真夏のJazz葉山 2018~杉本篤彦BAND featuring そうる透
寒い!
ナンダこの寒さは…冬じゃん?
あんな狂ったように暑かったのにもうコレだもんね。
そりゃ「暑いより寒い方がいい」とは何度もココに書いているけど、こんなに急に寒くはしてもらいたくないもんですな。
残暑と秋をスキップした感じだね。
「朝晩はラクになったね~」なんてセリフが出て来る場面がゼンゼンなかった。
それなのにまだデカい台風が接近しているとか…。
なんて毎年同じことを書いているが、同じ人間が書いているので仕方ない。
早稲田、慶応、日大、独協、中央、成蹊、東海…日本のヨットの発祥地とだけあって、葉山を拠点としている大学のヨット部が多く、合宿所がひしめいている。 我が母校もドカっと中心地に合宿所を構えている。
ヨットか~。
やってみたいと思ったことないな。
乗ったことすらないわ。
吉村昭ファンの私のせいでMarshall Blogには漂流した人の話が出て来るが、今朝そんなニュースをやっていたね。
夜間、魚を獲るために海面に光を当てる仕事をしていた18歳のインドネシアの青年が乗ったイカダが突風で流されて漂流。
49日後、2,500km離れたグアム島沖で日本の船に発見されて一命を取り留めたという。
そもそもインドネシアの125km沖でひとりでこの漁をしていたのいうのだからスゴい。イカダには動力が付いておらず、もはやこの時点で漂流しているように思えるが…。
イカダには数日分かの少量しかなかったが、さすがプロだけあって青年は自力で魚を取って食料を確保。
漂流中、雨が降ったのだろうか、シャツを絞って水分を摂ったという。
しかしね、この話で一番驚くのは、この青年はこの漂流は3度目だったんだって!
学習しろよ!と言いたいところだが、こうでもしなければ生計が建てられない事情があるのだろう。
救出後、「もうこの仕事はしたくない…」と言ったそうだ。
そりゃそうでしょ。
そんな場所だから朝はヨットの練習に出向く学生さんでにぎやかだ。
蜘蛛を発見。
「朝の蜘蛛はナゼ殺してはいけないか」についてはいつか書いた。
5回目ともなると、もうスッカリ勝手知ったるところ。
年々にぎやかになってきている。
しかし、変わらないのはこの行列。
パティスリー・ラ・マーレ・ド・チャヤという地元のケーキ屋さんのタルトを買い求める人の列。
8時半から販売を開始するのだが、予め並んだ人の分だけで完売してしまう。
以前はひとりで複数枚変えたが、今はひとり1枚限定になってしまった。
ま、確かにおいしくてホールで1,000円はお買い得だろう。
それとケーキのハジッコの切り落とし部分を100円で売っているのも人気の理由。いつもこの朝市に十分間に合うぐらいの時間に来ているのは高速道路の渋滞を避けるため。
でも、盛大に時間を持て余してしまう。
そういう時はココ。
葉山御用邸の跡地に作られた「葉山しおさい公園」の中にある「葉山しおさい博物館」。
中は冷房がキンキンに効いているし、人は滅多に入って来ないのでリラックスし放題。
館内には昭和天皇が寄贈(御下賜)された標本や葉山の海の生物に関する展示が施されている。
下は昭和25年に日本ヨット教会が当時皇太子だった今上天皇に献上した「オリンピア・ヨーレ」という形式のヨット。
美智子妃殿下とお乗りになったそうですよ。
ダイオウグソクムシもいたよ。
コイツ、5年ぐらい食事をしなくてもいいんでしょ?
痩せるだろうナァ、5年も食わないと。
PCを持ち込んで、時間が来るまでこの景色を前にしてMarshall Blogを書くのが実に気持ちいいのだ!
そして、時間がくると今度は山へ。
葉山福祉文化会館へと移動する。
今年のトップ・バッターは若きピアノとパーカッションのデュオ・チーム「Wataru y Takumi」。
たくみくんは以前に8回もこの舞台に立っている若きベテラン・パーカッショニスト。
コルトレーンでおなじみのモンゴ・サンタマリアの「Afro Blue」。
定番「Spain」。
もう1曲演奏したのはラファエル・エルナンデスのラテンの大スタンダード「エル・クンバンチェロ」。
ロック・ファンにはリック・ウェイクマンの『ヘンリー八世』の2曲目「Anne of Cleves」でおなじみのメロディだろう。
たくみくんを見てて「パーカッションもカッコいいもんだナァ」と思ってしまった。
NATALもパーカッションやってますからね
…というよりも元々はパーカッションのブランドだから。
今までは元ミドリのベース、岩見のとっつぁんを交えたトリオ編成だが、今回はデュオで臨んだ。
オリジナル曲の他に「Danny Boy」などを取り入れ、フレームの大きなパフォーマンスを聴かせてくれた。
このイベントには付き物の司会者、晋道はるみさんのが紹介するのは…
ココ数回お供をしているMarshallはJVM210Hと1936。
クリーン・チャンネルだけを使用。
Marshallの美しくパンチの効いたクリーン・トーンは杉本さんの強い味方だ。
スリリングなブッ速い4ビート!
