JEKYLL★RONOVE~Go To A Dream within a Dream
久しぶりにバンドの生演奏の場にお邪魔した。
無観客の配信ライブの現場だ。
会場は何度も訪れている新宿のWild Side Tokyoさん。
客席はこの通り。
床に貼ってあるのはソーシャル・ディスタンス・ポイント。それぞれが動物の足跡になってるの。
私は寅年なのでTigerにしよう。午年の人はコレね。蛙年の人はココだよ。
そういえば先日、カラッカラに晴れた日、事務所の前の道路にこんなヤツがいたんよ。
車に轢かれてペッチャンコになってしまってはかわいそうだし、Tシャツに貼り付かれてももう「ド根性」が出せる年齢ではないので、傘で追い立てて道路の端に避難させた。
結構大きかったけど、ナンていう種類なんだろう。
カエルオタクの人、教えて!
ちなみにカエルは「無事に帰る」に通じることから「交通安全」のお守りになっているんですよ。
「お宅に帰る」ってか。
開演の時間というのか、放送の時間っていうのか…とにかく準備が着々と進む。
先日D_DriveのYukiちゃんが単独で出演した配信番組というのをMarshall Blogでレポートさせて頂いたが、冒頭に書いた通り、こうしたバンド形態での配信は初めての経験。
もう長年見慣れたこのセッティングの風景。
この後開場の時間になって、この日のライブを楽しみにしていたファンが堰を切ったように場内になだれ込んでくる。
そして、開演。
1曲目が終わって大きな歓声が沸き上がる。
「オマエら最後まで行けんのカァァァァッ!」
途中で帰るぐらいなら、そもそも会場に来たりはしないってば…お金払ってんだから。
…なんて段取りが今日はない。
ものスゴく不思議な気持ちでこの今回はこの光景を眺めていた。今日はJEKYLL★RONOVEの『Go To A Dream within a Dream』と銘打った配信ライブ。
以前、NATALドラマーのMayoちゃんのフェスティバルでレポートした通り、昨年末にリズム隊の2人がジキロノを離れることになり、今年になって当のMayoちゃんの正式加入が決定したのだ~!
そして、今回はMayoちゃんが参加してから初めての本格的なステージだったというワケ。
昨年の12月に旧メンバーでリリースした2枚目のフル・アルバム『A Dream within a Dream』。
今日のショウのタイトルはこのアルバムにちなんでのモノ。開演時間になってステージに上がって円陣を組む4人。
わかっちゃいるけど、やっぱりお客さんがいない!
長い間こういう仕事をしていると、コロナ前でもごく稀にコレに似た光景に出くわすことが正直あったけどね~…やっぱり寂しいナァ。
N★OTO(なおと)N★OTOのMarshall。
今日も大愛用の2555X Silver Jubileeと1960BVで暴れまくる。新加入のベーシストはYOU。
お気に入りのバーチ。
コンフィギュレーションは12"、13"、16"、22"。
1曲目はその最近作から「Seize the Day」。
アルバムのオープナーだ
Marshallの粘り気の強いサウンドがブラッシングをクールに演出する。
久しぶりのJEKYLLの歌声!
ベースのピックアップ・ソロから…
Marshallとレスポールのコンビネーションの素晴らしさをアッピールするかのようなギター・ソロ!
バッチリですな…
Mayoちゃんとジキロノ。
そして、NATALとジキロノ。
もちろんコレはMayoちゃんが叩いているから!やっぱりJEKYLLの歌はカッコいい!
昨年の11月にMayoちゃんがやっているAZAZELで客演した時の歌もスゴかった。
出て来ていきなり「オメェら、ボケっとしてたらブッ飛ばすぞ、コノヤロ~!おいそこの!耳の穴、よくかっぽじって最後まで楽しんでいきやがれ~!」…なんて乱暴はことはもちろん一切言わないんだけど、歌がそういう雰囲気を醸し出してる。
それがロックの歌だよ。
「ありがとう、ゴメンなさい」がロックであることを許してはならない。
だからこうしてマーブロやってんだ、コノヤロー!…あ、失礼、ついJEKYLLにつられてしまった!お客さんの有無なんて全く意に介さない火の玉のようなパフォーマンス!
ま、こうなるとは思ってナンの心配もしていなかったけど…。
続いてはアルバムの曲順通りに「Biblical Sense」。
「4つ打ち」もヘヴィにキメて見せるMayoちゃん。
この「♪チッターチッター」というビートをナゼ「4つ打ち」と呼ぶのだ?
誰がそう呼び始めたんだろう?
