かなきゃ…仕事がなくなってしまったのだから」という風に私は想像してみたがいかがなモノだろうか?
今回のシリーズの<vol.2>で触れたようにサッチャーのせいで廃止になったのかと思ったが、サッチャーが首相の座に就いたのは1979年のことなので関係なさそうだ。
皆さんは「Cornish Pasty(コーニッシュ・パスティ)」というイギリスの食べ物をご存知かな?
そもそも日本では「ペストリー」という言葉は使っても「パスティ」という言葉には馴染みがないよね。
「ペストリー」というと、恐らくリトルマーメイド辺りで盛んに売っている菓子パンのチョット高級っぽいヤツを思い浮かべるでしょう。
主に「ペストリー」というのはそうした菓子パンの生地自体のことを指す。
その生地に具を入れて焼いたモノが「パスティ」。
イギリスではこれら2つの言葉が厳格に使い分けられているハズ。
で、イギリスには「GREGGS(グレッグス)」というパスティの専門店がそこら中にあって、コレが安くてとてもおいしい。
下はデヴィッド・ボウイの出身地、ブリクストンのGREGGS。
コレはMarshallの近くのGREGGS。
この時は改装中だった。
ま、だいたいこんなもの。
コレはアールズコートのGREGGSだったかな?
左のがパスティ。
ビーフシチューみたいなものがタップリ入っていて(当時で)150円ぐらいかな?
イギリスで買い食いするものといえばサンドイッチのような冷たい食べ物ばかり。
こんな値段で温かいモノは他にまずない。
だから余計においしく感じるんでしょうナ?
右のエクレアも生地のクォリティが高いのでとてもおいしい。
さて、そのパスティの代表選手が下の「コーニッシュ・パスティ」。
「Cornish」というのは「Cornwall(コーンウォール)」というイギリス南西部(左下のとんがっている辺り)の地名の形容詞。
だからそっちが出元なんでしょうな。
イギリスでは「炭鉱夫の食べ物」とされている。
コレ、ハジッコの耳の部分が大きいでしょう?
炭鉱夫は一日中地下深く潜って、食事もそこで済ます。
当然手を洗うための水などないので、汚れた手のままで食事をすることになる。
そこで、炭鉱夫たちはこのコーニッシュ・パスティを持って坑内に入り、食事の時間になるとその汚れた手でコーニッシュ・パスティの耳の部分を持って食べる。
そして、耳の部分は汚れているから食べないで捨てちゃう。
「生活の知恵」というヤツですな。中身はこんな感じ。
牛肉、薄切りのジャガイモ、ルタバガというカブの一種、タマネギなどが入っている。
イギリスのスーパーに行くと袋入りで売っている。
「Ginsters」というのが有名…とMarshallの経理のボスが私にパッケージを見せてくれた。
その彼のその日のお昼はコレ1個。
質素だよ~、向こうの人のお昼は…朝ゴハンもだけど。
まぁ、我々の感覚だと立ち食いソバ屋で「かけそばを一杯」という感じか?
今度行ったら私も買って食べてみようかと思っているんだけど、コロナのせいで行かれない~! ところで、サウス・シールズは静かだったな~。
下が一番の繁華街…って、いい加減静かすぎるか?
この写真を撮ったのは午後4時ぐらいだったからね~。
それでも1950年代にこの通りを撮影したビデオを見ると、人と車があふれかえっていて、あまりの変わり果てようにとても驚いた。
映画監督のリドリー・スコット、『モンティ・パイソン』のエリック・アイドル、イギリスで最も読まれている小説家20人のウチのひとり、キャサリン・クックソンを輩出している町がサウス・シールズ。
そして、我が友、現Geordieのギタリスト、スティーヴ・ドーソンの地元だ。
スティーヴは元The Animalsのギタリスト…つまり「We Gotta Get out of This Place」の弾き手でもあった。
奇妙な符合ではないか!
