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2015年11月 5日 (木)

稲葉囃子~スキスキ四人囃子! <前編>

今日は四人囃子の話題。
へへへ、二本立てにしちゃった。だって大スキなんだもん。
公私混同というなかれ。
コレもこの四人囃子という日本のロックを代表してあまりある最高の音楽集団の偉業を後世に語り継ぐ「伝承作業」のひとつなのだ。
ま、誰かに頼まれたワケじゃないけど…要するに大スキなのよ!

四人囃子は1971年のデビューだから、私がまだ小学校3年生ぐらいの時からあんなことをやっていたワケで、メンバーの皆さんがまだ21歳の時分には『一触即発』してたことになる。
21歳だよ、21歳。21歳って成人式の次の年じゃん?
昔の人(大二さん、失礼!)はホントに偉かった!
それだけ歴史も長く業績も大きいので、ワタシなんぞが四人囃子についてガタガタ抜かすと、その当時から見ている大先輩に怒られそうなので、公なことには触れないでおこう。
で、レコードはもちろん昔から聴いていたものの、実は、私がホンモノの四人囃子を見たのはかなりかなり後になってからのことなのね。
だって、私がライブハウスに通いだした頃にはもう活動していなくて、見たくても見れなかった。
それである日、渋谷の屋根裏で三文役者のライブの片づけをしている時にBGMで佐藤満さん時代の「カーニバルがやってくるぞ」がかかっていて、その演奏のカッコよさに腰を抜かしたことがあった。
昔の人(大二さん、失礼!)はホントにカッコよかった!
だもんだから、2000年に開催した『マーシャル祭り』に満さんをお迎えした時はものすごくうれしかった。
それから三年後の2003年、『Rock Legend』という企画でProcol Harumと四人囃子が共演する機会があった。
Procol Harumのギタリストで、当時Marshallのデモンストレーターを務めていたGeoff Whitehornに会いに日本酒の一升瓶を片手に会いに行った。
そして、その時が初めてナマで四人囃子を体験した。
それまでにも四人囃子は再結成をして何度か見るチャンスがあったのだが、昔務めていた会社の関係で、東京を離れていた期間もかなり長く、そんなにも後になってしまったのだ。
それ以降、色々な機会に恵まれ、今では大二さんにNATALを使って頂くまでに至ったという次第。
人生ナニが起こるかわからない。

コレは思いでのステージ。
2010年8月に炎天下の日比谷野音で開催された『PROGRESSIVE ROCK FES 2010』というイベントのひと幕。
「人生で最も暑かったであろう一日」ということもあるが、佐久間正英さんの四人囃子での最後のステージとなったことでとても忘れ難い日となった。

10他にRenaissanceとSteve Hackettが出演。
ご覧の通り会場は超満員だった。オジちゃんばっかりだけど…。
でもね、みんな聞きたいんだよ、プログレ。
日本人ってプログレッシブ・ロック好きでしょう?コレを誇りに思いたいのよ。
でもさ、もう風前の灯じゃんか。
イギリスはもうとっくの昔に絶滅状態だし…。
若い人たちにこの知的でカッコいいロックを知ってもらいたいナァ。こんないいものをオジちゃんたちだけに独り占めさせておくのはモッタイないよ。
…ってんで話は飛ぶけど、最近ね、スゴイの見つけたんよ。マジでスゴイ。プログレのトリオ。近日Marshall Blogで紹介するのでお楽しみにね。

20自慢コーナー行きます。
四人囃子の未発表音源をコンパイルした五枚組CD、『FROM THE VAULTS』の第二集。
上が佐久間さんのサイン。下は大二さん。
左はこのコンサートの時に持参して四人のメンバーにサインを入れてもらった。
右は大二さんだけのサイン入り。大二さんがプレゼントしてくれた。
「Thank You!! ウシさん!!」のメッセージが何ともうれしい。
どちらも家宝だ。

30コレハ森園さんのサイン。
このジャケット、白い部分が少ないもんだから色んな所にサインが飛び散ってる。

40表4には坂下さんのサインが収まっている。
もちろん第一集も持ってる。

50そして、本日の本題。
稲葉囃子。
ま、名前を見ればわかちゃうだろうけど…。

60ドラム、四人囃子の岡井大二。

70vキーボードも四人囃子の坂下秀実。

80vベースは山崎洋。

90vそして、ギターとボーカルは稲葉政裕。

100v大二さんはNATAL。
バスドラムはノン・ミュート。「NATALは本当に音がいいよ。特にバスドラムがスゴイ。ノン・ミュートでも自由自在にコントロールできちゃう」と友人のドラマーに説明していた。そのドラマーも大二さんのNATALのサウンドに大きな関心を持っていた。
大二さんが言うんだから間違いないわね。

