犬神サアカス團~祝20周年!犬神まつり
デビュー20周年を迎えた犬神サアカス團。
「犬神まつり」と銘打っての大ツアーが敢行され、7月の千秋楽を前に二日間の特別興行が開催された。
公演内容がまったく違うということで両日とも行きたかったのだが、初日には先約があってどうしても都合がつかず二日目だけお邪魔してきた。
情次兄さんのMarshall。
JCM800 2203と1960Aのコンビネーション。
ジン兄さんはEDEN。WT-800とD410XSTからなるフル・スタック。
NATALのバーチ。12"、13"、16"、22"のコンフィギュレーション。
フィニッシュはタバコ・フェイド。傍らの卒塔婆にマッチさせてみた。
明兄さんの足元の表。犬神ロゴとNATALロゴが赤いフロントヘッドに映える。
これは20周年を記念してリリースされたシングル・ベスト、『青少年のための犬神入門』。
このタイトル!King Crimsonじゃんね~。うれしいね~。
アルバム未収録のカップリング曲や幻の名曲、「運命のカルマ」や書き下ろしの未発表曲も収録されている。
ジャケットがまたいい。Cal Schenkelタッチだね。「Uncle Meat」と「Joe's Garage」と「Tinseltown Rebellion」が合わさったような…好きなタッチだ。
そして、いよいよツアー千秋楽の二日目がスタート!
エンディングでの凶子さんのセリフ…「人生って不思議なものね。こんなバンドか20年も続くなんて誰が思っただろう。神様に感謝しないと。それとも悪魔?」
感謝すべきは神様と悪魔とファンだろうね~。
犬神サアカス團のファンは「犬っこ」と呼ばれているが、30歳を超すと男のファンは「犬っさん」になるそうだ。「犬っこ」と「おっさん」が合体した呼称。
20年年前には「犬っこ」だった人たちがすっかり「犬っさん」になってもこうして駆けつけてくれるのだからありがたい。私なんかもう「犬じい」だよ。立て続けに「夜が終わっちまう前に」…
「人工妊娠中絶」。
そういえば20年ぐらい前にニューヨークへ行った時のこと。「堕胎」は英語で「abortion」っていうんだけど、ホテルの部屋でマンハッタンの分厚い職業別の電話帳をこれとはなしに開いたら、一番最初のページに「abortion」が出て来て驚いたことがあった。
もちろん職業の名称がアルファベット順に掲載されているので「a」と「b」が連なる「abortion」という言葉が初めの方に来るのは当然なんだけど、ズバリそういう言葉が出ていることにビックリした。ま、だからナンダ?という話し。
MCをはさんで幻の名曲といわれる「運命のカルマ」。凶子さんの巻き舌全開の爽快チューン。。
マイナーのヘヴィ。・ナンバーだが、途中1か所だけ情次兄さんがメジャー・コードをキメるところが異常にカッコいい!
メロディも至極犬神的だ。
アップ・テンポの曲が続く…「桜散る中」から「都合のいい女」。
「♪こっちへおいでよ」…冒頭の凶子さんのモノローグにからむすさまじいキメからヘヴィなワルツへ。「春来る鬼」…前半のハイライトだ。
20分になんなんとする大作。
「ワタシ、狂ってるの?」のというセリフがヤケに耳に残る。
コロコロと変わる場面からは一時も耳をそらすことができない。こういうシアトリカルな曲を演る日本のバンドはほとんどいないよね。それだけに犬神サアカス團は大変貴重な存在だと思うのだ。私はこういうの大好きなの。
前半のジン兄さんのワルツのパートのベース・ライン!トリハダものだ。
「裸のマリー」、「地獄に堕ちた子供たち」、「口裂け女伝説」とノリノリの曲が続くが、テーマはどこまでも暗い。そこがタマらなく魅力的だ。
MCでは凶子さんがNATALを紹介してくれたりして…。それと即席ドラム。凶子さんドラムのお勉強をしているとのことで、エンペラーだの、アンバサダーだの、ディプロマットだの、バラモンだの、バイシャだの、スードラだの…(あ、「バラモン」以降は冗談ですよ)ドラムヘッドの解説をしてくれた。私よりよっぽど詳しいわい。
こういう本格的なハード・ロックには2203のサウンドが実にシックリくる。
歪みすぎず、芯のシッカリしたトーンがリフにバッキングにソロに大活躍する。
私の世代だと1959から2203ぐらいまでが最もMarshallっぽい音に響くのではなかろうか?
