Marshall Blogに掲載されている写真並びに記事の転載・転用はご遠慮ください。
【マー索くん(Marshall Blog の索引)】
【姉妹ブログ】
【Marshall Official Web Site】
【CODE/GATEWAYの通信トラブルを解決するには】

« リアクションザブッタ『Scarlight』レコ発ツアー | メイン | amber lumber 『Hermits』発売+6周年記念ワンマン・ライブ<後編> »

2022年12月 6日 (火)

amber lumber 『Hermits』発売+6周年記念ワンマン・ライブ<前編>

 
最近はどんなハンパな数の年回りでも「~周年」という枕詞をつけてライブを開くことが多くなった。
かつては「~周年」に適用されるのは「5年ごと」か「10年ごと」、海外では「25年ごと」と相場がキマっていたんだけどね。
でもそれはこっちの勝手な感覚で、「周年」という言葉は、物事が始まってからどのくらいの年数が経過したのかを表す際に用いられることになっているので、特に節目の年にしか当てはめられないという法はないようだ。
だから「周年」という言葉をバンドの年齢を示すような感覚で使っても何ら問題に感ずることはないのだが、好事魔多し。
コレって「時の流れの早さ」をものすごく実感させられるんだよな~。
最初期から応援しているamber lumberが「6周年」…ということは「アレからもう6年経ったのか!」
と、時の早さに驚き感じざるを得ない。
ま、1年前にも「5周年記念ライブ」のレポ―トをしているので、そんなに驚くことはないハズなんだけどね。
 
今日&明日はその6周年に加えて新しいアルバムの発表を記念したライブのレポートをお送りする。
amber lumber、6周年おめでとうございます!
05コレが今回発表したamber lumberの第5作目、『Hermits』。
「hermit」…「世捨て人」ね?
ジャケットはもちろん征史さんの筆によるもの。
この意匠、『Led Zeppelin IV』の内ジャケかと思い込んでいた。Hm タロット・カードの「The Hermit」なのだそうだ。
そして、タロット・カードでは「hermit」に「隠者」という訳語当てるのだそうで。
タロット・カードも昔ずいぶん流行ったよね…アタシャ全然知らないんだけど。290vしからば、私がナゼ「hermit」を「世捨て人」としたか。
それはトッド・ラングレンが1978年に発表したこのアルバム『Hermit of Mink Hollow』から。
当時、高校1年生だった私はトッドが好きで、発売されてすぐに秋葉原の石丸電気レコード館に買いに行った。
このアルバムには『ミンク・ホロウの世捨て人』という邦題が付けられていて、「ほほう、『hermit』というのは『世捨て人』という意味なのか」と刷り込まれてしまった。
もちろん「隠者」でも「世捨て人」でもOK。
「世を捨てる」から「隠れる」ワケだもんね。
語源はなるほど、ギリシア語の「eremites」で、「不毛の地に住む人」という意味なのだそうだ。300cd英語には時々とてもシャレっ気のある単語があるじゃない?
例えば…「belly button(おなかのボタン)」とか「arm pit(腕のくぼみ)」とか。
前者は「ヘソ」、後者は「わきの下」という意味。
「lady bug」で「テントウ虫」なんてものシャレているけど、この「lady」は「マリア様」のことだからチョット成り立ちが違う。
「蝶」を意味する「butterfly=バターの蠅」もオモシロイけど、コレは魔女がらみの話だったかな?
そこで、取り出しましたるが「ヤドカリ」。
自分の家を持たず、空き家の貝殻に入り込んでひとり寂しく過ごす…なんか「世を捨てた隠者」のようではありませんか?
それもそのはず、英語でヤドカリのことを「hermit crab(世捨てガニ)」というのです。
オシャレでしょう?
昔は縁日や商店街に行くと「ヤドカリ売りのオジサン」ってのがいたもんだけど、最近はメッキリ見かけなくなった。
310_280_2さて『Hermits』のジャケットのイラストに戻って…ネコ大仏が手にしている杖の先。
アララ、Appleのロゴ・マークになってる!
「リンゴをひとカジり」ね。
これは誰がカジったとされているのかご存知ですか?Appleそれは第二次世界大戦中にドイツの難攻不落の暗号「Enigma(エニグマ=謎)」を解読した「Bombe(ボンベ)」というコンピュータの元祖を開発したイギリス人の数学者にして同性愛者だったアラン・チューリングとされている。
チューリングの暗号解読の功績のおかげでヨーロッパ戦線の終結が2年早まったと言われ、現在ではイギリスの最高額紙幣(イギリスでは紙幣のことを「ノート」という)である50ポンド札の顔になっている。
そんなスゴイ人なんだけど、当時のイギリスは同性愛が法律で禁じられていて、チューリングはそれを苦に青酸カリを塗ったリンゴをひとカジりして落命したという。
そのコンピュータの元祖の開発者に敬意を表してスティーブ・ジョブスらのAppleコンピュータの創設者は自社のロゴ・マークに「チューリングのカジったリンゴを選んだ」…という話がある。
アラン・チューリングの話はMarshall Blogですでに何回も書いたので興味のある人はこんなんをご覧になってみてくだされ。
 ↓  ↓  ↓
【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 46 ~ ブレッチリー・パーク <その1>

