【勝手に犬フェス】祝25周年!犬神まつり -GOLD-
先日開催された犬神サアカス團の恒例のイベント、『犬フェス』に参加できなかった。
Marshallの別の仕事で上海に出張していたのだ。
そこで、ライブ・レポートをつなげてMarshall Blogで勝手に「犬神サアカス團の記事のフェス」を開催すると言うのが今回の企画…といっても2連作だけどね。
しかし、実にイヤな気分だ。
こんなことがあっていいのかね。
デビュー25周年を迎えている犬神サアカス團から、犬神情次2号と犬神ジンが今年限りでバンドを脱退するというニュースが飛び込んで来た。
もちろん「イヤな気分」というのは情次兄さんやジン兄さんが犬神サアカス團を脱退することではない。
その脱退する理由を作り出した日本の音楽シーンに絶望し、とてもイヤな気分がするのだ。
そして、恐ろしくさえもある。
詳しい事情は犬神サアカス團の公式家頁にあるのでココでは触れないが、2人に脱退を決意させた遠因は経済的な問題だ。
バンド経営を成り立たたせることが困難であることからメンバー間に活動の方向性の食い違いが生じてしまった。
もしCDがジャンジャン売れてライブ会場にもっと多くの人が足を運んでいればこんなことにはならなかった。
インターネットの登場によって、良質なCDを作っても売れず、音楽がタダ同然となり、音楽家は重要な収入源を取り上げられてしまった。
タダ同然のモノに「いいモノ」があるワケがない。
それに輪をかけているのがこの国の民衆の「大衆音楽」に対する民度の低さだ。
もうハッキリ言っちゃうけど幼稚すぎるよ。
「黒酢」だか「葱間」だか知らんが、消費者はハヤリのモノ以外に手を出すことができない。
この国は、ハヤリそうにはないものの、独創的な音楽をクリエイトしようとしているアーティストにとって音楽で生計を立てることがムズカシすぎるのではなかろうか。
そりゃ、土台好きなことをやっているのだから、たとえ売れずに食えなくてもそれはミュージシャンの自業自得というものだ。
もちろんそうした状況は日本だけではないこともわかっている。
しかし、あまりにもヒドい。
「アタイら25年やってきてやっとホンモノになれたわよ!」と自認しているバンドが食えないのだ。
25年ですよ!
「ロック」と呼ばれている音楽をチョコチョコと聴いてその気になって、始めてすぐに止めてしまう若手バンドとはワケが違う。
薄皮を剥ぐようにして自分たちの音楽を25年間も作り続けて来たバンドなのだ。
こんな状態が続くのであれば、本当に日本の「ロック」が死んでしまう。
メジャーなモノがあって、でもマイナーなモノがある…それが健全な市場環境でしょう。
聴き手は作り手が送り出すモノにしか接することができないんですよ。
マスコミを含めて作り手が「売り上げ第一」で同じようなモノしか送り出して来なかったら、その結果は推して知るべしだ。
昔はこんなことなかったんだよ。
作り手がロックがナンたるか理解していなかったのであらゆるモノを送り出してきた。
だから1970年代中盤ぐらいまでのロックは本当にバラエティに富んでいて魅力的なのだ。
そうだ、こんな時こそMarshall Blogがシッカリしなきゃ。
Marshallを通して本当に良質な音楽をサポートしていくのだ。
今回の悲報が私にそんな決意をさせてくれた。
私の人生はそれをやり通して終わりヨ。いわゆる「ライフワーク」ってヤツ。
さて、情次兄さんとジン兄さんが犬神サアカス團に在籍しているのは年末まで。
もう僅かの期間しか残されていない。
当然ライブの回数も限られている。
犬神サアカス團は解散するワケではないが、どうかこの「25年の犬神サアカス團」を大舞台で見ておいて欲しい。
11月9日の『Marshall GALA2』だ。
イギリスのMarshall本社が主催するコンサートに、25年間もの間自分たちの音楽を貫き通した現体制の犬神サアカス團をお迎えすることを誇りに思う。
さて、Marshall Blogの『勝手に犬フェス』。
第1弾はナント!8月に開催した最新ベスト盤『Gold』のレコ発単独公演のレポートだ。
遅い!今頃?なのだ!
コレが犬神サアカス團の25周年を記念してリリースされたベスト・アルバム『Gold』。
普通25周年は「Silver Jubilee」といって「銀」なんだけどね。
「銀婚式」なんかがそう。
でも、犬神サアカス團の25年の活動はその倍の「Gold」に値するだろう。「Gold」ね。
私が小~中学生の時、パニック映画ブームっていうのがあってね。
このロジャー・ムーアの「ゴールド」という映画が大層話題になってたっけ。
残念ながらコレは観たことがない。
「丸の内松竹」か…有楽町の丸の内ピカデリーの地下にあった中型の映画館。何回か入ったな。
今は有楽町マリオンになってる。
イギリスを代表する人気映画スターのロジャー・ムーアは3代目ジェイムズ・ボンドを演じ、歴代最多で7つの作品に登場した(『カジノ・ロワイヤル』を除く)。
「ゴールド」に縁があるのか、主演2作目は『黄金銃を持つ男(The Man with the Golden Gun)』だった。
コレもなつかしいナァ。
『007』にはもうひとつ「ゴールド」があった。
シリーズ3作目の『ゴールドフィンガー(Goldfinger)』。
イギリスの名女性歌手、シャーリー・バッシ―の主題歌がメッチャかっこいいんだけど、今聴くと結構歌詞がバカバカしくて笑える。いつも楽しい犬神さんの物販。
25年の犬神史の中で生まれ、使われて来たオリジナルの言葉をひとつの冊子にまとめたモノ。
情次兄さんのMarshall。
使用しているのは向かって左のJCM800 2203と1960A。
ジン兄さんもいつものEDEN。
ヘッドがTerra Nova TN501、キャビネットはD410XSTが2台。
ポップでハードな魅力的なナンバー。
アルバムではクローザーを務めているところがニクイ。
しかし…25年目にこんなことが待っていようとはナァ。
「こんばんは!今日は犬神まつりツアーのファイナルです。
サッポロから始まって、大阪、福岡、広島…そして今日です!
