犬神サアカス團単独興行2022~地獄の業火~<後編>
例の「夢のお店屋さん」のつづき。
「じゃあ、エイジくん…もし店をやるとしたら何がいいですか?」「2コ思ったんですけど…1つはレコード屋さんかな?
レコード盤だけ売ってるお店。
それか涼しそうだからアイスクリーム屋さん…メチャクチャ暑いんで」
「レコード屋さんの片隅でアイスを売ればいいんじゃない?」という凶子さんのアドバイスがあって…
「いいですね。名前はつなげて『レコアイス屋』にします」
だそうです。いい名前だネェ。明兄さんのセカンドライン風スネア・ドラム+3・2クラーベでスタートするのは「天変地異」。
明兄さんが叩いているドラム・キットはNATAL(ナタール)。
犬神サウンドには不可欠なアイテムだ。タンバリンを手にした凶子姉さん。
この曲カッコいいよね~。
チョット昔のARBを思い出しちゃうんだけど、またそこがいい。ONOCHINのギター・ソロ炸裂!
今日使用しているMarshallはJCM800 2203と1960A。
スゴイ貫禄だ。キーボーズは犬神エイジ。
エイジくんはこの日の次のステージで犬神サアカス團を卒業した。奥にスッポリと引っ込んで黙々と仕事をこなしているのはベースの犬神敦。
「♪死にたくない!」
オラオラオラオラ~、お次は「Dead End Kids」だぁ~!
ガラリとリズムが変わって疾駆する明兄さんのドラミング。
極上のドライビング・ナンバーだ。「♪オ~オ、オ~オ」
コーラスもバッチリ。そして、ハードな曲にはハードなギター・ソロ。
いいネェ~。正しいロックの文法で作られた「曲」たぁ、こういう「曲」のこった!
そもそも「楽曲」なんて言葉は使わね~ゼ!
笑わせんナ!「楽曲」ってのはモーツァルトやベートーベンが作った曲を指す言葉だ。
ロックには必要ない。
「曲」で十分! オラオラオラオラ~、イッチョあがり!
「小野チンさんは、もしお店をやるなら何屋さんがやりたいですか?
「これマジでいい?
音楽好きでしょ。車も結構きなの。ギター好きでしょ。競馬好きでしょ。
だから、この4つ…あと3つ足してもいいんだけど。
店の中身が1日1日違うの…月曜日は車、火曜日はギターみたいに…マァ、土日は競馬だけどね。
今日はハズれちゃったんだけどね…コレは絶対来るだろうってスゴく自信があったの。
そしてら走る前に競争除外になってしまったのよ!
賭けた分が全部戻って来て、慌ててパーって他の馬券を買ったら全部ハズれたという…。
だから、今日はあんまりテンション高くない」「アッハッハッハ!
よく野球のファンの方々がそうなっちゃうじゃないですか…負けるとシュンみたいな」「オレって負けるとヒドいの。
とにかく、そういうカフェを…カフェじゃなくてもいいな。
松戸あたりでゼヒお願いします」さて『地獄の業火』も後半に入り、後はバンドもお客さんも燃え尽きるだけ!
ということで、2017年の『新宿ゴーゴー』のリード・チューン、「暗黒礼賛ロンクンロール」。
いつも通り「ロックンロール」のコール&レスポンスの練習から。
「まだ声は出せないので、身体で歌いましょう。
いいか!みんな!身体で歌うんだぁ~!ロックンロール!」頃を見計らって壮絶なクイでバンドさんがイン。
カッコいい~!「♪地獄の底 死人の目 うごめく毒蜘蛛…」
後で紹介するビデオをイギリスのMarshallのウェブサイトでリンクしてくれるというので、歌詞を英訳して字幕を入れた。
それを見たイギリス人…「ずいぶんヘンな歌ね」だって。
それでいいのだ!
犬神サアカス團は世界にひとつだけなのだ!
ギター・ソロも聴かせどころ。
お立ち台の上でONOCHINが存分に弾きまくった!
コレがその英語字幕を入れたビデオ。
英訳の作業はとても楽しかった!
だって、世界中で他にこんな歌があるワケないじゃん?
それを紹介するよろこびは大きいよ。
続いては、同じく『新宿ゴーゴー』のクローザー、「栄光の日々」。 発表当時は凶子姉さんがボックスを踏みながら歌ったものだった。
今はお客さんが振るペンライトと歌っている。ONOCHINのカッコいいリフでスタートする「生霊」。
「今夜アタシの生霊(いけすだま)身体を抜け出しどこへ行く」
敦くんのベースに乗って凶子姉さんの呪怨が繰り返される。
「いきりょう」と書いて「いけすだま」と読んだり、「いきすだま」と読んだり…意味は同じ。
生霊は死霊よりコワいっていうからね。そして、曲は目の覚めるようなドライビング・パートへ移行する。
この曲もカッコいいな~。
明さん、素晴らしいってばよ!まさにメンバー全員が一丸となった演奏。
この日のハイライトのひとつだったんじゃないの?
