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2016年12月22日 (木)

The Yardbirds Live in Japan

今日はナント、The Yardbirdsのライブ・レポートをお送りする。
まさか、Marshall BlogにThe Yardbirdsが登場する日が来るなんて想像したこともなかった。
The Yardbirdsは、日本では何しろ「Eric Clapton、Jeff Beck、Jimmy Pageを輩出したバンド」というのが枕詞になっていることで知られているよね。
私も中学の頃にはそう習った。
その次には「Led Zepplelinの前身」という認識か…。
私の世代はそういう周辺の情報だけで、実際にThe Yardbirdsの音を聴き、親しんだという人はあまりいないのではなかろうか。
「Train Kept a Rollin'」の話は出るにしても、「Shapes of Things」や「For Your Love」の話など友人としたことがない。
…というのも、あの当時は何となく、どういうオリジナル・アルバムが存在しているのかハッキリしていなかった印象があるんだよね。The Whoもそうだった感じがする。
今でこそ『Roger the Engineer』なんて名前を時折聴くものの、あの頃は発掘音源みたいなアルバムが喧伝されていて、「三大ギタリストが在籍していたバンド」には興味があっても、私のようなロック聴き始めの子供にはとてもとっつきにくい存在だった。
『Five Live Yardbirds』とか普通に売ってたのかな?
ところでこの「三大ギタリスト」というのは日本だけの言い回しだ。以前にも書いたが、イギリス人はこんなことを言わない。
有吉じゃないけど、そもそも日本人は「三大」が大好きだからね。私も好き。だって便利だもん。
それでも、当時は「イヤイヤ、イギリスで三大ギタリストといったらChris Speddingが入るらしいゼ」なんて話があった。
ああいうのは一体誰がいつ言い出すんだろうな…。
で、フト気が付いたのは、「三大ドラマー」とか「三大ベーシスト」っていうのがないでしょう?
要するにこういうものは、単なるレコード会社の宣伝惹句だったのではなかろうか?
本当は「三大」の前には「日本でレコードが売れる」という「( )」がついていたということ。
ま、勝手に決めつけることを許してもらえるなら、The Yardbirdsという存在がそういう宣伝材料に使われたに留まった感があるのは残念なことだ。
もうオリジナル・メンバーがひとりしか残っていないにしろ、今回彼らのショウを観て、実にいいバンドだったことを再認識した。

9_2img_2737 さて、このThe Yardbirds、そのバンド名がCharlir Parkerのニックネームから取られたということがよく知られている。
やっちまったな~。
Charlie "Yarbird" Parker…とくれば脱線せずにはいられない。
どこから話そうか…Parkerといえば「モダン・ジャズの巨人」。
そもそも「モダン・ジャズ」とはナニかと言うと、「モダンなジャズ」ということ。
それ以前のジャズを「オールド・ジャズ」と呼ぶかと言えばそうではなくて、ひとことで言い表す習慣がなく、「スウィング・ジャズ」とか「ディキシーランド・ジャズ」とか、時代に沿って生まれた種類ごとに呼んでいるのが普通だ。
翻って1940年代に発生した「ビ・バップ・ムーブメント」からこっちのジャズを総称して「モダン・ジャズ」という。
ビ・バップという音楽は、それまでのジャズとは完全に趣を異にし、使用するコードやアドリブ・メロディを複雑にして、さらにリズムを洗練させ、それまで「ダンスのための音楽」だったジャズを鑑賞するための「芸術」に昇華させた。Charlie Parkerを中心に、Dizzy GillespieやThelonious Monkらが作ったと言われている。
「アメリカ人最大の発明のひとつ」とジャズがされているのも、このモダン・ジャズ化をもってして言わせしめたものだろう。
…なんてことを知ったのは、すっかりジャズにハマってからのこと。
Charlie Parkerに思い入れがあるのは、実は生まれて初めて自分のお金で買ったジャズのLPがParkerの有名な『Jazz at Massey Hall』だったからなのね。
18歳の時のことだった。
ジャズのことなんか何も知らなかったが、帯に「名盤」と謳ってあったので試しに買ってみた。
それと、年上の好みのお姉さんがジャズの愛好家で、Parkerの名前をしきりに出していたので、話題を合わせるための素材ということもあった。
その女性は当時二十歳をチョット過ぎたぐらいだったのに、Mingusだの、Bud Powellだの、Max Roachだの、ずいぶんジャズを聴き込んでいるようだった。今にして思うとスゴイな。
さて、その頃時代は80年代に入り、ロックがお子様向けのポップになってしまい、おもしろくもなんともなくなってきた時分だったので、まったくジャズは理解できなかったけどすごく新鮮に響いた。
その時はまだロック・バンドをやっていたが、心はグイグイとジャズに引っ張られて行き、そのバンドを辞め、大学のビッグ・バンドに入れてもらった。
今でも「ベスト・ヒットUSA」に登場していたようなバンドの80年代のロックはまったく受け付けない。
もしかしたら、心のどこかで70年代のロックを抹殺し、私からロックを奪った「凶悪犯」と思っているのかもしれない。
でも、ジャズに転向したからこそ、今、ロックを落ち着いて俯瞰できるようになっているような気もする。Charlie Parkerのおかげだ。
ちなみに、ナゼParkerのアダ名が「ニワトリ」かというと、子供の頃、鶏の手羽先かなんかバッカリ食べていたから…とロス・ラッセルという人が書いた伝記『バードは生きている』に書いてあったような記憶がある。(この伝記と、Art Pepperの伝記『ストレート・ライフ』はメチャクチャおもしろいよ)
コレがその初めて買ったジャズのLP、『Jazz at Massey Hall』。
今でも時々聴いている。

