MERGE FES vol.1~世界歌謡大将&ヘアメタル研究会<前編>
新しい年となって早や10日になるが、Marshall Blogはまだしばらくの間、昨年末に開催されたライブのレポートが続く。
今日のレポートは11月末にMarshallとNATALでお手伝いした『MERGE FES vol.1』というイベント。
「merge」と聞いてすぐさま思いう浮かべるのは「M&A」という経済用語でしょう。
すなわち企業の合併や買収、事業の譲渡や資本の提携を意味する「Merges and Acquisitions」の略語。
ココのところ日本製鉄のUSスチール買収案件がキナ臭いことになっていますな。
買収を阻止しようと乗り出して来たアメリカ政府を提訴するだなんてとても穏当な話とは思えない。
一方、イベントの方は単純明快。
「merge」は「合併する」とか「合流する」が本来の意味なので、個性豊かなバンドが一緒のステージでゴッチャになって皆さんを楽しませますよ~!ぐらいのイメージ…だと思う。
その思惑通りとてもにぎやかなショウになった!
出演したバンドは3つ。
最初にステージに上がったのは「世界歌謡大将」。
Marshall Blog初登場。
エ?「字が違う」ってか?…いいの、いいの、「大将」でいいの。
失礼ながら私はこのチームをゼンゼン存じ上げなかったんだけど、即座にいい名前だと思ったよ。
「世界歌謡大賞」…昔、武道館で盛んにやっていたのは「世界歌謡祭」か?
「大将」と来れば「風大左衛門」か焼き鳥。
「大賞」と来れば「レコード大賞」だろう。
チラっと見た限りではあるけど、今回のも完全にチンプンカンプンだったナ。
アソコにノミネートされていた曲って本当にヒットしていたの?
「あ、コレね。聞いたことあるわ!」なんて曲は皆無で、演っている人も全くと言っていいほど知らない方々だった。
コレは今に始まったことではなくて、かなり前からいわゆる「流行歌」というモノがサッパリわからなくなっていて、いつか試しに調べてみことがあった。
果たして「レコード大賞受賞曲」をどこまで知っているか…。
すると完璧に歌えないにしても、ナンダカンダで1992年までの受賞曲であれば何とか知っていることが判明した。
私は子供の頃からヨソの皆さんがすき好む音楽や映画を徹底的に敬遠するアマノジャクで、子供の頃から人里離れた音楽しか聴かない「音楽仙人」みたいな生活をしてきた。
そんな私ですら1992年までの大賞受賞曲は知っていたワケ。
そんな私のようなハヤリの曲に全く興味を持たないヘソ曲がりのリスナーまで知っているような曲こそが「流行歌」だと思うワケよ。
勝手にそう思わせてもらえるのであれば…果たしてあの「賞」には一体どういう意味があるのであろうか?…と識者に尋ねてみたい気持ちにもなろうぞ。
ま、こんなことを書いたのは初めてではゼンゼンないんだけどね。
さて、Marshall Blog読者の皆さんは果たしてレコード大賞にカラんだ曲をどれだけ認識できましたか?
…と、我ながら巧み極まりない伏線を張っておいて「世界歌謡大将」のステージにお邪魔してみよう!
ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラスの「Bittersweet Samba」が会場に流れる中、舞台に姿を現した4人。
「Bittersweet Samba」とは「オールナイトニッポン」のアレね。
永野啓司森藤晶司森下正大前田卓生前田さんが叩いているのはNATALのバーチ。
フィニッシュはタバコ・サンバースト。1曲目は「ファイナルカウントダウンまつり」。
ギャハハハハハ!
ヨーロッパの「Final Countdown」がサブちゃんの「まつり」になっちゃう!
セットリストをもらった時に「ナンじゃ、コリャ?」と思ったんだけど、果たしてタイトル通りということだったのか!
「♪まつりだ まつりだ」から… バリッバリのギター・ソロに!永野さんはMarshall。
「JCM900 4100」と「1960A」のコンビネーション。続いては「Livin' on A ff」。
永野さんがトーキング・モジュレーターの管をくわえて奏でるのはボン・ジョビのアレ。それも束の間…曲は「♪あ~いがすべ~てさぁ」になっちゃう!
だから「Livin' on A ff」。
「ff」とはハウンドドッグの「フォルテシモ」なの。
2曲の間を細かく、そして精密に行ったり来たりしちゃう。
コレは大変だよ…でも実にオモシロイ!
