Aphroditeの様式美
Aphrodite(アプロディーテ)…愛と美と性を司るギリシア神話の女神。戦の女神としての側面も併せっている…ま、残念ながら会ったことはない。
私が会ったのはこっちのアフロディーテ。岡垣Jill正志率いる様式美系バンドの雄だ。
小柄な体躯からとめどもなくパワフルに繰り出されるロック・ヴォイス!
もちろんその声質はあまりにもバンドのサウンドとマッチしていてAphroditeの音世界を極限まで広げてしまう。
無節操にやたら弾きまくることのない抑制の効いたギター。西村さんも大のMarshall愛好家だ。
やはりこの手の音楽のこういうギターにはMarshallがベスト・マッチする。何というか、そのバンドの中において、ギターという楽器が持つ独特の色気が一気に引き立つのだ。
三宅庸介、今井芳継、鈴木広美、足立YOU祐二…赤尾和重曰く、「岡垣くんがどこからともなく連れて来る」名ギタリストたちだ。
岡垣さんと活動を共にする西村守も例外なく「名ギタリスト」の仲間入りを果たすことだろう。この手のスタイルの音楽には緻密なプレイをするリズム隊が絶対に欠かせない。これでリズム隊が少しでもガタついていると、様式がいとも簡単に粉々に崩壊し「様式醜」になってしまう。
「謎のアラブ人」とか「謎のパキスタン人」というルックスのインパクトもさることながら、堀江さん、ドラミングもかなりインパクト強し。
豊かなダイナミクスでビシビシとキメてくるところが実に爽快!このメリハリの効く鉄壁のリズム陣を配してこそ様式の美しさが成り立つのだ!
そして、Aphroditeの頭脳にして司令塔の岡垣正志のキーボード・プレイ!
オルガンにシンセサイザーに…幻想的にして鋭角的なプレイは岡垣さんならではのもの。
キーボードの入ったロックをいつも称賛しているが、こうした華麗なプレイを以てして成り立つ「様式美」のスタイルはその最高峰と言えるだろう。
時折、オルガンを前後に大きく揺さぶりながらメンバーの仕事ぶりを睥睨する姿は鬼気迫るものがある。
私にとって「aphrodite」というと、すぐに連想されるのはギリシアのバンド、Aphrodite's Child(アフロディテス・チャイルド)だ。
後に『炎のランナー』で名を馳せるEvangelos Odysseas Papathanassiou(エヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ)、平たく言えばヴァンゲリスがやっていたバンド。名盤の誉れ高い『666』はよく聴いた。
向こうはChild、こっちはAphroditeでお母さんだからこっちの方がエライ…ってナニいってんだか。
両方好きよ。
寡聞にして決して詳しくはないが、いわゆるこの「様式美」と呼ばれる(あるいは呼んでいる)スタイルのロックは昨今の世界の音楽地図の中にあって、至極日本的で、独特のモノではないかと思うのだ。
ガッチリとまとまったテクニカルなハードなロックを骨組みに、幻想的にスペクタクルを演出するキーボード…とここまではそう珍しくないスタイルだろう。
ところが、このスタイルを海外の同類のバンドと一線を画し、猛烈に日本独特の味わいに仕上げているように感じさせるのは「ことば」だ。
そりゃ日本語で歌えば「日本ムード」が横溢するにキマってはいるが、その上を行くフィット感があるんだな。メンタルな部分がすごく大きいと思う。
この「様式美」という音楽スタイルも、日本人がイノベイトした、J-POPの極北に位置する真の「日本のロック」のひとつと言えはしまいか?
来る12月にも「様式美大作戦」と銘打ってJill's Worldを堪能できる機会がやってくる。
東京は12月1日、目黒鹿鳴館、にて、大阪は7日、心斎橋Club ALIVEにて開催。出演は;
★Jill's Project EX featuring 島 紀史(!)
岡垣Jill正志
ANI-Katsu
出原 卓
千田 忠彦
島 紀史
★Aphrodite
岡垣Jill正志
荒木 真為
堀江 睦男
西村 守
ANI-Katsu
☆ゲスト 足立YOU祐二、 三宅 庸介(東京、大阪両日) 、赤尾 和重(大阪のみ)
という岡垣一家総出の豪華イベントだ!マーブロ一家という感じもするな…おもしろそ~!チョイとしたMarshall祭りだゼ!コリャ見逃せんワイ!岡垣正志&Aphroditeの詳しい情報はコチラ⇒Jill's Room