10cd「ジャズなんか興味ない!」なんて人にはチャカはどうよ、チャカ・カーン。
この『What Cha'Gonna Do for Me』ってアルバムに「And the Melody Still Lingers On」って曲が入ってるでしょ?
この曲は上述のDizzy Gillespie他の作ったスタンダード・ナンバー、「A Night in Tunisia」に歌詞を付けたものなんだけど、聴きどころは真ん中のブレイクの部分だ。
目の覚めるような素晴らしいアルト・サックスのソロにHerbie Hancockがユニゾンでシンセサイザーの音を重ねるというもの。何というクールなアイデア!
初めて聴いた時にはもうParkerを知っていたので、最初に聴いた時は興奮したな~。
このアルト・サックスのソロを吹いているのがChrlie Parker。

20cdその音源は『Charlie Parker on Dial』の第一集に収録されている「Famous Alto Break」というもの。「もの」というのは「曲」になっていないから。
Parkerは常にファースト・テイクの出来が一番ヨカッタと言われているが、このソロも一回目の録音の時に飛び出した。曲は当然「A Night in Tunisia」。
残念ながら他のメンバーがミスをしてしまい、そのテイクは使われることがなかったが、完全無欠のあまりにも素晴らしいソロだったので、そのブレイクの部分だけが残され、我々も聴くことができるというワケ。
こんなこと全音楽を通じても他にないでしょう?それだけスゴイ演奏だった。
セカンド・テイクの時に、制作スタッフから「さっきみたいなソロをまた演ってくれ」と言われたが、Parkerは「もうあんなのはできないよ!」と答えたという。本当にアドリブで吹いていたのだ。
最高の音楽家であったが、私生活でのParkerは麻薬とアルコールに溺れた最悪の人間だったらしい。
まだ、書きたいことはあるけど、気が済んだので「脱線」終わり!
ご高覧ありがとうございました。

30cdさて、さてさて、バンド名の由来もわかったところで、そろそろブリティッシュ・ロックの黎明期を支えた偉大なバンドのライブにご招待することにしよう。

40v会場のCOTTON CLUBにお邪魔したのは来日公演の最終日の最終セット。

50ドラムはJim McCarty 。
唯一のオリジナル・メンバー。

60リード・ギターはJohnny A.。
私のお友達。彼の招きで取材をさせてもらった。

70vボーカルとサイド・ギターのJohn Idan。

80vハーモニカとパーカッションのMyke Scavone。

90xベースはKenny Aaronson。

100v当然、JohnnyとはMarshallつながり。
去年の2月の単独来日公演の時からの付き合いだ。
彼も私の写真をすごく気に入ってくれてね~。

110バックラインは前回同様、1962 Bluesbreakerを2台。
彼は母国アメリカではハンドワイアードの1962を使用しているが、コレはレギュラー品。

120冒頭に書いたように私もThe Yardbirdsは詳しい方じゃないからね…どれだけ知ってる曲が出て来るか…。
1曲目は「Heart Full of Soul」。

