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2015年10月26日 (月)

SHOW-YA~Return to 鹿鳴館 <前編>

デビュー30周年を迎え、パワフルな企画が目白押しのSHOW-YA。
春と夏、二回の『NAONのYAON』、連作カバー・アルバム『Glamorous Show』のリリースとそれに伴うツアー。
そして、満を持して発表したオリジナル・アルバム『PROGRESS』。
「限界LOVERS」のセルフ・カバーや安室奈美恵との共演等、話題に事欠かない作品だが、何よりも収録されている曲のひとつひとつのみずみずしさたるや筆舌し難いものがある。
また同時に30年もの間、日本のロック界を走り抜けた、ロックの酸いも甘いも知り尽くしたベテラン・バンドの枯淡の境地を見たような気がする。
みずみずしいやら、枯れているやら…一体どっちなんだ?と訊かれならば、「両方」と答えるしかない。
そして、「最高の日本のロックがここに詰まっている」と付け加えて差し支えないだろう。
さらにSHOW-YAは「Work in progress」…進み続けるのだ。

ひとつ商売っ気のあることを言わせてもらうならば、sun-goさんのギターの音。
すべてギンギンにMarshallを鳴らして録ってくれたそうだ。
最高のロックには最高のギター・サウンド。またしてもMarshallが名盤の誕生の瞬間に立ち会うことができて光栄である。

Uicz4334_edi_extralarge私もお手伝いさせて頂いた。とても光栄なことだ。
このCD、パッケージを開けるとトレイの部分に写真がゾロ~リ!熱心なSHOW-YAファンの皆さんの顔写真だ。
日頃の応援に対するSHOW-YAの感謝の気持ちだ。
この皆さんの写真の一部を撮らせて頂いたのだ。

Sr_img_5419_3それらの写真はSHOW-YAの東京公演の際、赤坂BLITZのロビーで撮ったものだ。
コレ、大変だったんだゼ~。
もちろん希望する方がワンサカで、撮っても撮っても終わらない。迫りくる開演時間を気にしつつシャッターを切っていると、アララ、聞こえてきたのは「♪ドンドコドドンコ、ドンドコドドンコ」の「移民の歌」。
ハラホロヒレハラ、残りは終演後ということで走ってホール内の定位置に向かったのよ!
安心してください。間に合いましたよ。
あの苦労がこうして形になって感無量でござる!
老眼でとても肉眼でひとりひとりのお顔を確認することができないので虫メガネを使ってチェックすると…いるわいるわおなじみの皆さん!いつも応援ありがとう!
ウワッ!ウチのカミさんまで写ってる…って私が撮ったのね。ま、彼女もSHOW-YAの大ファンには違いありませんから…。
チ、自分も撮っておけばよかったよ…失敗した。

Sr_img_5419_2そして、もうイッチョ記念企画。
30年前にデビューした舞台に帰ろう!ということで二日間目黒の鹿鳴館でコンサートを開いたのだ。
鹿鳴館といえばMarshall Blogにも頻出する私にとってもホーム・グランドのような勝手知ったるライブハウスだ。
鹿鳴館にSHOW-YA…、一体どうなっちゃうんだ…。パンパンなんてもんじゃ済まないことはわかり切っている。
小規模な会場ゆえ、熱のこもったスゴイ演奏になることもわかっている。
残念ながら一日目は先約があってお邪魔できなかったので、期待と不安の入り混じる気持ちで二日目に臨んだ。

おお~、見慣れた五人のバックラインをここ鹿鳴館で拝めるとは…なんかスゲエ新鮮な感じ。
もちろんsun-goさんは場所がどこであろうとJVM410Hと1960BDMだ。

10ファンの方からのおすそ分け。
SHOW-YA三十周年記念「熟女なめんなよ饅頭」!

