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« BARAKA~25th Anniversary Live <前編> | メイン | 田川ヒロアキ~GUITAR STATION 2022 AUTUMNツアー・ファイナル<前編> »

2023年1月14日 (土)

BARAKA~25th Anniversary Live <後編>

 
BARAKAの『25周年記念コンサート』レポートの<後編>は平石さんのご挨拶から。
「皆さん、今日はありがとうございます。
今回は25周年ということで、この六本木EXシアターで演ることに決めました。
平日でもあり、コロナの状況もあるのでどうなるのかな?…と思いましたが、こんなにたくさんの皆さんに応援に駆け付けて頂きまして本当に我々も嬉しく、心強く思っております。
最後まで全力で演り切りたいと思いますのでよろしくお願いします!」
10v「『25周年』ということで、そういうことにまつわる話をした方がいいのかな~…と考えながらドラムを叩いていました。
『25周年』と言っても、ボク達よりもっと長く続けていらっしゃる先輩も多いと思いますし、『1つの道のり』であると言えばそれまでなんですけれども…。
やはりナンと言ってもボクらはツアー・バンドですから、アッチコッチへ行って色んな人とのつながりがたくさん出来たってことがありがたいと思います。
今日も北海道とか、四国とか、関西とか、色んな所からお客様がお見えになられています。
そういう『BARAKAを応援してやろう』という方々に出会えたことが25年の中でのナニよりの財産だと思っています。
本当に皆さん、ありがとうございます!」
30_2「25年演ってるってことは…マァそれだけ歳を取っていますよね、コレ。
それでもまだまだ色んな物を作ったり、色んなところに行って、知らない人の前で演奏したり、そういうことをやっていきたいと思います。
皆さん一緒にこれからも歩んでください。
よろしくお願いします!」20_2続いて演奏したのはビートルズのメドレー。
BARAKAは2013年に14曲入りのビートルズのカバー・アルバム『THE BARAKA』をリリースした。
そして今回のコンサートでは8つの「Fab Fourナンバー」を披露した。40まずは「Can't Buy Me Love」。
CDでは「I Feel Fine」を組み込んだ歌入りのアレンジだった。
この「25周年」の舞台ではボーカルズを取り除き全編を通じてインストゥルメンタルのライブ・アレンジ・バージョンで臨んだ。
BARAKAはCDのアレンジに捕らわれることなく、ドンドン変化を加えて行っているそうだ。B1続いて「Love Me Do」。
まさかのフュージョン・サウンド。
CTI時代のジョージ・ベンソンをチョッとハードにしたような?
ココでも一生さんが弾くストラトキャスターの音色をMarshallが美しく演出する。B2平石さんのドラミング・パターンが印象的な「Norewgian Wood」。
向こうの方で「長い列車が走っている」ような展開部のアレンジもオモシロい。
「ノルウェイの森」と邦題されているこの曲、しばらく前にこの「wood」は「森」ではなくて「材木」だ…という解説を読んで「なるほど…」とひとりごちたことがあった。B3きっと出て来るBARAKAのレゲエは「Something」に導入された。
依知川さんがパーム・ミュートして繰り出す間を重視した「締まる低音」が気持ち良い。B4アルバムの冒頭を飾っている「Day Tripper」をドカンとかます。B5BARAKAがあの有名なリフをそのまま演るワケもなく…コレは15/8拍子になるのかな?
8分音符がひとつ足りないだけでエラく雰囲気が変わるわ。
だから音楽ってオモシロい。B6vどの曲も大胆極まりないアレンジが施されているんだけど…「Get Back」も強烈だった!B7メドレーの最後を飾るのはアルバムに収録されていない「ネタ」…イヤ、「曲」。
依知川さんが弾くメロディは「Come Together」。B8_ct一生さんのファンク・ストラミングやソロ…B9i平石さんのソロ…「The Chicken」を間に挟んで3人それぞれのプレイがフィーチュアされた。B10vこのメドレーも何度かライブで拝見しているが、確かに今回もまた違った雰囲気の仕上がりで、ステージから耳と目を一時も話すことが出来ないパフォーマンスだった。B11チョットここで脱線。
BARAKAはビートルズに続いて2016年にQueenのカバー曲集をリリースしている。
音源を頂戴して初めて聴いた時、あまりの強烈なアレンジにビックリ仰天して、それこそフザけ半分に「コレってもしかしてフザけているんですか?」と依知川さんに失礼なことを言ってしまったことを思い出す。
優しい依知川さんはそれを聞いても全く怒ったりせず、大笑いしながら「イヤイヤ、真剣にやってますよ~!」と答えてくれた。
ビートルズもQueenもそれほどにスゴイ。
こうなると新しく曲を作った方がよっぽど早いのではないか?と思ったりもして…。
で、そのQueenのカバーアルバムのタイトルが『A Night at the Open』。
もちろん本家の『A Night at the Opera(オペラ座の夜)』のモジリ。50cdで、Queenはそのタイトルをマルクス兄弟の『A Night at the Opera(オペラは踊る)』からそのまま拝借した。
コレ、もう何回も書いていてゴメンね。
でも日本人はよっぽどのQueenファン以外にこんなことを知る人がいないでしょう。
物事はナンでも知っておいた方が楽しいからご存知ない方のために何度でも書いてしまいましょう。
グルーチョ、チコ、ハーポの「マルクス三兄弟」が繰り広げるドタバタは、クレイジーやドリフ等の昔の日本のお笑いの元ネタですからね…オモシロいにキマってる。
チコがピアノ、ハーポがハープの奏者で、映画の中で見せる超絶技巧があまりにもカッコよく、音楽的にも内容の濃いコメディ・シリーズだった。
昔の人はこういう芸を観ていたのでやたらと目が肥えていたんですよ。
この映画は私もずいぶん前に観たきりなのでハッキリとは覚えていないんだけど、タイトルの『A Night at the Opera』の「オペラ」は歌劇の「オペラ」であって、確かパリの「オペラ座」って映画には出て来ないんじゃなかったっけかナァ。
つまりQueenのアルバムの邦題の「オペラ座」は意訳ということになる…ように思う。Np2Queenが続いて発表したアルバムには『華麗なるレース』という邦題が付けられていたが、原題は『A Day at the Races』という。
コレも出元はマルクス兄弟の『マルクス一番乗り』という映画。
私がレコード会社の担当者だったら何の迷いもなく『クイーン一番乗り』という邦題を授けたんだけどナァ…『華麗なるレース』よりよっぽどカッコいい。
この映画からは「All Chillun Got Rhythm(神の子はみな踊る)」というスタンダード曲が生まれている。9drところで、インターネットで「BARAKA」と「Queen」というキーワードを入力して検索すると、BARAKAのCDが一番に出て来るかと思いきやさにあらず。
「BARAKA」という会社の「クィーンオブローズ」というアロマオイルが出て来るのだ!
世の中極めて広いです。
ハイ、脱線終わり。

