amber lumber 『Hermits』発売+6周年記念ワンマン・ライブ<後編>
amber lumberが毎回ライブ会場で配布しているエッセイ(No.310)によると、「『ハーミッツ』は普段ライブでやらない曲や、お互いの古いレパートリーをかき集めた作品。(中略)ハーミットよりハーミッツの方が響きがかわいいし、お蔵入りの曲に改めて光を当てた作品集なので複数形にしました」とあった。
そうか…「ハーミット」はamber lumberの2人ではなくて「曲」のことだったのね?
修験道よろしく、音楽に身を捧げるために浮世から身を隠した2人…とかいう筋立てかと勝手に思い込んでいた。
下は私が所有する2人のサイン入りの『Hermits』。
征史さんはいつもこうしてメモを添えて作品を送ってくださる。
こういう気遣いはとてもうれしいモノです。 コチラはおなじみ、ライブ会場で配られるネコ大仏の「おさとし」。
ナンカますますバリエーションが増えていい感じ。
もしかして「尾崎放哉(おざきほうさい)」の影響が出てきているのであろうか?
尾崎放哉については近い将来Marshall Blogの副教材『Shige Blog』で取り上げようと思っているので興味のある方はどうぞお楽しみに…。
それにしても、征史さんスゴイよナァ。
毎回、コレをやっているんですよ。
最近の日本は「音楽作品の売り上げにおいて、CDの占める比率が高い異常な国」と世界から見られているらしい。
大きなお世話だ!
音楽業界は本当に悲惨なことになってしまった。
こういう「音楽とビジュアルを結び付ける」なんて愉しみは近い将来完全に絶滅してしまうだろう。
征史さんにはガンバり続けてもらいたいものだ。コレは熱烈なamber lumberファンの方のハンドメイドのネコ大仏彫金。
非売品です。…ということで休憩が終わってステージに2人が帰って来た。
「じゃあ2部はこの曲から…。
コレは6年前に『1人で演りますからいいです!』って言ったにもかかわらず、真っ先にamber lumberで演った曲です」 ファースト・アルバムから「毒を吐く」。
ギターのボディを軽く叩いて毒を吐き出すアキラさん。 鷹揚にアキラさんの吐く毒を受け止めているかのような征史さんのベース。
「♪歌え歌え歌え キミはうたうたいだ」…ココで「感動」でしょう。
6年前か…私ですら懐かしい感じが強い。
この曲が収録されている『運命のわっか』はよく聴いた。
他のアルバムもとても好き。雰囲気が変わってアキラさんが切れ味の鋭いストラミングに乗せて歌うのは『Hundred Suns』から「冗談じゃない」。その鋭いギターの音を出しているのはアキラさんの背後にセットされたMarshall。茶色いカバリングが目印のMarshall AS100D。
1994年にこのモデルの前身であるAS80Rが発売され、AS100Dにグレードアップされたのが2000年。
それからずっと生産を中断することなく世界中で販売し続けられている人気機種なのです。
日本はいまだに「ライン神話」が崩れないのでアコーステック・アンプの優位性が語られる機会が少ない。
こんなに音がいいことをアキラさんが実証してくれているってのによ~!
日本の音楽界はホントにナニをやっても世界の基準からハズれているのよ。
その割には「世界、世界」って騒ぐのね。16分音符で細かくギターを刻むアキラさんに対して寡黙に低音を引き込むのがこの曲の征史さんのプレイ。
そして、ソロで爆発。激歪みのベース・トーンが会場を駆け巡る! そしてジャ~ンプ!
ココは征史さんの「静」と「動」の差も見もの。
着地は無事成功しています。アキラさんの6年前の回想。
「ホント、最初に会った時ね、山本さんがヘヴィメタルの人って知らなかったんだよね。
また言っちゃうけど6年前の今日、池袋のLIVE INN ROSAってとこで山本さんがやっていた'らいぶら'っていうアコースティック・ユニットと対バンになったんだよね。
だから、まさかヘヴィメタルの人とは思わなかった。
もうブッチャケ全部言いますけど、それより半年も前に山本さんからその'らいぶら'のCDを頂いていたんですよ。
それをね…そのライブの前日に聴いたの。
『ヤベーヤベー、対バンするんだからチョットぐらい聴いとかねぇとな~』…と思って。
それで聴いてみたらメッチャよかったんだわ!
こんなに歌が良かったんだ、あの人…とか思いながら、『アノ~、明日よろしくお願いします。歌メッチャいいですね!』なんてメールとかしちゃって!
そしたら、なんだか喜んでたわ」
「たまたま1回だけ演った女性ヴォーカルのバックのメンバーで対バンだったんですよ。
ボクらの前にソロで演ってて…。
森永さん、黒い服を着て地味~に演ってたんだけど、とにかくタイムがいいなと思った。
リズムね…リズムが素晴らしいし声もいい。
コレはチョットいいな~と思って、終わってから『タイムがすごくいいですね!』と言ったらニコっとして…」
そんな出会いがあって、共通の知り合いを媒介にして一緒に演奏する機会を得、それが今のamber lumberにつながった…という「amber lumber史」が披瀝された。
アキラさんのソロ・アルバム『Arms』、amber lumberの『mamma mia!』から「少しずつ」。 アキラさんによると計3回吹き込んでいるという必殺の愛奏曲。
amber lumberのライブでもきっと演奏する静かなキラー・チューンだ。お客さんたちは身じろぎもせずアキラさんの魂の歌に集中していた。
「私、最近ブログをやっていて、そこに書いたような気がするんですけど、毎年毎年こうやって新しい気持ちになるじゃん?
