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2023年3月31日 (金)

プログレッシブ・マサラ vol.1~Romanesco登場!

 
今日のライブ・レポートはMarshall Blog初登場の「Romanesco(ロマネスコ)」。
金属恵比須のメンバーの2人が参加していることよりご紹介頂いた。
『Progressive Masala vol.1(プログレッシブ・マサラ)』というイベント。
「マサラ」?…カレーでも出て来るのかしらん?
かつて「ロックとカレーの融合」みたいなイベントが実際にあったからね。
内容はRomanescoとEvraakのダブル・ヘッドライナー・ショウ。
「ツーマン」ではなく「ダブル・ヘッドライナー」ね。

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ところで…「Romanesco」というバンド名ね。
私はてっきり「ロマネスク様式(Romanesque)」から来ているのかと思っていた。
クロード・ドビュッシーとかね。
そこで、「ロマネスク」について調べようとインターネットを探っていてビックリ!
下の写真にあるおしゃれな八百屋さんで見かけるスゲエ形のヤツ。
コレ、「ロマネスコ」っていうんだってネェ。
ゼンゼン知らなかった。
カリフラワーの仲間でブロッコリーに近いというんだけど、なるほど言われてみればそういう感じがする。
ただルックスのインパクトが強すぎる!
で、「もしや?」と思い、Romanescoを紹介してくれたメンバーの秀貴くんに半ばフザけて訊いてみた。
そしたら「そうみたいです。バンドの名前はアレから来てるそうです」という答え。
これまたビックリしたわ!
そこで考えてみると、野菜の名前をグループ名にしているバンドって他にいないのではないか?
誰かいる?
「じゃがたら」は意味が違うし、私は苦いので好きじゃないんだけど、「ふきのとう」は野菜じゃないでしょう?
大根、人参、胡瓜、芋、白菜、椎茸、牛蒡、小松菜、南瓜、葱、茄子、玉蜀黍…思い当たらない。
私が知らないだけどフォークのチームにいそうだな。
一方、海外はどうか?
「Cucumber Slumber」とか「Green Onion」とか「Watermelon in Easter Hay」なんて曲はあるけど、バンド名はどうなんだろう?
全く思い浮かばないな。
ロマネスコ…ウマいところに目を付けたではありませんか。
しかもこの幾何学的なデザイン。
Romanescoの音楽を象徴しているようだし…。
オッと!宮嶋さんが「フィボナッチ数がどうのこうの」とか言い出す前にロマネスコの話を切り上げることにしよう。15演奏に先立ってトークのコーナーが設けられた。
パネラーはRomanescoのリーダー宮嶋健一とこの日2番目に登場したEvraakの菅野ハヤヲ。
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まずは「プログレッシブ・マサラ」というイベント名について。
「このイベントの打ち合わせをした場所が大久保のネパール料理屋さんだったんですよ。
それで、シルエレさんにイベント名を訊かれて、『プログレッシブ・マサラです』と伝えちゃったんですね。
でも『マサラ』というのは、スパイスとか調味料を混ぜたモノという意味なので、2つの毛色の異なるバンドが出演するイベントにはもってこいだと思ったんですよ」30v
今日のロマネスコの演奏については…。
「今までアルバムを2枚出していて、それに収録されている曲を今のバンド編成であまり演っていないんですよね。
アルバムをお買い上げ頂いた方には申し訳ないんですが、新しくRomanescoがやることを楽しんで頂きたいと思うんです。