永野さんがシャウトするボン・ジョビ(のパート)。そして、最後は森藤さんが弾く「フォルテシモ」のイントロで感動的に締めくくられる…というワケ。
手が込んでるわ~。
さらに「お気に召すままTOUGH BOY」。
まずはジャーニーの「Anyway You Want It」。
なんて知った風なことを言っているけど、コレがジャーニーの曲だということを知ったのは、去年の7月7日、下山さんが歌っているのを見た時のこと。
ゴメンなさい、ボン・ジョビもジャーニーも全く通っていないのです…「音楽仙人」として山にこもって変な音楽ばかり聴いていたから。
でも、コリャ楽しくていいわ!
ストレートにカッ飛ばすドライビング・チューン。
前田さんが叩くNATALのサウンドがとても心地よい!ギター・ソロもバッチリとカマして…「THOUGH BOY」。
コレは根こそぎ知りませんでした。
調べてみると…アニメの『北斗の拳』に使われたTOM★CATの曲なんですね?
知らないワケだ。
しかし!永野さんの声ってカッコいいナァ~。うらやましいナァ~。
ロックを歌うための声だわ!
こういう尾藤イサオ系の声って言ったらお気を悪くされるかな?…ヌケの悪いクソ声の持ち主の私としては、もう最高に永野さんみたいな声に憧れちゃう。
ちなみ「♪サンド~」と『あしたのジョー』の主題歌を歌った尾藤イサオは元はジャグラーだったんだよ。
ウチのセガレたちの小学校&中学校の先輩。
私のオジさんが小学校の時の同級生で、尾藤さんは曲芸師の活動が忙しくてほとんど学校には来られなかったらしい。で、永野さんが「さかもとえいぞうさん」とやっている練馬マッチョマンの2024年の『蕩火~TOROBI』というアルバムを聴かせてもらった。
コレが大変にいい!
も~、ポップもポップ、でも実に「ロック」なのね。
「『ロック』という音楽を聴いた人たち全員が無条件で楽しくなるように演ってごらんなさい」と言われた時に出て来るようなアルバムだ。
えいぞうさんと永野さんの歌の個性の違いもオモシロく、さすがトロ火で作っただけのことはある風味豊かなひと皿だ。
「世界歌謡大将と申します。
初めて見るって言う方いらっしゃいますか?
どうっすか?大丈夫ですか?
レストランで言うと、我々は創作料理を出すお店です。
今、お通しで3品ほど召し上がってもらいましたが気に入って頂けました?
結構手がかかっている創作料理なんですよ。
スゲエ良いダシを使って、ていねいな仕事を一所懸命させて頂いてます。
京都のマツタケとかを使って炊き込んだご飯の上にデミグラスソースをぶっかける。
そんなバンドです。イエーイ!」 「一応、今日は45分時間を頂いていますが、多分、皆さんも30分ぐらいで飽きると思います。
さて、我々は来年、結成して10年になります。
食べログの評価は『2.8』ぐらいなんだけど、以外と長く続いてる店って感じです。
意外とマニアなお客さんが付いております。
で、10年前から『オレは、前に出て歌いてぇ。前に出て歌いてぇ』っていう人がいましてね」
「ロックンロール! ロックンロール! ロックンロール!」
前に出て歌いたい…という方はドラマーさん。
「前田さん」っていうぐらいだから。
今日も景気よく「ロックンロール!」で大騒ぎ!
前田さんが弾くピアノに合わせて…永野さんが歌ったのはモトリー・クルーの「Home Sweet Home」。「ホーム!」と永野さんに言われてドラム小屋へ戻る前田さん。
ウマい! そして曲は「与作」に!
2つめのサブちゃんネタ。
モトリーの「Home Sweet Home」の「Home」は部屋が36もあるという八王子のサブちゃんの20億円の豪邸のことだったのかッ?!
カァァァァァァァ!
ギャハハハ!永野さん、わざわざビブラスラップまで用意してた。
本格的な与作!
たしかにこの料理は手がかかっているわ!不気味なSEから…おなじみのベースのリフはマイコーの「Thriller」。でも歌は「新オバケのQ太郎」!
コレは知ってる。
何しろオリジナルの「Q太郎」の方の世代だから。
曲名はそのまま「マイコーのQ太郎」。チョット曲名を知らないんだけど、バックはマイコーの別の曲に…でも歌はそのまま「♪あのねQ太郎はね~」。
やっぱり手がかかってる!
ちなみにマイコーのあのカッコいいダンスはほぼボブ・フォッシーの「スネーク・ダンス」のパクリなんだよ。
続いては永野さんのファンク・ストラミングでスタート。
ドゥービーの「Long Train Runnin'」だ。
「♪あんのころは、ハッ!」
でも歌は和田アキ子の「古い日記」。
だからタイトルは「ドゥービーの日記」。
コレも素晴らしい!