今日も最後まで盛り上がっていきましょう!」
3曲目は「ビザール」。
もう私はビザールと言えばコレ。
かつてのフランク・ザッパのレコード・レーベル。
「Bizarre」というのは「風変わりな」という意味。
向こうの人はヘンテコリンなモノを指して「ビザ~ル!」なんて言いますな。
暗い暗いマイナー・ワルツ。
でもこういう雰囲気がいいのだ。
他のバンドにこんなムードは作れまい。
3人が奏でる長大なリフが(私の中で)話題を呼んだ「黒い花が嗤う」。
こうしたカッコいいリフを持った70年代ハードロックのテイストが犬神サアカス團の魅力だ。
明兄さんが刻む小気味いいハイハットから始まるのは「栄光の日々」。
竹を割ったようにスッパリと歌う凶子姉さんのボーカルズがとてもステキ。
MCの後は情次兄さんの歌をバックに…
歌い込む凶子さん。
『Gold』にも収録されている「ねむり姫」。
サビ前のBb⇒C⇒Bbdim⇒Dmと進むところがカッコいい!続いてロッカバラード「空の色は何色ですか」。
この辺りはジックリ聴かせるところ。MCをはさんでは「小悪魔エレジー」。
コレも『Gold』に収録。
男性陣のコーラスがまたいいんだよね。ココでジャケットを脱いだ明兄さん。
ショウは中盤に差しかかる。
「♪こあ~く~ま~」
しかし、「エレジー(哀歌)」なんて言葉も死語だね。
日本が世界に誇るジャズ・ピアニスト、穐吉敏子の1974年の『孤軍』というアルバムの1曲目はドンズバで「Elegy」という曲。
座りションベンしちゃうぐらいカッコいい曲だからジャズに興味のある人は聴いてみてチョ。
情次兄さんのソロの最後に出て来る「Child in Time」みたいなフレーズがいいのよ。
「ビバ!アメリカ」が続いた!
みんなでアメリカ病を治そう!
私はスッカリ治りました。
今日もステージ下手で暴れまくりのジン兄さん。
もうこの辺りともなると誰も止められない。
情次兄さんフィーチュアで「開かずの踏切」。
「♪あの娘の心はいつも開かずの踏切なのさ」か…「遮断機」だの「警報機」だの、鉄道関連で固めた歌詞がリッパだ。
凶子さんがお休みの時、男子チームで「Z」っていうのもやったよね。
私の犬っさん歴は決して長くないけど歴史を感じるナァ。
「ニコヨン、日雇い、運転手」…「ニコヨン」って何だか知ってる?
コレ、差別用語になるらしい。
「ニコヨン」は「ケロヨン」の親戚ではない。「ケロヨン」なんて知らないか。
「ニコヨン」とは昭和20年代、終戦直後の山谷(さんや)の日雇い労務者の最低賃金だった「240円」のこと。
240円からその日の宿代80円を引いて、残りの160円は酒とタバコでなくなっちゃう。
そもそもあの辺りには山も谷もないのにナゼ「山谷」というか知ってる?
歴史は古く、平安時代にはあの辺りには家が3つしかなくて、それで「三家」⇒「山谷」になったらしい。
ホンマかいな?
トーク・コーナーの後はBlack Sabbathを連想させるダークでヘヴィなギター・リフ。
いいね~、じょにちゃん、メッチャいい!
猛烈なスピードで駆け抜ける「夜行列車」!
やっぱり犬神はカッコいいよ。絶対カッコいい。
トーク&告知コーナーでは『Marshall GALA2』にも触れてもらったよ。
この時はまだまだ先だと思っていたけど、もうすぐだ~!
ショウはいよいよ最終セクション。
きょんぴとコール&レスポンスで盛り上がろう!
もちろん曲は「暗黒礼賛ロックンロール」。
「光と影のトッカータ」と「ドグマの呪い」で4人は燃え尽きた!(「ドグマ」はマジでカッコいい)
曲のコーナーではまず「ロックンロールを唄いきれ」。
そして「念仏谷」。
いいね、いいね~。『夜行列車極楽行』って私が初めて聴いた犬神さんのアルバムなのさ。
もう一度アンコールをお願いされて登場。
最後の最後は「最後のアイドル」で「I-N-U-G-A-M-I」と盛り上がって終了。
犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁
…ということで、現体制の犬神サアカス團をお見逃しなく。
まだホンの少しだけチケットが残っています…Marshall GALA2へゼヒお出かけください。
Marshall GALA2の解説はコチラ⇒Marshall GALA2の見どころ、楽しみどころ、味わいどころ