REACTION~FAREWELL 2 days : Last Night <後編>
REACTIONが活躍していた頃、私はロックから遠く離れていたどころか、<前編>に書いた通り東京からも遠く遠く離れていたので、残念ながらその全盛期ぶりを全く存じ上げない。
ところが今回、ショウが始まって、ところどころお客さんが一緒に歌っているところに接してその人気ぶりが事実であることを思い知り、またスッカリ感激してしまったよ。
そうして盛り上がりに盛り上がった前半を終了してショウは後半にコマを進めた。
「『Lust』の元を聞いたことのある人?…(お客さん挙手)…結構いるね。
事務所の盗難事件があった時に元々持っていた楽器が無くなっちゃってね」
…と、使用している楽器、「ユキ・シグネチャー・モデル」の復活劇を詳細に説明。
このモデルの元になっているB.C Richの「Mockingbird」って初めて見た時はビックリしたっけナァ。
アレはジョー・ペリーだったのかナァ?
今でも大した変わりはないが、何しろエレキ・ギターといえばストラトキャスターかレスポールと相場が決まっていて、他の形のギターはグレコの赤いカタログで目にするぐらいだった。
そういえば、当時流通していたギブソンのカタログってものすごく立派でね、表には「YAMAHA」、裏表紙に「代理店:日本楽器製造株式会社」ってプリントされていた。
こんなヤツ…YUKIさん、覚えているかナァ?(写真はMarshall Museum Japan所蔵品)
B.C. Richは他にも「Eagle」とか「The Bich」とか個性的なモデルが揃っていえ、あの頃は見るモノ聞くモノみんな初めてで驚きの連続だった。
今ではすっかりヘソが曲がって物事をハスにみることしかしやしねぇ。
「エレクトリックとしては、あと1回しか使うとこがないんだよね。だからワザと『バンド・ラストワンマン』と書いてます。
一方、アコースティックはセッションとかでやろうと考えてます。
YASUの曲は、アコースティックとかで形を変えて世界を超えさせたいな~という風に思います。
バンドとしてはあと1回しかコレを使うとこがないので、この楽器を堪能して頂きたいと思います」
そして、キーボーズの清水さんがステージを降りてゲストをステージに呼び込んだ。「ゲスト…さかもとえいぞう!」
えいぞうさん登場~!
Marshall Blogには何度かご登場頂いているんだけど、昔こういうイベントがありましてね。
16年前か!…ウン、そんなもんだな。驚くことはない。
この時のえいぞうさんがまたカッコよくも大変ユカイだった。
渋谷BOXXなんてなつかしいね。
ジェフは今でもProcol Harumで元気にギターを弾いています。
「うれしい限りですよ!
もともとウチのバイトで物販してたくらいだからね」「ボクも大好きなんで!
ボク…ちょうどソコの辺りにいたんですよね。
で、トモくんがヴォーカルだったんですよ。
今日はボクがココに立たせていただけて光栄です!
REACTIONと、REACTIONのファンのためにあの時代を彷彿させるパワーで歌いたいと思います!」
「まだまだイケるかぁぁぁぁ~!」
えいぞうさんが加わっての1曲目は「Get my Way」。
えいぞうさんの登場でますます盛り上がって来たぞ!
そのまま続けて「Bad Boy's Toy」。
スーパー・ヘヴィ級のブギ。
この曲カッコいいな~。
すごく好き。本間さんのツーバスがすこぶる気持ちいい!
こういう急速調の3連のロック・ナンバーってもう絶滅していると言っても過言ではないからね。
若い人たちは最早こんなリズムを知らないんじゃないかな?
マンボやチャチャチャ等のラテン・リズムなんかがいい例なんだけど、リズムって時代とともにドンドン種類が少なくなっているんだよ。
消えては行く一方でほとんど新しい発明がない。
メロディやヴォイシングもそうだけど…。
「売れさえよければいい」と同じようなモノばかり作るからそうなっちゃう。
そして、簡単にそれに飛びつく方も悪い。
だから本当はこういう曲を演るバンドにガンバり続けてもらいたいのです。そして、縦横無尽に暴れまくる優也くんのギター!
やっぱり問答無用でカッコいい曲だわ!えいぞうさんのコーナーの最後の曲は「Everybody's Crazy」。
景気のよいアメリカン・ロック調のヘヴィ・チューンで…
客席も大盛り上がり!
えいぞうさんと優也くんのイキもピッタリだった!
自信の言葉通り爆発的なパワーをまき散らしてえいぞうさんはステージを降りた。台風一過。
「『Anthemは体育会系だけど、オマエんとこはヤン〇キー系やな』て言われますけど…。
まっ、それがいいところでもあると解釈しておきますよ。
オレから『勢い』を取ったら何もない!