また新しい1年が始まる!って言う感じで…そんなことを書いたんですよ」「で、この“SHOJIMARU”も、周年月が6月だったんだけど、オープンしたら途端に雨漏れかなんかの問題が起きて営業が止まっちゃったんだよね。
それでリニューアル・オープンしたのが11月だったの!
それでその時にちょうど章二丸さんが私たちの演奏してるYouTube動画をタマタマ見てくれて、『あのベーシストいいからウチでも演れるといいな』…ってこの11月のライブが始まったの。
それでこのTHE SHOJIMERUと共に毎年11月に記念ライブが出来るというワケです」「ボクらのライブの日はもちろん来て欲しいけど、ボクらのライブじゃない日にもねぜひココに足を運んで盛り上げて頂きたいと思います!」今度はアキラさんがドラム・スティックを握るコーナー。 征史さんのヘヴィなベースと一体となってグルーヴを生み出すのは「ARMS39-for U」。アキラさんのドラムス・コーナーでは必ず取り上げられてきたこの曲もソロ・アルバム『Arms』に収録されている。
この曲を聴くとナゼか頭脳警察を思い出す私。そして、アキラさんのドラムスに乗って、征史さんフィーチュアの「I Wanna Be Your Blood」。
へへへ、コレ好きなんだ~、医学ロック。
征史さんの気合の入った歌声が聴く者の血を躍らせるゼイ!
今日、リード・ボーカルズでは初めての出番ですからね。「♪ドロドロ! ドロドロ!」
アキラさんのドスの利いた合いの手がまたいい!歌もベースもそれこそ「熱い血潮」がたぎる激演なのだ!「サンキュ~!」
キマった~!
盛り上がった~!
ココでまた大きな場面転換。
今度はドラムスもギターからも放れたアキラさんが、マイクだけを手にして「青い月夜」を歌ったのだ。この曲もグッとくるナァ。
最初のクライマックスは「♪泣いて泣いて泣いて こらえなくてもいいんだよ 今夜はうんとないていい」。
ココでまずホロっと来る。
そして「♪泣いて泣いて泣いて 君の涙が涸れたなら 僕が舟を出すから」で撃沈。
作詞は正史さん。
こんなロマンチックな言葉がよく出て来るもんだ。 それをアキラさんが作ったメロディと声で歌うもんだからこっちはタマったもんじゃないわね。「今日配ったエッセイにも書いたんだけど、次の曲をamber lumberで演ったらどうなの?って思っていたんだよね。
すっごい気に入って『Rough』というアルバムにも、『Arms』というアルバムにも入れた。
今回は間宮さんにアレンジもしてもらってまた入れた。
それでこの歌がね、ホントまさかね、amber lumberのレコ発でこうやって出来るとはね~」
「アルバムでは6曲目に入れているんですけど、中盤のクライマックスみたいな感じになっています。
我ながらスゴイ名演…本当に素晴らしい」
「素晴らしい!ホント、演出が素晴らしかった!
この曲の聴きどころは、も~、山本征史のベース…そして私のコーラスです。
一番の聴かせどころだからゼヒそこを聴いてもらいたい!…だって私、コーラス出来ないんだから!
生まれてこのかたコーラスが苦手でしてね~。
歌を歌う人って簡単にコーラスができるとみんな思ってるじゃん?
だから『コーラスして!』とか気軽に言われるんだけど本当にできないのよ。
本当に苦手で、どう歌っていいのか全然わからないんだけど、今回は間宮さんが全部『ココだよ。ココだよ』って教えてくれたの!」
「コレ、ボクが同じ事を言ったら殺されるんですよ!
『amber lumberはコーラスが聴きどころなんですよ!』だなんてとても言えない!」「今日、こんなにお客さん来てくださるとは思わなかった…本当にありがとうございます。
じゃあ、暗~い曲で…心して聞いて下さい。
2002年の『Rough』というアルバムを作る直前に出来た曲です。
あの時は出来上がったばっかりで録音しました」『Hermits』から「ホントはね」。
「暗い」というより、どこまでも深遠なワルツ。
ギター感が大の『Hermits』とホーン満載の『Arms』のバージョンを聴き比べてみるに…どっちもいいな。
いずれにしてもアキラさんのこの曲への傾倒ぶりが窺えるような歌唱だ。
そして、そんなアキラさんの感情がこのライブでも十分に伝わってきた。
要するに「入り込む」ってヤツ。
なるほど征史さんのベースが素晴らしい。
ギュワーンと派手に暴れまくるのもamber lumberでの征史さんの魅力のひとつだけど、こうした歌のバックに徹したプレイもまた素晴らしい。「ありがとうございました。
だんだんドラえもんみたいな声になってきた!」
「今日はお越しくださいまして本当にありがとうございました!