久しぶりに取り上げられたそうだ。この日のビデオも公開されているのでどうぞ。
「『生霊』久しぶりに演ったなぁ~…ヨカッタ~!
コーラスってあるといいね。
どんどん演っていこうと思ってます…さて、明兄さん」 「オレのやりたい店だね?
趣味っていうか、小学校の時は“昆虫博士”ってアダ名だったの。
昆虫が好きだからね。
最近『昆虫食』っていうのが出て来てサ。
オレは昆虫を育てて昆虫を食べる仕事もいいな…って。
実際、ウマいし…」「ああいう昆虫食屋さんって今が勝負だと思うんだ。
タピオカ屋みたいにみんながマネし出してブームになっちゃうとすぐ終わっちゃうからね。
終わってからとか、終わりかけた頃に、店出してもダメでしょ?
この前、ウチの近くにバナナジュース屋さんが出来たんだけど、アレももうダメだと思うよ。
そういう意味でいくと、『コオロギ屋』さんじゃない?」
「コ、コオロギ屋さん?」と驚く凶子姉さん。ハイハイハイハイ、「昆虫食」が出て来たところでココでお勉強しておきましょう。
【特別企画:魅惑の昆虫食カタログ】『虫ケラの欲望~キミも虫仲間!』
ご存知の方も大勢いらっしゃるのではないか?と察するが、アメ横にこういう自動販売機がある。
「TOKYO昆虫 From アメ横~次世代良質昆虫Food」と、自信満々のキャッチが付いている。明兄さんがニラんだ通り「すごい!!」って言ってる。
ナニせ生産効率が良いらしい。
この自販機によると…
☆ヨーロッパ 11か国
☆アフリカ 36か国
☆アジア 29か国
☆南北アメリカ 23か国
☆オセアニア 14か国
ですでに食べられているというのだから、明兄さんがおっしゃる通りウマいにキマってる。
それではメニューをチェックしてみよう。
お~、まずは明兄さんおススメの「コオロギ」。
産地によってテイストを変えているゾ。
広島:アーモンドをタップリ食べた大トロこおろぎをジックリとロースト。
群馬:りんごチップを使った燻製。優しいスモーク香がやみつきらしい。
埼玉の嵐山:唐辛子と花椒のピリ辛風味。煎ったピーナツ入りがうれしい。
京都:日本伝統の煮干し製法により旨味を濃縮。沖縄の海水塩を100%使用。
福島:新開発の「ソース煮干し製法」でスパイシーかつフルーティな仕上がり。
「こおろぎラーメン」は麺に「ヨーロッパイエコオロギ」のパウダーが練り込まれていて、ツルツルもちもち感がタマらないらしい。
明兄さんの好物はどれだろう?
キャラメル味のコオロギもあるよ。
カナダ産のオーガニックコオロギを使用しているので安心だ。
やっぱせっかくの昆虫食だもん、無化調でいきたいもんね。
一方、「お楽しみCAN」はコワいな…価格は1,000円でも1,000円以上のモノが入っているのでお買い得だ。
年明けの福袋か!ココは「ミックス」ものコーナー。
「やっぱりミックス系にいっちゃう」っていかね~わ!
ミックスは高いね。
「pupae(ピュペイ)」は「pupa(ピューパ)」の複数形…つまり「サナギ」のこと。
サナギといえば…。
昔、仕事で長野に住んでいた時、東京の事業部長に頼まれて諏訪まで「蚕のサナギ」なるモノを大量に引き取りに行ったことがあった。
諏訪とか岡谷といったら『ああ野麦峠』よ。
製糸は明治時代に日本が外貨を稼ぐための重要な産業だった。
蚕から糸を作るのが「製糸」、綿から糸を作るのが「紡績」ね。
で、昔とは比べ物にはならないにせよ、諏訪地区にはまだ養蚕農家が残っていて、蚕のサナギを乾燥させて販売している。
それを「買って来い」っていうワケ。
こっちは東京生まれの東京育ちでホンモノの蚕すら見たことがほとんどない状態で、ナニも知らないもんだから「わかりました~!」なんて簡単に引き受けたんだけど、コレが想像を絶するクサさ!
