Marshall Blogに掲載されている写真並びに記事の転載・転用はご遠慮ください。
【マー索くん(Marshall Blog の索引)】
【姉妹ブログ】
【Marshall Official Web Site】
【CODE/GATEWAYの通信トラブルを解決するには】

« 2019年11月 | メイン | 2020年1月 »

2019年12月

2019年12月11日 (水)

BLINDMAN INDIVIDUAL SHOW~LIVE TOUR 2018-2019 SUEVIVE TO REACH FOR THE SKY

 
まだまだ続くビンテージ・ギグ・レポート。
取材にお邪魔した公演は、よっぽどの問題が発生しない限り全部記事にして掲載しますのでよろしく。
 
…ということで今日は8月17日に目黒鹿鳴館で開催されたBLINDMANの単独公演。
以前から「ツーマン、スリーマン」と言う表現がアホ丸出しで大キライだった。
反面、「ワンマン」という言葉は古くから日本に定着している言葉なのでそれほど気にならなかった。
ナゼ定着していたかというと、私の世代では何と言っても「バス」でしょうな。
私が幼なかった頃は都内のバスでも2人のスタッフが乗っていた。
1人はもちろん運転手。
そしてもう1人の乗務員は車掌で、毎回硬い厚紙の切符を買ってその車掌さんにハサミを入れてもらって乗車するのが当時のシステムだった。
ノンビリしてたよな~。
今じゃ、「上司がAI」という企業もあるんでしょ?
ホント手塚治虫の空想の世界がドンドン実現しているじゃないの。
もうすぐロビタもムーピーも現れるよ。こうなりゃ「火の鳥」だって見つかるかも知れんぞ。
で、運転席の隣に切符販売機を搭載して、車掌をお役御免にした時からバスの先頭に「ワンマン」という表示が付くようになった。
この言葉は、他に自己中心的な人物を指す時に「ポール・マッカートニーってビートルズの中ですごくワンマンだったんだって」みたいな使われ方がされていたけど最近はあんまり聞かなくなった。
今では何と言ってもコンサートだよね。
で、「ツーマン、スリーマン」を忌み嫌いすぎたせいか、「ワンマン」という言葉にも疑問を抱くようになった。
そこで、英語の故郷であるイギリスの人に何人か尋ねてみると、「ワンマン・コンサートとかソロ・ライブというのは、1人のメンバーがバンドから離れて開くコンサートのことを指す」と教えてもらった。
彼らのアタマの中には「ワンマン」が「対バンなし」という感覚が全くないらしい。
しからば、バンドがひとつしか登場しない「単独公演」のことを英語で何と言うか…。
この質問をすると皆さんさんざん考え込んだ挙句…「ん~。ないな。特別な言葉はない。コンサートってひとつしかバンドが登場しないのが普通だから」となる。
なるほど…確かに「カラヤンとベームのツーマン」なんて聞いたことがないもんな。
ところが、1人だけこう答えてくれた人がいた。
「特別な言葉はないけど、ん~、強いて言えば『Individual Show』かな?」
なるほど!イタダキ!
「individual」というのは「個々の」とか「独立した」とかいう意味の形容詞。あの「インディーズ」という言葉の元だね。
と、こんなことがあって今日のタイトルに使ってみたというワケ。
下のポスターでは「ONEMAN」って言ってるのにね。
コレは「BLINDMAN」と脚韻になっていたのかな?
もしそうであったならゴメンナサイ。10vアルバム『REACH FOR THE SKY』を引っ提げた、マンを持してのブラインドマンのワンマンはマンインの大盛況!

20中村達也

40vRay

30v戸田達也

60v 松井博樹

50v實成峻

70vオープナーはアルバム1曲目の「Strangers in the Night」。

80_spサビのメロディが親しみやすいポップめなハード・チューン。
こういうのを「メロディアスなロック」っていうんだよ。でもポップ・チューンでは決してない。
「ロック」ですよ、ハードロック。
巷間の「メロディアス・メタルなんとか」みたいなヤツはメロディがきれいサッパリ耳に残らんのよ。

90ノッケからツヤツヤのMarshallトーンでソロをキメまくっている達也さん。

100愛器JCM800 2203と1960Aのハーフスタック。

110v足元のようす。

120達也さん、今ではSTUDIOシリーズのSC20Hも愛用してくれているんだゼ。
「この音量で2203の音が出る!」とお気に召して頂いております。
真空管がこの世にある限り、ギターはホンモノの真空管が入っているアンプで弾きましょうよ。
あのね、見ててみな。
色んな音が入れられるだの、持ち運びが便利だの、メンテがラクだの言って真空管アンプからデジタル・アンプに鞍替えをされた方々ね…真空管がこの世からなくなったら一斉に真空管アンプを探し出すに。間違いない。
そうなったらオモシロイな~…イヤイヤ、オモシロくない!
真空管アンプがない世の中でロック・ギターなんか弾いてもオモシロくもなんともないって!