110バーチのキット。12"、16"、22"。フィニッシュはグロス・バーガンディ。
大二さんのキットはMarshallのステッカーが目印だ。

120稲葉さんはMarshall。

130v1962 Bluesbreaker。
「コレ、どうなっての?」…と我が耳を疑いたくなるぐらいいい音だった。こんなにいい音、チョットいい加減にしてください。

140足元のようす。

150二人囃子と稲葉さん+山崎さんで稲葉囃子。「イナババヤシ」と読んでいるけど「イナバヤシ」の方が言いやすいナ。
「イナバウアー」みたい?「どうも稲林です」って苗字みたいになっちゃうか?

160一曲目は「Flying」。
あの『The Magical Mystery Tour』の「Flying」ね。
180
1976年リリース、『ゴールデン・ピクニックス』のオープニング曲。
大二さんも坂下さんも22歳の時の作品だ。
ライナーノーツの写真を見ると「若い~」と言いたいところだけどとても22歳には見えん。今の感覚だと35歳ぐらいか?
もう一流ロック・アーティストとしての貫録バリバリなのよ。
このアルバムのライナーが凝っててね、使用楽器、スタッフ、レコーディング日時までビッシリ書き込まれている。
大二さんは「まさか!」っておっしゃっていたけど、10ccのライブ盤『Live and Let Live』は『ゴールデン・ピクニックス』のアイデアを借用したのではないかなんて思っちゃう。10ccのライブ盤もやたらめったら細かいことが書いてあって、機材車の運転手の名前まで出てるんよ。

170cdもうこのアルバム大スキで大スキで…。
あんなにオリジナリティあふれるファースト・アルバムを出しておきながら、それに続くアルバムの一曲目がカバーだなんて…。
この大二さんのゴースト・ノートがタマらないんだよね。

190v稲葉さんのボトルネックがいい感じ!
この曲、ビートルズが残した唯一の純粋なブルースなんだってね。「Birthday」もそうかと思ったけど、あれはサビが付いちゃってるからね。

S41a1310 そして、12フレットのナチュラル・ハーモニクスと16分で刻むハイハット!
信じられないことにアルバム通り「カーニバルがやってくるぞ(パリ野郎ジャマイカへ飛ぶ)」!…涙が出ちゃったよ、うれしくて。
260v
一緒に歌いたくてもオエオエしちゃって歌えない。
290v

中学校の時、この曲を初めて聞いた時にゃ感動したナァ~。今でも十分に感動できるけど。
特に真ん中のLeo Ferreの「パリ野郎(Paris Canaille)」がお気に入りだった。
当時はシャンソンなんてまったく知らなかったけど、とにかくこの破天荒に楽しい雰囲気に酔ったね。
こんなことする日本のバンドなっていなかったし、今なんかもとできないでしょ?40年前だよ。
最近、シャンソンもいいな…って思ってる。

240v

そして、「行け~!」とギターが爆発するところ!
200v
いきなりドラム・ソロ。大二さんの得意ワザ、足ミュートつき。

205大二さんと坂下さんによれば、今まで四人囃子がキチンとした譜面になったことがなかったとか…。
今回それを編纂した山崎さん。大変だったって!

210v三曲目は「空と雲」。
1974年に発表された日本のロック史の燦然とその名を刻む『一触即発』の二曲目。

270cd

このアルバム、一曲目は「[hΛmǽbeΘ]」という小品なので、ファンが四人囃子の実体に触れるのはこの二曲目に収められている「空と雲」になる。
坂下さんのエレキピアノだ。

280
そこにシャープな大二さんのドラムが重なる。NATAL絶好調!

220柔らかい稲葉さんの歌がまたすごくいい!