6年演って来てヨカッタ。
もうあんなことやこんなこといっぱいあったんですけど、続けてきてよかったです」 本編の最後は『運命のわっか』から「ここにある宇宙」。
amber lumberのライブの本編の最後で頻出するナンバー。
6年目の記念日もコレで締めくくった。
今日も後半に征史さんのベース・ソロが爆発!
足でエフェクターのツマミを回して…
♪ギュバギュバギュバギュバギュバギュバ…!
あ~あ~、あんなに足をヒネってる!こうして征史さんはベース弾きの鬼神と化してしまうのであった!こうして…こうして…こう…。
火は点けませんのでご安心あれ!「どうもありがとうございました~!」 アッという間にamber lumberの6周年を記念する濃密なショウの本編が終了した。すぐさまアンコール。
「アンコールありがとうございます!
今日のセットリストを考えたのは山本さんなんだけど、なんか最後にこう重いのをズドドド!と持ってきたね。
ビックリしたわ。ちょっとイメージがさ!」
「この間、北海道へはこのベースを持って行ったんですけど、飛行機を降りた時にもう壊れていたんですよ。
『鳴れへんな~』と思いながら普段より大きいボリュームで演ったんです…楽器が鳴らへんから。
そしたら『ベース、すごい良い音してましたね~!』とか言われて、『イヤ~、チョット鳴り切らへんのやけど…』なんてやっていたんです。
ボリュームを上げてるから、音自体はメッチャ聞こえるんですわ。
で、今日はMarshallの100Wの真空管Marshallアンプです。
コレはもう最高!30年使っているホントのオレの相棒なんです。
一方、釧路にはダイナミックなライブハウス(註:アキラさんによるとそこはレストランらしい)があって、そこには300Wの他のメーカーの真空管アンプが置いてあってそれを使ったんです。
300Wですからね。
ベースは割れていたんだけど、メチャメチャよく音が聞こえるの!
『そこにある宇宙』のソロなんか演った瞬間、あんまり音がスゴイので2人で笑い飛ばしてしまった!
その釧路が終わってみたら……ベースに入った亀裂が3本に増えていたんですわ!
そこから後は厳しい戦いやったんですけどね」
コレが征史さんを30年サポートし続けている「Marshall 1992 SUPER BASS」。
他方、下はアキラさんのギターのヘッドのようす。
ココでこのピンクのヒモについても征史さんから説明があった。
「ちなみにこのピンクの紐がナゼ巻き付けられているのかと言うと…『苫小牧ジャム』。
ボクたちを本当の家族のように歓迎してくれるライブハウスが苫小牧にあって、そこでは投げ銭でライブを演るんです。
で、あるお客さんがカバンの中からピンク色のヒモを出して来たな~と思ったら、そのヒモに千円札が5枚ほどホチキスで止まっていたんです!
それで、演歌歌手が首にかけるオヒネリみたいな感じで、2人でその5千円のヒモをぶら下げて演ってたんですよ!」
フーム…今度Marshallをどこかに貸し出すときにはピンクのヒモをくくりり付けてみるか…。「私もなんか、マウントとりたいな…あった!
私も歯が入ってさ…アッハハハハ!
人前で口を開けるでしょ?だから歯はチャンとしたいじゃんね?。
歌を歌うために歯医者に行くワケ。
だけど、いつの間にか歯を入れるために歌っている…という。
え?早く歌えよ!って?…ホントにね。
では、私の今のところまでの人生の最高傑作を聴いてください。
これも山本征史と一緒に演ったおかげで日の目をみました。
私は本当ボツにしようと思っていたんです」
アンコールの1曲目。
アキラさんの今のところの最高傑作と自負している曲は「半分だけの月」。ウン、確かにいい曲だもんね~。
お客さんも真剣にアキラさんの歌声を味わっていた。
そうして、まずはジックリと演っておいて…もう1曲…テーマ・ソングの「Amber Lumber」で盛り上がる!アキラさんのカズーが鳴り響いて最後の最後をにぎやかに締めくくった。
この2曲でアンコールが終了したが、アンコールを求めるお客さんの拍手がどうにも収まらない!
「え、いいんですか?」と遠慮しつつもう1曲。
もう1曲にぎやかに「とりあえずハッピー」。これまたほのぼのと盛り上がったんだわ~。
楽しかったネェ!「ありがとうございます!
ありがとうございました!
amber lumberでした!」「ありがとうございました!」
コレで楽しかったamber lumberの6周年を記念するライブの記録を半永久的に残すことができました。
こうしておけば、いつでも、どこでも、行った人はこの時のことを子細に思い出すことができるし、行かなかった人はその様子を窺い知ることができるというワケ。
それが…Marshall Blog!
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ブリティッシュ・ブルース界のニュー・ヒーロー、ローレンス・ジョーンズ…と言ってもブルース・テイストは希薄で、ポップなセンスの方が光るシンガー/ギタリスト。
こんな感じ。
<Anywhere With Me>
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