950squidそれと右手に持っているランプ。
ウイスキーのボトルに見えちゃうのは私だけだろうか?
すると征史さん扮するネコ大仏の「Hermit」がウイスキーでアキラさんをおびき寄せて「Hermits」になる…なんてのは読みすぎか?
でもこういうことを考えるのは楽しい。
 
はい、前置きはココまで。
イザamber lumberの6周年記念+レコ発ライブの現場へ!Wh_2 会場内の壁に飾られたこれまで発表したアルバムに使用したビジュアルたち。20増えたね~。
コレぞ目で見る「amber lumber6年」の足跡。10グッズいろいろ。
amber lumberのオリジナル・グッズはハンドメイド感満点のワンオフ・アイテムばかりで他のバンドさんたちの取り扱い商品とはひと味もふた味も違う。30もちろん『Hermits』も店頭に並んでいた。40定刻通りamber lumberの2人がステージに上がる。
「ありがとうございます!今日はレコ発です!」と手を広げるアキラさん。
「いい感じですね。そして6周年です!」と付け加えた征史さん。
50さっそく『Hermits』のオープナー「ボクの場所」。60_bb森永JUDYアキラ70v山本征史80v いかにもアキラさん調のホッコリ・チューン。
「amber lumerのライブが始まったわ~」と感じさせてくれる。80CDにはバンド・フォーマットのスタイルで収録されているが、こうして2人のギターとベースだけの演奏。
となるとamber lumberテイストがなお一層引き立つのだ。
90アキラさんのファンク・ストラミングでスタートする2曲目はセカンド・アルバム『Mother Moon』収録の「ドウシテコンナニコワイノダロウ?」。
ナ、ナンだッ?!
ギターの音がメチャクチャいいのだ!90v手前ミソながらMarshallのアコーステック楽器用アンプ「AS100D」がアキラさんのギターを鳴らしております。
それにしても素晴らしいギター・サウンド。
さすがはMarshall内で1、2を争うロング・セラ―・モデルだぜ!100いつも通り征史さんもMarshall。
150v1992 SUPER BASSだ。
amper lumberの征史サウンドにはコレが欠かせない!120v足元のようす。
演奏中、足でエフェクターのツマミを回しやすいように色んなものがくっついている。
ナンカ眺めるだけで楽しいペダル・ボードだ。130そんな機材を使ってフレットレス効果テンコ盛りのソロを聴かせてくれた征史さん。110今日も2人の歯車がガッチリ噛み合ってとても楽しいショウの滑り出しとなった。140「オン・ベース、山本征史~」155 「ちょっ~と、ギターの音、良いでないですか!
今日もMarshallさんからアンプをお借りしてますよ。
一方、アチラの方のMarshallは自前です。
でも、ホント良い音ですね。スゴイね!」
と、アキラさんが盛大におホメの言葉を発してくれた。
その時、私もちょうどアキラさんの目の前にいたので「弾き手がいいから!」とお返ししたが、ホントに弾き手がよくないとこういう音にはならないんですよ。
「機材、機材」と騒ぐけど、良い音の成分の7割以上は演奏する方のテクニックだから。
イヤ、もっとかな?Img_0227 3曲目は3枚目のアルバム『Hundred Sun』から「ランデブー」。160_rvいい曲。
カリブ・テイストっていうのかどうかわからないけど、2人がこの曲を演奏するとそっち方の気分になってしまう。
ま、「そっちの方」と言ってもカリブ地方なんてまったく行ったことないんだけどね。
でもこの曲はmalavoi(マラヴォワ)を思い出させてくれる。
マルチニークの名門バンドね。30年とチョット前に聴き狂ったの。170v効果絶大な「♪ニューニュー」とウナるフレットレス・ベースでそんな雰囲気を醸し出す征史さん。180vホラ、アキラさんサイドに出張して来るほど征史さんもノリノリなのよ!0r4a0063 「♪コーヒーは苦いよ 本当は甘くして飲みたいよ ウイスキーも苦いよ でもウイスキーは甘いよ」と、この曲は歌っているけど…知ってた?
コービーも酒もタバコも、「嗜好品」と呼ばれている類のモノは最初は苦かったりクサかったりして、おいしいと思わないのが普通でしょ?
他にもクセやニオイに慣れることによっておいしいと感じる食べ物がたくさんある。
クサヤとかパクチーとか…私、パクチー全く食べられないんです。
ところが、老若男女、人種を問わず、ひとりの例外もなく、初めて口にした人に「マズイ」と思わせない食べ物がこの世にあるんだって。
それは何だと思う?190_su_co答えは「砂糖」。
そんな書き出しで始まる下の本、オモシロいよ。
アヘン戦争や奴隷貿易等、18世紀あたりのイギリスがしでかした数々の悪行を勉強していて巡り合った1冊。
岩波書店の「ジュニア新書」というシリーズなんだけど、ゼンゼン「大人新書」だから。
ブックオフの100円の新書コーナーにゴロゴロしています。Sss「ありがとうございます!」
ココで観客としてご来場されていた友達のミュージシャンを紹介。
また、Marshall Blogを「歴史のあるブログ」としてご紹介頂き、取材に入っていることについて言及して頂いた。
ありがとうございます。

