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2020年2月 7日 (金)

Marshallで中国語を学ぼう!

  
全くどうでもいいことなんだけど、こういうことがオモシロくて仕方ない。
イヤね、上海のMusic CHINAでD_Driveがデモ演奏をしたブースを運営している中国のMarshallのディストリビューターである「algam」の総合カタログを見ていたんだけど、「なるほど~」と思わされる漢字の表記がたくさんありましてね。
読み方はゼンゼンわからないけど字面を追っていると大変に興味深い。
ということで、今日はalgamのカタログのMarshallのページを教材にして「中国語つづり方教室」を開講してみたいと思う。
 
♪ギタリストたちが言うことにゃ、言うことにゃ
Marshallアンプはいいアンプ
てなことを言われてみたい、言わせたい
…Marshallつづり方狂室
  
こんなの知ってる人いる?
まずいないだろうね。
「笑う門にはハッピーカムカム」…なんてね。
私もリアルタイムでは柳亭痴楽を見たことがないもんな。
 
さて、分厚い総合カタログのMarshallのページ。
CODEがまずフィーチュアされている。

10その扉のキャッチコピー「淋漓尽致演奏」。
ウ~ム、「淋漓尽致」か…。
なじみのない字は「漓」ってヤツだけだな。
調べてみると「リ」と呼んで「薄い」とか「したたる」とかいう意味らしい。
すると「淋しくしたたって」、「尽くして地に至る」…一体ナンノこっちゃ?
こういうのを考えるのがオモシロイいんだけどサッパリわからんな…「リィンリィーヂィンヂィ」ぐらいの発音。
コレ、「徹底して余すところなくさらけ出す」ことらしい。
Marshallを使えばそういう演奏ができる…ということよ!

20ココで謳っているCODEの特長は3つ。
 
1.  外部链接
イヤ~、苦労したゼ、この「链(リエン)」という字を探すのは!
コレ、「鎖」という意味。
つくりの方だけで「連」という意味なので、「外部機器」すなわち「手机(携帯電話)」とつないで操作することができます…ということ。
2. 软件操作
ハイ、「軟件」ってなんでしょう?
「软」は「軟」の簡体字。
そして、「軟」は「ソフト」でしょ?
そう!すなわち「軟件」で「ソフトウェア」ということ。
専用ソフトの「GATEWAY」で操作してチョーダイね~、とか言ってる。
3. 创建音色
「创建」は「創建」。「作成する」という意味。
「色々な音色を作ることができますよ」ということね。

30「吉他音箱」のコーナーにいってみよう!
「吉他」はギターだね。
中国語は我々の言葉みたいにひらがなやカタカナがないものだから、音もすべて漢字で表す。
「的士」なんてのもいい例だよね。
コレは「タクシー」のこと。でも発音は「ティーシー」ってするみたい。
「吉他」は「チーー」と「タ」にアクセントを置いて発音する。
残念でしたね、「六弦」じゃなくて。
「音箱」は「インシャン」と読んで、「アンプ」というより「スピーカー」を意味するようだ。
しかし、「音箱」なんていいね。
戦時中の外来語禁止を思い浮かべなくもないが、ロマンチックじゃない?
その下にあるのは「晶体管吉他音箱系列」。
MGシリーズのページなので「チンフィクァン」みたいに発音する「晶体管」が「トランジスタ」を意味することがわかる。
「系列」は「シリーズ」だよね。
日本人なら一発で想像がつく。「シィリィ」みたいな発音。

40JVMのページ。
JVMはフル・ヴァルブのモデル。
だからJVMシリーズは「电子管吉他音箱系列」だ。
「电」は「電」の簡体字ということを既に知っているから「真空管」のことを中国では「电子管」と呼ぶことがわかる。
発音は「ディエンツークァン」みたいな。
コレ、今から発音を覚えるのは無理だね。
なまじ字面で意味と我々流の音がわかっているもんだから、根こそぎ異なる本家の発音を叩き込むのは最早不可能だろう。
アメリカ英語の発音よりはるかにムズカシイ。
でもイギリス英語の発音は本当にムズカシイ。

50「吉他箱体」…もうコレは簡単。
スピーカー・キャビネットってすぐにわかる。
「1960系列」か…残念だナァ。
ここは「壱玖陸零系列」ぐらいしてもらいたい。
だいたいMarshallだって「麻亜謝琉」とかやってもらいたかったんだよナァ。

60アコースティック楽器用のモデルのASのページ。
「原声吉他音箱」と来たもんだ。
「原声」というのは「原音」という意味らしいのだが、それに「吉他」がくっつくと「アコースティック・ギター」になる。「イェンシェンジィタ」みたいな発音。

70ミニ・アンプのMS-2のページ。
「微型音箱」だって。
「微型」なんてのも実にいい表現ではなかろうか?

