D_Drive ~ A NIGHT AT DX
意外だな…イヤ、そうでもないか?
毎週のように関西からやって来て、東京あるいは、その以東、以北のライブハウスの舞台を踏み続けて丸9年。
その延べ走行距離たるや地球7周半。
真空中において光が1秒かかって進む距離を大気中でたった9年間で成し遂げたのがD_Drive。
その距離、30万km。
ハイエースのような機材車で移動するので、燃費は7km/ℓとして、使用したガソリンは43,000ℓ。
43,000ℓがどれぐらいかというと…下の写真ぐらい。
コレは「タキ3500」。
35t積みのガソリンタンク車だが、ガソリンは水より軽いので、35tを比重の0.783で割ってやると43,000ℓチョイ超えの44,700ℓ。
だからD_Driveはタキ300の代わりに、9年の間にこれだけの量のガソリンを東名高速で運んだと言える。
一方、高速道路代はというと…もういいか。
で、9年の間に使用したガソリンの量なんかよりもっと驚くことがある。
そんなに頻繁に上京しているD_Driveのこと、東京で出演したことのないハコなんて最早なかろうと思っていた。
東京に住んでいる私なんかよりよっぽど詳しいからね。
ところがあったのだ!
しかも、Marshall Blogも数え切れないほど取材にお邪魔している肝心なお店。
それは高田馬場の音楽DX。
D_DriveのDX…そう、今日は「D」が3つ。
となると、思い出されるのがFrank Zappaの「Carolina Hard-Core Ecstasy」。
「Plastic leather, 14 Triple D」という歌詞。
合成皮革で14インチ(デカい!29.2cm)で「D」が3つという靴の仕様。
この曲はSMの歌なんだけど、S女が渡すこの靴のサイズでM男の体躯がわかる。30cmの靴を履くガタイのいい男がその手のことをしてよろこんでいる図なワケ。
ちなみに、名古屋のなぞなぞ商会は「Japanese Hard-Core Ecstasy」と題して、あまりにも素晴らしい独自の歌詞を乗せてこの曲を演奏していた。
ところで、アメリカでは男性の靴の幅は「D」が基本で、「A」に近づくほど狭くなる。
「D」が3つということは、相当なバンビロということ。
この「バンビロ」って、場所によっては「ダンビロ」っていうんだってね?ようするに「段広」。
「段広」とは幅の広い刀のことだと言うから、「ダンビロ」の方が正しく、「バンビロ」はその音便変化という説があるようだ。
私なんかは子供の頃から「バンビロコウダカ」って聞いていたよ。
ナゼなら自分が「幅広甲高」だから…ハイ、古来の日本人の足の形です。
「D」_「D」rive、初の「D」Xのはじまり、はじまり!
初めてのDXはいきなりの単独公演。
ダブル・ヘッドライナーでもなければ、トリプル・ヘッドライナーでもない。
ましてや、ツーマンだのスリーマンなんてのは言葉自体があり得ない!
ね~、Seijiさん。
まだときどきウッカリ「ツーマン」とか言ってしまいお客さんに怒られてしまうSeiji。
MarshallはいつものJCM2000 DSL100ECと1960AX。
ギロリ…Seijiさんが「ツーマン」などと言おうものならこうした厳しいチェックが入る。
「だから、私はMarshall。」のYuki。
YukiちゃんもいつものJCM2000 TSL100と1960A。
Shimaちゃんが使っているEDENはかつてのフラッグ・シップ・ヘッドWT-800。それと4x10"のキャビネットD410XST。
今日はNATALのアッシュを使っているのだ!
フィニッシュはホワイト・スワール。
こういうイスに座ったお客さんを前にしたD_Driveはきっと珍しいでしょう?
音楽室DXは、お客さんに単独の出演者をイスに座ってジ~ックリ楽しんで頂こうというのがモットーなのです。
もちろん満席。
いいね、イスに座って聴くD_Drive。
何もワイワイ騒ぐだけがロック・コンサートじゃない。
このハイパーな4人の至芸とMarshall、NATAL、EDENの芳醇なサウンドを思う存分堪能してもらいたいワケですわ。
まずは小手調べにいつも通り「Hyper Driving High」。
ん?考えてみるとD_DriveのMarshall Blog登場は結構久しぶりなんだよね。
「♪ティロリロリ~ン」のフォーメーションもバッチリとキマった!
ちなみに信頼の我がアシスタントの「M16」のメモには「押して⇔引いて」と書いてあった。
コレだけでどの曲かがわかる。
「皆さんこんばんは!
スミマセン!今日は私だけのためにお越し頂いちゃって!」イヤ、「ちゃって」は言わなかったか…。
「おおきに!今日はウチだけのために来てくれはって!」って言ったのかな?