130矢継ぎ早に「In the Sleepless Night」。

140_snこうして2曲目で更にドライブをかけるのはとてもいい。
アルバムでもコンサートでも2曲目が大切なのだ。
そういう意味では、中学生の頃、Scorpionsの『In Trance』と『Fly to the Rainbow』を聴いては意気消沈したものだった。
今でも2曲目でバラードなんかを収録しているアルバムはその場で聴くのをヤメちゃう。どうせその先もタカが知れているハズだから。
後で書くけどその点『REACH FOR THE SKY』はスゴイよ。
この曲は前作「To the Light」からね。

150「今日はあんな曲、こんな曲、取り混ぜてお送りします!」という挨拶のMCを挟んで「Rip my Soul」

170v_mcRayさんの言葉通り2012年の『BLAZING CRISIS』からの1曲

180_rms3連のヘヴィ・チューン。

190v鉄壁のリズム隊がが大活躍だ!

200vこの曲のサビのメロディもスゴイな。

2102001年のサード・アルバム『Blindman』から「Promise」でユッタリ。
250v_rwこういうのはキーボーズあっての曲ですな。

230同アルバムのオープナー「The Way to the Hill」。

240_wthガラっと変わって、泣く子が爆音で寝落ちするドライビング・ナンバー。
爆音の中で寝るのって気持ちいいよね。
アレは我々がお母さんのお腹の中にいる時と同じ状態なのだとか…。

220_pr「炸裂」としか言いようがない堰を切ったかのような達也さんのソロ!

260たたみ込むようにして「Stay…」が続いた。

270_stそして、峻くんのドラム・ソロ。

280こうしてBLINDMANのIndividual Showは中盤に差しかかる。
この通りのモノスゴイ熱気!
アルバム・タイトルの「Reach for the Sky」。

290_rfsチョット「Lights Out」を思い出しちゃうドライビング・ナンバー。
スキ。
こういう曲を作って演奏するバンド、もっと出てこいや~!
特に若いヤツ!300シットリめに「Blue Butterfly」。
しかし、Rayさんスゲエな~。
人間、こんなに声を出して大丈夫なのかね。いつもこうだけど…。

320_bb「以前ライブではよく演っていた曲を演奏してみようと思います」…と紹介されたのは「…In the Dark」。

330_itdまさに新旧取り混ぜて「BLINDMAN総ざらえ」のようなセットリストにファンの皆さんは大喜び。

340v

350vおなじみの「Why Do you Come Back?」。

360

370このセクションの最後を飾ったのは「The Tears of God」。

380「BLINDMANのレパートリーは100曲を超え、そのすべてがいい曲」と自信タップリのRayさん。
単独の公演といっても時間の制限が当然あるので全部を見せきることはムリ。
Rayさん自身も演りたい曲があるのにいつも却下されてしまうのだとか!
こんなに一生懸命演っているのに…かわいそう。
リクエストを募ってセットリストを組んではどうか…なんて話もされていたが、コレって昔原宿のアストロホールでやったよね?
なつかしいな…そのアストロホールもなくなってしまった。
「まだまだ懐かしい曲を演りたちと思います」と次の曲につなげた。

390_tog「The Touch of Gray」だ!
私にとってはモノスゴイ「BLINDMAN臭」の強い曲。
やっぱりサビのメロディなんでしょうな。

400それとギター・ソロのこのスキのない構築美!
こういうギターは絶対Marshall以外で弾いて欲しくないね。Marshallが奏でるメロディだ。
達也さんは大丈夫。

410v_aolRayさんがBLINDMANに参加して3年か…。
もっと前からココで歌っていたような感じが存分にするフロント2人の組み合わせじゃん?

S41a0268 そして、本編最後のセクション。
まずは「Rising Sun」。

430_rs短いお別れのMCを挟んで「Now or Never」。

450この曲は『REACH FOR THE SKY』の2曲目に収録されていて、前回の単独公演ではオープニングで演奏した。
私はこの曲が大好きで、終演後に楽屋で達也さんに「最初に演っちゃモッタイない!」と伝えたところ、今回はエンディングのひとつ前に持って来てくれた。
そう、それに十分に値する名曲なのです。
S41a0291

460v

470vそして「Turning Back」で本編を締めくくった。

480全17曲、緻密に練り上げたセットリストと完璧な熱演で満員のお客さんを魅了した!