0r4a0002_2 その下にあるのは「效果器&踏板」。
もうコレは一発でわかるよね。
エフェクターとペダル。
コレが実にオモシロイ。
カタログに出ているエフェクターの種類は次の6種類。
下の写真のオレンジ色のところをひとつひとつ見ていくと…
0r4a0004

まずは、「圧縮(ー)」。
これは簡単だね。すぐにコンプレッサーということがわかる。
Marshallで言うと「ED-1」、すなわち「Edward the Compressor」。
今頃ナンですが…コレってどうして「エドワード」なのか知ってる?
Marshall Blogに書くのは多分初めてだと思うんだけど、コレってシャレなの。
11世紀のイングランドにエドワードという王がいて、この人、「聖人」だった。
いつかどこかに書いたことがあったけど、「聖人(Saint)」ってのはキリスト教の社会においてはベラボーに地位が高い聖職なのね。
そう簡単に「聖人」になることは難しく、死後何百年経ってからようやく聖人になれたなんて人もいるぐらい。
敬虔なキリスト教信者だったジョン・コルトレーンは自分の死を前にして「私は聖人になりたい」と言った…なんて話をナニかの本で読んだことがある…ような気がする。
で、このエドワード王、呼び名を「懺悔王」と言った。
「懺悔王」というのは聖人への称号のひとつらしんだけど、英語では「Confessor」という。
『私は告白する(I Confess)』なんてドンズバなタイトルのヒッチコックの映画にある通り「confess」というのは「告白する」という意味。
今風に言えば「コクる」ですな。
そして、この懺悔王エドワードを英語で言うと「Edward the Confessor」となるワケ。
そう、「Confessor」と「Compressor」を引っかけた、ただのダジャレ。
お後がよろし…くないようなのでサッサと中国語に戻りましょうか?

Ed1 

次は「 失真(シューチュン)」。
コレ、な~んだ?…「真」を「失う」って。
つまり物事がイビツになること。「イビツ」を漢字で書くと「歪」。
そう!つまり「歪み系」のエフェクターなの。
ココではGuv'norIIとJackhammerがそれに当たるらしい。

Gv2

Jh1  

オモシロかったのはコレ…「过載(ーツァイ)」。
「过載」というのは「過負荷」のことなんだって。
過負荷?
「変身」?それはフランツ・カフカだ。
何だろう「過負荷」って…少し考えた。
残りのエフェクターは空間系とBluesbreakerIIだけだ…。
そうか!過負荷、つまり「オーバードライブ」だ!
オモシロいな~。

Bb2

次の「延迟(ェンー)」もわかりやすい。
我々日本人なら「延迟」という字面を見て「尺」が「延びる」ことが容易に類推できる。
…ということは…ディレイしかない。
Marshallのデジタル・ディレイ、「Echohead」のことね。

Eh1

一方、「混响(ンシャン)」は全くわからなかった。
「响」という漢字は見たことがないので、ヒントは「混」しかない。
「ナニかを混ぜる」にしても一体なんだろう?
ピッチシフター?
イヤイヤ、Marshallはピッチシフターをやっていない。
降参して調べてみると、「混响」というのは「残響」、すなわちリバーブのことなの。
Marshallでは「Reflector」という。

Rf1

最後は「模块(モーイ)」。
もう皆目見当がつかん!(←ここシャレになってます)
「模块」というのは「modulation」という意味。
トレモロのVibratremとコーラス系のRegeneratorが「模块」だ。

Vt1

Rg1

( )の中は私のバカ耳でとらえた発音のカタカナ表記。
ちゃんと中国語を学んでいらっしゃる皆さんから「ゼンゼンなっとらん!」と叱られそうだが、とにかく「私にはこう聞こえる」程度に受け止めておいて頂きたい。
上がったり下がったり…アクセントがメッチャクチャ複雑だし、日本語にない音がたくさんあるので、何とも聞き取りにくく、たとえ正確に聞き取れたとしても、それを仮名で書き表すことが非常に困難だ。
 