GeordieはAC/DCのブライアン・ジョンソンが在籍していたニューカッスル出身のバンド。
ニューカッスルからサウス・シールズはローカル鉄道で20分ぐらいの距離だ。 イギリス国内に100軒は下らないと言われる「イギリスで一番おいしいフィッシュ&チップス屋」もあったりするサウス・シールズ。
イヤ、実際に美味しかったですよ。
Creamもジミ・ヘンドリックスも訪れた町ですからね。
友人の地元でもあり、私にはとてもオモシロかったけどワザワザ行くほどのことはない。
下の「サウス・シールズ往訪記」をご覧頂ければ十分だと思う。
↓ ↓ ↓
☆【イギリス-ロック名所めぐり vol.6】 サウス・シールズ(South Shields)
☆【Shige Blog】イギリス紀行2012 その14~サウス・シールズ1
☆【Shige Blog】イギリス紀行2012 その14~サウス・シールズ2
☆【Shige Blog】イギリス紀行2012 その14~サウス・シールズ3
ところで、ココまでエラそうに書いて来た私ですが、「We Gotta Get out of This Place」という曲を知ったのは本家のThe Animalsではございませんでしてね…。
高校の時にリリースされたBlue Oyster Cultのライブ盤『Some Enchant Night』だった。
このアルバムのレコ発ツアーで来日してね。
新宿の厚生年金会館へ観に行ったけど、すごくいいショウだった。
もちろんこの曲も演っていた。
このチームもまだガンバってるんだね~。
Dregsの1982年の『Indutry Standard』。
スティーヴ・モーズ、デイヴ・ラ・ルー、Tラヴィズ、ロッド・モーゲンスタイン、マイク・オコーナー、ジェリー・グッドマン…キラ星のようなスター・プレイヤーが集まったチームの割には日本ではあまりウケない印象があるんだけどどうなんだろう?
私もまだ「Dixie Dregs」と名乗っていた頃に『What If』とか『Nght of the Living Dregs』あたりのアルバムは聴いていたけど、正直ハマることはなかったナァ~。
キライじゃないけど夢中になれない。
演奏はスゴイんだけど、どうも曲に馴染めなかったんだナァ~。
『Nght of the Living Dregs』のライブの面の2曲目に収録されている「The Bash」という超絶曲がが好きだったんだけど、それがカントリーの「Wabash Cannonball」という曲の完全パクリということを後で知ってガッカリしてしまった。
ジャケットのイラストはどういうことなんだろう?
オジさんたちがスコップで水晶玉みたいなモノをイジている。
手前には馬かなんかの白骨体。
そしてタイトルは「工業規格」。
わからない。
スティーヴ・モーズってイングヴェイ・マルムスティーンが好きなんですってね?
数年前、イングヴェイとDeep Purpleのダブル・ヘッドライナー公演の時の話。
イングヴェイのステージをステージ袖の暗がりで最初から最後までジックリと観ている人がいた。
誰かと思って顔をのぞくとスティーヴ・モーズだったのでビックリした。
御大The Moody Bluesのセカンド・アルバム『Question of Balance』。1970年の作品。
いいジャケットだ。
アインシュタインまで出て来ちゃって…。
手掛けたのはムーディーズの多くのアルバム・ジャケットを担当したフィル・トラヴァースという人。
私はプログレにハマった高校時代に『Every Good Boy Deserves Favour』と『Seventh Sojourn』を聴いたぐらいでムーディーズは知らないに等しいんだけど、「Go Now」なんていい曲だよね~。
アレはポールの曲じゃありませんからね。
そして、Queenの「Bohemian Rhapsody」のビデオは、マーキーの2号店の裏で撮影したあの「Go Now」のビデオを手本にしたとか…。
このアルバムでもよく知られたオープナーの「Question」なんかはチョット大ゲサだけど名曲だ。
オランダのスーパー・バンド、Golden Earringの1975年の作品『Switch』。
アンドロイドみたいなグランギニョルが捕えられている。
何となく現在のアニメでも通用するようなデザインだ。
アートワークはハワイ生まれの日系人、ジョージ・オーサキという人。
この人のポートフォリオを見て腰を抜かしたゼ!
チョコチョコっといくつか過去の作品を紹介しようとしたけど…スゴすぎてムリ。
日系でこんな人がいたんだね~。
このバンド、なかなかいいんだよね。
Focusばかりがオランダじゃないってことよ。
植村さんは大のJethro Tullファンで、ナンとイアン・アンダーソンとサシでホッケを突っついたことがおありだという。
イアンはそのホッケの味に大層感動していたそうだ。
ま、ハギスよりはマシなことは確かだろう。
私もタルは昔から大好き。
大分前に来日したでしょ?