「♪without love」のコーラスは完璧!
ハーモニカのソロ・パートは森藤さんが鍵盤ハーモニカで大暴れ!
「ありがとうございます。
イヤ~、いっぱい聴いてもらったと思うけど、まだ6曲です。
10曲くらい演ってる感じです。チョットお得な感じしません?
そんな世界歌謡大将ですけれども、残念なことに次回のライブが決まっていません。
来年は10周年だから何とかしなきゃ!とは思っているんですけど。
イベントのお通しみたいなバンドだからワンマンもできないし…」
「皆さん、大人なんでおわかりかと思いますが、我々は音源が作れないんですよ。
いろいろ大人の事情がありまして…なのでハンドタオルを作っております。
今日のセットリストが入ってます。タイトルも覚えて頂きたいなと思っています」
と物販の告知も完了。
残りはあと3曲。「夢想JUMP」…イントロは森藤さんが奏でるヴァン・ヘイレンのアレ。
「夢想」ってナンだ?「♪飛んで飛んで飛んで飛んで」だった!…円広志の「夢想花」ね。
曲をくっつけるだけではなくてシャレにつなげているところが何ともステキ。
しかもホントにジャンプしてるし!
ギター・ソロはエディの完全コピーだぜ!そしてまたジャン~プ!
ハハハ、楽しいね~!サンバ・ホイッスルを鳴らして手をフリフリするのは…「北の酒場に恋してる」。
この永野さんは「北酒場」の表情そのもの。そして、「恋してる」はもちろんフランキー・ヴァリの「Can't Take my Eyes for You」。
コレを「君の瞳に恋してる」としたのはけだし名訳。
私は映画も新しいモノはほとんど受付けないんだけど、フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズの半生を描いたミュージカルをクリント・イーストウッドが2014年に映画化した『ジャージー・ボーイズ(Jersey Boys)』はなかなかヨカッタな。
森藤さんがあのメロディを華麗に弾いて聴かせてくれた。
しかし、この2曲をひっつけた世界歌謡大将はエライ!
出番の最後を締めくくったのは「Daddy, Brother, Lover、チャンピオン」。「Daddy, Brother, Lover」まではMr. Big。
コレは知ってる。そして「チャンピオン」はアリスだ!
ギャハハハハ!永野さんと森藤さんがステージ上下に分かれてスピーカーの上に飛び乗った!キーボーズとギターのバトル!それが途中からディープ・パープルの「Highway Star」に!も~、最後の最後まで手がかかっているわ~!
こういう丁寧な仕事は観ていて気持ちがいい。
私も洋の東西や古今を問わず「あのサビのメロディはこの曲に完璧にくっつくな…」なんてことをしょっちゅう考えるんだけど、それは頭の中だけの話。
それをドンズバで実際にやってくれたのがこのチーム。
こういっちゃナンだけど、こうしてバカバカしいことを全力で真剣にやってくれることほどオモシロイものはない。
もう「大賞」もののパフォーマンスです。
さて、ココで冒頭に張った伏線に戻る。
幅広い世代に行き渡る流行歌が全くない現在、将来はこうしたネタを演じることも難しくなるでしょうな。
世界歌謡大将がやっていることは、誰もが知っている普遍性の高い曲があってこそできるワケだから。
そんな楽しみを味わえる時代に生まれ育った皆さんや私はシアワセだ。
10周年おめでとうございます!
記念ライブがあればゼヒMarshall Blogで取材させてくださいね!続いて登場したのは「ヘアメタル研究会」。
コチラは80年代のLAメタル当たりのサウンドの研究をしているチーム。
Marshall Blogにはコレは2回目のご登場となる。
YOFFYSUSSYSUSSYさんは「JCM900 4100」「1960A」を使用。TOKI一方のTOKIさんは「DSL100H」と「1960A」。HARUKISHOWSHOWさんはツイン・タム仕様で臨んだ。前回Marshall Blogにご登場頂いた時はロンドンの「ウェンブリー・アリーナ」からのレポートだったが、今回は「ギョエン・アリーナ」から。
いきなり世界歌謡大将のレパートリーと被ってヨーロッパの「The Final Countdown」!
コレがまたいいところよ!片言の日本語によるMC。
「二ホンノミナサン…エ~、シンジュク、カブキチョウ。It's a big city!Yes!」
続いて流暢な日本語によるMC。
「と言うわけでヘアメタル研究会で~す。
ボクは長野県出身…戸隠村と牟礼村というところのハーフなんですが、ヘアメタル研究会の集まりに皆さんようこそ!
