犬神サアカス團の騒乱!混乱!大狂乱!
昨年11月に発表した、目下のところの最近作『黄金郷』の発売記念ツアーは今年はじめに完了。
ユックリ休む間もなく、引き続いて春のツアー、『犬神サアカス團の騒乱!混乱!大狂乱!』を催行した犬神サアカス團の4人。
今日はその千秋楽のレポートだ。
しかし、犬神さんはエライね。
曲を作ってCDにして、ツアーをやって、気の利いた物販のアイテムを考えて…バンドのテイストを変えることなくず~っとコレを繰り返してる。
しかも、コレを本当に当たり前のことのようにやってる。
いわゆる「イヌガミクス」というヤツだ。
もう日本ローリング・ストーンズだね、犬神さんは。大したもんですよ。
今回は上述の通り、何かの新作の発表に引っ掛けてのツアーというワケではない。
膨大なレパートリ―の蓄積からセレクトされた「犬神アルマナック」といったところか。
強いて言えばフィーチュアのしどころは上のバナーにあるように『暗黒礼賛ロックンロール』か。
ココはメンバー同士も大変仲がよろしいな。
電気人間・犬神情次2号
情次兄さんの機材。
向かって左のJCM800 2203と1960Aが愛用のMarshall。
今回のヘッドはWT-600。
キャビネットいつも通りのD410XSTだ。
明兄さんのNATALはメイプル。
フィニッシュはブラック・スパークル。
赤い足袋に赤い鼻緒の草履。
上下赤で統一されている。
今回、凶子姉さんはこの他にも数々の機材を利用して満員のお客さんを楽しませた。
追々紹介していこう。
1曲目は2011年の『死ぬまでROCK!』から「猟奇の国のアリス」。
普段は演らない曲。
犬っ子としてキャリアの短い私などには初めてナマで耳する曲だ。
この「アリス」も色々なところで取り上げられる人気モチーフだ。
ディズニーの「不思議の国のアリス」の主題歌は愛らしいワルツで、ジャズのスタンダードにもなっている。
そして、「アリス」を題材にしたジャズといえば何と言ってもChick Coreaの『The Mad Hatter』が真っ先に挙がるだろう。
ココのところ長い間Chick Coreaの劣化が喧伝されているが、『The Mad Hatter』 を発表した1978年頃は油の乗ったいい仕事をしていた。
ルイス・キャロルも犬神サアカス團とお近づきになれてさぞかし喜んでいることだろう。
作詞は凶子姉さん。
ココでMC。
挨拶の後、早々とMarshall Blogの取材が入っていることをアナウンスしてくれました。
凶子姉さん、ありがとう!
コレが他のバンドだと客席が「おおおおお~!」ってなって、帰り際にファンの皆さんが私を見つけて「記事を楽しみにしています!」と声をかけてくれるんよ。
しかし!
犬っ子、犬っさんは実にクールでしてね。
凶子姉さんがステージでMarshall Blogのことに触れても「シ~~~ン……」。
終演後に誰かが声をかけてくれるなどということは今までただの一度もない。
恥ずかしがってるか、Marshall Blogを見ないようにしているか、見てもMarshall Blogが気に食わないかのどれかだな。
あるいは本当は犬神サアカス團が好きではない…とか?
いいの、いいの、それでいいの。
ホントにバンドによってファンの皆さんの動向ってのがマチマチで、それがまたおもしろいんだよ。
「さぁ~、ウジウジしてるヒマはないよ!せっかく生まれて来たんだから!」と2005年の『スケ番ロック』から「最新型アンドロイド」。
もう1曲続けて「妄想天国」。
2006年の『形而上のエロス』からの情次兄さんの作品だ。
MCをはさんで最近作『黄金郷』から「樹海」。
今度は2006年の『待ちわびた日~形而上のエロス外伝』に収録されている「小悪魔エレジー」。
スゴイな~、行ったり来たりで。
一体どうやって曲順を決めたんだろう。
何か法則めいたモノでもあったのだろうか?
中盤にさしかかったところで出て来たのが新曲「暗黒礼賛ロックンロール」。
ハイ、私やっちゃいました。
正直に白状します。
「礼賛」をつい「れいさん」と呼んでしまいました、ハイ。
正しくは「らいさん」ね。もちろん知ってたんだけど、チョットした気のゆるみから「皆さんの誤解を招きかねない表現」をしちゃったよ!
でも、その「発言は撤回した」からいいでしょ?