ギターのマーティン・バレがマーシャルということもあって渋谷公会堂の追加公演を観せてもらった。
何しろこの時は『Aqualung』を全曲演奏するということで大いに期待を胸にして公園通りを上って行ったっけ。
席は2階だったんだけど、おっそろしくガラガラだった。
「これが現状なのね…」わかっちゃいるけどチト寂しいね。
ショウの方は念願のタルだっただけに文句をつける気は毛頭ない。
約束通り『Aqualung』は全曲演ったし、「Thick as a Brick」も「Song from the Wood」も演ってくれた。
だが、アレはワザとやっていたのだろうか?…イアン・アンダーソンの歌とフルートとギターが出てくると、PAの音量が妙に上がってハリのある音になる。
ところがイアンの歌なりフルートのソロが終わるやいなや、ヒョイっとバンドの音がしぼんでしまうんだよね。
最初のうちは「オ~、さっすがイアン!」と感心していたんだけれど、ショウが進むにつれてその落差が気になって、気になって…。
それでも本物のJethro Tullが観れて満足でしたがね…。
惜しむらくはどうせなら1972年の初来日公演が観たかった!
『Too Old to Rock'n'Roll, Too Young to Die』はベスト盤を除いたTullの10枚目のアルバム。
『ロックンロールにゃ老(とし)だけど死ぬにはチョイとわかすぎる』…強烈なメッセージじゃござんせんか!
でもさ、このアルバムを発表した1976年、Ian Andersonってまだ29歳だったんだゼ。
そう、昔は30歳を超えるロック・ミュージシャンなんて考えられなかったのよ。
反対に『Thick as a Brick』、『Passion Play』等の超名作&問題作をなんかを25歳の時に出しているんだからまったく恐れ入る。
昔の人は本当にスゴかった!
イアンは今年76歳。
本当に「老(とし)」になっちゃったけど、まだバリバリやっていてくれてうれしい限りですな。
毎作ジャケットが楽しいタルだけど、このアルバムではコミック仕立てに徹している。
アートワークはマイケル・ファレルという人の仕事。
登場人物のセリフの中に収録されている曲名が挿入されている。
ファレルは他にArgentの『Nexus』や、いつかやったStreet Walkersの『Downtown Flyers』を手掛けた。国内盤には日本語訳がついていた。
何やらココでも「Harrods」のきわどいパロディを掲げている。
最後にこのタイトル、『Too Old to Rock'n'Roll, Too Young to Die』。
「~すぎて…できない」という中学で必ず習う重要な表現のひとつ。
UFOの「Too Hot to Handle」でもおなじみだ。
コレで思い出すのが中学2年の時の英語のテスト。
やっぱりこれが出題された。
学年で一番ケンカの強いとされていた加藤くんは決して勉強ができないわけではなかったが、この「too」と「to」を( )に入れる問題がどうしてもわからなかった。
そこで試験中、見回りの先生が離れたすきに前の席の伊藤くんに「オイ、4番の答えナンダ?」と小声で訊いた。
正義感の強い伊藤くんは困ってしまったが、教えないと後が怖いので同じく小声で「トゥだよ、トゥトゥ」と伝えた。
すると今度は加藤くんが困ってしまった。
一体全体どっちの( )に「o」がふたつの「トゥ」を入れてよいのやら…果たして前の( )か後ろの( )か…。
「too~to」か「to~too」か…確率は50%。
数多くのケンカの修羅場で培った野性の勘を活かして加藤くん、イチかバチか前の( )にtooをブチ込んで見事正解をキメてみせた。
試験終了後、加藤くん勝ち誇った顔!今でいう「ドヤ顔」だね。
アレは真の勝負師だけが持ち合わせている最高の笑顔だった…って、ナニを言ってんだか!
ちなみに私は自力で正解しております。
そして今でも外国人と会話する際には、今でも時折「too~to…」を使用させていただいております。
…と、この部分はあまりにもどうでもいいことなので今回カットしようかと思ったけど、読み返してみて案外面白かったので再掲した。
個別ジャケット紹介のコーナーの最後は植村さんも大好きなフランク・ザッパで〆ることにしよう。
何しろ植村さんはザッパの存命中にロサンゼルスの家までいらっしゃっているぐらいだから!
