Marshallの造形美を愉しむ~STUDIOレンジ写真集
おかげさまでサウンドもルックスも大好評のSTUDIOシリーズ。
今日はですね、事務所で写真を撮ってみたので、そのSTUDIOシリーズからVINTAGEとCLASSICを取り上げてMarshallの造形美をジックリ味わってみようかという企画。
要するにSTUDIOシリーズ写真集。
「写真集」なんて初めてじゃない?
イヤ、毎回ヘタな文章を組み合わせた写真集みたいなものか?
今日は「写真集」なので、機能がどうだとか、音がどうとか…ということは書かないつもり。
あ、ひとつ…今日のタイトルのこと。
我々は何かの一連のカタマリをよく「シリーズ」って呼ぶでしょ?もちろん間違えではないんだけど、英語圏の人って同じ意味ではこの言葉をあんまり使わない気がするんだよね。
見ていると、我々が言う「シリーズ」のことを英語圏の人は「range(レンジ)」って呼んでる。
「連なり(series)」より「幅(range)」ということなのかしらん?
今日はこの言葉で統一してみるね。
まずはVINTAGEレンジから。
1×12"コンボのSV20C。
スモール・ゴールド・ロゴと美しいソルト&ペッパー・フレットを味わう。
ゴールドのパイピングとビーディング、レヴァント・カバリングはビンテージの証。
このプレキシ・グラス仕様のコントロール・パネルのツラ構えがまたいい。
SVシリーズは4インプットということもあって1959の20Wバージョンという風に理解している人も多いようだけど、それは違う。
何回も書いている通り、1959というモデルは「100W、4インプット、マスターボリュームなし」…というのが厳然たる定義。
出力が20Wとなった途端、それは1959ではなくなる。
だから「1959タイプ」っていうことね。
次はSVレンジの1×12"エクステンション・キャビネットのSV112。
まず、フルフェイスのソルト&ペッパー・フレットが目を惹くよね~。
Marshallのフルフェイス・キャビネットって間違いなくカッコいい。
エクステンション・キャビネットの天端はハンドルのみののっぺらぼう。
でもこの2本のゴールド・ビーディングがデザインを引き締めているね。
スピーカーはレンジ共通のCelestion製12"、70W…Celestion V。
SV20CをSV112の上に乗せてみるとこういう感じになる。
この場合、アンプもキャビネットもインピーダンスが16Ωなので、2x16Ωというスピーカー・アウトプットに結線してやれば上下両方とも鳴らすことができる。
次に2×12"キャビネットのSV212。
別売りのキャスターを取り付けることができるようになっているのだ。
SV20CをSV212に乗せる。
この場合、インピーダンス・マッチングが取れないので3つのスピーカーを全部同時に鳴らすことは不可能。
SV20CでSV212を鳴らすということになる。
ところがドッコイ、同じ20Wでもこっちは4インプット。「1959タイプ」だから。
LOUDNESSという表示もうれしいね。
ゴールド・メッシュをあしらったリア全体の様子は1959ゆずりだが、パネルは黒でその使い勝手も近代風。
1959が誕生した1965年には「センド&リターン」も「DI OUT」もなかったからね。SV20HをSV212の上に乗っけてみる。
…と、ココまで来るとやってみたくなるのは三段積み。
SV20HとSV112とSV212を積み上げるとこうなった。
でも、これもインピーダンス・マッチングが取れないのでどちらかのキャビネット1台しか鳴らすことはできないのであしからず。
続いてCLASSIC。
同じようにコンボから。
コチラは1x12"のSC20C。
1981年に発表されたJCM800レンジには2204のコンボ・バージョンの4010や2205の4210等の1×12"コンボがラインナップされていたが、やっぱり雰囲気はゼンゼン違うね。
JCM800だからロッカー・スイッチ。
今のパーツは表面が曲線になっているけど、昔はカクッとしていた。
SCの1x12"エクステンション・キャビネットはSC112。
スピーカーはSVと同じCelestion製12"、70W…Celestion V。
またSC20CとSC112を組み合わせてみると、こんな感じ。
こちらのハンドルは1960と同じプラスティック製だ。
もちろんSV212同様に別売りのキャスターを取り付けることができる。
またSC20CをSC212の上に乗せてみる。
何か上下で「他人同士」っていう感じがしないでもないな。
この場合もSCの時と同じく、インピーダンス・マッチングが取れないので3つのスピーカーを全部同時に鳴らすことは不可能。
SC20CでSC212を鳴らす、ということになる。
ヘッドはSC20H。
2203タイプ。
同じように言っておくと、2203の定義は「100W、2インプット、マスター・ボリューム付き」ね。
だからこれは「2203タイプ」ということになる。
2203に見慣れていると、チョット窮屈な感じがしないでもないけど、この雰囲気はやっぱりステキ。
1981年にJCM800レンジが発表された時、この両側にまで延びたフロント・パネルのデザインは大きな反響を呼んだらしい。
大学生だった1981年当時、私は70年代製のJMPの1959と1960AXを持っていたけど、世間がそうなっていたことは知らなかったな。
私には「100Wか50W」、「三段積みか二段積」の別しかなかった。
それは今ではこんなことをしているんだから人生どうなるかわからない。
SV112に乗せるとこう。
どうなの?
私の印象というか、好みというか、ヘッドと1x12"の組み合わせはSCの方がスキッとしていて、2x12"の場合はSVの方がビシっとキマっているような感じがするな。
きっとフレット・クロスの色の影響なんでしょう。
それと112キャビネットの縁の厚みだ!
こっちも三段にしてみると、こんな感じ。
この場合もSV同様、インピーダンス・マッチングが取れないのでどちらかのキャビネット1台しか鳴らすことはできないのであしからず。
いかがでしたでしょうか、黒と白と金のMarshallの世界。
やっぱり最高にカッコいいね。
いまだにストラトキャスターやレスポールが揺るぎないギターの王者の地位を確保している一方、ボタンひとつでどんなことでもできて、メンテもラクラク、そしてどんな音も出してしまうデジタル機材の登場でギター・アンプの世界はずいぶん様子が変わってしまった。
音の良し悪しについては、百歩譲って好みと用途で意見が分かれるところだと思うけど、機材のルックスのカッコよさが忘れられようとしているのではないか?大きな危惧があるんだよね。
今ではホンモノのMarshall三段積みを見たことがない若いミュージシャンがいるんだから。
でもね、デジタル・アンプに音のモノマネはできたとしても、そしてどんなに便利で手軽であろうとも、Marshallのようなルックスのカッコよさだけはマネできないでしょう。
え?外側だけ貸してくれって?ダメよ、ダメダメ!
どうしてこの黒と白と金で出来た箱がこれほどまでにカッコいいのか…。
コレは音楽を作り出した箱なのだ。
だからカッコいいのだ。
目覚めよ真のギタリストたち!
STUDIOレンジ好評発売中。
それにしても、Marshallをキチっと撮影するのは実にムズカシイ。