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2013年5月10日 (金)

ひっさしぶりの手数セッションはやっぱりスゴかった!の巻

エ~、また今日も田川ヒロアキ?!

その「また」である。3連チャン。でも今日は主役ではない、今日は3人のメンバーが全員主役の手数セッションだ。

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以前のマーブロには頻繁に登場してもらっていたが、今のMarshall Blogになってからは意外にもこれが初登場。

元々は八王子のLive Bar『X.Y.Z.→A』のほーじんさんの企画で始まったこのバンド。あんまりスゴかったてーんで後に再演。それが評判に評判を呼んでパーマネント化した。Marshall Blogが休んでいた間もセッセとライブを重ね、今となってはこのバンド特有のひとつの大きなスタイルを確立したといっても過言ではないだろう。

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全国各地からのお呼ばれも多、数々のツアーもこなしてきた。

つい先日、4月下旬にも9連続という無謀というか乱暴というか強硬スケジュールをこなしてきたばかり。途中、高速道路でタイヤがバーストしてしまうという命に関わる派手なアクシデントも発生したが、各地で絶賛を浴びながら無事に帰還した。

これはそのツアーのPVの撮影時のもよう。真剣にツアーの日程を説明しているふたりの後ろでスゴイ形相で走り回っているのはほーじんさん。

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参加しているというより完全に邪魔をしている?孝三さんはとりあえず完全無視状態。

とにかくお疲れさまでした!

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さて、今日のレポートはちょっと日をさかのぼること3月下旬の高円寺SHOWBOATの時のもようだ。

ひっさしぶりの手数セッション…愉快痛快、スカッとする好演がテンコ盛りでやっぱりスゴかった!

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元祖手数王、菅沼孝三。

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江川ほーじん

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田川ヒロアキ

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今日はJCM900 4100と1960Aのコンビだ。

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一年以上ぶりに観る手数セッションはいい意味で何も変わっていなかった!

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ワザとワザの応酬、興奮のインタープレイだ!

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「Ave Maria」とは似ても似つかないゲリラ戦が手数セッション。

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あーあー、譜面台ぐらい出せばいいのに!

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やっぱりスカッとするナァ~、ほーじんさんのプレイ。

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でもこの日は実はとラブが降りかかっていてややそっちも気になるようす。それは後半でレポートするね。

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レパートリーはおなじみの手数スタンダードが中心。

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宙返りができるタイガー戦車… そんなイメージのリズム隊。ちなみにコンピュータは搭載していない。すべてアナログの人力走行だ!

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やっぱり好きだな、孝三さんのドラム。

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いつかまたビッグ・バンドでプレイしてもらう日を夢見ていたりしているんよ。また「Magic Flea」演ってもらいたいね。

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この写真!Buddy Richみたいでしょ!

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この日も2部構成。

第2部は着替えて出てきたヒロアキくんのア・カペラのギター・ソロから。

何も変わっちゃいない!

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「何も変わらない」というのは実はとてもスゴイことで、演っている方も飽きずに、そして聴いている人たちを飽きさすことなく同じことをするのがホンモノのアーティストなのだ。欧米ではそういう人たちが歓迎され尊敬される。

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もっともインプロヴィゼーション比率が極端に高いこのバンドのことだから、毎回全曲新曲ということも言えるがね。

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それで笑っちゃったのが、どうも「手数セッションは演奏はスゴイけど、曲がどうも…」という人がいるらしくて、ヒロアキくん曰く「だから曲じゃないって!手数の品評会なんですよ!」

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いつも曲のクォリティの重要性を説くマーブロだけど、こうしたバンドにはそれは無用。

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「名演あれど、名曲なし」

これぞインプロヴィゼーション・バンドの真髄なのだ。

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だからこそ一音一音に命をかける。

このほーじんさんの表情…さっきPVの撮影でふざけまくっていた人とは完全に別人だ。

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ほーじんさんのア・カペラ・ソロもすさまじい!

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あまりの熱演ゆえ、ストローでジュースを吸い上げて水分を補給しながら演奏する。エ、違う?

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もちろんこれは一般的にトーキング・モジュレーターと呼ばれているもの。ほーじんんさんのハンド・メイドで「トーク・ボックス」と名付けられている。

「Let It Be」を熱唱している。ボカロなんてらん、いらん!これで十分よ!