230大分前に横浜BLITZで稲葉さんが主催するイベントの取材をしたことがあった。それ以外にもアチコチで何度もお行き会いする機会があって、何となく私の顔を覚えてくださっていたようだったのだが、今年の2月、Johnny A.というギタリストのライブでガッツリご一緒させて頂いてようやくキチンをご挨拶をすることができた。
そういえばJohnnyも1962を使用している。

250で、コレは稲葉さんが展開している「わがままセッション」という企画の一環で、「四人囃子にトリビュート」するというアイデアでメンバー二人をお呼びしてに付か間にわたって開催された。

300ありがたい。
色んな形で大二さんのプレイを拝見しているが、やっぱりいいね、四人囃子の大二さんは。
そして、NATALがそのドラム・サウンドを支えていることを考えるとついニヤニヤしちゃう。

310vウワ!このイントロ!「ラム」だ!
「機械じかけのラム」…コレも初めて聴いたときは驚いた、あんまりカッコよくて。

320v1978年の『包』。
「bao」と書くけど発音は「パオ」。
後期の傑作アルバム。

330cdまさか今になって大二さんが叩くホンモノの「機械じかけのラム」を聴けるとはね~。
この曲のドラムがまたアホほどカッコいいんだ~。
というのは、四人囃子の再結成モノでは満さんの曲が演奏されることはまずないからね。私は満さん時代のレパートリーも大スキなのだ。
イヤハヤ、長生きはするもんじゃて、フォッフォッフォッ。

340vこの曲が聴けるのも稲葉さんのおかげ。
このアルバムがリリースされた1978年は稲葉さんが美容学校に入学された年だそうだ。当時は「カリスマ美容師」ならぬ何でも切っちゃう「刈ります美容師」を目指していたそうだ。
よかったね、何でも切っちゃわなくて…さもなければ小田サウンドも今のモノではなくなっていたかもしれない。

350vそして完璧な演奏に感謝…さらに感激。

360「Machine Work Rum」というタイトルの元ネタはもちろん「Clockwrok Orange」なんだろうけど、この時代で早くもコンピュータをテーマにしているところはご慧眼といえよう。
他にもPANTAさんの「HALのテーマ」もそうだが、今の子供たちがスマホをテーマにした歌を歌っているのとは土台クリエイティビティの格が違う。

370稲葉さん、ありがとう!と心の中で何度もお礼を言ってしまったよ。

380vMCでどなたかが触れていたけど、1968年に起きた「三億円事件」って知ってる?
今の価値で10億円だって。
望月三起也の「ワイルド7」に、収監者が自分の頭の良さを示唆するために「三億円事件の計画の一部は私が担当した」っていうシーンがあるんだけど、(『緑の墓』だったかな?)、アレがカッコよかった。
犯人、どうなったんかネェ?

第一部、最後の曲は『一触即発』から。

390cdチンチンチンチキ、チンチンチンチキ…このレガート。
「おまつり」にキマってんじゃん。
私はこのシンバル・レガートを「新・三大ドラム・イントロ」のひとつに選びたいね。他はSteely Danの「I Got News」。後は、「She Loves You」かな?「Birthday」かな?
大二さんの場合、「円盤」もあるからな~。

400そんな重要なパートだけど、実際はこんな感じ。
長年の経験で仕事のすべてに精通していて、部下の書類をパラっと見ただけでハンコを押すかどうか判断できちゃう部長みたいな感じ。
ま、大二部長の場合はたいてい押しちゃうんだけどね。
でも、案外ハンコがもらいにくいのが機材部門なんだよ。
勝手に「弘法筆を選ばず」かと思い込んでいたら、全然シビアなのです。ヤケクソに耳がいいからね。それだけにNATALを心底お気に召して頂いているようでうれしいのです。

420やっぱりこのイントロのギターはこういう表情になりますよね。「♪クーン」って。
それにしてもいい音だな。
このBluesbreakerってのは実に多芸なMarshallだ。ソフトでウォームなトーンから喰いつくような鋭いサウンドまで弾き手の思いを忠実に音にしてくれる。
こういういい曲があるとそれがわかりやすい。

430v四人囃子のレパートリーの中でも人気の高い曲だ。

440「♪何もすることがなくて、おろしたてのバラ色のシャツ着て…」

450ココから次々とドラマが展開していく。
480
そしてハードな頂点に!

490vああ、こういうロックが帰って来ないかナァ~。

470初代ベーシストの中村真一さん、それを引き継いだ佐久間正英さんが天国へ行ってしまった今、オリジナルの「四人」の「囃子」を聴くことはもう望めないが、とにかく、見ておいてください。
「ロック好き」を標榜しておいて「四人囃子」を見たことがない…なんてことは考えられないからね。
そんなの寿司と天ぷらだけ食って「日本食通」を気取っている外人みたいなもんだから。
この「稲葉囃子」、観れる機会があれば絶対にお見逃しなく。ゼッタイに!

500
<後編>につづく

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。
M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版作ってます!不慣れな作業でもうヘロヘロ!)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2015年9月13日 高円寺JIROKICHIにて撮影)