55s壮大なビートルズのメドレーの後は2010年のアルバム『Inner Resonance』から「Atlantic」。9ir3/4拍子で一生さんが弾くクリーン・トーンのギターから曲はスタート。60v_at3/4と4/4拍子を交えながら曲はたおやかに進んでいく。
290依知川さんが「Gb→A→G」と奏でる足鍵盤の反復フレーズがホンワカしていて気持ちい~。
しかし、最後までナニも起こらずに曲は終わる。
なるほど…大西洋(Atlantic Ocean)に沈む夕日をイメージにした情景音楽なのか。
いかにもうまい具合に表現されている。
440v音数も少なく終始クリーン・トーンで弾き通した一生さん。
このサウンドは「沈む夕日」なのか静かに打ち寄せる「波の音」なのか…
まさにMarshallの出すクリーン・トーンの美しさを見せ付けてくれたようなパフォーマンスだった。100_2その美しいサウンドを送り出した一生さんのMarshallがコレ。
詳しくは<前編>をご覧あれ。105「皆さん、こんばんは!
こんなに来てくれてありがとうございます!
『25周年』ってことはBARAKAを25年やっているワケですけれども、皆様のお陰です。
ありがとうございます。
スタッフの皆さんもありがとうございます。
1番大事なのはメンバー…ありがとうございます
『25』と言えばですね、『アタック25』ぐらいしかわかんないですよね?知ってる?
アレは15周年の時ですか?
赤坂のBLITZで演りまして、20周年の時は東京フォーラムででした。
そして25周年はココ六本木EXシアターですよ!
30年目はどこでやんの?っていうことですけど…。
(客席から『武道館!』という声が上がる)
ああ?さいたまスーパーアリーナやないかッ!」
110v「そんな感じで季節も11月ということで…10月は秋ナスとかサンマとか…ボクら食うことばっかりですわ。
カキッ!
11月の最初に広島に行って鉄板焼き屋でセッションを演ったんですけどね、その時に出た牡蠣バターが非常に美味しくてですね…『カキ食えば、鐘が鳴る鳴り』…
(客席から『法隆寺!』という声が上がる)
声が小さい!
柿カキちゃうしね。
牡蠣やから…『カキ違い』ということでですね。
オン・ベース、Shin!
オン・ドラムス、Max!」
ギャハハ!
一生さんのMCを聞くといつもネプチューンのホリケンを思い出すんだよね。
いつ何がどういう形で出て来るのか皆目見当がつかん!
120「宴は佳境です。次で最後です。
(客席から『エエエ~!』という声が上がる)
じゃ、『次の曲で最後です』って言ったら『ホウ~!』って言ってみて。
え~、次の曲で最後でございます。
(客席から『ホウ~!』という声が上がる)
ナンか『エエエ~!』言うてる人がいなかったか?
ま、それはいいですけど…時間がアレなんで。
舞台監督の方、怒ってるかも知れないですわ!」130v_2ということで、BARAKAの25周年を記念するコンサートも早くも最後のセクションに突入した。
ビートルズのメドレーに続いて今度はBARAKAのセルフ・メドレー。
まずは2008年リリースの『Shade of Evolution』の収録曲からスタート。