このほーじんさんを観てみろ!Beck Boggert & Appiceの『Live in Japan』ライブを聴いてみろってんだ!ボカロなんか比べ物にならんぐらいカッコいいぞ!(ボカロについてはまた他の機会でジックリと…)あ、Joe Perryもうまく使ってたよね。

ところでこのトーキング・モジュレーター、昔はJeff Beckにあこがれてサ、ラジカセにギターつないで、カミの筒をくっつけたイヤホンを口の中に入れてマネっこをして楽しんだっけな…そういうのやらなかった?

ところが、このトーキング・モジュレーターなるもの、「加えたパイプの振動が脳に悪影響を与えて使いすぎるとアホになる」という噂が流れてね。ラジカセ作戦をみんなピタリとやらなくなった時期があったんよ。今考えてみれば元々アホがそんなことをやるワケであって、気にすることはなかったんだけどね!

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しっかし、これだけ弦を叩きつけているとなると、いつかは右手の親指がすり減ってなくなってしまうのでは?と心配のひとつもしたくなるぐらいのバカチコぶり!痛快!

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また、フレーズがいいんだよね~!

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ソロが孝三さんにバトンタッチされる。

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孝三さんのソロ。

まずはジョウ・ハープ。

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ディジュリドゥ。

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おなじみパチカ。

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沖縄の軽打楽器、三板(さんば)。

それにホーミーも。

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西洋の打楽器、ジャズ・ドラム・セット。

宙を舞うスティック!

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ガッチリとくわえこんだスティック。

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もう孝三さんのドラム・ソロを何回拝見しただろうか…ゼンゼン飽きない。毎回もっと見たい!と思わせるところが何と言ってもスゴイ!

30年ぐらい前、Dizzy Gillespieの『Dream Band Jazz America』というビデオをジャズ喫茶で観た。そこに登場したMax RoachがCount Basie Orchestraのドラマー、"Papa" Joe Jonesに捧げて「Mr. Hi-Hat」という曲を演奏していた。それは文字通りハイハット1本だけを使ったすさまじい演奏で、もう目が点になった。その足で同じレーザー・ディスクを買いに行った。

後年、孝三さんがそのMax Roachのハイハット・ソロと同じことをされていてまた驚いた。もう驚いてばっかりなんです、私の人生。何か頼んでるか、何か探してるか、何か謝ってるか、何かに驚いてるか…これだけで人生の起きている時間の大半を過ごして来ました…。

で、幸運にも2001年に世界一のシンバル・メーカーに関するイベントの台本の制作を頼まれた。その時出演したドラマーは孝三さんの他に、そうる透さんと大坂昌彦さんで、まっさきに頭に浮かんだアイデアがこの「Mr. Hi-Hat」だった。つまり、この3人のスーパー・ドラマーがハイハットだけでバトルをしたらどうなるであろうか…。孝三さんにこのアイデアを持ちかけるとすぐに迎合してくれて、ハイハットだけを使った曲を作ってくれたのだった。あんなスゴイ演奏もう二度と見れないだろうナァ…。

孝三さんのドラム・ソロを観ているとたいていこの時のことを思い出すのだ。

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特別ゲストも登場。

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ヒロアキくんのお琴にのって「さくらさくら」を熱唱するケロミン。

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ほーじんさんのトラブルとはコレ。車の荷台のヘリの部分に弁慶の泣き所を強打してしまったのだ。これは痛いですよ。エグれる寸前ぐらいのところまで行っちゃってたからね~。みなさん、機材の積み下ろしには十分気をつけましょう!

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好例の順手・逆手交換コーナー。

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2人ともヘタ~!

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やっぱりコレだな。楽しそうなふたり!

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「Let It Be」、「Come Together」、「All my Loving」と、メンバーが好きなビートルズ・ナンバーも交えてますます手数ぶりが冴えたライブだった。

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とにかくこういうライブは観れるうちに数多く観ておくに限る。この先、世代が変わったらこういうことができる人たちの数が極端に減るだろうからね。

そういう意味でもいつまでも、そして何が何でも手数セッションには無茶な演奏を続けていってもらいたいのだ。

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菅沼孝三の詳しい情報はコチラ⇒手数王 菅沼孝三オフィシャルウェブサイト

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田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano

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(一部敬称略 2013年3月25日 高円寺SHOWBOATにて撮影)