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2015年4月 9日 (木)

RHYTHM OF FEAR <前編>~BIG☆X PROJECT

『RHYTHM OF FEAR』というイベント。
EARTHSHAKER、人間椅子の登場とあってよろこび勇んでお邪魔してきた。

…と、現場に着いてタイム・テーブルを見ると、オープニング・ゲストとして「BIG☆X PROJECT」というグループが登場するという。
EARTHSHAKERの工藤さんと話していたら、「元BAD SCENEの人たちがやってるバンドだよ」と教えてくれた。
「え~?誰だろう…」
ま、どなたにせよ、どの道私のことは覚えていらっしゃらないだろう。
「どうしようかな…ご挨拶しようかな…」とほんの少し逡巡したが、すぐに意を決して恐る恐る隣の楽屋を訪ねてみた。

10お会いしてすぐにわかった。
元BAD SCENEのメンバーというのは、当時下手でギター弾いていた杉山さん。

O_s41a2211そして、ドラムの三根生さん!あ、ちなみに写真は楽屋のようすじゃないよ。本番中の写真ね。

16vBAD SCENEはCharさんやナルチョさんが在籍していたことで知られる、ボーカルの金子光則さんが中心となって1971年に結成された名門バンドだ。その当時のメンバーではシングル盤を1枚残している。

私がBAD SCENEを知ったのは高校1年ぐらいの時だから1978年あたりか…。
もうオリジナル・メンバーで残っていたのは金子さんだけで、ボーカル+2ギター+ベース+ドラムという編成で、それはそれはカッコいいロックをやっていた。
どういう風にカッコよかったのかというと、ともすれば演歌もしくは歌謡曲をハードにしたような雰囲気になりがちだった当時の日本のロックのスタイルを洋楽のまんま演った…といえばよかろうか?(この当時のBAD SCENEを知っている人もたくさんいるので、あまりヘタなことは書けんぞ…)
日本語を超カッコいいギター・リフの曲に乗せて演ってみせたのだ。
加えてZZ Topの「Tush」やFoghatバージョンの「Honey Hush」をカバーするセンスも秀逸だった。
「日本にもこんなグループがあったのかッ!」…とにかく16歳の少年の耳には、昨日ロンドンから来日したバンドが、自分たちのレパートリーを日本語で演っているように聴こえたのだ。

新しいレコードもリリースしていないBAD SCENEをどうやって知るようになったか…ハッキリと覚えていないのだが、多分、数日前に喧ちゃんのバースデイ・コンサートの記事内の織田哲郎さんの所で触れた、アマチュアの音楽サークル、「Plumage(プルーミッジ)」を通じてだったと思う。
もちろんBAD SCENEはアマチュアではないので、イベントの時にゲストして招かれていたのだ。
ある時、小岩にある(あった?)音曲堂という楽器屋さんのホールでイベントが開かれて、そこにBAD SCENEが登場した。
せいぜい20分とか30分とかの持ち時間なのに、Marshallのハーフ・スタックはもちろん、三根生さんはフル・セットを持参してきていて、ドラムのセッティングだけで軽く出番の時間を上回っていた。
そのPlumageが企画した杉並公会堂でのコンサートなんかもなつかしいナァ。
大分時間が経ってから吉祥寺のシルバー・エレファントで観た時には自作のPAシステムを持ち込んで、すさまじくダイナミックなサウンドで演奏をしていた。

こうして屋根裏やロフトにもよく見に行き、都度演奏を録音していた。ところが、当時はカセット・テープを買うお金もロクに持っておらず、上から録音して何度も繰り返し使うのが普通で、当時の音源はほとんどウチには残っていない。失敗した。
ところが、後生大事に保管しているテープがある。
有楽町にあった「Lo-Dプラザ」で録音した音源。
「Lo-Dプラザ」は日立のオーディオブランド、Lo-Dのショウルームで、オーディオ機器のPRのために好きなレコードが自由に聴けるようになっていて、1枚でも多くいろんなロックを聴きたかった私はハイエナのように毎週日曜日になると通ったものだった。
そこにはライブ・ステージを録音する体験コーナーが併設されていて、16チャンネルぐらいのミキサーとカセット・デッキ(もちろん日立製)がついた席が20~30設置されていた。
予約をしておけば、席がひとつ与えられ、目の前で人気バンドが演奏している音源を好きなようにミキシングして自分だけのライブ・アルバムが作れるというシステム。もちろん無料。

下の写真のテープにはもちろんBAD SCENEの演奏が収められているのだが、後半、小川銀次さんが参加しているのである。
銀次さんがちょうどRCをお辞めになった時ぐらいなのかナァ。銀次さんはおっそろしく記憶力がいいので、正確にこの時のことを覚えていらっしゃるかもしれない。
BAD SCENEは前半に「バラード」、「イン・ザ・シティ」、「熱い愛」、「風に向かってぶっとばせ」を演奏。
銀次さんが加わって「ダンシング・ウィザード」、「銀次」、「ライジング・ドリーム」の3曲を演奏している。
発売して間もなくの頃なのか、入手したてだったのか、杉山さんのほうではない鴫村さんという方が、やたらギター・シンセサイザーを使っていらっしゃるところに時代を感じる。
で、この「Rising Dream」が超絶で、銀次さんのソロを部分的にコピーして仲間と演奏したこともあった。
こんな演奏ができる若いバンドは今の日本のロック界にはまずいないだろう。

ついでに書くと、このテープのA面に収録されているのはPANTA&HALがLo-Dプラザに出演した時の演奏を、後年、マルチトラックで流した音源を録音したもの。「生録」ではないのだが、まだ今剛さんが在籍していた時代で、もう弾きまくり!この中の「マーラーズ・パーラー」の今さんのギター・ソロも当時コピーした。本当にケタ違いのスゴイ演奏だ。
このテープは私の宝物なんじゃ!