1981年にクリムゾンが初めて日本に来て『21世紀の精神異常者』を演るのかと思ったら何かワケのわからない曲を演った…みたいな。
今日も音源化されていない曲が半分以上なんですが…アルバムに入っているゴッツい曲も演りますので楽しみにしていてください」
50
この日のお客さんから寄せられた質問に答えるタイム。
まずは…菅野さんが影響を受けたバンド。
「高校の時にスウェーデンのAnekdotenがデビューしまして…多感な時期に出て来たバンドでしたからとても好きで今でも聴いています。
もうひとつ…その前からのバンドということでDeep Purpleも挙げておきたいと思います」
私もこのスウェーデンのバンドが好きでした。
Marshallの会議が開かれる時、いつも私の隣の席に座るのはスウェーデン人のエリックで、この日本で「アネクドテン」と呼ばれているバンド名が自国でどう呼ばれているのか?と正式な発音の仕方を尋ねたことがあった。
「How do you pronounce アネクドテン?」と訊いたところ見事に通じなかった。
私のことを憐れに思ったのか、エリックは少し考えてからハッとナニかに気づいたようにこう言った。
「Oh! Sorry, you said ニクウクン!」
この「ク」はアメリカ人が「mountain=マウンクン」という時のような、日本語にない鼻から息を抜いて出す「ク」の発音。
私はコレと同じことを「ケンタウロス」でも経験したのを最近もどこかに書いた。
アレは英語圏では「セントゥア(Centaur)」と呼ばれている。
日本式発音ではテコでも通じない。
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これからのバンドサウンドの傾向は?
「ロマネスコははじめ60年代や70年代のブリティッシュ・ロックを日本語で演るコンセプトのバンドだったんですが、セカンド・アルバムぐらいでそれをやり切ってしまったんです。
そこで、今は看板を『オルタナティブ・プログレッシブ・ロックバンド』に架け替えて時代とかにこだわらず『ナニを演ってもRomanescoだぞ』みたいなことをやっていきたいですね。
今日のライブの感じでそれが見えてくるかな?と思っています」
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他に影響を受けたバンドや打ち上げでよく行く店など、バラエティに富んだ話題を交えてトーク・コーナーを終了した。60ひとつ…1981年のKing Crimsonね。
当時18歳の私は自転車に乗って近所の浅草国際劇場へ観に行ったんだけど、もうこの時には『Discipline』が出ていたので「全くワケのわからない曲ばかりだった」…という印象はなかったかな。
そういえばその『Discipline』はまだ日本に進出したばかりの渋谷のタワー・レコードで出てすぐに買ったんだったっけ。
渋谷中を赤字で「TOWER RECORDS」と書かれた黄色い袋を持った若者が歩いていて、自分もナニか買ってあの袋に入れてもらおう…と思ったんだな。
42年も前の話。
Shd_2 でも、宮嶋さんがおっしゃった通り、「精神異常者」を期待していた人は実際に多かったと思う。
エイドリアン・ブリューが「ア、カ」と次の曲名を告げた時の歓声の大きさがそれを物語っていると思う。
こんなタイトルの曲、戦時中だったら大変なんだけどね。
ロバート・フリップがイスに座ってジックリとギターを弾く傍ら、エイドリアン・ブリューがハネ回っている姿が印象的だった。
私は「Thela Hun Ginjeet」のトニー・レヴィンをすごくカッコいいと思ったナ。
ビル・ブルフォードも素晴らしかった。
「Indiscipline」とか「Frame by Frame」とか、とにかくモノスゴく演奏がウマいと思ったわ。

