TAGAWA~アルバム発売記念ライブ『Flying Carpet Tour』
「うなぎと梅干」、「天ぷらにスイカ」…喰い合わせが悪いというヤツ。
両方とも消化不良を起こすとされているから。こういうの「合食禁」とか「食合禁」っていうんだって。
他に「鮎とゴボウ」とか「アサリと松茸」なんてのもあるらしい。コレらは季節が大幅にズレているということで、四季がハッキリしている日本ならではの一種の撞着のような表現なのかも知れない。
反対に世の中、「コレでなきゃダメ」と組み合わせの相場がキマっているモノがいくつもある。
「餃子にビール」、「カレーに紅生姜(私の場合、福神漬けではない)」、「ハンバーガーにポテト」、「ロギンスにはメッシーナ」、「ランランにカンカン」、「やすしにきよし」、「ペーにはパー」…等々。
そして、「いいロックにはMarshall」だ。
エ、そう来ると思ったって?
そうなんです。特にギターがカッコいいロックにはMarshallが切り離せない!
それは歴史が証明している。イヤイヤ、歴史だけではない。
現実もそれを証明している。
その「現実」にひとつがこのバンド、TAGAWAなのだ。
昨日の記事はいかがだっただろうか?
今日はそのTAGAWAのライブ・パフォーマンス!
アルバム『Flying Carpet』のレコ発ツアー初日のレポート。
客電が落ち、CDに使われた歓声の音源をオープニングSEに登場した3人。
オープニングはCDと同じ「Stranger Destroys Arms」。
ここのところ、ショウのオープニングには「Sea Scape」というギター・ソロを取り上げることが多かったが、今日は違う。
いきなりガツン!だ。
冒頭で述べたように、TAGAWAにMarshallは欠かせない。
ロックの歴史が数えきれないくらいの実績を示しているように、このTAGAWAもMarshallだからこそ実現できる音楽のひとつなのだ。
使用したのはJVM210Hと1960B。
長谷川さんからは「キャビネットは全部鳴らした方がいい!」とありがたいリクエストを頂戴したが、会場のサイズの都合もあるので、キャビネットはダイエットした。
「ナンダ、それしか使ってないのか…」と思うことなかれ。ステージに上がったMarshallスタックは仮に音を出していないにしてもロックをプレイしていることと何ら変わりないのだ。
目で見るロックなのだ。そして、他のアンプではコレができないことを認識しておこう。
最近はイヤモニやデジタル技術の発達でアンプすら見かけないステージに出くわすが、それは目で見るロックの楽しみやカッコよさを放棄したことに他ならない。そしてそれは、「ロックのステージ」とはかけ離れたもののように見える。Marshallの壁の前には「水を得た魚」のように流麗に弾きまくるヒロアキくん。
目の覚めるような鋭いドラム・イントロから一気にたたみかけてる規格外の音圧!
昨日のインタビューにもあった通り。すさまじいてらちんのプレイはライブで益々輝きを増す。
この曲はヒロアキくんのテーマ・ソング的存在。それだけにイキイキとテーマを奏で、ソロを弾く姿がまぶしい。
Van Halenが初めて来日した時、まだファースト・アルバムを出してから間もなく、レパートリーが少ないためにアルバム全曲を演奏した。それでも時間が余ってしまうので、当時異例だった前座が用意された。新宿厚生年金会館大ホールの東京公演ではRed Shockというバンドが登場した。
前座は出ないにしてもコレと同じことがTAGAWAにも起こり、尺を調整するためにカバー曲が用意された。
こんなところがまた初々しくてよろしいな。
そのカバー・コーナーの1曲目はMichael Schemkerの「Into the Arena」。
ヒロアキくんがコレを弾くのを見るのは初めて。
ドラムが浩二さんということで書けば、2001年の「マーシャル祭り2」で橘高文彦さんが櫻井哲夫さんと菅沼孝三さんとでこの曲を演奏したのを思い出す。
2曲目はJudas Priestの「Breaking the Law」。ダメダメ、法律は守ってくださいよ!