思い返してみるに、植村さんとお近づきになることが出来たのもフランク・ザッパのおかげだった。
私のザッパ好きを知っていたレコード会社に勤める方(当時)が植村さんを私に引き合わせてくれたのだ。
そのレコード会社の方自慢の赤坂のレバ刺しの名店をセットしてくださったのだが、植村さんも私もレバ刺しが苦手で、お気の毒にその方に3人分召しあがって頂いたという次第。
その後、都内のマンションの一室を占拠しているCDのコレクションの取材をさせて頂いたりした。
そのレポートを久しぶりに読んで我ながらオモシロかった。
大幅に加筆訂正を加えたので是非ご覧になって頂きたい。
↓ ↓ ↓
The Amazing Uemura Collection~Music Jacket Galleryの源
さて、その「最後の1枚」とは『興奮の一夜』と邦題された1973年の『Over-Nite Sensation』。
私はコレを中学生の時にソニービルの下のハンターで買った。
「1,000円以下」のコーナーで確か800円だったと思う。
聴きやすくて大好きなアルバムだった。
その時から何年か経ってCDの時代になって3回ぐらい買ったかな?そして、一昨年、もう1枚LPを買った。
イギリス盤のオリジナル・プレス…だから手に入れたワケではない。
私は「オリジナル盤がどうだ」とか「マトリックスがどうだ」とかいうことには全くと言っていいほど無頓着なのです。
コレはかつて何回かフランクフルトでご一緒させて頂いたジム・マーシャルの友人の奥さんからのお誘いだったので譲り受けることにしたのだ。
ある日、突然facebookを通じてその女性から連絡があった。
「シゲ、あなたフランク・ザッパが好きって言っていたわよね?実はウチの娘がヒョンなことからザッパのレコードをたくさんもらって来たの。貴重なモノかどうかは私にはわからないんだけど、すぐにアナタのことを思い出して連絡したのよ!」という具合だった。
私はその女性のことをスッカリ忘れていたので、ビックリしてしまって、その時一緒にいた現Marshall社社長の奥さんに確認してみた。
「ああ、アナタ…彼女がフランク・ザッパを観たことがあると知って、あの時ずいぶんザッパの話をしていたわよ」と言われてしまった。
は、恥ずかしい。
その時から10年以上経っていたのにその方は私が猛烈なザッパ・ファンであることを覚えていてくれたのだ!
そこで送られてきたリストをチェックしてみると長年探し求めていた『Zappa in New York』があるでないの!
他のアルバムも「出てすぐにロンドンのレコード屋で買った」というピッカピカのオリジナル盤ばかり(←結局オリジナル盤が欲しいらしい)。
そこで、この『Over-Nite Sensation』や他のアルバムも抱き合わせで頂くことにした…というワケ。
ジャケットの色目と「Discreet」のロゴの色がが国内盤と違う。
下がそれ。
緑色のステッカーが嬉しかったりする。
「ナンダカンダ言って自慢かよ!?」ということになる。
全く自慢にはならないが…。
ところでこのジャケットを描いたデヴィッドB.マクマッケンという人…Kansasの『Leftoverture』とかWeather Reportの『Black Market』のジャケットと担当した人だって知ってた?
アタシャ知りませんでした!
以上でテーマ別展示アイテムの紹介は終わり~。
そして、今日の後半はMJG名物の立体展示のご紹介。
今日もエグイのが勢ぞろい!
ご案内のメインの文章はオーナーの植村さんの作。
●TORI AMOS / A PIANO : THE COLLECTION [RHINO (2006)]
ニューヨーク出身の個性派シンガー・ソングライターであるトーリ・エイモスのデビュー15周年を記念して発売された5枚組CD-BOX。
「米国版ケイト・ブッシュ」ともいわれる彼女のエキセントリックな楽曲が86曲も収録されており、その約半数がリミックス、ライヴ、デモなどの貴重な音源というマニア垂涎のもの。
彼女の得意とするピアノの鍵盤を模したギミック・パッケージは実にリアルな作りになっている。
鍵盤を押したりすることはできないが質感は本物そのもの!
●KISS / KISS BOX ( SPECIAL LIMITED BOX ) [UNIVERSAL (2001)]
現在もハード・ロックの雄として健在振りを見せ付けてくれるKISSのデビュー30周年を記念して発売されたのがこの5枚組CD-BOX。
この初回限定生産盤は完全にギター・ケースを模したもので、本物のギター・ケースのように硬質の木板に皮を貼って作られている。
内部には毛足の長い赤い裏地も貼られており、ミニチュアのギターが入っていてもおかしくない程の見事な仕上がりだ。
ケースだけに持ち運びにも便利!
キッスからのメッセージも封入されている。
ブックレットもゴージャス。
ホレ、Marshallがウジャウジャだよ!