「オイニーがサイク~」だなんてとても言っていられない。
もう阿鼻叫喚の悪臭地獄で、ニオイを嗅いだ瞬間もんどりを打ってしまった。
で、現地から宅急便で東京に送っちゃえばいいんだけど、クサすぎてとても業者が引き受けてくれない。
仕方なくそれを車のトランクに入れて長野まで持って帰って、ニオイが漏れないように幾重にも包装をして「籾ガラです」と中身を偽って宅急便屋に持って行ってもらった。
で、諏訪の人に実際に聞いた話なんだけど、地元には「蚕のサナギ」に目のない人たちがいて、バケツ一杯でも平気で食べることができるという。
一方、後日事業部長にその用途を尋ねてみると、「アレか?鯉のエシャだよ。鯉はあのクシャいニオイが大シュキなんだよ」と、福岡出身の部長が自慢気に答えてくれた。
ちなみに…映画は知らんけど、山本茂実という人が著した『ああ野麦峠 ある製糸工女哀史』という原作はとてもオモシロいですよ。
虫に戻って…。
「やっぱりいってしまうミックス系」の中身はなんだろう…。
なんか、「暗黒礼賛ロックンロール」に出てきそうなヤツらだな。
こんな写真。、犬神サアカス團以外の記事には載せられないわ。 「ク~、ウマそうだナァ~!」
明兄さんは大よろこびしてる!コオロギを丸々一匹乗せて焼いたクッキーもあるよ。
「担当者激押し」だった。 この「ジャイアントコオロギクッキー」はかなりのおススメらしいぞ。
「通行中のお客様のご迷惑にならないように」…実際にこの自販機を発見してギャーギャー騒いでいる人たちを時々見かけるからね。
近い将来、自分たちの常食になるとも知らないで…。
でも誰かが買っているところは1回も見たことがない。また「Crickets」…こおろぎ系が多いね。
そんなにウマいのかな?
「興梠(こおろぎ)さん」という人もいらっしゃるぐらいだからな。
ウソ…「興梠」というのは「立派な家」という意味らしい。
一方、となりの「Cicada(シケイダ)」は「セミ」のこと。
コレは幼虫ではなくて大人の方。ジャリジャリしていそうだな。
そういえばセミで思い出した!
布袋さんのバンドのイギリス人のドラマーが明兄さんと同じNATALを使ってくれていて、数年前の夏に来日した時の会話。
「シゲ、日本はアレがスゴイね!」
「『アレ』てナニ?」
「あの木に留まってギャギャギャギャギャギャ~って鳴く虫ってナンっていうんだっけ?」
「シケイダのこと?」
「そうだ!シケイダだ、シケイダ!」と表情をスッキリさせていた。
そのギャ~の時の表情がオモシロくて大笑い!
イギリスに蚊がいないのは知っていたが、セミもいないのかな?
少なくとも夏にロンドンへ行ってセミの鳴声を聞いた記憶はないな。
特許を取得している「タガメサイダー」。
タガメって希少なヤツでしょ?
私はサイダーどころか見たことすらないな。
飲むと美味しすぎてタガメの印象が変わるそうです。「Silkworm pupae」…出た!蚕のサナギ!
ね、あるでしょ?
他にも竹虫、サソリ、タガメ…。
色々とキャッチコピーが付けられているけど、担当の人は本当に食べたのかナァ?
好きじゃなきゃとてもできない仕事だな。
明兄さんならイケるな?アレ?チョット前までココの段には「タランチュラ」がエントリーしていたのになくなっちゃった!
値段が2,600円とコレだけベラボーに高かったので覚えていたのよ…。
コレ、アイテムが入れ替わっているのか!…驚いたナ。
地球温暖化かなんかでもうタランチュラも獲れなくなったのか?
そういえば、今年は暑すぎて蚊もゴキブリもマイっちゃってるんだってよ。
とにかく写真を撮っておいてヨカッタ! 異常気象やウクライナの一件で深刻な食糧危機に拍車がかかっていることは確実で、あまり表沙にはしてはいないが、多分真剣に日本政府も近い将来は庶民に虫を食べさせることを考えていると思う。
イヤだろうが、ナンだろうが、虫しか食べるモノがなければ仕方ないだろう!
私はイヤです。
そもそもあの「代用肉」とかいうのですら気味悪いもんね。
でも、まだ虫が食えるウチはいい方かも知れないよ。
人類の最後は核戦争ではなく、間違いなく飢えと疫病だよ。
ということで「虫コーナー」終わり。 「ネコカフェ屋さん、レコードアイス屋さん、私が休憩屋さんで、後は日替わりショップ、それにコオロギ屋さん…コレどうかなぁ。
みんな行きたい?
それでは私たちお金貯めたいと思います。
さぁ、楽しい時間はあっという間で残り3曲です」
と言われてお客さんは足をジタバタ。そして、クライマックスへ突入!
「桜散る中」もONOCHINのシャープなギターからスタート。「レッツゴー!」
この曲も比較的取り上げられる機会が多い人気曲。
そのまま続けて「光と影のトッカータ」。
犬神サアカス團のキラー・チューンのひとつ。
ONOCHINは再びお立ち台の上で弾きまくり!