9soe平石さんのシャープなシンバル・レガートに…140_gb大蛇のように絡みつく依知川さんのベース。
「五輪の書」に題材を借りた、5つのパートで構成した30分に及ぶ組曲、「Five Rongs」の第1曲「The Ground Book」だ。150v「五輪の書」とは宮本武蔵が著した「地の巻」、「水の巻」、「火の巻」、「風の巻」、「カルメンマキ」の5編からなる兵法の書。
あ、失礼!最後は「空の巻」だわ。
「地の巻」だから「The Ground Book」ね。
BARAKAのライブの頻出曲。
この曲にものすごくBARAKAのエキスを感じるのは私だけであろうか?160v7.The Ground book〜Flow〜Drs solo〜It〜The Book of Void〜Butterfly
続いて曲は「Flow」に移る。
「Flow」は2007年にリリースしたアルバム『BARAKA VII』収録の組曲「Bharmad」の第2曲。
アルバムでは「b) Part II」とクレジットされているナンバー。9brk7/4拍子のリフか実にクール!170_fl一生さんのソロ。
一生さんが弾くソロ・フレーズは「マーヴェリック」だね。
従来のロック・ギター・フレーズに全くとらわれることなく、自分の中から自然に出て来るフィーリングを音にして綴っているようだ。
こういうギターを聴かせてくれる若い人が出て来てくれるとギター界も少しは安心できるんだけどナァ。

180_2目まぐるしく変わる曲調。
曲をつなげて変えていくメドレーを構成する個々の曲の中で曲調が変わってしまうので、最早どこまでがどの曲なのか皆目わからん。
まさにマイルスの『On the Corner』状態!190vBARAKAのライブには不可欠の平石さんのソロ!
MCで一生さんは「40分ぐらい演りますから!」なんておっしゃっていたが、そんなに長くは演らなかった…38分ぐらいだったかしらん?210それはオーバーにしても、ショウの終盤とはとても思えないぐらいパワフルでスキルフルなソロをタップリと聴かせてくれた。220v_2大喝采に応える平石さん!230そして『BARAKA IV』から「It」。210cdCDでは依知川さんが哲学的な歌詞を大変味のある歌で聴かせてくれるが、このコンサートではやはりインストルメンタルに徹し、ガッツリと器楽演奏の魅力を引き出してくれた。240v_itメドレーの最後は「空の巻」の「The Book of Void」。
そうか「空」というのは「sky」ではなくて「empty」の方か…。
デへへ、私、コレでも吉川英治の『宮本武蔵』は読破しているんですけどね。
全く覚えていない。
ビックリして覚えているのは、戦前の朝日新聞に連載されたこの小説、みんなコレを読みたさに購読する新聞を朝日に替えたっていうんだよね。
新聞から出た名作はたくさんあるんだけどね。
日本人も昔はそうして盛んに字を読んでいたんですよ。
何せかつての日本はイギリスと肩を並べる世界一の文学国と言われていたぐらいだから。
 