「イヤイヤイヤイヤ…も~、6年って。アっという間ですね」
200「6年前の明日という時の私の投稿…『幸せな足音が聞こえてくるよ』って書いていましたわ。
ホントに『幸せの足音』だったのかなぁ~」
230v征史さんによると、そのアキラさんの言葉がファースト・アルバムの帯の惹句になっているというので確認してみると…ホントだ!
Obi2「今日、折込のチラシの中にボクが手書きで描いた『あにゃたにぴったりなアルバムはにゃんだろう』っていうチャート図を折り込んでいますので、ゼヒやってみてください。
Yes、Noで進んで行くと『あにゃたにぴったりなアルバムはセカンド・アルバムですよ』とか『5枚目ですよ』とか、それで当たったヤツを2枚、3枚お買い上げ頂くと幸せになれます…お互いに。
そういうシステムになっています」210vこの白いヤツね。
Marshallには行きつきませんのでご心配なく。
0r4a0002_2今回のアルバムで唯一間宮さんがアコーステック・ギターを弾いているという曲「最後のひとつ」を次に演奏した。
「そら豆」をキーワードにして始まるリラックス・ムードのワルツ。
0r4a0185いかにも「アキラさん作」を思わせるナンバー。
『Hermits』は既存の曲をコンパイルする手法で作り上げたが、この曲はここ1年以内に作られた新しい曲だ。
250vCDでは何ともキバツなフレーズのキメが中間部に挿入されていて度肝を抜かれるが、ココでは2人でとてもいい感じのホッコリ・ムードに仕上げられた。260「ありがとうございます!
今回のアルバムの中身は、昔作ったすごく古い歌とか、山本さんがやはり昔作った歌とか、amber lumberでアルバムに入れたんだけどライブで全然演奏しない曲とかを入れて作りました。
山本さんから『お蔵入りナンバーを集めてアルバムにします』って言われた時にはビックリした。チョット弱くないかなぁ~とか思ったんだけど、曲順通りに聴いたら自分で言うのもナンなんですけどスゴイのよ!」
270v「ま、8割方間宮さんの力かな?
でもナンカ録っているウチにねボクたちも上手くなってる。
普段のレコーディングって、ギターとボーカルズを最初に録るんですよ、弾き語りで。
それで、森永さんが弾き語りで演ったのを見たりして、ボクがベースを後で入れていく。
ギターと歌は全部スルーで1曲分録っているから、ところどころ合わせるということはせず、全部スルーで演れるまで録るんですね。
ところが間宮さんのレコーディングに関しては、細かく『ココだけやり直そう』ってやるんです。
歌もそう。
だからすごく時間がかかるんです。
でも、普段やっていないレコーディングで歌もベースもすごくウマくなってるな…って思います」
280v…と、いつもと違う方法で録音したのが今回の『Hermits』。
最初に聴いた時、ほとんどの曲がバンド・フォーマットなのが意外だったけど、アレンジのオモシロさが実にウマい具合にフィーチュアされたアルバムだと思った。
Hm次に演奏したのは ファースト・アルバムに収録されていた「思えども思えども」。
コレは征史さんの作品で、征史さん自身が歌って来たんだけど、『Hermits』ではアキラさんが歌っている。