50

その後、BAD SCENEは「SAHARA」というシングル盤をリリース。日本人離れした曲と演奏がすこぶるカッコいい。

30
コレは「SAHARA」歌詞カード。裏ジャケっていうのかな?
向かって左のギターの人が杉山さん。

40

そしてこれが1982年にリリースされたフル・アルバム。
帯を見ると「誰が、ROCKを口あたりのいい音にしてしまったのか…」とあるが、このアルバムに限っては、残念ながら人のことが言えない内容が収められてしまった。
イヤ、正確には制作サイドがそうしてしまったのだろう。
鴫村さんのギター・ケースに「PURE HARD BOOGIE BAND  BAD SCENE」と記したテープ(今のテプラみたいなヤツ)が貼ってあったのを今でも覚えているが、このアルバムの音楽はそうは聴こえなかった。屋根裏やロフトで観たあのカッコいいBAD SCENEがこの中にいなかったのである。(好きな人にはゴメンナサイ)

意を決して今回杉山さんにもこの辺りの話しをさせて頂いたが、「そう、イジりすぎちゃったんだね~」とおっしゃっていた。
そこでだ…今からでもいいから…イヤ、今だからこそBAD SCENEに復活してもらって「辛口のロック」に再び命を吹き込んでもらいたいと願っている。
当時の曲を当時のまま演奏して、あの名曲たちを後世に残すべきなのだ。

20そして、舞台に話しを移す。
BIG☆X PROJECTのステージだ。

60ボーカル。ボブ・テンバロー。

65vギター、杉山勝彦。

70もう一人のギターは米山大輔。

80vベースに金森佳朗。

100vドラムは三根生啓だ。

110オープニングは「夕暮れ」という曲。

120杉山さんと米山さんの格好やボトルネックを見ると、サザン・ロックか?と思ってしまがちだがさにあらず。
アメリカンともブリティッシュともつかぬサウンド。どっちかというとブリティッシュかな?

O_img_0050 確かに言えることは、「心地よい」だ。コレがロックの心地よさだ。やはり、長年にわたりドップリとロックに浸かってきた連中の演奏だ。出て来るものは「Rock」以外には何もない。

160

コレは以前にも書いたことがあるように記憶しているが、35年前、杉山さんは「音がいい」と大評判の当時使っていたストラトキャスターを指して、「東京の楽器店にあるストラトキャスターを全部試して一番音が良かったのがコレなんだ!」とおっしゃっていた。
高校生だった私は「やっぱスゲェな、プロは!」と思ったものである。
加えて「Marshallは50Wを選んだ」とも…つまり1987だ。当時は1987と1960×1の組み合わせを「UNIT15」と呼んだ。
でも、私の周りでは。Marshallを「ユニット・ナントカ」って呼んでいるヤツはいなかったナァ。どう呼ぶかというと、「2段積みか3段積み」の別と「50Wか100W」の区別ぐらいだった。
そういえば、最近どこかの楽器屋のウェブサイトで3段積みを2段積みと呼んでいるのを見かけて仰天した。ヘッドを数に入れていないのだ。
コレは素人さんは時折迷うようだが、オイオイ、プロがそんなこと言うのはやめてくれよ…と言いたい。
もちろん杉山さんのチョイスはアンプでナチュラル・ディストーションを得るためだった。

…ということも楽屋で話すと大盛り上がり!「オイオイ、よく知ってるね!ちょうど今もその話しをしていたところだったんだよ!コレがその時のギターだよ!」って。
今では初心者でも簡単にホンマもんが買えるけど、当時は大変な金額だったからね。そもそも、どこにでもあるような代物ではなかった。Marshallも同じ。
でも、私の記憶では上のジャケットの写真にあるようにピックアップ・カバーが黒かったような気がする。

155v

米山さんはDOLLSのギタリスト。杉山さんとの交流が大変に深い。

140米山さんのMarshall。
はじめ遠目で見た時、Tatooシリーズかと思った。
正体はJCM800時代の1959。フレット・クロスを花柄の布に張り替えている。
キャビネットはJubileeのBキャビ、2551B。
90v
米山さんはこの組み合わせでヌケのよいカラっとしたギター・サウンドを作り出していた。

O_img_0020 2曲目は「I Can't Believe It」。
これまた王道ロック・サウンド。

150vこういう演奏を聴くとホント、ホッとする。

130

こうした王道ロックには不可欠のヘヴィでタイトなリズム隊。もちろんバッチリ。

170v昔はツーバスで超攻めのドラミングだった三根生さん。
ここではシンプルにバンドをグルーブさせることに徹しているようだ。コレでいいのだ。

180続いて「Leather」。
堂々たるステージ上の態度がまた素晴らしい。

190最後は「Lunacy」という曲で〆た、。全曲オリジナル。
全4曲と短い持ち時間であったが、ワンマン1回分ぐらいの存在感があったのではなかろうか?

200v

私もだいぶ人生のゴールが見えて来るようになったが、若い頃に戻りたい…なんてことはそう思わない。
でも、ロックだけは昔に戻ってもらいたいと心底思う。
こういう演奏に接する時、その想いはさらに募るのである。

210vBIG☆X PROJECT関連の情報はコチラ⇒高井戸ミュージックスクール

O_img_0032 つづく

(一部敬称略 2015年3月13日 恵比寿LIQUID ROOMにて撮影)