言っておきますけど、勢いがなくなったから、体力がなくなったから辞めるわけじゃワケじゃないですからね!…それも少しはありますけど。
札幌2daysイベントを残しまして…それはイベントなんで、ワンマンとしては今日が最後です。
これから後半です。
オマエらついてこれるか!じゃなくて、オレらがイケるかよ?って感じです。
次の曲は…(セットリストを確認する)あ、コレ遠近両用メガネ…見えました。
次のハードなセクションで幕を閉じます。
超久々にやる曲です。
このパターンも埼玉会館大ホールでしか演ってない気がする。
3曲ほどメドレーでやってみたいと思います!」
YUKIさんは「後半」なんて言っていたけど、もう最後なのよ。
アッという間に最後のセクションに入っちゃった!YUKIさんがMCで案内した通り、本編の最後のセクションはまず3曲ブッ続けのメドレー。
最初に「Starin' Something」。なんかこんなの久しぶりだな~。
演っている方もお客さんがみんなとにかく楽しそうなのよ。そのまま「Hammer on the Beat」へつなげる。
『Farewell』のレコーディングにも参加している本間さん。
アルバムに収録されていない曲もまるで昔から演っているかのような自然なプレイでバンドを律動させる。ステージ・フロントに歩み出る2人。
<前編>の「小松優也物語」のところで触れたようにYUKIさんのよき保護者ぶりがとても感動的だった。
ジャズの世界ではベテランが若手をガンガン起用して一緒に音楽を作ることが当たり前のように行われているけど、ロックでは滅多にないもんね。
とても素晴らしいことだと思う。そしてメドレーの最後は「I'm so Excited」。
「オレたちがイケるか?」なんて言っていたけど、そんな心配はまったく無用の「激演」そのものじゃん!
優也くんも「プレッシャーがかかっている感」なんて皆無の余裕のプレイでメドレー3曲を弾きこなした。
本編最後!
場内にサイレンの音が鳴り響く。
最後を締めくくったのはお待ちかねの「Insaine」! コレはスゴった!
お客さんの掛け声が完璧でまさにステージと一体と化していた。
そういえば「ライブ」ってこんなんだったよな~!お客さんの熱気に一歩も退かず最後まで爆走した4人!
充実の14曲だった。
そしてアンコール。
「どうもありがとう!
コロナ前みたいですごくうれしい!
涙が出ちゃいそう…みんなも我慢したもんね。
今日は発散して帰ってくれ!」そして、もう1人のゲストを迎え入れた。
ギターの藤本泰司。アンコールの1曲目は「Dark Illusion」。
泰司さんのトレードマークのVからイントロのメロディが流れ出す。
この曲も多いにウケまくっていた。
どこまでも重いベースが曲をダークに演出する。
そして、泰司さんのソロ!
そしてもう1曲は「夢の欠片」。
『Farewell』のオープニングを飾った新しい曲だ。
ところでギターの2人に興味深い共通点を見出したんだけどナンだかわかる?
2人ともMarshall?それは当然のこと。
こういう音楽を演っていたらステージにMarshallがない方がどうかしてる。
今日は優也くんがJCM2000 DSL100、泰司さんがJCM900 4100でキャビはお揃いの1960A。
それだけじゃない。多分、この答えをシレっと口にできるのは今となっては日本で私だけかも知れない。
ま、そりゃ20年以上の間Marshallばっかりやって来たんだから当然か…。実は時と場所は異なれど、同じ2008年、お2人にはひと月違いで「1959RR」というランディ・ローズのシグネチャー・モデルのデモンストレーションをお願いしているのだ。
泰司さんは「TOKYOギターショウ」というイベントで…優也くんはYOUNG GUITAR誌付録DVDの撮影で。
奇遇にもこうして13年後に同じステージに上がり、隣り合わせてギターを弾いている姿に感動したのは、会場では私1人だったことだろう。
お2人とも、その節は大変お世話になりました。アンコールは泰司さんが参加した2曲で終了。
もちろんコレだけでは収まりきらず…もう1回~!
トレードマークの衣装を纏ったYUKIさんがご挨拶…「35年間ありがとうございました!」
そしてファンの皆さんに向かって深々と頭を下げた。
爺たん、ウルッときてた。
それがまた感動的だった。2回目のアンコールにはえいぞうさんも参加。
「最後のワンマン」の最後に選んだ曲は「さらば」、つまり「Farewell」から…
「Lonesome Knight」とアルバム通りのエンディングとなった。
「♪Fire! Fire! Fire!」
激情のギター・ソロへ!
イヤ~、もうスゴかったわ~。
最後はYUKIさんの弦切り!
つまりコレにて終了。
終演後、会場にはステージの上に掲げられた、斉藤'YASU'`康之さんと梅沢'UME'康博さんのポートレイトを写真に収める大勢のファンの姿が…。
現在YUKIさんは本公演のDVDの制作に大忙し。
リリースがとても楽しみだ。
そんなYUKIさんが後日発したメッセージを最後に掲げて本レポートを締めくくることにする。
「ところで、何か勘違いされてる人も居るようですが、バンドとしてワンマンは最後だったけど、
ゲストやら個人的にREACTION 弾いてってオファーがあれば弾きますからね!…もう少しは(⌒-⌒; )
コレは感謝の気持ちとしてです。
アコースティックとかもね。
更に…引退するとも言って無いですからw
結成から38年、m(_ _)m」<完>
■□■□■□■□■□お知らせ■□■□■□■□■□■□
Marshall Music Store Japan
Marshallのレコード屋さん「マーシャル・ミュージック・ストア・ジャパン」営業中です!
Marshall Recordsのバンドの作品を販売するお店。
King Creature(キング・クリーチャー)!
ヘヴィなロックが好きな方におススメ!
Marshall Music Store Japanはコチラ
↓ ↓ ↓
Marshall Music Store Japan