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2014年12月25日 (木)

Guitar Show 2014~三宅庸介&足立祐二

いよいよ2014年も残すところ1週間。
年越しそばですよ。
ホントに今年も早かった。
今年も変則的な更新はあったにせよ、Marshall Blog毎日更新は何とか完遂できそうだ。
それもこれも、ご協力頂けるミュージシャンやその関係者の方々、そしてご愛読頂いている読者の皆様のおかげと感謝しております。
あんまり書くと年内の最終回で書くことがなくなっちゃうのでここでストップさせてもらうが、今年もずいぶんいろんな方々にご登場頂いた。
その中で、登場回数が高いグループに入って頂いているギタリストが三宅庸介さんだ。すなわちStrange Beautiful & Loud。
今日のレポートは11月下旬の三宅さんのステージ。
この後、三宅さんは年内はもう一度ギグを行っているが年内のMarshall Blogへのご登場はコレが最後となる。
今回は、足立YOU祐二さんのトリオを迎えてのダブル・ヘッドライナーという企画。(「ツーマン」とか「スリーマン」という言葉はとても恥ずかしい日本製英語ですから使わないようにしましょう)
10
2014年は三宅さんにとってもきっと重要な年になったに違いない。

20v

それは4月に渾身のセカンド・アルバム『Orchestral Supreme』をリリースしたからだ。
ファースト・アルバムの方法論を推し進め、一段と研ぎ澄まされた楽器の音で奏でられる孤高の世界。ジャケットもいい!(しつこいか?)
MarshallとNATALサウンドがテンコ盛り。

30cd

もし…もしですよ、レコード会社が完全に採算やらヒット性を度外視して、スタイルを問わず、ギタリストに自由に音源を作らせたらどういう音楽が出揃うだろう。
内容はミュージシャンのワガママし放題。スタジオ使い放題。人材使い放題。
しっかりとした演奏技術を持っていることだけが条件。
速弾き作品ばっかりになちゃうかな?
そこで思うのが、そうした時に三宅さんが追及しているような音楽が果たして出て来るであろうか?ということだ。
言い換えればオリジリティに満ちた音楽。
もちろん三宅さんの他にもそうした自分だけの音楽性で勝負をしているミュージシャンやバンドはたくさんいることだろう。
私はね、そういう人たちやバンドを応援したいんですよ。さもないと日本のロックは絶滅するよ、ホントに。
もちろん純なるMarshallプレイヤーということもあるけどね。

良識を持ってキチンと歴史を勉強し、経験を積んでいるプロ・ミュージシャンや業界関係者、音楽愛好家の方々と話をしていると、とにかく世の中の音楽がドンドンつまらなくなっているということでいつでも意見の一致をみる。これがホントの「世界の終わり」。
マァ、何をどうやってもうあのロックの黄金時代へ戻ることはできないことがわかっているだけに、『Orchestral Supreme』のような作品は砂漠のダイアモンドのように見えるのだ。ジャケットもいいし…。

40三宅庸介

50v山本征史

60金光健司

70今日の三宅さん、1959SLPと1960AXだ。

80v1959で育った世代の人だからね、前々から1959で弾くとSBLの音がどうなるかと考えていたんだけど…スゴかった。

90征史さんはいつもの1992SUPER BASS。

95vKKはNATAL。
NATALは「ナタール」と読みます。「タ」にアクセント。「ナタル」でも「ネイタル」でもありませんのでよろしく。

100今日はバーチのキットだ。

110v1曲目は景気よく「Virtue」。

120ドワ~、1959SLPから横殴りで飛び出してくるピュアなMarshallトーン!

130vその怒涛のサウンドに全く引けを取ることのないリズム隊!

140ドラムのフィルで入る2曲目は…

150『Orchestral Supreme』から人気の「murt'n akush」。

160このエキゾチックなテーマはいつ聴いてもカッコいい。初演時の衝撃は今も忘れない。5/4拍子に何の違和感も感じられない。お客さんに大ウケだったもんね。
170v
そしてワルツ、「Bloom」。このバンドは存外にワルツが多い。
210

続いて「mani」。これもハードなワルツ。

200

三笑亭可楽のようぬい味わい深い語り口で、三代目桂三木助のようにイキにベース・ラインを紡ぐ征史さん。
220
ちなみに三代目桂三木助(自殺した三木助のお父さん)は本名を「小林七郎」といって、ホンモノの博徒だった。鉄火場では「隼の七」と呼ばれていたそうだ。メッチャかっこよくね?
同じ賭博でも今のカジノなんかとは雲泥の差だよ。本当に日本の文化はこの先どうなっちゃうんだ?