20メンバーのサイン入りの整理番号「1番」のチケットを見せて頂きましたよ。30年に一回のことだからね。
右手首にはシッカリと「6番目メンバー」のリストバンドが…。

Sr_ticket3 いよいよ開場。
イケ~!
真っ先にステージへ走り寄る整理番号1番のお客さんとそのお友達。

30そして開演。
わかっちゃいたけど、パンパンで~す!
デビュー・アルバムの一曲「TOUCH DOWN」のイントロからLed Zeppelinのサード・アルバムの一曲目へ…。
さぁ、これからしばらくは脚立の上だけが私の世界だ!熱気が上がって来てなおさら暑い!サウナの上段状態。40出た~!
ち、近い…でも、私はいつもより遠い!

50ボーカル、寺田恵子

60vギター、五十嵐sun-go美貴

70vキーボード、中村美紀

80vベース、仙波さとみ

90vドラム…アレッ、また?

100vこっち、こっち、ドラムは角田mittan美喜

110v二日間ほとんどダブりがないセットリストが用意され…

110二日目は「限界LOVERS」からスタートした。

120最新版がニュー・アルバムにも収められた30年の長い歴史の中でも重要な位置を占める曲だ。

130その意味をわかりすぎるぐらいわかっているファンの皆さん。
大合唱は当たり前。そして朝飯前!
それにしてもスゴイ熱気!暑い!

140まずは恵子さんから30年分のご挨拶。

150vドカドカとアップテンポで攻めまくる二曲目は…

Sr_s41a8001 1985年のファースト・アルバムThe Masquerade Show」から「Au Revoir」。

160vまずは原点回帰。
320

いわゆる典型的な「ジャパメタ」スタイルの曲だが、今のSHOW-YAが演奏するとそうは聴こえない。「SHOW-YAミュージック」だ!

180続いては「Fire」。
ステージの間口が狭いと皆さんいっぺんに撮れてうれしいけど、mittanが撮れないの…。

1901986年のセカンド・アルバム「Queendom」から。

210

しかし、今となっては「Kingdom」も「Queendom」もありませんな。SHOW-YAは現存する日本のロックの最高峰ですよ。
とにかくカッコいいわ。

220v

サード・アルバム『Ways』から「One Way Heart」。
安心してください!さかのぼってますよ!

230

「One Way Heart」は今でも時折演奏される人気曲だからしてますます盛り上がっちゃう!

240
いつになくコマメに入る恵子さんのMC。
暑いし、酸素薄いし、休み休みやらないと身体がマイっちゃうからね。

200vまた『Queendom』に戻って「Mr. J」。
260
サビのメロディがキュートなこの曲は恵子さんとmittanの作品。
280v
六曲目「Hurry up」。
これまた1985年のファースト・アルバムから。

270ちょ~ッと、ナニ、これ?
メチャクチャかっこいい!
ガール・バンド全盛の現在でもこんなハード・ブギを演るバンドは皆無だよ。

250

以前にも何回か書いているけど、今の若い人は「3」の感覚のロックを演奏しない、というかできない…というのは日本を代表するベテラン・ロック・ギタリストのご指摘。まったくその通りだと思う。
「3」とはシャッフルやブギ等の3連を基調としたリズムのことを指している。
仕事柄、私も色々な若いバンドの演奏に立ち会っているが、男気一本で(SHOW-YAさんゴメンナサイ!)ザッカザッカとハードにドライブするバンドは私が見る限り、皆無だ。シンプルなブッ速いエイト・ビートばかり。
これは、若い人たちにシャッフルやブギを演奏できる能力がないというワケでは決してなく、どこかの時点で完全に伝承作業に失敗していると思うのだ。つまり若い人たちはそういう「3」のリズムの魅力に触れたことがないだけなのだと思う。
Status Quoのようなキレッキレのブギをカッコいいと思わない人間がこの世にいるワケがない。
そこへ行くとね、外人は「3」好きだよ。そこがロックに関する洋の東西の分かれ目なのかも…。