3曲目がスゴかった。
ヒロアキくんアレンジするところの「Led Boots」。もちろんJeff Beckのアレね。
コレが激メタル・バージョン!
浩二さんもヒロアキくんからデモ音源が送られてきた時はさすがに身じろいたらしいが、TAGAWAはなにしろメタル・バンド…結局ツーバスが大炸裂!
想像を絶する「Led Boots」が仕上がった!
もちろんメンバー各人のおしゃべりもタップリ。
ここで、また次のコーナーに突入。
ヒロアキくんのソロ曲を演奏した。
ひとつはアルバム『ようこそTagawa Nightへ』に収録されている「Train」。
走行中の電車の音をリズムに据えた愛らしいメロディ。
かつて、ヒロアキくんが愛用するMarshallのモデル、JMD501のデモ演奏で「Denbigh Road Rundown (to Tesco) 」という曲があった。お昼休みにサンドイッチを買いに、足取りも軽く近所のスーパーに赴く情景を描いたもので、リラックスしたメロディの楽しい曲だった。
こうしたやさしいテイストはヒロアキくん独特のものだ。
前後のメタル・テイストからは想像しにくい世界。
「Train」についてはかつてコチラの記事に詳述してあるので興味のある方には是非ご覧になって頂きたい。
続けてボーカル入りで「キミを乗せて」。
2014年、岡山で開催されたMAZDAの大イベントのテーマ・ソングとなった1曲。
MCでアルバムについて語った後、ショウは最終コーナーへ。曲は「That's Over」。
曲についての詳細は昨日のインタビューをご参照頂きたい。
曲中でリはズム隊の2人がフィーチュアされる。楽しみにしていた1曲。
まずはてらちんのソロ。
てらちんはMarshall Blog頻出ベーシストの最右翼だ。mintmintsや様々なイベントで数多くの演奏に接していることに他ならないが、考えてみるとドップリとベース・ソロを聴いた記憶があまりない。
さすがロック・ベーシストのファースト・コール・マン!切れ味鋭いスラップとハードなフレージングで観客を唸らせた!
一時も目を離すことのできないスリリングなプレイ。
浩二さんのドラム・ソロも他では決して観ることのできないオリジナリティあふれるワン・アンド・オンリーのものだ。
クライマックスのハジけようは、近寄りがたいまでの鬼気迫る魔力がある。
そして、ニッコリ!
もちろん惜しみない大歓声が送られる。
キーボードのバッキングトラックを使用したインスト・バラード「Luminous」。
曲はおなじみの「Fly Away」。
3人が一丸となった驚異のドライブ感…これこそTAGAWAの魅力!
当然のアンコール。
難関「Space Walker」だ。
こんな大作、もっと序盤で演っておけばいいのに!
…なんてことは大きなお世話で、このめまぐるしく複雑に展開する曲が何の滞りもなく完璧に料理された。
ロックだから、勢いのいいストレートなナンバーを浴びるのもいいけど、やっぱりこういう込み入った曲を通じて名人のスーパー・テクニックを味わうのもライブ・ステージの醍醐味だよね。
終了後ボソッと、「できたね…」なんて浩二さんはおっしゃっていたが、3人ともまったく危なげのない演奏で銀河を渡り終えた。
くんずほぐれつ音をからませ合う3人の「宇宙飛行士」!
この日の大きな見どころのひとつだった!
やっぱりこの曲を最後に持ってきて正解だったね。
The Beatlesの「Back in the U.S.S.R.」をプレイ。
コレで全プログラムを終了した。
この日のステージを皮切りにTAGAWAの3人は『Flying Carpet』に乗り込みツアーへと出発した。
そして、アッという間にそのツアーも2月25日(明日!)の八王子Live Bar X.Y.Z→Aの1公演を残して終了する。
超忙しい3人のこと、自由に集まることもなかなか難しく、次はいつになるかわからないのが現実だ。
お見逃しなく!
田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒fretpiano