LED ZEPAGAIN ロックショー・リバイバル「狂熱のライブ1973」~4th Night of M.S.G.~ <前編>
「Led Zeppelinのライブ・アルバムが出る!」と世間が騒いでいたものだから、『The Song Remains the Same』が発売されると、すぐに秋葉原の石丸電気に買いに行った。
1976年…オイオイ、ちょうど40年も前のことだよ!
私が14歳、中学2年生の時のことだからムリもないか。
それまでにもLed Zeppelinのレコードは何枚か持っていたが、ライブ盤にどういう価値があるのかは当時は知る由もなかった。
中学生にとって二枚組のレコードはかなり高価な買い物だったが、ブックレットも付いているし、ジャケットの紙の質が高級で、重厚感があってうれしかったのを覚えている。
ところが…まだロックに夢中になり出してからそう時間が経っていない時分だったので、「Rock and Roll」からのA面の前半3曲には大興奮したものの、B面とC面、それにD面の「Moby Dick」を聴くことはなかなかの荒行だった。
正直、スリ切れるほど聴いたというアルバムではないが、学校に持って行って担任の窪寺先生に没収されたりして、思い出に残るアルバムであることは確かだ。(放課後、先生から返してもらった『永遠の詩』がきれいに新聞紙に包んであった。規則を破った生徒のモノとはいえ、人様のものだからきっと大切に扱ってくれたのだと思う)
しかし、「The Song Remains the Same」を「永遠の詩」としたのはけだし名訳だな…今にして思うと。
「Rock'n'Roll」のイントロの直前の男の人の叫び声が「お~、早く演れよ、お~」って聞こえなかった?その翌年、その映画が日本でも公開された。
もちろんすぐに映画館に観に行った。東銀座の松竹セントラルだ。
結構混んでいたように記憶しているのだが、松竹セントラルのような大封切館を満員にするほどロック・バンドに人気があったなんて信じられないな。
一体誰があんなに観に来ていたんだろうね。
こんな映画、どう考えたってロック好きの大人しか観に行くワケないんだから。
ナンカそういうところからして今とは隔世の感があるな。
さて、映画の方はというと…ツラかったな~。
当時は何しろビデオもない時代だったので、動くロック・バンドを拝むにはフィルム・コンサートに出かけるか、『ウッドストック』、『バングラ・デシュ』を見るぐらいのものだった。
Shige Blogに『ウッドストック』の思い出を詳しく書いたが、そんなんでも興奮したもんよ。
で、この映画…何しろあの幻想のシーンが長くて長くて…寝た。
それでもところどころ現れる、Led Zeppelinが動いてるシーンには感動したな~。
ところで、今回この記事を書くにあたって気が付いたんだけど、一般的にこれらの邦題は、アルバムは『永遠の詩』といって、映画を『狂熱のライヴ』って呼んでいるのかしら?
それにしてもDVDが何でこんなジャケなの?
さて、今年もやって来ましたLED ZEPAGAIN!
今回も東京は六本木のEXシアターでの2日興行で、ライブ・アルバムや映画の素材となった1973年のマジソン・スクエア・ガーデンの公演を再現しようという企画。
本家は1973年7月27、28、29日の3日間の公演だった。
だから、このEXシアターの公演が「4th Night」になるワケ。
そう、今夜は六本木通りが7thアベニュー。
EXシアターがマジソン・スクエア・ガーデンになるのだ。
最寄りの駅はロッペンギ駅をご利用ください。(マジソン・スクエア・ガーデンの地下には鉄道が乗り入れていて、駅の名前を「ペンシルべニア・ステーション」という。愛称が「ペン・ステーション」。だから「ロッペンギ」とシャレてみた)
冒頭、例年通りEXシアター支配人の倉林さんが登場。
「見てください、このホンモノの機材!」
しかし!今の利便性を追求するだけのバックラインとは音はおろか、漂う空気がまったく違うことは間違いない。
「Rock」の空気だ!
とうとうホンモノのメロトロンまで登場!