130_hfs決して知らなくはないJohnnyが奏でるイントロのメロディ。
1965年のアルバム、『Having a Rave Up with the Yardbirds』から。
オリジナル・レコーディンでギターを弾いているのはJeff Beckだ。

140作曲はGraham Gouldman…そう、10ccの!
この曲はイギリスのシングル・チャートで2位をマークした。

150v続いてはMykeのハモニカがカッコいい「Drinking Muddy Water」。
あ、Marshall Blogは「ブルース・ハープ」という言葉を使いません。ナンとならば、この言葉はドイツのハモニカ・メーカーの登録商標だから。
コレはチョットしたトラウマやね。あ、大した話じゃないから気にしないで!
170v
Johnnyがボトルネックを披露。
1967年のJimmy Page参加したアルバム、『Little Games』のB面の1曲目。
The Yardbirdsのオリジナルだけど、コレ、「Rollin' and Tumblin'」にソックリなんだよね。
だからタイトルも「ドロ水を飲む」か…。

160_mw次の「I'm not Talking」は1965年のThe Yardbirdsのアメリカ制作盤『For Your Love』に収録されている。
このアルバムはEric Claptonがギターを弾いている曲とJeff Beckが弾いている曲が混在していて、イギリスではリリースされなかった。
反対に母国でのファースト・アルバムにしてMarqueeでのライブ盤の『Five Live Yardbirds』はアメリカでは発売されなかった。
Eric ClaptonはThe Yardbirdsが大ヒット曲「For Your Love」に手を出したためバンドを離れたと聞いたことがある。
つまり、「For Your Love」はポップ・ソングであり、Claptonはブルースから離れたくなかったのだ。
そして、この「I'm not Talking」はJeff BeckのThe Yardbirdsでのレコーディングの最初の3曲のうちのひとつとなった。
ちなみにこの曲の作者は先ごろ亡くなったMose Allisonだ。
The Whoで有名な「Young Man's Blues」を作ったジャズ・シンガー/ピアニストね。

180_intマァ、Jimのドラミングのパワフルなこと!
1943年生まれだから73歳だよ!
楽屋でもとても愛想がよくて、すごく感じのいいオジイちゃんだった。
私と目が合うなりウインクしてニコニコ微笑みかけてきてくれる。ウインクはしないまでも(できない)、そういうオジイちゃんになりたいもんだ。
そして、そのオジイちゃんがEric Clapton、Jeff Beck、Jimmy Pageと一緒にバンドをやっていたなんてね~。
Keith Relfも入れとくか…あんまりRenaissance得意じゃないけど    。

190v『Having a Rave Up with the Yardbirds』から「Mr. You're a Better Man than I」。
イギリスを代表する名門バンド、Manfred MannのMike Huggの作。
あのね~、ビックリしちゃったのは…あ、その前に私はこの『Having a Rave Up with the Yardbirds』ってアルバムは持ってないんだけど…この曲、どっかで聴いたことがあるな~と思って、ハッと気が付いた。
サンハウスだ!
『有頂天』に入っている「風よ吹け」の原曲はコレ。いい曲だな~。
あ、Manfred Mann好きです。
このタイトル。「Than」の後が主格の「I」になってるでしょ?中学の英語の授業で教わったように、これは「You're a better man than I am」の「am」を省略しているから主格の「I」になっているんだけど、これは最早イギリス式のようだ。
アメリカ人はココを「I」ではなくて「me」と言う。イギリスでも口語においては「me」でもいいとされているが、正しくは「I」。アメリカ人は「me」だけでブッちぎっちゃうようだ。
なんで、こんなことをいうのかと言うと、「I」か「me」かでアメリカ人の若い女性とケンカしたことがあるのよ。
彼女は私に「ゼッタイ間違っている!」とキツく言っていたけど、旺文社の文法書のロングセラー『ロイヤル英文法』には「I」が正しいって書いてあるんだよ!
チャンとした英語をしゃべりやがれ、アメリカ人!子音もチャンと発音しろ!おかげでイギリス英語がゼンゼンできん!…ナンチャッテ。
あ、ちなみに現在のThe Yardbirdsのイギリス人はJimだけです。
Levon Helmと同じ状態だ。 「アメリカの心」、The Bandはカナダ人のバンドだ。

