ROUGH & DANGEROUS! ~ TRIO the COLLAGENSのライブ・アルバム
気骨のあるダイナミックなトリオ・ロックを聴かせるTRIO the COLLAGENS。
ロックの酸いも甘いも知り尽くした名人3人による、黄金時代の洋楽と揺籃期の日本のロックの香りをプンプン漂わせるゴキゲンなグループだ。
もう何度もMarshall Blogに登場してもらっているので読者の皆さんにもおなじみのことと思う。
そのTRIO the COLLAGENSがライブ・アルバムを発表する。
コレがそれ。
タイトルは『ROUGH & DANGEROUS! -Live in SENDAI-』。
光栄にもジャケットには私の写真を採用していただいた。
まぁ~、コレがタイトル通りパワー感あふれるラフな展開が実にデンジャラス!
「ちいせぇことは気にしねぇ!」的な仕上がりが、ナマナマしいことこの上ない。その感覚たるやThe Kinksの『Live at Kelvin Hall』あたりを連想させる。
TRIO the COLLAGENSのステージはオリジナル曲の他に、誰が選んでいるのか(ま、令文さんなんだろう)、エグめのカバー曲で構成される。
その中からオリジナル曲を収録したのが本盤だ。仙台での録音。
壮絶なかき回しからスタートするアルバム1曲目は「I.N.D.」。元気いっぱいのインスト・ナンバー。
令文さんのブリティッシュ風味タップリのギター・リフから…
リズム隊が入ってくるところでまずトリハダ。令文さんのソロ・パートのベースを聞き逃すことなかれ!
はじけまくるロジャーさん!
3人が組んずほぐれつドライブする爽快なナンバーだ。それにしてもデンジャラ~ス!
でもコレでいいのだ!続いてはブギの剛速球、「Razor Boogie」。
この曲を聴く度にMarshall Blogでのインタビューでの令文さんのかつての言葉を思い出す。何回も書いているけど、また書く。こういうことはずっと言い続けないと…。
「最近のロックを聴いていて思うのは『3』の感覚を持ったバンドが全然ないということですね。『3』というのはシャッフルとかブギとか…。若い人はそういう音楽をもはや知らないんじゃないかな?」
まったくその通りだと思います。
こういう指摘を受けると、今、日本ではびこっているロック的な音楽は、本来持っているロックの魅力をたくさん切り捨てていることがわかる。
火の玉のようなこの「3」のカタマリの曲を聴いてナニも感じない人はもはやロックを聴かない方がいい。
イントロからいきなり転調するところが実にスリリング!
そしてヤケドしそうな猛烈なソロ!
このあたりの令文さんのソロはもう外人だね。Steve VaiやJoe Satrianiが来日した時に「レイブン・オータニという男はそんなにスゴイのか?」と関係者に尋ねたという話しもうなずける。
おい、オガンちゃん、やめてくれ!今、ギター・ソロ聴いてるんだから!そんなベース弾いたらギターに集中できんだろうが!
でも、こういう曲はオガンちゃんの独壇場になるね。オガンちゃんも「3」のカタマリみたいなベーシストだからね。コレがホントのミスター・ベースマン?!(←「3」だからですよ)
この曲好き、「Sister SPIDER」。これもイギリスのロックをそのまま日本に持ってきてしまったかのようだ。
このリフ!ロックはこうでなきゃイケね~ぜ!
「♪Sister Spider waits for you」とか単純に2回繰り返すところが渋い。そして、ワンコーラス終わったとにリフに戻るところがタマラン!カッコいいリフというのは結局こういうことなんだよな。
そして転調してみる。場面がガラリと変わる。いいリフというものは転調にも大きな効果をもたらすのだ。
オガンちゃんのソロ。あらゆる音楽を研究しているオガンちゃんのこと、そのアドリブ・メロディの幅は果てしなく広い。
ちなみにオガンちゃんは「私設フランク・ザッパ同好会」の大阪支部長である。会長は私。会員は一切募集していない。
これまたスケールの大きい令文さんのソロ!
そしてイントロと同じアウトロがついて曲は終了…って、この曲、9分も演ってたのかよ?!
実際に聴いてると4~5分にしか感じないな~。
今回のアルバムではロジャーさんのボーカルも大きくフィーチュアされる。
まずはロマンチストであるロジャーさんの側面が強調された愛らしいワルツ「Call On Me」。
「日本のロック」の枠に収まらないスケールの演奏だ。
オガンちゃん作による「Valle Colorado」。テーマ部分はは7/8と4/4の合体。
管楽器を入れればバキっとしたラテン・チューンになるような曲。
もちろんCOLLAGENSはそんなことおくびにも出さないハードなロック調に仕上げている。
コレが驚異のグルーブを生み出すオガンちゃんの右手。ポツン、ポツンと何でもなさそうに弦をはじいているように見えるが、普通の日本人は一生かかってもこういうノリを出すことはできないだろう。
外人なんだよね。中身はロックの国の人。ベースを弾くために生まれてきたような人だ。
ロジャーさんフィーチュアで「組曲:難聴」。
ロジャーさんの極度の高域難聴を歌った「病気シリーズ」。
歌詞の中で「♪お願いだから皆さんアンプの音を下げてくれよ!」という箇所があるのだが、これはMarshallのことなんだとうな~。
ごめんなさい、ロジャーさん…イヤイヤ、Marshallのせいではありません。使い手のせいです!(写真とは関係ありません)
でも、いい使い手の爆音は気持ちいいでな~。
ドラム・ソロもタップリ!
…と、バラエティに富んだ6曲を収録。やっぱりラフでデンジャラス!
しかし、何の差し替えもせず、音質もイジることのないプリミティブな仕上がりには、ロックが元来持っているパワーとスリルが存分に発揮されていると思う。
何よりも30年以上にわたってロックし続けている3人の至芸を味わって欲しい。
さらに!ナマを見て、その至芸を堪能してもらいたいと思うのだ。
ってんでチャンス到来。
来る7月13日の山形を皮切りにツアーが開始される。東北8か所を回って、関東は25日の横浜と26日の高円寺。その後は西を回る総計22本の大ツアー!
CDは当面各会場での販売となる。
お見逃しなく!