「今後は説明責任を果たし、全力で職責を全うしたい」と思っている。
ま~、よくやるわ~。
この曲がシングルになっているんだけど、バンド・スコアが付いてる。
曲はシンプルでストレートなメディアム・テンポのへヴィ・ロックだ。
ギターとベースはタブ譜のみの表記。
しかし、このタブ譜というのは功罪あるナァ。
オジちゃんが子供の頃はタブ譜なんてモノはこの世になかった。いわゆるオタマジャクシだけ。
ギターの場合、親切なスコアには「1/13」とか「3/8」とか音符の下に記してあった。
コレ「1弦の13フレット」とか「3弦の8フレット」とかいう意味。
CDには模範演奏の他、各パートのマイナス・ワン・バージョンが収録されていて、スコアにはメンバーからの演奏のアドバイスまで掲載している。
そして、このロゴ!
よ~、やるわ~。
コレを一ツ橋の方に持って行っちゃダメよ。
2004年のシングル『都合のいい女・ほんとにほんとにご苦労さん』のカップリング曲、「愛の亡霊」。
そして、ジョニーちゃんの作品、「猫町」。
萩原朔太郎?
「犬神」に憑かれた者は肉ばかりを食い、「猫神」に憑かれた者は魚ばかりを食う。
続けて情次兄さんの歌う「開かずの踏切」。
前回、『夜行列車極楽行』に収録されている曲を演奏するのを見たことがない…とMarshall Blogに書いたところ、今回この「開かずの踏切」とさっきの「猫町」が取り上げられた。
コリャMarshall Blogに書いたからだな?と思って情次兄さんに確かめたところゼンゼン関係ないんだってよ…なんだよ。
ま、普段演らないような曲を並べたということだ。
情次兄さんが歌っている間ステージからさがっていた凶子姉さんが「人面疔」を歌いに戻って来た。
しかし…歌詞といい、曲調といい、今時こんな曲人前で演ってんの世界広しといえどもこのバンドだけだろうな。
ウン、このままどんどん続けて欲しい。
また機材を手にしている!
凶子姉さんの「機材 その3」は…ドワ~、「ぬさ」だ。
神社で神主さんがファサッファッサと左右に振るアレ、「ぬさ」とか「大幣(おおぬさ)」とかいう。
あの儀式で穢れを祓うんだね。
最近は見かけなくなったが、以前の犬神のステージには卒塔婆が設置されていた。
してみると、犬神サアカス團っていうのが神仏混淆なんだね。
間奏では凶子姉さんが大エキサイト!
狂ったようにぬさを振りまわす姿に明兄さんも笑っちゃってる!
「メメントモリ」…
そうか、リストの「死の舞踏(Totentanz)」は「メメント・モリ」と関連しているのか…。
この話はまた別に機会に。
『セタカムイ』からの曲は「残酷楽園」。
このアルバムにはチョーカッコいい「ドグマの呪い」が入ってるよね。
本編を締めくくったのは2003年のシングル「最後のアイドル」。
ぬさに続いて振り回し系機材が活躍し、にぎやかに本編の幕を下ろした。
そして、アンコール。
また出て来た凶子姉さん機材。「その5」だ。
今度は「かわいいウチワ」。
曲は2008年にライブ会場限定にて販売されたシングル曲で、後にベストアルバム『籠の鳥、天空を知らず』にも録された「かわいい音頭」。
音頭っていうのもすごいリズムだよね。
「リズム」より「間」を優先する国、日本が誇るオリジナル・リズム。
何といってもコレとドドンパがすごい。
四分音符ふたつに三連ふたつなんて間抜けなリズムは日本人以外に考え付かない偉大な発明だ。
なんでも名前は都都逸の「ドド」とルンバの「ンパ」から来ているとか…。
教わらなくても自然と盛り上がっちゃうのは日本人の証拠。
外人はこのリズムを耳にしても恐らく眉一つ動かさないだろう。
あるは眉をひそめるかもしれない。
通常営業に戻って「運命のカルマ」。
すばらしいMarshallのクランチ・サウンドで犬神ミュージックを演出した情次兄さん。
ナゼかジン兄さんだけアンコールで着替えなかったのよ。
写真を取り違えているワケではないぜ。
ジン兄さんのEDENの音はヌケ過ぎるぐらい抜けていた。
こういうへヴィ・ロックのベースはこういう音を聴かせなきゃイカン!
明兄さんの叩くNATALの音はいつ聴いても痛快だ。
このドラム・サウンドも今となっては犬神サウンドの重要な要なんじゃねーの?
この後、もう一度メンバーがステージに上がり「絆」を演奏した。
タンバリン、ぬさ、ポンポン、ウチワとマッシブな機材陣を動員して観客を魅了した凶子姉さんなのであった!
終演後のようす。
会場は死人(しびと)の群れでゴッタ返している。
あ、失礼!お客さんだった!
おお~、「暗黒礼賛ロックンロール」のスコア…いやCDも!
何のパートか存じ上げませんが、練習がんばってください!
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(一部敬称略 2017年5月13日 高田馬場PHASEにて撮影)