そう、それは高校生の時にライブハウスで聴いた轟音なのだ。
ド派手なアクションが目を引くジン兄さん。
ベースの音抜けが信じられないくらい素晴らしい。レスポンスの早い4x10"効果も抜群。
よく練られたベース・ラインがスパスパと耳に入ってきてバンド・アンサンブルの良さが倍増する。
クリスピーにしてヘヴィなドラミングが素晴らしい明兄さん。
犬神サアカス團の曲のほとんどは明兄さんのペンによるものだが、ホントにいつ、どこで、どうやってこういう曲想を練っているのだろうか?
以前に犬神の世界を黒岩重吾と喩えたことがあったが、こういう雰囲気(私的には昭和30年代~40年代前半って感じに聞こえるかな?)を醸し出しているバンドはもう他にないだろう。
明さんの地獄の頭脳と暗黒の才能でどうかこの世界を死守してもらいたいと思うのだ。
「赤痣の娼婦」…しかし、こうしてタイトルを打ってるだけで笑えてくるわ。こんなん20年もやってるんだからね。すごいわ。
「♪平成デモクラシー」のパートは今日もキャッチ―だった。
アメリカ国家から「ビバ!アメリカ」。
「ABC、LSD、CIA、USA」、「あたしの病気はアメリカ」、「あなたの病気もアメリカ」。ウマい!
最近の世情を見ていると快癒するどころか、日本はますます重篤なアメリカ病になってしまったのぉ。
若い頃はあこがれたけどね~。もうまったく魅力を感じなくなってしまったな。
「脳内観念スター」、「最後のアイドル」とショウはいよいよクライマックスに突入する。
「冒涜と呵責」演らなかったな…それにしてもモノすごいレパートリーだ。
これが20年の厚みなのね!
アンコールはまず「血まみれの内臓ロックンロール」。
「浅草心中」も今日はなし…というのは、どうも凶子さんと明兄さんは浅草の銭湯のお湯が異常に熱いと思っているようだが、そうでもない。ものすごい熱くしているところもないではないが、普通である。
でも、いつかは「浅草蛇骨熱湯地獄」という熱い湯をテーマにした曲を作ってもらえることを期待している。
一度ステージから降りた後、再び登場して「泥」をプレイして幕を下ろした。
私はコッテコテの洋楽崇拝者。
歌詞の意味なんかわからなくてもそれを補って余りあるほどカッコいいロックに溢れた黄金時代に洗礼を受けているからだ。(もちろん歌詞の意味がわかるに越したことはない)
しかし、こうして母国の独特の文化を、瞬時にして意味の通る母国語で歌った音楽もまたいいものだ。
歌詞の内容は絶望に満ちた「世界の終り」的な雰囲気さえ漂うが、音楽全体としては「世界の終り」どころか永遠に朽ち果てることのない不変の「ロックの魂」だ。ロックはこうあるべきであり、こうあるものがロックなのだ。
この後、7月に一回のステージをこなし、現在犬神サアカス團は活動を停止しているが、また、復活の際にはドロッドロの暗黒世界を披露してくれることだろう。
もちろん、その残り一回のコンサートもMarshall Blogがレポートする。
犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁
NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
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(一部敬称略 2014年6月22日高田馬場PHASEにて撮影)