180v感情を爆発させるKK。なんともドラマチックなドラミングだ。それを一身に受けるNATAL!何たる音楽的なコンビネーション!

190v「Petal」。これもいかにも三宅さんらしいメロディを持った曲。自分でも気に入っているとか。

230v

イヤ~、それにしてもスゲェな…1959は!70年代はみんなこれだったんだから!うまくなきゃ到底使えなかった。やっぱり「ロック・ギターの音色」そのものなんだよね。
だからこそ歴史に名を刻み、歴史を作り続けている。1959がまたロックのステージの主役になる時代が来ることを祈っている。それこそが「ロックの再興」だからだ。
ちなみに『アンプ大名鑑[Marshall編]』の監修の仕事をしていて一番大変だったのは1959のところだった。

240そして、「Ring」。奇跡のギター・リフ。まさに炎だ。そしてあなたにここにいて欲しい!

1_img_0205 中間のベースとドラムのキメはいつ聴いてもスリリング。
1_img_0254わかっちゃいるけどいつも鳥肌!

3_img_0179 最後は「if」。
SBLのテーマ曲的な存在?
三宅さんのこの熱演ぶり!きっと1959がこうさせたに違いない。

250_2三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Yosuke Miyake's Strange, beautiful & Loud

260v続いて登場したトリオは足立YOU祐二率いる「丸ノ内線の会」。
ベースのMASAKIさんが「東上線の会」っていうのをやってたけど、丸ノ内線も現れた。
丸ノ内線は銀座線に次いで2番目に古い東京の地下鉄路線。あの面妖なU字路線は軍の物資を運ぶための地下路だったとか…。
以前、東京になじみのない人に「新宿から池袋に行くにはどうするのが便利?」と訊かれて、「あ、それなら丸の内線ね。1本で行けるわよ!」と教えた人がいた。オイオイ、山手線を使いなさいってば!

270v今日のYOUさんはJCM900 4100。

280v独特なんだよね~、YOUさんのMarshallの音。YOUさんが一体どうやって音を作っているのかと思って、三宅さんが観察したところ、プラグ・インした瞬間からもうYOUさんの音になっていたという。

290また、曲が独特なんだよね~。ポップな部分とまるで火曜サスペンスで出て来そうなスリリングな部分が絶妙なバランスで混じりあっている。そこがタマらんのよ!

300v「どっかで聴いたがことあるような…」と思わせておいて、思い切り意表を突いてくる。これがYOUさんミュージックの快感。

310それにしてもなんて端正にギターを弾く人なんだろう。すべての音や動きが計算されつくしていて、見ていて「完璧」という言葉しか思い浮かばない。

足立祐二の詳しい情報はコチラ⇒You's Alien blog

320vアンコールは三宅さんが加わっての「Little Wing」。今年は、三宅さん、「Little Wing」のあたり年だったな~。

330ソロリソロリとギター・バトルに突入する。

340トリッキーなフレーズを連発するYOUさん!

345vスロー・テンポの曲なのに、どこからともなく、ものすごい熱気が押し寄せて来る。

350ややブルージーなフレーズを次々に繰り出す三宅さん。

355v

ふたりとも捨てフレーズのない濃密な演奏だった!

360皆さんには2015年も独自路線を突っ走ってもらいたいと願ってやまない。

370<おまけ>
チョット、これ見て!
いつも三宅さんのライブにお越し頂いているファンの女性の右手の薬指!「Marshall」だぜ!
ネイリストの方によると、最後の「l(エル)」ふたつが難しかったそう。
どうもありがとう!

380NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2014年11月21日高円寺SHOWBOATにて撮影)

***** お 知 ら せ *****
1993 年に出版され、当時もっとも詳しかったマーシャルに関する書籍『THE HISTORY OF Marshall(日本語未訳)』を、マーシャルの創業50周年を記念し大幅に改訂・増補して2013年に出版されたのが『THE HISTORY OF Marshall THE FIRST FIFTY YEARS』。

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帯(腰巻)が付くとこんな感じ。

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