今日もオレ達のヘアーは、フロム・アマゾンの輝きを放っているぜ!
みんな、ついて来てくれよ!
1バンド目はインパクトが強すぎて…オレたちはただ真っ正直にコピーを演ります!」
エエ~ッ!YOFFYさんのご両親が戸隠に牟礼だとは知らなんだ!
長野に住んでいた90年代、戸隠と飯綱には数えきれないぐらい頻繁に行ったんだわ~。
ウチの裏山だったもんで…。
子供が2人ともまだ小さかったので、春夏にはお弁当を持ってハイキング、秋は紅葉、冬は毎週スキー。
「天岩戸伝説」で全国的に有名な戸隠だけど、「うずらや」のそば、「ランプ」のチーズケーキ、そして道端のトウモロコシの即売所、戸隠には楽しい思い出しかありません。続いて2曲目でSUSSYさんが取り出したるはトーキング・モジュレーター。
まただ!…というのも曲がボン・ジョビが実際に曲で使っている「Livin' on a Prayer」だから。
トーキング・モジュレーター屋さんはボン・ジョビに感謝しなければいけませんね。
ジェフ・ベックの時はゼンゼンだったのにナァ。私、既に書いた通り、ボン・ジョビを全く知らなくてゴメンなさい…でも、コレがロンドンの地下鉄ピカデリー線の黒人のオジさんの歌だということは知っています。TOKIさんはギターだけでなく数々の曲のコーラスでも大活躍。気合の入ったプレイでSHOWさんもNATALをバリバリと鳴らしてくれた。ボン・ジョビも歌詞も知らないけど、あのオジさんのおかげでサビは一緒に歌いたくなっちゃうね! 「オレたち、お笑いじゃないんだぜ。
今日初めてヘアメタル研究会を見る方いらっしゃいますか?
ボクたちこう見えてもですね、活動歴は4、5年になりますかね?」
ココでメンバー紹介。HARUKIさんは3年ぶりYOFFYさんに会って、いきなりサウンドチェックして本番だって。TOKIさん…この日のためにヴァン・ヘイレン・モデルのギターを買ったところそれが不良品で、代替品も間に合わずガッカリという話。
それはガッカリしますよ。この日、ヒマワリさんから知らないバンドのドラマーにソックリといわれたSUSSYさん。
「今度はショートのボブで来ますから!」
「曲が終わった瞬間にみんなが笑ってた!」
SHOWさん、ささくれだったスティックに毛がからまって演奏中に頭に載せていたカツラがスッ飛んでっちゃった!
コレがその問題のスティック。
これだけ抜けたら相当痛かっただろうに…あ、カツラの毛か!
ご本人はかなりアセっていらっしゃいました!(写真提供:SHOWさん)「そしてワタクシ…本日、司会を務めますが、このヘアー・フロム・アマゾンが昨日の夜見つからなくて!
家中探したら、忘れないようにとカーテンレールに引っ掛けてかけてありました。
あまりにも日常生活に馴染んでいてわからなくなっちゃったんですね」
「ヘアメタル」を研究する会だけあってこのチームのMCはカツラがよく話題になる。
それだけカツラが重要なアイテムということなのね?武道館に来日公演を観に行ったというジャーニーの「Don't Stop Believin'」。
しっかし、ジャーニーってのは人気があるんだネェ。
私がロックに夢中になっていた70年代中~後盤あたりだと「ジャーニーが好き」なんて人は私の周りにただの1人もいなかったもんですよ。
ニール・ショーンはよく知られていたけど、エインズリー・ダンバーなんて誰も知らなかった。
へへへ、私は知っていたけどよ…フランク・ザッパの「THE MOTHERS」のドラマーだったから。
エインズリーはミッチ・ミッチェルとジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのドラマーの座を争った人。
コイン・トスで負けちゃった。
とにかくジャーニーってのは、ロックが一般人の間に広がった「時代がスターにしたバンド」の典型と言えるのではなかろうか。
SUSSYさんのギター・ソロもカッコよくキマって…ヒット曲が次々にヘアメタル研究会によって蘇っていく。
この続きは<後編>を待て!
ヘアメタル研究会の詳しい情報はコチラ⇒オフィシャルサイト<後編>につづく
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元気、快活、希望溢れる日々…楽しく、エネルギーに満ち満ちたイギリスのサウス・コーストからやって来たバンドがTHE BOTTOM LINE。
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(一部敬称略 2024年11月26日 新宿Wild Side Tokyoにて撮影)