ハイダンシークドロシー @ streaming-LIVE-2021~ネェ、こっちで遊びましょう!
前回紹介したJADE FOREST COMPANYにに続き、配信イベント『@streaming-LIVE-2021』のステージに上がったのは「ハイダンシークドロシー」。
先日、ファースト・フルアルバムを紹介したが、Marshall Blogのライブ・レポートにご登場頂くのは今回がはじめてのこと。
ハイダンシークドロシー…名前がいいじゃんね~。
カタカナ表記で「・」を入れない字面がスッキリしている。
ハイダンシークドロシー…口にしても気持ちがいい。アルバムを紹介した時にも書いたけど、一番最初にこの名前を目にした時、バンド名の意味がピンとこなかった。
「ハイダンシーク」ってナンだろう?
「Hide and Seek」だったらすぐわかるんだけど、渡り音も表記して「ハイダンシーク」とやられてしまったのでチョットむずかしかった。
ところで、日本人は普段の生活で使っている平易な言葉を英語に変換することができない…なんてことは日常茶飯事で、その類の本も山ほど上梓されている。
特にこの子供の頃の遊びの名前を英語で答えなさいと言われたらそれこそお手上げだ。
例えば「鬼ごっこ」。
コレは「Tag」という。
鬼が逃げる子に触る時、あたかも「tag(付け札)」を貼るようなアクションをすることから来ているそうだ。
じゃ、その鬼をキメる時のジャンケンは?
コレは最近テレビなんかで見かけるようになってきたけど「Rock, paper, scissors(石、紙、ハサミ)」ね。
「ジャンケンポン」の方がゼンゼンかっこいい。
「ジャンケンポン」を「ジャイケンホイ」と呼ぶのは西の地域か? 「ケンケンパ」は「hopscotch(ホップスコッチ)」というらしい。
「ダルマさんがころんだ」は「Red light, green light(赤信号、青信号)」だそうです。
「ダルマさんがころんだ」という文句は10文字でできているところに意味があるんですけど…。 「イス取りゲーム」は「Musical chairs」。
「おままごと」が「Play house」。
「あやとり」は「Cat cradle(猫のゆりかご)」…コレは知ってる。
「〇×ゲーム」は「Tic-tac-toe」って言うんだって。
私なんかが一番夢中になったのは「缶けり」かな?
燃えたよね~。暗くなるまでやった。
飽きて来ちゃって鬼に黙って家に帰っちゃったりしてね。
あんなにオモシロい遊びを一体誰が発明したんだろう…と思っていたらアレ海外にもあるんだって!
缶はキャンベルのミネストローネかなんかだろうか?
英語で「缶けり」はそのまま「Kick the can」だそうだ。
コレでピンと来るのは「ドンドンパッ」ね。
すなわちQueenの「We Will Rock You」のこと。
最初の方に「♪Kick your can all over the place」という歌詞が出て来る。
もちろんコレは缶ケリをやっているワケではなくて、「人の迷惑顧みず、好き放題に無茶をやらかせ!」という慣用表現らしい。
このアルバム、私が中学3年生の時に発売されたんだけど、「ナンダこの曲は?」と思ったし、こんなに定着するなんてその時は夢にも思わなかった。ま、とにかくこういう英語は現地に住んでいないとなかなか覚えられないモノですな。
ノンネイティブの英語学習者にはその前に覚えた方が身のためになる英単語が山ほどあるからね。
ハイ、前置きは以上!
定刻にになりステージの照明が落ちる。
お立ち台の上に置かれたランプに自然と視線が集まる。そして、SEが流れる中ハイダンシークドロシーが登場した!
谷琢磨
ジン
靖乃
情次さんはMarshall。
愛器JCM800 2203と1960Aだ。
1曲目はアルバム『ヒトリランド』のオープナー「メーズ」。
「♪ネェ、こっちで遊びましょう」…CD通りの谷さんの歌声が会場に鳴り響く。
ん~、コレはいいぞ~!そしてバンドが加わる。
ジン兄の4ビート。
ジョニーちゃんの爆発的なギター!
切れ味鋭い靖乃さんのドラミング。
以前の記事で「CD通りにライブで歌うのだろうか?」みたいなことを書いたが…ゴメンなさい!
「CD通り」なんてんじゃない。もうそれ以上です。
完璧な歌いっぷりに度肝を抜かれた!ギター・ソロも艶やか!
ギターは変わってもやっぱりジョニーちゃんの音だな。
つまりMarshallが出すジョニーちゃんのギターの音だ!
コレがそのファースト・フルアルバム『ヒトリランド』。
ジャケットもいいネェ~。
ひとりオモチャに囲まれて涙を流す女の子。
彼女が手にしているのは心臓だ。
内容にベストマッチしたデザインではなかろうか?
私は「一人ランド」好きだけどね。
友達とワイワイやるのもタマにはいいけど、部屋に籠って音楽を聴いたり、映画を観たり、本を読んだり、落語を聴いたりする一人きりの時間の方がどちらかというと好きだ。
そうやって齢を重ねて来た。
心臓はどっちでもいい…でも江戸時代末期の「腑分け」には興味があって、関連の本を読んだりすることはある。
杉田玄白はもちろん、山脇東洋とか、山田浅右衛門(「首切り浅右衛門」のこと)とか、吉原の女郎だった美機女(吉村昭に『梅の刺青』という短編小説があります)とかね。大変にオモシロイ。
今も「Marshallの一人ランド」に籠ってコレを書いています。 靖乃さんのドラムスから始まる2曲目はアルバムの順序通りで「ページェント」。
ランプを手にする谷さん。
ジョニーちゃんスタイルのギター健在。
歪ませておいて「ジョコジョ~ン」と容赦なく6本の弦をかき鳴らす手法は爽快そのもの。
こういうのはMarshallじゃないとダメなのよ。チョット歌謡曲っぽいサビのメロディがスゴイ。
「皆さま、改めましてハイダンシークドロシーです!