杉本さんに続いて各人のソロがフィーチュアされた。
「宮古湾海戦」とは戊辰戦争の最後の戦いとなった、盛岡藩宮古村沖で発生した明治2年(1869年)の箱館戦争のうちの戦闘のひとつ。
劣勢に立たされていた旧幕府軍は新政府軍の主力艦に乗り込んでダッシュする作戦、すなわち「Abordage(アボルダージュ:英語ではBoarding=乗ること)」を決行したが失敗に終わった。
近代では世界でも稀に見る戦闘事例だったそうだ。
その新政府軍の艦隊を襲った旧幕府軍の軍艦が「回天」だった。
第二次世界大戦末期に決行した悪名高き海の特攻隊「回天」の名称はココから転用されている。
またしても吉村先生で恐縮だが、ホラ…ちゃんと書いていらっしゃる。
私の書架には入っているのだがまだ読んでいない。
今読んでいるのが終わったら次はコレを読むことにしよう。
「こんにちは!いつも出させてもらっています。暑いので休憩がてら聴いて下さい。
今のは土方歳三をテーマにした曲です」
歳三は宮古湾海戦に参加はしたが、生還し、その3か月後五稜郭の戦いで新政府軍に狙撃されて命を失った。
杉本さんは坂本龍馬のテーマにした曲にとりくんでいらっしゃる。龍馬の末裔の方と仲良くされているとか。
でもいいんですか?
佐幕派と討幕派の両方やっちゃって…。
私は江戸っ子なので佐幕派です。
次は杉本さんが「わかったよ!という曲」と紹介した「I Got It」。
デューク・エリントンに「I Got It Bad」という曲があるが、それとは関係なし。
ゼンゼンGoodである。この曲も「Abordage」も最近作、『Tomorrow Land』に収録されている。
アルバムに収められたギターのサウンドはしすべてMarshallによるものだ。
いい音なのよ!
その「いい音」を出している要素のひとつが杉本さん独特のツー・フィンガー・ピッキング。
そしてこのシンプルな足元。
ケーブルだけ。
アンプのリバーブは使用するがエフェクターは一切なし。
「学位を返そうかと思ってるんですよ…」
ココで日大のアメフト部事件についてひと言。
杉本さんは事件を起こしたクラブとは関係ないが、優れたアメリカン・フットボールの選手で、日大のOBなのだ。
「次の曲は怪人二十面相をテーマにした曲です。すごくいい曲なので聴き入らないでくださいね…大事に身に付けている貴金属が盗まれないように。
女性のハートも盗んじゃったりして!」
ナニ言ってんスか!
シンプルだがタイトル通り怪しげなメロディを持ったテーマが印象的なワルツ。
本気で女性のハートを盗もうとしているのか、よく取り上げる杉本さんの愛奏曲だけに、内容の濃いソロが展開する。
美恵さん、ピアノを弾き出すと感情移入が生半可でなくて、これはキースもビックリでしょう!
ピアノの素晴らしさだけでなく、ピアニストにしておくのはモッタイナイぐらいの顔弾きが素晴らしい。
やっぱりこうでなきゃ!
ココでバラード。
『Tomorrow Land』を締めくくっているエリック・クラプトンの「Wonderful Tonight」。
ハートウォーミングなんだよネェ、杉本さんのギターって。
この杉本さんのギターとシュレッド・ギターが「ギター」という地面でつながっているとは思えないよ。
そういえば、あの「♪あったかいんだから」っていうの見なくなったネェ。そろそろシーズンなんじゃないの?
お客さんの中にスッカリ出来上がっちゃってる人がいて、杉本さんとのやりとりが面白かったんよ。
手拍子を交えたノリノリの雰囲気が楽しい!
いつもより盛り上がっていた感じがしたネェ。
今回は杉本さんのセリフ入りバージョン。
途中で「Take the A Train」が引用され、各人の感情豊かなソロが交えられた。
今年もウチの葉山はコレにて楽しく終了。
また来年楽しみにしています!
杉本篤彦の詳しい情報はコチラ⇒杉本篤彦オフィシャルブログ
(一部敬称略 2018年8月5日 神奈川県葉山町福祉文化ホールにて撮影)