●PANIC AT THE DISCO / A FEVER YOU CAN’T SWEAT OUT(COLLECTORS BOX) [FUELED BY RAMEN (2006)]
メロディックかつパワフルの両面で人気を集めているPANIC AT THE DISCOのデビュー作『A FEVER YOU CAN’T SWEAT OUT』の初回限定生産のCDとDVDをバンドルしたデラックス・ボックス。
全て20世紀初頭の頃のデザインに統一されたポスター、カード、新聞、ツアー・パンフレット、ダイアリー、パラパラ・マンガなど盛り沢山のオマケが楽しい。
●FREDDIE MERCURY / FREDDIE MERCURY THE SOLO COLLECTION [EMI (2000)]
クイーンのリード・ヴォーカリストにして名コンポーザーでもあったフレディ・マーキュリーのソロ・ワークを集大成した10枚のCDと2枚のDVDを収めた12枚組ボックス。このボックスでしか聴けない(観られない)音源(映像)もさることながら、未発表写真を数多く載せた資料満載の120ページに及ぶハード・カヴァーブックレットも同梱されている。圧巻なのは、フレディのポートレイトとサインのみで構成されたシンプルで頑丈な箱の仕様です。
●IRON MAIDEN / EDDIE’S ARCHIVE [EMI (2002)]
ヘヴィ・メタルの雄、Iron Maidenのデビュー20周年を記念して発売された6枚組CD-BOX。
Iron Maidenというネーミングとヘヴィ・メタルというジャンルの両方をそのままパッケージに投影させている。彫金で仕立てたエディの蓋もさることながら、エディを取っ手にあしらったグラスもおどろおどろしいメッセージを放っている。
ファミリー・ツリーを描いた巻物も同梱されている。
「グラスの底にエディがいてもいいじゃないか…」なんて今の若い人は知らないか…。
●遠藤賢司 / 史上最長寿のロックンローラー [ ナツメグ (1991)]
一貫して“純音楽”を追求し続ける日本では稀有なパンキッシュ・アーティスト、遠藤賢司の芸能生活30周年を記念して発売されたのが、この日本(いや世界)最大のCDシングル。
まだギネス非公認。
とにかくこの超デカ・ジャケ・サイズは物凄い迫力を感じさせる。
本人の手書きによる歌詞カードやおまけに付いている双六セットも楽しい。
ただ難点は、収納と持ち運びに不便なところ。
植村さん、これを持って帰るときには恥ずかしかったとか。
歌詞カードのサイズも特大!
エンケンさんはコレを全部歌ってる。
参加ミュージシャンの手形も付いてる!
トーベンさんや頭脳警察のトシさん。
●ONO YOKO / ONOBOX ULTRACASE [RYKODISC (1992)]
前衛アーティストであるオノ・ヨーコの音楽を集大成した6枚組CD-BOX。
全世界で350セット限定生産という極めてレアなジュラルミン製のボックス。
ガラス製の『宇宙への鍵』箱の裏地に楽譜をデザインしたり、6枚のCDを並べるとオノ・ヨーコの顔になるなど、パッケージの随所に前衛アーティストとしての主張が込められている。
世界が破壊されてもこの箱だけは絶対に未来永劫に残したいという強い意思も伝わってくる。
こういっちゃナンだけど、ヘタすると中身より箱の方が高価のような…。
●PUBLIC IMAGE LIMITED / METAL BOX [VIRGIN (1979)]
Sex Pistolsのリーダー格であったジョン・ライドンが解散後に結成したパブリック・イメージ・リミテッド(P.I.L.)のセカンド・アルバム。
初回限定生産の5万セットだけは鉄製のメタル缶に12インチ・シングル(45回転)の3枚を収めたものだ。
音質にもこだわるジョン・ライドンならではのメッセージがこのアナログの仕様とパッケージに込められている。
CD-BOXの方は、1枚にまとめられたCDがアルミ缶に収められている。
●THE MONKEES / THE BIRDS, THE BEES & THE MONKEES [RHINO (2010)]
60年代後半に世界的に大ブームを巻き起こしたモンキーズが1968年に発売した傑作アルバム『TH BIRDS, THE BEES, & THE MONKEES』のデラックス版である3枚組CD-BOX。
モノラル音源や未発表音源を満載した各CDは紙ジャケ仕様に施され、当時のレコーディング・エピソードや各音源の詳細なクレジットを載せた可愛らしさに溢れたブックレットとピンバッジも同梱されている。
3Dのフロント・カヴァーも彼等のキャラにお似合いだ。3Dはうまく撮影できませんな。
●VARIOUS ARTISTS / BAR-B-QUE SOUL-A-BRATION [RHINO (1998)]
遊びゴコロに溢れたユーモア・センスと卓越したクリエイティヴィティを誇るライノ・レコードお得意の名コンピレーションのひとつ。