そう、このライブはYukiちゃんの「バースデイ・ライブ」だったのね。
ということで、Yukiちゃんが今使っているストラップはSeijiさんからのプレゼントなのだそうだ。
Chiikoちゃんはバスソルト。
Shimaちゃんはドラゴン・ボール好きのYukiちゃんのために、ドラゴン・ボールの缶入りのお菓子をプレゼント。
イズミヤで買ったんだって。どこのイズミヤだろう…千里丘かね?山田西かね?
久しぶりに取り上げたというファースト・アルバム収録の「Mystery Zone」。
長年愛用して頂いているSeijiさんのDSLと1960。
初期の頃はコレとは違うDSLだったが、ほぼ地球を7周半した過酷な旅に耐え抜いたMarshallたちなのだ。
大切に使ってくれてうれしいな~。
最近、オーバーホールしたらまだ音がよくなったって!
続いては「Highly Strung」というOrianthiの曲をカバー。
つい先日レコーディングが終了し、3月28日に発売が予定されている2曲入りシングル『GEKIRIN-逆鱗-/Gradation』から「Gradation」を演奏した。
「逆鱗」はどうして「逆鱗」っていうのか皆さん既にご存知だろうから書かないよ。
「D_Driveにしてはさわやかな曲になりました。作ったのは夏なんですけど、発表したのが冬。海辺のドライブ。右手に広がる青い海の色の境目がキレイんなんですよ!だから、私はグラデーション」
やっぱり地球7周半の男は違う。
運転していても海のグラデーションをこと細かに観察していたのだ!
曲はといえば、ん~、確かに今までにないテイスト。
とってもいいと思う。
何でもトライした方がいい。
特にリズム。
音楽業界を見回して、私は今や日本人って完全に「リズム貧乏」だと思っている。
ヒップホップのような軽快な16ビート系のリズムには慣れて、ウラで手拍子を入れることができるようになったたものの、古来の素晴らしい音楽に使われてきたリズムをすべて捨て去ってしまったに等しいと感じているのです。
D_Driveはせっかく素晴らしい演奏技術があるんだから、メタル・テイストはそのままに、他にも音楽的に色んなことにチャレンジすればいいと私は思っている。
少なくとも日本では誰もやっていない音楽が出来上がるであろうと思うし、もしかしたら世界からも注目されるかも知れない。
で、今回演奏しなかった「Gradation」のカップリング曲「GEKIRIN」はYukiちゃんの作で、極悪テイストだという。
そ~んな、Yukiちゃんが「極悪」だなんて…しからば、ひと足さきに聴かせてもらいますよ………極悪だわ!
前半最後のブロック。
まずはYukiちゃん作のバラード、「Unkind Rain」。
青いライトの中、ギターに込められたYukiちゃんの感情が爆発する。
もういっちょ、ファースト・アルバム『Something to Drink?』から「Peach Fizz」。
第1部を締めくくったのは更にファーストから「Runaway Boy」。
私のD_Driveの原体験がコレ。
昨日Seijiさんが先か、D_Driveが先か、なんてことを本人と電話で話していて、認識していたよりはるかにSeijiさんとのお付き合いが古いんで驚いちゃった。
この話はまた今度。
これから休憩に入るから。
休憩の間に頂くのはこの日のスペシャル・ドリンク。
やっぱりカシス・オレンジでしょう~!
ところで、D_Driveはこうして2部制でライブをやるのが今回がはじめてなんだってよ!
言われてみれば確かにそうかも知らんね。
第2部の冒頭ではファンからプレゼントしてもらったYukiちゃんへのバースデイ・メッセージの寄せ書きが披露された。
私もひとこと添えさせて頂きました。
さて、さてさて、今日の「目玉その2」!
XperiaのCMで使用されている曲、「Voice」をライブで演っちゃうのだ。
残念ながらもう終了してしまったそうなのだが、あのCMってサ、ChiikoちゃんがMCで言ってたけど、「♪ケンコンケケンコ~ン」ってイントロが聞こえて来ると、どんなことをしていても絶対にテレビの方を見ちゃうんだよね…で、Yukiちゃんじゃないと、「ナンだよ~!『マラソン』かよ~」とか「Yukiちゃんじゃね~じゃん!」みたいになっちゃう。
私も何回アレにダマされたことか!
この曲は4つほどのパターンがあって、D_Driveが演奏したバージョンをプレイ。
次。
「Dスタンダード」のこの曲もドラムからだ。
ファースト・アルバム収録の「Mr. Rat Boots」。
しかしこうして見ると、D_Driveってかなり平均的に選曲してるんだよね。
アルバムに収録されてきたほとんどの曲をとっかえひっかえ、演奏している。
曲が少ない…ということではないんですよ。
捨て曲がないのだ。
そりゃそうだよな~。
歌詞書いて、コードつけて、メロディ作ってハイ終わり、というワケにはいかないからね、このバンドは。
次はアルバム単位では目下のところの最近作、『R』から「Now or Never」。
コレはモノスゴイ意訳をしてやると「いつやるの?今でしょ!」っていう意味?