個人的には配信ライブは初めてです。
これだけの規模の会場でこれだけの人を集めて配信ライブをやるなんてスゴイよね~」「新年早々、愉快なイベントで始まりました。配信ライブも積極的にやっていきたいと思います!」
トークが上手な靖乃さん。「では次の『物語』を…」と谷さんがつなげた次の曲は3枚目の配信シングルとしてリリースされた「エルドラド」。
このバンドの音を耳にしたのはこの曲が最初だった。
「ジョニーちゃんが新しく始めたバンド」だということをSNSで知って早速に聴いてみたワケ。ワルツ。
歌のメロディをアコーディオンに置き換わったところを想像して目をつぶれば、恋に破れた美しい女性が涙をこぼしながらセーヌ河のほとりに佇む姿が見える…ホンマか?
ま、パリは行ったことすらねーけどよ。要するに、今時の他のバンドにはない雰囲気なのよ。
で、やっぱり歌がスゴイな…と思った。続けては谷さんとジョニーちゃんのデュエットから始まる。
曲もまた『ヒトリランド』から…「ヒナギク」。
コレはね~、「名曲」と呼んでいいのではなかろうか?
Aメロのコード進行ね…G|G|Bm|Bm|Em|D|A|A|C|C|Bm|Bm|Cdim|Cdim|Em|Em…ぐらいになっているのかな?
この「Cdim」が爆発的にドラマを盛り上げちゃうんだな。「♪薔薇、ヒナギク、風鈴草とアネモネ咲く庭へ あの坂道下った場所へ私を帰して」
歌詞がまたいいんだわ。可憐な言葉と魅力的なメロディ、そしてそれらを歌い上げる声と完璧な演奏…コレらが重なっているのがこの「ヒナギク」という曲。
「感動」が生まれる瞬間だ。Aメロのコード進行に乗って弾くギター・ソロも素晴らしい。
見慣れているような、見慣れないような…ナンカ不思議な光景。
アタマのデュエットのパートから最後に一度だけ出て来るメロディのパートまでの4分半のロマンチックなドラマ。
この曲を収録しているアルバム『ヒトリランド』の帯には「あの頃のあなたに、会いに行く。」という惹句が書かれているんだけど、この曲がそれをすごく感じさせてくれる。
恥ずかしながら、いい年こいてホロっと来ちゃったよ。再びランプを手にして歌った最後の曲はアルバムのタイトル・チューン「ヒトリランド」。
「♪ハハハ、ホホホ」と一度聴いたら頭にコビリ付いて離れないメロディ。
歌詞はどうなんだろ、と後に歌詞カードを見てみると…何コレ?
何をやっているのかはすぐにわかったけど、いいアイデアだ。強力なシンガーとギターを緻密にかつダイナミックにバックアップするこれまた強力なリズム隊。
ん~、ナント聴きどころの多いバンドよ。
とにかく谷さんの歌には感動。
やっぱり歌のある音楽は「声」だネェ。
ま、楽器屋が言うのもナンだけど、「声」がすべてなのよ。
今のテレビから流れて来る巷間の音楽がオモシロくない大きな理由のひとつはそこにあるワケ。
どこを切っても似たような声と同じ歌い回し。
一般大衆ももういい加減飽きてもいいころだと思うのだが、なかなかそうはならないところにこの国民の芸術に対する深刻な病巣がある。
そして、その病巣が経済を回しているんだな。
世の中うまくいっているのか、いっていないのかサッパリわからん。この日に演らなかった他のアルバム収録曲もどれもよくってね~。
CDを見ると作者のクレジットには「(谷琢磨/情次2号)」としか入っていないんだけど、ジョニーちゃんが全部曲を書いたのかな?
今さら失礼ながら「才能大開花!」って感じ。
よくやった!高校&大学の我が後輩!先輩はうれしい!
ただ個性が強い分、作り続けて行くことは大変だろうから、もう徹底的にガンバって頂きたい。
ハイダンシークドロシーは私のヒトリランドでの新しい楽しみのひとつなのだから!
それと、CDだけに入っている「Ave Maria」ね。
ロック界で「アヴェ・マリア」といえばほぼ間違いなくシューベルトの「アヴェ・マリア」を指すんだろうけど、ココではカッチーニの「アヴェ・マリア」を取り上げている。
谷さんの声が美しいのなんのって…で、思いついたのが、もしこういうクラシック系の焼き直しを演る機会があったらバーンスタインのオペレッタ『Candide』から「Glitter and Be Gay」を選んでもらいたいナァ。
絶対ににお似合いだと思う。
そういえば、一昨年の11月のMarshall GALA2の時のこと。
ショウが終わって、お客さんが退場する時、犬神サアカス團のファンの方が私に声をかけてくれた。
「寂しくなりますね~」と私が言うとその方は「いいえ、私は楽しみが増えると思っているんですよ!」と答えてくれた。
「ファンってのはホントにありがたいもんだ」とその時私はひとりごちたが、イヤイヤ、見事にその方のおっしゃった通りになっちゃったよ!
さすがファン、それを見抜いていたのね?
おみそれしました!ハイダンシークドロシーの詳しい情報はコチラ⇒オフィシャル・ウェブサイト