平石さんのドラム・ソロを演じている間にジャケットを脱いで気合がますます入った感じの一生さん。
ましてやこれだけの遠大なメドレーだからして、最後はドッカーンと思い切り盛り上げるのかと思いきやさにあらず。
「一生さん+Marshall」の美しいクリーンから伸びやかな泣きのソロでチャイコフスキーの『悲愴』の「第4楽章」よろしく、しめやか~にメドレーの幕を下ろした。
コレがBARAKAのやり方か~!250_bov本編を締めくくったのはキラー・チューンの「Butterfly」。
堰を切ったように迫りくる7/4拍子のリフ!
260_bfまさに3人がひとつになった完璧な演奏。
見よ!コレが25年の厚みと重みだ!S41a0435_2

 

S41a0448 

S41a0216本編を終了して大喝采に応える3人。
こうしてひとまずステージを後にした。330アンコールまでの間は「バタフライ」の話をしましょう。
ナゼ「バター(butter)」と「飛ぶ(fly)」で「蝶(butterfly)」になるのか?
こんな本が出ている。
色々な英単語の語源をわかりやすく解説したその名もズバリの『「バタフライ」が蝶になったわけ(朝日出版社刊)』という1冊。
この本によると、「バター+飛ぶ=蝶」となるかは何世紀にもわたってその理由が専門家の間で議論されてきたそうで、サミュエル・ジョンソンの説によると、「蝶が姿を見せる春になると、ミルクをかき回してバターを作る作業が始まるから」らしい。
サミュエル・ジョンソンというのはイギリスの文学者で数々の名言を残した人。
「政府は我々を幸せにすることはできないが、惨めな状態にすることはできる」…なんていいこと言うじゃん?
「結婚は多くの苦悩を生むが、独身は何の喜びも生まない。」なんてのもいいね。
でも私が一番好きなジョンソンの言葉は、一番有名な「ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ。ロンドンには人生が与え得るもの全てがあるから」。
コレ、ホント。
行きたいナ~、ロンドン…私はまだ人生を楽しむことができるゾ!340「butterfly」の語源は他にもあって、イギリスで一般的な「ブリムストーン(brimstone)」という蝶は下の写真のように羽の色がバターのような色をしているから…とか、夜になるとバターを盗む魔女や妖精の姿が蝶だから、とか…コレはないな。
と、そうこうしているウチにBARAKAの3人がステージに戻ってきたよ~。Bs_2 「ありがとうございます。
アハハハハ!全然違う曲順になっちゃったね!
誰も予想してなかったんだけど、マァ、それも『BARAKA』ということでお許しください。
それでは最後に短めの曲を1曲演ります」350_2アンコールは「Palm Trees of the Maldive」。360_2『Inner Resonance』のオープナー。370にぎやかな曲調とエネルギッシュな演奏は…380vまるで今からコンサートが始まるかのようだ!390曲の中間部で一生さんがステージから客席に降りる。
BARAKAのライブの定番だ!410ステージ上から一生さんの様子を見守るリズム隊の2人。430_2客席中ほどの通路を歩いて…
440v_2ステージに戻った一生さん。
ギターを提げているとステージに上がれないので一旦ギターを降ろしてポーズ。
コレは土俵入りか?450_2そして、コマネチ!
この人がこんなシリアスな音楽を追求しているとは到底思えん!460そして再びギターを手にして猛烈なギター・ソロ!470「25周年記念コンサート」完走!
480「やりきった感」溢れる満足気な表情!S41a0453

S41a0457

S41a0511 25周年おめでとうございます!
これからもBARAKAだけの独自の音楽を追求してくださいまし!
 
BARAKAの詳しい情報はコチラ⇒BARAKA Official Web Site
 
「BARAKAの25周年」がMarshall Blogに記録され、半永久的に保管されることになりました。
こうしておけば、Marshall Blogが続く限りいつでもこの時の様子に接することができるのです。
記録しておかなければムリ。500_2 

☆☆☆マーシャル・コマーシャル☆☆☆
 

BARAKA同様、インストルメンタル・ミュージックで世界で勝負する4人組、D_Drive。

<だるまさんは転ばない(Red Light, Green Light)>

コチラはSONY Xperiaとのコラボレーションで制作した最新ビデオ<Wings>。

<Thmbs Up>

<Begin Again>

Marshall Recordsが世界に向けてリリースしたセカンドアルバム『DYNAMOTIVE』絶賛発売中!

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200 (一部敬称略 2022年11月30日 六本木EXシアターにて撮影)