もうひとつ、「踏板」というのもいい表現だ。
読んで字のごとく、コレは「ペダル」という意味。
要するにココではフットスイッチのことを指している。

100Lifestyle商品もチャンと載っている。
「耳机」はヘッドホン、もしくはイヤホンのことを指す。
「入耳式」は読みの通りで、耳の中に入れて使う「インイヤー」タイプ。
チョットわからないのは、後に出て来るヘッドホンも「入耳式耳机」にカテゴライズされていること。
一方、このイヤホン・タイプのモデルには「耳道式耳机」という説明が付いている。
「耳道式」!
コレもいい表現だな~。どういうことかが一目瞭然で理解できる。
英語の「bellybutton」とか「armpit」とか「eyelid」みたいな感じだね。

110一方ヘッドホン。
「头戴式耳机」という言葉があるようだが、ココには「耳挂式耳机」という説明が付いている。
「挂」というのは「掛」ということね。要するに「耳掛け式」。
しかし、この「机」という字の活躍がスゴイね。
「手机」がいい例でしょう。
「手机」というのは携帯電話のこと。
しからば「机」とはどういう意味か…。
調べてみると「機械」ということなのだそうだ。
「手机(ショウジー)」…言い得て妙だな。

11_0r4a0043一方、Bluetoothスピーカーの方はいとも簡単。
「音箱」だもん。
発音は「シャン」。

120ドラムス関連はどうか。
NATALのページを見てみる。
「原声套鼓」と来たもんだ。
「原声」はASのところで出て来たね。「アコースティック」ということ。
ドラムのことは中国語で「鼓」だけど、コレに「覆いかぶさる」という意味の「套」がつくと「ドラムキット」という意味になるようだ。

130スネア・ドラムは「军鼓(チンクー…に聞こえる)」という。
この「军」というのは「軍隊」という意味。

140最後はEDEN。
ベースは中国語でどう言うか…。
「低音吉他」で来るかと思ったらさにあらず。
カタログのEDENのページを見るとまず「贝斯箱头」とある。
この「贝斯」。
「斯」ってのは「瓦斯(ガス)」の「ス」だ。
するとこの「ス」は、まさか「ベース」の「ス」かァ?
「贝」は「貝」の簡体字。だんだん慣れて来たゾ。
これで「べー」って読むのか?
どうもそうらしい。
「贝斯」は「ベース」。まさかの表音表記だった!
ま、「吉他」と同じか。
一方、「箱头」は「アンプヘッド」のこと。
「头」は「頭」という意味なんだって。150もうひとつ気になったのはコレ。
他のブランドのページにも盛んに出て来る「配件」。
コレは「付属品」という意味。「イチン」と読む感じ。
アクセサリーというところか。

160オモシロ半分で書き始めたこの記事…書き上げるのにかなり時間がかかっちゃった。
何しろ簡体字の元を突き止めるのが大変で!
もう二度とやらんぞ。
 
しかし、思い返して見るに私が大学に入ったのはカレコレ40年前のこと。
私の学んだ(ウソ、ほとんど学んでいない)学部では、第二外国語にドイツ語、フランス語、ロシア語のコースがあって、私の記憶が正しければ、中国語のコースが新設されてそれほど時間が経っていなかったように思う。
我々の時代はドイツ語の人気が最も高かった。
コレはドイツ語が同じゲルマン語系の英語と似ているから勉強がラクで単位が取りやすい…という理由からだった。
私もそれを聞いて迷わずドイツ語コースを選択した。
もっともコレはちゃんと勉強する人の話で、勉強する気がない上にそもそも英語すらロクにできなかった私のような人間には「英語に似てる」もヘッタクレもなかったんだけどね。
反対に中国語を選択する友人は少なかったように思う。
しかし、簡体字を覚えれば、今日の記事じゃないけれど結構意味を類推できる中国語は学習にとても有利だったように思う。
それでも当時は人気のある科目のようには見えなかった。
アレから40年。
それがどうだ!
今となっては良くも悪しくも中国は世界の主役国のひとつとなって、今や日本の経済は中国人の爆買い頼みとなってしまったではないか!
おまけに自分も上海まで行くようになって…。
こんなことならやっぱり中国語を専攻しておけばヨカッタと少しだけ臍を噛む思いをしているのである。
 

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