日本人のメロトロン好きを知ってのことかしらん…?
今では滅多に見ることのできない「前時代的」な楽器の王様だろう。
しかし、この音色は何物に代えがたい。
そもそも、エコープレックスといい、ステージに磁気テープが乗っているコンサートなんて今時他にないでしょ?
倉林さんからマジソン・スクエア・ガーデン公演の説明が加えられる。
ホントに好きだな~、倉林さんも!
もう一人ステージに上がったのが照明業者の方。
今回は当時の照明まで再現したのだ!
いよいよ本編。
「Bron-y-Aur」のオープニングSEに乗ってステージには羽毛が降りそそぐ。
そしておなじみのドラムのイントロから「Rock and Roll」!
ロック史に燦然と輝く大スタンダード。
やっぱり問答無用でカッコいい!
ライブ・アルバム通りの曲順。
すなわち本家のコンサートもこう進行していたのだ。
このソロもいい加減カッコいいよな~。
桜井さん、水を得た雷魚のような突進ぶり!
ココで「Black Dog」。
映画では後半に出て来るんだっけ?映画館ではこの場面で目が覚めたのを覚えている。
Macの「Oh Well」も好きだけど、「Black Dog」もやっぱりいいナァ。
「Rock and Roll」、「Celebration Day」ときて「Black Dog」じゃさぞかしマジソンは盛り上がったことだろう。
そして、今、我々もそれを味わっている。
アルバムのRobert PlantのMCを聴くと、「前回とココで演った時と今回の間に『聖なる館』をリリースしました」と言っている。
そして、同アルバム収録の「The Song Remains the Same」を演奏する。
我々にはピンと来ないことが多いと思うが、このライブ・アルバムの音源は1973年のもので、アルバムがリリースされたのが1976年と、当時は3年も前の音源になるワケで、こんなMCをレコードで聴いて、英語圏の人はどう思ったかね?
やっぱり「古っ!」って思ったのかな?
そういえば、「ナンでこんな古い音源をライブ・アルバムに使ったんだ?」という論争を当時ラジオでやってたな。
話を戻すと、そんな時期なので、。『Houses of the Holly』からの選曲が多くなっている…というワケで実際のコンサートの次の曲は「Over the Hills and Farway」。
牧歌的な静から躍動感あふれる動へと動く瞬間がたまらなく魅力的だ。
実は…もう何年も前のことだが、この曲はMR.JIMMYの演奏でそのカッコよさを知ったのね
今、記事を書きながら当然『The Song Remains the Same』を聴いているんだけど、圧倒的にJPJのベースがあまりにもカッコいいね。
Jimがその役割を完璧にかなす。
今回が二回目の日本での演奏となるDerek。
Jimとのコンビネーションはバツグンだ。
そして、桜井さんの微に入り細にうがったギター・プレイ。芸術だ!
ということで、またしても『Houses of the Holly』からのチョイスで「Dancing Days」。
この曲は「Over the Hills and Farway」のシングルB面だった。
ココ、シングルの両面を演奏したんだね。
こんな曲までマジソンで演っていたなんておもしろい。
続いては『IV』から「Misty Mountain Hop」。
軽快にバウンスする人気曲。
それにしてもすさまじいスモーク!
(行ったことはないが…)まさに富士山頂!コレがホントのMisty Moutain、イヤ、Foggy Mountainか…。
これはいくらナンでもスモークたきすぎでしょう?
最後の方はほとんど影絵みたいになっちゃったからね。マジソンはこんなに煙ってないよ。
メドレー形式で「Since I've been Loving you」。
この「Misty」からの流れは当時定番のシークエンスだった。
命を削るようにしてひとつひとつの音を紡いでいく姿はまさに「トリビュート」。
Jimmy SAKURAIの詳しい情報はコチラ⇒MR.JIMMY OFFICIAl WEBSITE
<後編>につづく
(一部敬称略 2016年10月21日 EX THEATER ROPPONGIにて撮影)