490vアンコールでは達也さんのご挨拶。
実はこの公演の前、体調を激しく壊してしまった。
この日も完全な本調子ではなかったにもかかわらず、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。
「ここにいる人は全員BLINDMANを観に来てくれている人だよね。そんな中で演れるって本当にシアワセです!」

500v全員がTシャツに着替えてのアンコールの1曲目は「Da Doo Ron Ron」。

510

520

550v続いて「Gaze Into Your Eyes」。
560v
570そして「Living a Lie」ですべての演目を終了した。

540
530vBLINDMANの詳しい情報はコチラ⇒BLINDMAN OFFICIAL SITE

590

Mblogo
(一部敬称略 2019年8月17日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2019年12月 5日 (木)

真夏のJazz葉山 2019~杉本篤彦BAND featuring そうる透

05イヤ~、暑い日が続きますな。
そ、そんなバカな!…というぐらい時間が経ってしまったライブ・レポート。

10現場は葉山。
もうMarshall Blogではおなじみですな。

20相変わらず人気の朝市。
以前テレビ番組で紹介されているのを偶然目にしたが、そのせいもあってか年々人が増えている感じ。

30この長い行列は洋菓子の老舗、パティスリー・ラ・マーレ・ド・チャヤ(日影茶屋)のタルト(¥1,000)とケーキの端っこを切り落としたヤツ(¥100)を買い求める人たち。40しかし…海を見るのは年に1回…この時だけだナァ。
50朝ごはんはココ。
朝定食にアジの干物を追加。
チョット焼きが浅いので「焼き」も追加してカラッカラにしてもらった…そんなことはどうでもいいか…。
しかし、炊き立ての白いご飯にアジの干物、卵焼きに海苔、そして味噌汁。
ああ、日本人ってシアワセな国民だよな~。
イギリスは「朝食が一番ゴージャス」なんて言われているけど、あんな脂っこいモノを毎日食べることはできんて。
さりとてポーリッジなんて食えたもんじゃないぜ。
「ポーリッジ」ってのはオーツ麦を牛乳で煮た一種のお粥ね。それにハチミツをかけたりドライフルーツを混ぜたりして食べる。
お粥といえば、こないだ上海で食べたヤツも驚いたナァ。私、お粥がスキなんだけど、アレはチョット。完全に水粥だった。
瞬時にして『火垂るの墓』を思い出したよ。

60この辺りは、通りによっては海水浴客の車がゴッタ返しているので街をウロチョロ走り回るのはあまり利口ではない。
でも今回は少し散策することにした。
で、発見したのがこの木造家屋。

70明治42年の創業の和菓子屋さん。
明治42年というと1909年だから今年でちょうど創業110年。

80ヨコの八角形の窓がカッコいい。
後で開けたのかな?

90入り口の扉がイカしてるじゃん?

100vスゴイ錠前。
創業当時のモノなのだろうか?

110いいね、こういうのは…風情があって。
私が子供の頃は東京でもこんなお店がまだ結構あった。
50年以上前の話だけどよ。

120何とも渋い品揃え。
こんな熊手を買っていく人がいるんだろうか?とも思うけど、別荘の庭の整備かなんかに使うんだろうな。
つまりお金持ちご用達のショップなのだ…かどうかは定かではない。

130夏場、事務所にいるときはエアコンをなるべく使わずドアや窓を開けっ放しにしておくことが多い。
すると蚊が入ってくるもんだから蚊取り線香をジャンジャン焚くのね。
ということで、このブタちゃん、よっぽど買おうかと思ったけどヤメた。
理由はない…それなら書くな!ってことですね。
コレも昔っからブタだよね。カピバラやウォンバットではダメなのか。

140今年もやって来ました葉山町福祉文化会館ホール。

150恒例のコレ。
Marshall Blogの記事をさかのぼって調べてみたら今回で5回目だった。

160v司会の晋道はるみさん。
まるで台本を読んでいるかのようなキチっとしたおしゃべりは活舌も素晴らしく、私のMarshall GALAの司会とは別の次元のモノだ。

170vJazzイベントでMarshallといえばこのお方。

180杉本篤彦

190v今回、杉本さんのサポートを務めたのは…
キーボーズに藤原美恵。

200ベースは平石カツミ210vそしてドラムスはもちろん、そうる透。

220そして、今回の杉本さんのMarshallは…

230ORIGIN50Hと1936。

240オープニングは「Winter Sky」。
ナンダナンダ、杉本さんもMarshall Blogみたいだな~。
真夏に冬の曲を演った!