Yukiちゃんの表情がそんな感じだ。
ココでアルバムの告知。
2010年にリリースして以来、4回ほど重版を重ねているセカンド・アルバムがリマスターされ、『ACCELERATOR Re Edition』というタイトルになって再発売される予定という情報。
で、12月13日に無事リリースされた。
このアルバムに収録されている6曲はそれこそいつも演奏してるもんね。
そういう重要なアルバムだ。
それより少し前に発表したのがこのシングル。
そうそう、D_Driveの場合は曲を書き溜めていたら大変だから、いい曲ができたところでジャンジャンとシングルを出せばいいのよ。
次はこのシングルのコーナー。
まずはYukiちゃん作の「Shape of Your Life」。
もうね、この曲は完全に「パブロフの犬」状態。
リフを聴くと即座にこの光景を思い出す。
私の中では「居酒屋甲子園のテーマ」。
リハーサルを含めて2日間、この曲を聴きまくったからね。夢に出てきたわ。
でもまた聴きたくなる…というのは名曲の証。
そして「Drive in the Starry Night」。
星空の下のドライブ…ロマンチックだナァ。
もちろん走っているのは東名高速!
「今から皆さんに写真を配りに行きますね!」
お誕生日のYukiちゃんからお客さんにプレゼント。
家でくつろいでいる写真にサインを入れて、Yukiちゃんが客席を回って1枚1枚直接配布したのよ。
「今日は来てくれてありがとうございます!あと少しなんですが…」
「エ~!」
…イヤ、まだ結構残ってるって!
「久しぶりにあの曲演っちゃう?」
…と演奏したのは「Among the Destruction」。
アンコールは今日のスペシャル・ドリンクにもなった「Cassis Orange」で甘酸っぱいパフォーマンスを!
やっぱりホーム感満載!さて、D_Driveのワンマン・ライブがまた近づいてきた!
2月16日は横浜NEW SIDE BEACH。
そして、3月24日が十三のGABU。
ハイ、脱線。
十三、なつかしいナァ。
私は30年前、箕面から梅田にある事務所まで阪急宝塚線で通っていたからね。
「じゅうそう」は最初読めなかった。
★「ナァ…ナァて…『十三』と書いて何て読むかジブン知っとるん?」と訊かれて、トンチを効かせて「くし?」と答えたら「ナンやねん、『くし』て?」
なんてことがあったな。
イヤ、「9と4、つまり『ク』と『シ』を足したら13になりまんがな…」とそのココロを説明したら「ナンやねん?」とまた言われた。
★とても可愛い女の子とエレベーターに乗り合わせて、降り際についそのカワイコちゃんの方を見てしまったら、「ナンやねん?」と言われた。
★梅田のESTの横の路上で、若い女の子同士が「ナンやねん?」、「『ナンやねん』ってナンやねん?」、「『ナンやねんってナンやねん?』ってナンやねん?」と口ゲンカをしているのを本当に見たことがある。
その後、「あっち行き!」、「自分があっち行き!」、「イヤや、あっち行き!」「イヤや、自分あっち行き!」と互いに絶対に譲らない。
ナント語彙に乏しい口ゲンカだろうか!
そんなにイヤなら自分からサッサとその場を去ればいいのに…と考えるのは東京流なの?
大阪は「ナンやねん?」でできていると思った。最後に…SeijiさんはDSL100、YukiちゃんはTSL100、ともにプリアンプもパワーアンプも真空管で駆動させるモデルなんだけど、やっぱりロック・ギターの音ってこうでなきゃ!…だよね。
正直、真空管アンプは鉄のカタマリである大きなトランスが2個も入っていて悲しいぐらい重い。
時が来れば、真空管を交換しなければいけないという面倒もある。
それゆえメンテナンスにお金もかかる。
デカい。
こうして書くと何やら猛烈に厄介なシロモノに見えて来るのが真空管アンプなの。
でもね、どんなにテクノロジーが進化したとしても、絶対に突き崩すことのできない、ズバ抜けて素晴らしい特長が真空管アンプにはある。
それは「音」なんです。
これまで「真空管アンプに迫るサウンド」という惹句を乗せた商品が星の数ほど生まれては消えていった。
「迫る」とか「似てる」ということは「違う」ということ。
「別にホンモノの真空管アンプと少しぐらいサウンドが違っていてもいいから、軽くて便利なヤツの方がいいわ」と思われがちの世の中になってきて、正直とても残念なのだが、最後は決してそうはならない。
ナゼなら、根本的に「ロック」という音楽は真空管アンプが作ったギター・サウンドなしでは成立しないからだ。
SeijiさんとYukiちゃんはこのことをよく知っている。
だから私たちは、Marshall。
D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Official Web Site
※言っておきますけど、音楽室DXにはJVMのコンボがあるからね~!
(一部敬称略 2017年12月8日 高田馬場音楽室DXにて撮影)