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第1回目の『プログレッシブ・マサラ』、まずはRomanescoがステージに上がった。
1曲目は「隠された星空 Part3,1 &2」。
70栗谷秀貴80v須田慎吾90v重本遼太郎100vそして、ミヤジマケンイチ。Img_7361 めまぐるしく変化するワルツのリズムでソロを展開する秀貴くん。
130
秀貴くんは金属恵比須ではベースを担当しているが、Romanescoでは本職のギターをドップリと聴かせてくれる。
もちろんアンプはMarshall。
JCM900 4100と1960A。140v足元のようす。150余分な場所をとらないように気を遣っているのか、ペダル・ボードが2階建てになっている。
しかし、今は色んなモノがあるよネェ。
私が大学の頃、それこそKing Crimsonを観に行った頃はこんな便利なものなどなくて、大枚はたいて買ったペダルを適当な大きさに切ったコンパネにアロンアルファでペタリと貼っていたわ。
160遼太郎くんのドラムス、スゴし。
「手が速い」と言ったら人聞きが悪いか…スティックさばきが実に鮮やか。
粒立ちがハッキリしていて音が実にキレイなのだ。170宮嶋さんのボーカルズに…
110v
須田さんが重なっているツイン・ボーカルズ体制。
アチコチでメロトロンの音がしていて気持ちいいな。
120v
リズムが激しくなって秀貴くんのギターが縦横無尽に飛びまくる!180v今度は須田さんのピアノとImg_7398宮嶋さんのムーグのソロが絡む。
この後もジャンジャン出てくるけど、ツイン・キーボーズの目的ってこういうことか…と、Romanescoの演奏で納得できたような気がしますよ。
190v秀貴くんのアルペジオからスタートした2曲目は「テレマ」。200v_trm宮嶋さんの本日3つめの楽器はフルート。
フルートもプログレッシブ・ロックの音楽性にとてもよくマッチする楽器だ。
「まだ余裕がない!」とおっしゃっていたけど、一本足で吹きまくる日が近いことを期待する。210曲調がガラッと変わって勇猛な6/8拍子のパートに。
宮嶋さんはフルートを置いてすぐさまムーグのソロにスイッチ。
実に忙しい!
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リード・ボーカルズは須田さん。230ココでも秀貴くんの縦横無尽のソロ!240v疾走する遼太郎くんのドラムス!
250v
ドラマチックなギターとムーグのアンサンブルから歌のパートに戻って曲は静かに終わる。
もう一般的に「プログレッシブ・ロック」と呼ばれる音楽のエキスが存分に盛り込まれた1曲。
私も若い頃こういう音楽ばかり聴いていました。
350
「Romanescoです。この編成になって2回目のライブです。
今日もまたアルバム未収録の新曲ばかりを中心にお届けしております。
1曲目はセカンド・アルバムに入っていた『隠された星空』でした。
金属恵比寿の『星空に消えた少年』とちょっとカブりそうなんですけど、こっちの方が先につけたタイトルです。
コレがやってみたいと思っていた『歌の付いたマハビシュヌ』って感じの曲なんですが、しばらくはこの方向性でやってみたいなと思っています」
270
「ボクたち、昨日リハを演って、それで今日を迎えているんですが頭の中が真っ白になっちゃって…物販のCDを持って来るの忘れちゃいました!
今日は須田慎吾くんの詩集を持って来ております」280v次も秀貴くんのギターから。290_skRomanescoは須田さんのソロアルバム『ラムネ時代』をキッカケに始ったとか。
そのアルバムから「空が消えたら」。300vココでもメロトロンをタップリと。
しかし、メロトロンという楽器ってスゴイよね。
極めて構造は土木的というか原始的というか…でもこの音色一発で音楽のジャンルを特定してしまうほどの個性がある。
日本人はとてもこの音色が好きなんでしょうけど、海外の人ってどう思っているんだろう。
今度訊いてみよう。
310ナニ気に拍子が5/4拍子に変わって…
400v
上下両方からメロトロンのサウンドがあふれ出る。
340
そんな幻想的なムードの中秀貴くんがソロを奏でる。Img_7517 続いて出来立てのホヤホヤという「ブライト・デイ・ガーデン」。360v_bdg今度は須田さんがギターを弾きながら歌う。370ブリティッシュ然としたシャープなリフ。380宮嶋さんも加わってボーカルズはチョットポップな仕上がり。
コンパクトで聴きやすい1曲?
390意表をつくカットアウトのエンディングがカッコいい!
440v
ココでメンバーを紹介。
「結構新曲を中心に演ってるんで古い曲を演るスペースがあんまり無いんですが、またそのウチなにかピックアップして演りたいと思っています」
410v秀貴くんのアルペジオで始まった次の曲は以前にも披露しているという新しいナンバー、「雨の歌」。
コレは7/4拍子になっているのかな?430v_auこの曲もボーカルズは宮嶋さん。Img_7334ココでもドップリとメロトロン!460v後半の器楽パートがすこぶるスリリング!
遼太郎くんのドラムスが暴れまくった!
470v
続けては前回のライブでオープニングで演奏したという「ギュルヴィの惑わし」。
これまたノッケから遼太郎くんと…480v_gn秀貴くんが大爆発。
530v
おお、「A Man, A City」風!
この曲のリード・ボーカルズは須田さん。490v宮嶋さんは右手オルガン、左手ベースの二刀流。
520
リズムがゴキゲンなシャッフルになってギター・ソロ。
540
メンバー紹介の時に宮嶋さんが秀貴くんを「鬼弾き」と紹介していたけど、まさに「ギターの鬼」!
600