250「Winter Sky」は杉本さんの最近作『CLUB DAZZ』のオープナー。
別に狙って冬の曲を持って来たワケではない。
何しろ25枚目となるこのアルバムは、ご自身の最高傑作と言ってはばからない力作なのだ。

260cd今回はシンセサイザーを多用して『CLUB DAZZ』のテイストを再現した美恵さん。

280vん~、いかにも杉本さんらしいメロディのこの曲。
サビのサブドミナント・マイナーがウマい!グッとくるね。

290「今年もお暑い中ご来場頂きありがとうございます。
今年は25枚目のアルバムを出しました…ずいぶん長いことやってます。
1曲目は皆さんに涼しくなって頂こうと思って冬の冷たい夜をイメージした曲をお送りしました」
アレ?
「昔、アメリカンフットボールをやっていました。
日大を卒業してから日産のチームに入りまして…両方(♪ピー!)になっちゃいましたけど」
と2曲目の説明に入った。

300v続いて演奏したのは「No Pain, No Gain」。
「甲子園ボウル」のテーマ・ソングだ。
「甲子園ボウル」は毎年12月の第3日曜日に甲子園球場で開かれる全日本大学アメリカンフットボール選手権大会の決勝戦のことね。

310_npロック色の濃いリフを透さんのドラミングがパワフルに演出する!

320v_2ん~、ORIGINの音色もガッツがあってすごくいいな~。
1年後にSTUDIOシリーズが出てしまってチョット陰に隠れちゃったけど、コスパに優れたいいアンプですよ。

330「ボクは幕末が好きなんです。
土方歳三と誕生日が一緒でして…スキが昂じて幕末の志士の末裔の方と出会うことになりました」…と、坂本家との関りを交えて次に演奏する坂本龍馬のテーマ、「Dragon Horse」の説明をした。
幕末っていうとついつい「維新」のヒーロー伝になりがちだが、もっと色んな角度でこのムーブメントを勉強するべきだと私は思っている。
たとえば会津藩のこと。
ココではこれ以上は書かないが、白虎隊のことはよく出て来るが、その時に長州藩が会津でナニをしたかなんてことが語られることがまずないでしょう?
興味がある人は調べてみるといい。

340情感豊かな恵美さんのソロ!

350それを受けてギンギンに弾き進む杉本さん!

360もちろん右手は杉本さんのトレードマークの「ツーフィンガー・ストローク」。
オクターブを弾く時の左手は人差し指と薬指のみ。小指は使わない。

370続いては「Dragon Horse」の連作とも言うべき「RYO」。
龍馬の奥さん、楢崎龍をテーマにした曲。
シットリとしてとてもいい曲だ。

380_or今回のハイライトのディスコ・タイム!
何しろ今回の杉本さんチームの名目は「杉本篤彦BAND featuring そうる透 Plays DISCO SOUND」なのよ!

390v_dtココは当然大いにノリノリなワケ。

400透さんも大熱演。

410vアースやらナニやら、4人でディスコの名曲をメドレーで演奏した。

420v実は杉本さんのディスコ演奏は過去にも拝見したことがある。
杉本さんは私とほぼ同年代。ディスコ音楽ってのは私が高校から大学にかけて猛烈に流行したんだよね。
私はまったく興味がなかったんだけど、杉本さんはディスコへ行かれたクチだったのかナァ。
メッチャ楽しそうだもんナァ。

430そして、もう2曲ほど杉本さんのオリジナル曲を演奏して今年の出番を終えた。

440v_q

450

460v

470v

さて、今年の初めに『CLUB DAZZ』をリリースしたばかりの杉本さん、早くも26枚目のアルバムにリリースとなるようだ。
タイトルは『Buried Treasure』。
「埋もれた財宝」という意味ね。「bury」はナゼか「ベリー」って発音するんだよな~。
だから26枚目のアルバム・タイトルは『ベリード・トレジャー』。
『Sugimoto Atsuhiko 1998』という副題が付けられたこの新作には1998年に某メジャーレーベルより発売予定だった未発表曲&未発表テイクを11曲収録した。
21年もの間眠っていたメジャー・デビュー直前の渾身の作品ばかりだ。
1998年か…私が転職した年だわ。アレから21年経ったか…。
しかし、杉本さんの創作意欲はスゴイ!
これからもMarshallでよろしくお願いしま~す。

480v杉本篤彦の詳しい情報はコチラ⇒杉本篤彦オフィシャルブログ

490 

200_3 
(一部敬称略 2019年8月4日 葉山福祉文化会館ホールにて撮影)