Thunder Snake ATSUGI 14th Anniversary SPECIAL LIVE!!~BLIND BIRDの章
厚木のライブハウス、Thunder Snakeが14周年を迎え、記念ライブが企画された。
今日のレポートはそのうちのひとコマ。4つのバンドが登場した。
フフフ、「ツーマン」ダメ、「スリーマン」ダメ…とくれば、バンドが4つ出た日にゃさすがに「フォーマン」とか言うと思った?
もしくは「ダブル・ヘッドライナー」、「トリプル・ヘッドライナー」と来たらその次はどうなるんじゃいと思った?
じゃ、今日はまたコレで脱線してみるか…。
single、double、tripleまでは誰でも知ってる。元はラテン語。正確な意味は「~倍」だ。
しからば「4倍」はどうなるか…「quadruple(クワッドループル)」という(「ル」にアクセント)。略して「quad」と言ったりする。
もう15年ぐらいは経ってるかな~。
以前、JCM2000の後継機種をどうすっべか?という会議があって、Marshall先進国の関係者がイギリスの本社に集まって会議を開き、アイデアを募ったことがあった。
私はいつもの調子でゴチャゴチャと色んなアイデアを出したんだけど、その中に「4チャンネルのモデルはどうスか?」というのがあった。
JCM2000シリーズはDual、Tripleとやったので、こうなりゃ次は「4しかない!」と思って「Quad Super Lead」というアイデアを出したのだ。
すると会議の時に、司会のMarshallの担当者が「誰だっけな~、誰か4チャンネルとか言ってたヤツがいたな~。Quadだってよ!誰が言っていたんだっけな~?」と、あたかもバカ者扱いしやがんの。
私は下を向いていましたが…。
それから数年経って…、見ろ!JVMを!
4チャンネルじゃねーか!
ま、今となっては懐かしい話ですな。
新商品のアイデア出しの会議で、話がアクセサリーなんかに及ぶとおもしろいんだよ。
みんなそれぞれ自分のお国事情に合わせて勝手なことばっかり言っちゃうワケ。
「お前、ソレ!ゼッタイ自分が欲しいだけだろ!」みたいなアイデアがジャンジャン出てくる。
昔は朝から夕方までビッチリ話し合ったもんでしてね、私なんか英語を聴きとるのに必死で、クタクタになっちゃったもんです。
話を少し戻すと、上のdual。意味としては「二重」ということになるんだけど、じゃ「三重」は何ていう?
trial?…チガウ、チガウ!それ「トライアル」で意味が変わっちゃう!
答えは「triple」でOK。
不思議なことに「2」の時だけdualという別の言い方があるんだって。
ハイ、それで話をもっと戻して「4」。
ダブル・ヘッドライナー、トリプル・ヘッドライナーと来たんだから「クワッドループル・ヘッドライナー」と言いましょう!…ということは言わない。さすがに長い。」
「4バンド」でいいでしょう。英語なら「Four bands」だ。
ナゼなら、この「クワッドループル」という言葉は、英語圏でも滅多に使われることがないらしいからだ。
…ということで4バンドが結集したイベントのうち、3バンドのステージを3日間にわたって紹介する。
トップバッターはおなじみBLIND BIRD。
オープニングは人気の「hi-lite」。
私が名盤と評するサード・アルバム『仮想粒子』の最後を飾るキラー・チューン。
ストレートなヘヴィ・テイストから中間のテクニカルなインスト・パートに移る構成が実にスリリングだ。
ん~、この声!この声がBLIND BIRDの声。
そしてその声を支える楽器陣。
やっぱりギター・サウンドはMarshallでないとダメね。直志さんの声に負けちゃう。
優也くんはJCM800 2203。
キャビネットは1960Aを横にしてBキャビに見立てて使っている。
猛然と突き進むマニッシュなギター・ソロ!
シュレッディングだけがギター・ソロの魅力ではない!と訴えかけているかのようだ。
優也くんのギター・ソロはロック・ギターのプリミティブなカッコよさを思い起こさせてくれる。
「ドラマチック」に「ダイナミック」をドップリ注ぎ込むのがPONさんのドラム。
PONさんはNATALだ…と言いたいところだが、今日はイベントなので借り物キットを使用。
普段はこんな感じ。
再び活動を始めた古巣のFEEl SO BADでもNATALで大暴れしてくれている。
そして相変わらずインテレクチュアルな河野さんのベース。
コレでBLIND BIRDが飛翔する。
この曲のMVがあるので紹介しておこう。
発表から少々時間が経ってはいるが、BLIND BIRDの魅力を知るにはもってこいのフッテージだ。
もちろんMarshallやNATALが大活躍!
2曲目は目下のところの最新アルバム『Spicy Sweet』から「Keep the Tension」。
先日のお台場の野外ステージでも演奏していた曲だ。
適度にポップなメロディがキレッキレのシャッフルに乗ってスッ飛んで行く!
河野さんのスタッカートで刻む3連はお見事!
今時こんなベース弾く人いない!。
ワウを効果的に使った優也くんのソロ。
この曲、メッチャかっこいいと思うんですけど…。
最後のパートはいつ聴いてもトリハダものだ。
直志さんもギターを提げる。
アンプはもちろんMarshall。
直志さんもJCM800 2203を愛用している。
キャビネットのセッティングは優也くん仕様だ。
同じく『Spicy Sweet』からジトッとマイナーに攻めるミディアム・ナンバー、「Bala Bala」。
この曲も中間にハッとするようなキメがあるんだ。
こういう予想だにしない仕掛けをシレっと織り込んでくるところがいい。
続けてセカンド・アルバム『Mescal Soul Drive』のオープナー、「凡才」。
さらに同アルバムからバンドのテーマ・ソング「Blind Bird」。
はじけるようなパワフル・チューンだが、決してそれだけには終わらないテクニカルなテイストが素晴らしい。
スキルフルな連中だけが醸し出す深みのあるテイストとでも言おうか、サウンドに威厳があるね。
持ち時間の加減でもう最後の曲!
名盤『仮想粒子』から「Still」。
甘くせつないメロディがすごく印象的なんだけど、コレ、変なんだぜ。
Aメロが…
I|Idim|IIIm|IIIm|IIm7|V7|
…というコード進行で、6小節ワンパターンになってる。
二回目はコレのが後ろに1小節くっついて7小節でひとパターンになってるの。
ディミニッシュをうまく使った曲ってやっぱりすごく魅力的だよね。
最近の若いバンドさんの演っている曲はダイアトニック・コードとそのアヴェイラブル・ノートだけで作られているモノが多いのでスリルも何もあったもんじゃない。
人の心を動かす音楽のカギのひとつは「半音」にあると思うんだよね。
とにかくBLIND BIRDってこういうトリッキーなことを結構やってんだよね。
さりげなく変拍子になってたりとか…。
詩と歌詞がそういう仕掛けによってすごく活かされてくる。
要するに工夫して演っていることが自然なんだな。
音楽はムズカシイことをやればいいってもんじゃないからね。
いくらムズカシイことをしていても自然にかつ、カッコよく聴こえなければなんの意味もない。
Zappaを聴けば私の言っていることがすぐわかる。
ホントにいいバンドだと思いますよ、BLIND BIRDは。
その良さを失わずにガンガン突っ走ってくれることをひたすら願っている。
このまま4人で…さすればその良さもQuadrupleだ!
Blind Birdの詳しい情報はコチラ⇒BLIND BIRD official web site