「ギュルヴィ」という言葉を初めて耳にした。
調べてみるとスウェーデン王国の最古の王様と言われているものの、実在していたかどうかは不明だとか。
今演奏した曲のタイトルは「ギュルヴィの惑わし」となっていたけど、「ギュルヴィのたぶらかし(Gylfaginning)」という話しがよく知られているらしい。
話せば長くなる…というか、よくわからないので脱線で逃げると…国を削られてしまったギュルヴィが行く先がナント「ヴァルハラ」なんですな。
「ヴァルハラ(Valhalla)」というのは、「戦士が戦いで死んだ後に行く宮殿」のことで、コレをYetti Valhalla(イェティ・ヴァルハラ)というカナダのバンドの人に教えてもらった。
で、この「ヴァルハラ」がレッド・ツェッペリンの「移民の歌」に出て来るんだよね。
コレは先月「王様」の記事を書いていて知った。
私んとこ、何だかしらないけど一気にヴァルハラ・ブームなんですよ。

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それでギュルヴィはそのヴァルハラで神様から色んな話を聞くんだけど、気がついてみたら館もナニもない原っぱにいた…みたいな話。
こういう話の発想って洋の東西を問わないのかね?
溝口健二監督の『雨月物語』なんかは空いては幽霊だけど結末が似てる。Um『耳なし芳一』もプロットが似てる。
ま、コレは原作がラフカディオ・ハーンだから元々日本のモノではないけど…。
この小林正樹の『怪談』の「黒髪」なんかも「気が付いてみると…」という点では同じ結末だ。

Kd「…というワケで残すところあと1曲です。
皆さん飲んでますか?いい感じに酔ってますか?
メンバーには酒が飲めない人が2人いて、ボクと須田くんは結構飲めるんですけど、今日みんな機材車で来ているので、お酒NGなんですよ!
ですから皆さんはボクたちの分まで飲んで楽しんで行ってください!」
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「それで唐突なんですが、最高のビールのツマミって太陽の光なんじゃないかとボクは思うんです。
昼間っから飲むビールって最高じゃないですか!
ワインもいいけど、やっぱ昼に飲むビールって夜に飲むよりウマいと思うんですよ。
そんな『昼に飲むビールはウマいな~』っていうのを歌詞にした曲です。
Romanescoを結成して以来、いつも最後に演ってる曲で今日も〆たいと思います。
今日はありがとうございました!」

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速めにかけたモジュレーションのギターで曲はスタート。
いいフレーズ!Img_7583んんん?
コレは譜面に書くとどうなるんだろう?
3つでグルーピングした8分が4つと、4つのグルーピングがひとつ…になってるのかな?
こう書くと複雑なイメージだけど、曲は実にスムーズ。
…と思っていたらやっぱりコレは4/4だ!
始めっからヘンなことをすると予想してかかるもんだから、そういう風に聞こえちゃうんだわ。
Img_7634そう感じさせるのは歌詞の力もあるのだろう?
「♪昼間からビール飲んでる」…まったくそのまんま歌ってた!
宮嶋さん、メッチャ酒強そうだもんナァ。
手をノドに当てているのは「アイ~ン」をやっているのではなく、ノドを叩いてビブラートをかけている。
もう酔ってしまったのか、声が震えるほどウマいビールということなのか…。
昼間に飲むビールは確かに美味しいけど、飲んだ後がツラくてね~。
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こうなるとは思っていたけど、曲は昼間のビールの力も手伝って壮絶なインスト・パートに突入する。590
須田さんのギター・ソロ。610秀貴くんの鬼弾き。
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宮嶋さんはオルガンでソロ。620秀貴くんは今度はボトルネックでソロ!630vキーボーズだけでなくベースでもスケールの大きなプレイを見せてくれた宮嶋さん。640vまさにワン&オンリーな世界。
やっぱりこの手の音楽を絶やしてはいけないね。
若い人にも是非プログレッシブ・ロックのライブに足を向け始めてもらいたい。
Romanescoがその嚆矢となることを願って止まない。
 
Romanescoの詳しい情報はコチラ⇒Romanesco公式ウェブサイト

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☆☆☆Marshall Music Store Japanからのお知らせ☆☆☆
 
日本が世界に誇るインストゥルメンタル・バンド、D_Drive。
海外ではプログレッシブ・ロック・バンドにカテゴライズされています。
と、いうことで先日イギリスの権威あるプログレッシブ・ロックの雑誌に取り上げてもらいました。

Prog

こんな感じ。

<だるまさんは転ばない(Red Light, Green Light)>

コチラはSONY Xperiaとのコラボレーションで制作した最新ビデオ<Wings>。

<Thmbs Up>

<Begin Again>

Marshall Recordsが世界にリリースするセカンドアルバム『DYNAMOTIVE』絶賛発売中!

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(一部敬称略 2023年2月26日 吉祥寺シルバーエレファントにて撮影)