いつも気になる。
「♪ジキルとハイドのように 肌を通して煮えたぎる愛はエクスタシー 愛のふたつの顔をみせてあげる」
このサビの「♪Love is ecstacy」の2小節が実によく耳に残るんだよね~。
『ジキル博士とハイド氏(The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde)』を書いたスティーブンソンはスコットランドはエジンバラの出身。
エジンバラの博物館に行くと、グラハム・ベルからショーン・コネリー、ベイ・シティ・ローラーズまでいかに多くの偉人をスコットランドから輩出しているかの展示がしてあって、それが「イングランドに負けてたまるか!」と対抗心を燃やしているようでオモシロい。
オッソロシク美しい街だけど、2日半滞在して雨が降っていない瞬間はホボなかった。
興味のある方はコチラをどうぞ⇒【Shige Blog】イギリス紀行2012 その7~エジンバラ
おお、そういえばモード・ジャズの先駆けとなった名盤の誉れ高いMiles Davisの1958年のアルバム、『Milestones』の1曲目は「Dr. Jekyll」という曲だよ。カッコいいよ。
アタマ2曲、ド迫力のプレイで滑り出した!
MCも当然普通のライブ通りに挟み込まれるんだけど、コレはさすがにやりにくいよね。
昔持っていた古今亭志ん生の無観客のスタジオ録音の高座のテープを思い出しちゃった。
やっぱり、客席から反応がないので、さすがの志ん生師匠も大変やりにくそうだったな。
JEKYLLはそれにもめげず、ごく普通にこなしていたのはサスガ。
次に繰り出したのはまだ音源になっていない新曲の「Never Let me Go」。
MCを挟んでバラードの「Always~The Answer is Blowin' in the Wind」。
フジテレビのドラマ『ROAD TO EDEN』の挿入歌。
赤坂BLITZでお披露目のイベントが開催されたのはもう3年も前かのことか!
そのBLITZも今月で閉館だもんね~。
まだ山の上にあった頃、イングヴェイを観に行ったり、タクシーでArch EnemyにJCM900を配達したりしたのもいい思い出だ。
もちろんそんな感情は一切抜きにJEKYLLはこのバラードを切々と歌い上げた。
『A Dream~』から「Change of Mind」。これまたいかにもジキロノらしいミディアム・テンポのヘヴィ・ナンバー。
YOUさんのベースと…
Mayoちゃんのドラムスがガッチリと組み合ってその「ヘヴィ感」を強調する。そこへ切り込むギター・ソロ。
コンパクトで中身の濃いソロだ。この曲はJEKYLLの声の魅力が実にうまく活かされていると思う。
やっぱり「音楽」は「歌」だネェ。
そして「歌」は「声」だネェ。
今、こういう正統な「ロックの声」で歌うロック・シンガー人は男女を問わずかなり少ないよね。
若いバンドさんの中には全く見かけることができない。
もっともこんなカッコいい声で「ありがとう、ゴメンね」と歌われても困るけどね。
今度はメンバーを交えてのMC。
「さて、残すはあと3曲になりました!」
「シーン!」
ま、仕方ない。
しばらく舞台から遠ざかっている間に、衣装がスッカリ縮んでしまったというMayoちゃん。
衣装が縮んだのではなくて、着ている方が大きくなったことは本人に言われなくてもみんな気が付いている。
緊張するんだそうです…この手のライブは。
ナゼかというと、PA卓の音がそのまま送り出されてしまうからだという。
つまりミスをするとそれがあからさまにわかってしまうっていうんだな。
ん?ということは、普段はミスしてもヘッチャラということか…。「When you hear music, after it's over, it's gone in the air. You can never capture it again(音楽を聴いていて、それが終ると音は空気の中に消えてしまう。そして、それをつかむことは二度と出来ない)」
…とは天才アルトサックス奏者、エリック・ドルフィーの『Lat Date』に出て来る有名なセリフを思い出す。
今、ジャケットはコレじゃないんだけど、私は若い頃コレで親しんだので敢えてこのデザインを挙げておいた。
そして、ショウは最終コーナーに入る。
最後までブッ飛ばしていくぞ~!まずは、2018年にリリースした3枚目シングル『Oneness』から「Go Hand in Hand」。
開演前は「緊張するぅ~!」の連発だったMayoちゃんだけど、一旦ステージに上がっちゃえば大丈夫。
思いっ切りNATALを鳴らしまくってくれた!
「Guilt or Innocence」をブチかます!YOUさんもノリノリだ!
そして、最後は「Helter Skelter」で締めくくった。
1時間という時間でタップリとジキロノの魅力を爆発させたステージだった。MCはさすがにやりづらそうだったけど、演奏に関してはお客さんの有無はあんまり関係ない感じの白熱っぷりだったよ。こういうのお客さんはナニで見ているのかしらん?
パソコン?スマホ?
パソコンをテレビにつないでいるとか?
とにかく、向こう側のお客さんにバイバ~イ。
JEKYLL★RONOVEの詳しい情報はコチラ⇒JEKYLL★RONOVE official site
さて、今さかんに展開しているのはプロ・ギタリストがCODEのサウンドメイキングを伝授するシリーズ『BREAk the CODE』。
コレに近々ジキロノが登場するのでお楽しみに!
BREAK the CODEはコチラ⇒Marshall Blog
(一部敬称略 2020年8月22日 新宿Wild Side Tokyoにて撮影)