そして、今回のステージでもアキラさんがマイクに向かった。320_oo思うように自分の気持ちが届かない…ネコの好きの征史さんらしくネコになってその思いを遂げようとするロマチックな1曲。
コレがどうにもグッと来るんだナァ…ということは、この曲を演ったライブのレポ―トの時に毎回書いて来た。330vやっぱり来るんだよ。
アキラさんが歌ってもグッと来た。
もちろん素晴らしい歌声にヤラれちゃうんだけど、今回はこの曲の「素材」としてのスゴさを十二分に目の当たりにすることになった。
私はネコになりたいなんて思ったことはただの一度もないんだけど、ナゼかヤケクソに感動しちゃうんだよね。340v「今の『思えども』は今日、ココに来てから初めて合わせました。
最初に演った『ボクの場所』とか、さっきの『最後のひとつ』も演ったことがなかった。
先日、北海道に1週間行って来て、その間『僕の場所』はどんなに短いライブでも毎回演ろうと決めたんです。
おかげで大分馴染んできましたね。
で、ワンマンやるとね、普段と違うことしたいな~って思うんですよ。
演奏する曲を前日に伝えたりすると心の準備をしちゃうから、会場に来てから『1曲目、アレ演るで』とかやるんです」
350v「今日の1曲目の『ボクの場所』は2部で演るのかな~と思ってた!
それが1曲目だよ!
はぁ~?
1曲目に1番高い声を出さなきゃいけない…っていうね。
ヨシ!次…なんだっけ?
わかった!コレは再度今回のアルバムに入れたんだけど、以前からワリと演っていた曲。
しかも、6年前に初めて一緒に演った曲なんだよね」Img_0364 アキラさんの2009年のソロ・アルバム『Arms』から「キミの知らないボク」。
ギターのボディを叩きながら歌うアキラさんと…0r4a0107 たゆたうようにして、アキラさんの歌声、ギター、打音に溶け込む征史さんのベースが心地よい。380アキラさんによると、Marshallの「AS100D」はギターを叩いた時の音もウマい具合に出してくれるのだそう。
それもお気に入りの理由のひとつのようだ。0r4a0101 続けて第1部最後の曲。
400_ktまだ正式音源としては発表されていない「呼吸とテレパシー」。
アキラさんの新しい曲。
この曲の発表にちなんで今年初めに開催したワンマン・ライブは『呼吸とテレパシー』と題された。410v征史さん爆発!425v凄まじい勢いで上半身を前後に振るアクションは見る者すべてを圧倒せずにはいられないであろう。440v「ありがとうございます!
じゃあチョット休憩して2部演ります!」
370_ksb<後編>につづく
 

***Marshall Music Store Japanからお知らせ***

フォーク、ロック、ポップの要素を巧みに混ぜ合わせた音楽をクリエイトする4人組のKeywest。
こんな感じ。
 
<C'est La Vie>
 
アルバム『オーディナリー・スーパーヒーロー』好評発売中!7keywest Marshall Music Store Japanでお買い上げのお客様にはMarshall特製スクエア・ロゴ・ステッカーを3枚プレゼント!
 
お求めはコチラ⇒Marshall Music Store Japan

9img_9727

200 (一部敬称略 2022年11月10日 神田THE SHOJIMARUにて撮影)