バーベキュー・パーティー用にと、料理に因んだ音楽(2曲のカラオケも含む)を編集した2枚組CD-BOXだ。
特にライノらしさが感じられるのが料理のレシピやインヴィテーションのサンプルやクーポン券まで同梱しているという点。パッケージ・デザインも食欲をそそるような楽しさに溢れている。
●DAVID SYLVIAN & RUSSEL MILLS / EMBER GLANCE [ VIRGIN (1991)]
デヴィッド・シルヴィアンと、彼の一連のアルバムのデザイン・ワークを手がけているラッセル・ミルズとのコラボ作品『EMBER GLANCE THE PERMANENCE OF MEMORY』だ。
このアルバムは、ラッセル・ミルズのインスタレーション用に書かれた音楽で、100ページに及ぶミルズのインスタレーションのドキュメント・アート・ブックと併せて鑑賞するボックスとなっている。
大竹伸朗氏らによるライナーノーツは日本盤のみに同梱されている。
●DAVID BYRNE / DAVID BYRNE [SIRE (1994)]
ニューヨークの知性ともいわれたトーキング・ヘッズのリーダー格、デヴィッド・バーンのソロ・アルバム『DAVID BYRNE』の初回限定生産盤で、全世界で5000セットがプレスされた。48ページに及ぶこのアート・ブックは、彼の身体の各パーツの拡大写真(中にはレントゲン写真やCTスキャンの写真も!)が巨匠ジャン・バプティスト=モンディーノによって撮られ、デザインもロバート・バーグマン=アンガーの手によって見事に仕上げられている。
ちょっと番外でJethro Tullの『Thick as a Brick』が展示されていた。
下は私が持っている盤。
本当に新聞の間にレコード盤が挟まっている態。
この新聞はもちろん架空のものだが、20ページくらいのしっかりした出来になっている。
いつか内容を全部読んでみようかと思っている。
この世紀の名盤の邦題は『ジェラルドの汚れなき世界』。
ジェラルド・ボストックなる少年が書いた「Thick as a Brick」という詩が詩作のコンテストで最優秀賞に選ばれたが、あまりにも内容が子供らしくないという理由で失格になったという。
その詩にイアン・アンダーソンが曲を付けたということになっている。
でも、これはウッソで~す!
こんな詩を8歳の少年が書くのはムリで~す。というタルらしい人を食った内容。
イアンの悪い冗談。
この作り話を信じた人が「Thick as a Brick (おバカさん)」ということか?
…と思ったらつい先日、facebookで自分のお気に入りのレコードを紹介するサークルでどなたかがこの「アルバムを挙げて8歳の少年が書いた詩にイアン・アンダーソンが曲を付けた」という解説を付けていたのには驚いた。
1972年の発売から50年を経てまだダマされている人がいるなんてJethro Tullはスゴイ!
そうか…このアルバムも50周年か…。
立体展示は以上。
今回は金羊社の屋上のテラスからお別れしましょう。
美しい夕焼け!
現在は休止しているが、MJGは予め閲覧を申し込んでおけば誰でもご覧になれます。
再開の暁にはゼヒ足をお運び頂き、レコード・ジャケットの楽しさと重要性を味わってくださいまし。
MJGの詳しい情報はコチラ⇒[金羊社]MJG常設展公式ウェブサイト
さて、最後に…。
このレコード・ジャケットを提供しているのは先ほどから何度もお名前を拝借している日本屈指のコレクター、植村和紀さん。
何度かMarshall Blogにも直接ご登場頂いてきた。
植村さんのコレクションの情報はコチラ⇒The Amazing Uemura Collection~Music Jacket Galleryの源
その植村さんが西荻窪で経営されているカフェがその名もズバリの『MUSIC JACKET GALLERY』。
時折ココでしか聴けないライブも開催している最高の音楽空間。
やさしい植村さんが笑顔で迎えてくれます。
音楽好きの方はゼヒお立ち寄りください!
MUSIC JACKET GALLEYの詳しい情報はコチラ⇒公式Twitter
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Marshall Music Store Japan
Marshallのレコード屋さん「マーシャル・ミュージック・ストア・ジャパン」営業中です!
Marshall Recordsのバンドの作品を販売するお店。
Marshall Music Store Japanはコチラ
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Marshall Music Store Japan
(一部敬称略 協力:植村和紀氏一氏 ※立体展示アイテムのテキストは植村氏の解説を元に制作しております)