330
だから若い人達だってこうしたカッコいい曲に巡り合うことさえできれば、その魅力を知り、自分たちなりに工夫して、自分たちだけの音楽を作り出すことが出来る可能性もあるのだ。
これまた別の超有名なギタリストとこのような今の音楽シーンについて話し合う機会があったんだけど、もちろん私は「否定」の立場。その方は、「支持派」だった。理由を「今は何でも好きな音楽が出そろっていておもしろい」とおっしゃった。
「そうですかねぇ~」と私はそのご意見に与しなかった。
一枚2,500円だか2,800円も出してLPレコードを買わなくても、今はYou Tubeやら配信やらで手軽に聴きたい音楽が手に入る。私はコレすら支持しない。正直、時折You Tubeはレコード棚から音源を探すのが面倒な時や、どうしても手に入らない音源をチェックせざるを得ない時にお世話になってるけど、ダラダラとアレコレ見るようなことはしない。
ずーっと大枚はたいて音楽を手に入れてきたクチなもんだから、そういうものは音楽に対して失礼な気がしてしまうのだ。
310
そんな何でも手軽に手に入る時代でも、こうして失われていくいいものが実はたくさんあって、何でもそろっているように見えても、実は同じモノしかなく、音楽の状況は危機的に軽佻浮薄極まりないと私は観ている。
ユニクロ以降の「ファスト音楽」って感じ?
とても支持層に杭が達しているとは思えない。
もしくはキチッとしたレストランでする食事ではない。だからSHOW-YAのように熱い鉄板の上でジュウジュウ音を立てている分厚いステーキな演奏を聴くと色々な意味でうれしく感じてしまうのだ。つまりは肉食系ロック!
もっと高校生ぐらいの若い人にもSHOW-YAを聴いてもらいたいよ。

290vところで、これらファースト・アルバムに収録された曲はロンドンはセント・ジョンズ・ウッドのアビィ・ロード・スタジオでミックスされたワケでしょ?
Hayden BedallというCamelやAlan Parsons Project、KateBushらを手がけた人が担当したと聞いている。
だいたいAlan Parsonsは後にミュージシャンとして成功を収めることになるワケだけど、元々はレコ―ディン・エンジニアで、The Beatlesの『Abby Road』や『Let it Be』の制作に携わった人なワケ。
そんな人の作品に関わったエンジニアの耳には一体SHOW-YAの音楽がどう聴こえたんだろう?
ああ、Marshall Blogでその場にいて色々とそのオジちゃんにインタビューしたかったナァ。

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セカンド・アルバムから、ジックリと聞かせる「時を越えて」。

170

イヤ~、それにしても曲のクォリティが高いこと、高いこと。
Marshall Blog読者の皆様はもうよくご存知の通り、私は今日演奏されている曲を出していた時分のSHOW-YAを知りません。
1985年といえば大学を卒業して就職し、富山へ赴任させられた年だった。ひとりで寂しかったナァ。その寂しい気持ちを癒してくれたのはジャズでしてね…その頃はもう全くロックを聴いていなかったんよ。
何せ社内旅行の余興で浴衣を着て「枯葉」やら「モーニン」を弾いて見せていた頃だから…。
社内旅行ってキライだったナァ~。ま、行けば行ったで楽しんだけど、観念するまでが地獄の苦しみだった。
イヤ、そんな話はもちろんどうでもいい。
とにかく粒ぞろいの曲たちだ。出て来る曲、出て来る曲に汗ダクダクでシャッター切りながら大興奮!

360vそして、このこなれた演奏!
sun-goさんのギターの音!
もうタマりませんわ。
今レギュラーで演奏している曲も大スキだけど、この頃のレパートリーも積極的に取り入れてもいいのではないだろうか?
イヤ、今こそこれらの曲も引っ提げて「ホンモノの日本のロック」をブチまけてやるべきなのではなかろうか?

300
SHOW-YAの詳しい情報はコチラ⇒SHOW-YA オフィシャルサイト

370

汗ダラダラで<後編>につづく。

380(一部敬称略 2015年8月30日 目黒鹿鳴館にて撮影)