ステージ下手の奥の2人も白熱の演奏を繰り広げる!
「ラストいくぞ~!」
本編を締めくくったのは「白痴」。「白痴」はドストエフスキー。
もちろん読んでいない。
「カラマーゾフの兄弟」だって「ラスコーリニコフ」という主人公の名前だけ覚えて途中で失敬したぐらいだから。
…というワケで…というワケではないのだが…先日、とうとう黒澤明の『白痴』を観た!
名作揃いの黒澤作品の中にあって評価が二分される問題作だけあって、ズ~っと観ないで来た。
しか~し!
処女作の『姿三四郎』から『乱』までで、黒澤明の監督作品で観ていないのはこの『白痴』と『素晴らしき日曜日』だけだったので、エエい!と思って両方ともツタヤから借りて来て観てしまったというワケ。
これでスッキリした。
世間ではこの作品を蛇蝎のごとく嫌う人がいるけど、私はそんなに悪くなかったわ。
ところが、まぁ、観ていて頭の中ではとにかく犬神サアカス團の「白痴」が鳴り響いちゃって!
「どうせバカなんだろ…」とつぶやきながら拝見しましたとさ。本編の最後を飾るにふさわしい選曲と演奏。
演る方も、観る方も思い残すところのない最高の「犬神ショウ」だった!
「どうもありがとう!」
明兄さんのルーティンもバッチリ!
このお店は「プロレス入場」ということもあって、そのままアンコールへ突入した。
「アンコールどうもありがとうございます!ここで重大発表があります。
明兄さん、お願いします。」「来る8月28日にココ三軒茶屋HEAVEN’S DOORでワンマンが決まりました!
もう演るしきゃないね!」「演るしきゃない。
ナンでかわかんないけど毎月ワンマンを演ってない?
さすがにどうなるかわからない…落ち着いてきたなと思っても、『またコロナですよ~』ってなっちゃって。
だからワンマンはせめて3か月1回ぐらいにしていおいた方が安全なのかなぁ~って思ったりもするんですよ。
でも、毎月我々のような者にワンマンを演らせてくれて本当にありがとうごうざいます!
楽しい時間はあっという間で、次で本当に最後の曲です。
最後の曲は我々の人生を表したこの曲を演りたいと思います」アンコールの1曲は「死ぬまでROCK」。
隠喩でトラディショナルなロック・ナンバーのキーワードを散りばめたこの曲、楽しいネェ。
あなたはいくつわかるかな?私はラテンを聴かないので詳しいことは知らないが、「チャチャチャの父」、エンリケ・ホリンが出て来るのは「♪ネコもネズミもロック、娘は甘茶で年寄は渋茶でロック…」ということね?
奥からステージ・センターへ歩み寄る敦くん。
おお!お立ち台に乗った~!
久しぶりの犬神サアカス團のワンマン、楽しかった~!
これからも犬神サアカス團ならではの創作を期待しております。
犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒犬神サアカス團公式家頁
明兄さん、もう1回ペロリ。
バックドロップの犬と実にうまくコーディネイトされましたとさ。
□■□Marshall Recordsからのお知らせ■□■
来る8月26日、の世界発売のセカンド・アルバム『DYNAMOTIVE』をリリースするD_Drive。リリースに先立ち、アルバムの中より2曲が配信リリースされています。
ひとつはSeijiが心の町の追憶にひたって書き上げた「古き良き街(I Remember The Town)」。
リリースして約ひと月…期待以上に海外でもウケてMarshall Records ニンマリ。 お求めはコチラからどうぞ⇒サブスク広場
私はといえば、「I Rmember The Town」のリリースを記念して、我が心の街に思いを寄せて姉妹ブログの『Shige Blog』にエッセイを書いてみました。
コアな映画ファンの方にゼヒ読んで頂きたい。
☆I Remember The Town~私の銀座/日比谷/有楽町<その1>
☆I Remember The Town~私の銀座/日比谷/有楽町<その2>
☆I Remember The Town~私の銀座/日比谷/有楽町<その3>
映画に興味のない人にはムリな内容になっています。
そして、もう1曲。
Yukiが可愛がっている2羽のインコに捧げた1曲「ウイングス(Wings)」もシングル・リリースされています。
16分のストラミングを取り入れたD_Driveの新機軸。お求めはコチラからどうぞ⇒サブスク広場
Marshall Music Store Japanからは『DYNAMOTIVE』の輸入盤を販売致します。
コチラも方もよろしくお願い申し上げます!
尚、帯とブックレットが付属した国内盤はD_Driveのライブ会場での限定販売となります。Marshall Music Store Japanはコチラ
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(一部敬称略 2022年6月26日 三軒茶屋Heaven's Doorにて撮影)