200_mybベースのイントロが印象的なのは『Roger the Engineer』のオープナー、「Lost Women」。

210_lwこれまたイキのいいドライビング・チューン。
Jimは絶好調だ!

220vヒット曲「Shapes of Things」のB面、「New York Cuty Blues」のイントロはLed Zeppelinの「Since I've Been Loving you」とまったく同じ。
でもオリジナル・レコーディングのギターはBeckだよ。
おもしろいね~。

230v_ny飾り気のないドブルース!

240Johnnyのギターがうなりまくる!
彼のギターってとてもシンプルで破壊力があるんだけね~。
分厚い段ボールの束を力を込めて一発で引きちぎっちゃうみたいな…でも繊細さも忘れていない。

250Jimmy Page期の「Little Games」。
コレいい曲だよね~…と思ったらヨソの人の曲だった。

260_lgココでリズム隊をフィーチュア。
まずはKennyのベース・ソロ。

270そして、打楽器チーム。

280Jimと…

290Mykeのパーカッション・バトル!
見せるな~。

300vUKチャートの第3位まで上昇した1966年のシングル、「Shapes of Things」。
コレもいい曲だ。
なんだ、結構知ってんじゃんね~、私も。

310_sotこの曲を初めて聴いたのはJeff Beckの『Truth』だった。
そして、Nazareth。
カッコよかったな~。Nazarethは1979年の来日公演でも演ったような気がするよ。

S41a0071 今度はJimがボーカルを担当。
「ア~ハ~」とお客さんとのコール&レスポンスで盛り上がった曲は「Back Where I Started」。

330_bwここでもJohnnyはボトルネックを披露した。

340ドラムだけでなく歌も披露したJimだが、この年季の入ったドラミングは誰もマネできないだろうな。
本物のブリティッシュ・ロックの礎だからね。

350v「Over, Under, Sideway, Down」。
この曲のメロディは「Jeff's Boogie」に使われているヤツね。

360_ousdFlower Travellin' Bandの「Satori PartII」はこの曲に影響を受けたのかな?

370Clapton期の『Five Live Yarbirds』からもう1曲。
Howlin' Wolfの「Smokestack Lightning」。
Mykeのハモニカが荒れ狂う!

380_sslJonnyは舞台のヘリに座ってプレイ。

390サービス精神も旺盛な人だ。

400目の前のお客さんにジックリと語り掛けるその言葉は「ブルース」だ。

410Jimがメンバーを紹介。

420vココで「サイケデリックの曲」と紹介されたのは「For Your Love」。
The Yardbirds最大のヒット曲。
NMEのチャートで見事1位を獲得。作者は10ccのGraham Gouldman。
イントロのハープシコードを弾いているのはBrian Augerなんだってね。

430_fylこの最大のヒット曲を金科玉条にフィーチュアするのかと思ったら…

440v惜しげもなく「Happenings Ten Years Time Ago」をメドレーで演っちゃった!
邦題は「幻の10年」。
私は中学生の時にTodd Rundgrenの『Faithful』でこの曲を知った。

450発表は1966年。
Jeff BeckとJimmy Pageがツイン・リードをやった唯一の録音。

460vそして、もう一発!
コレが本編最後の曲となる。

470「Dazed and Confused」…Led Zeppelinのアレね。
奇しくもLed Zeppelin、4日連続!うち「Dazed」2回!

480Johhnyはヴァイオリンの弓の代わりにE.Bowを使用。ま、「弓」ということでは同じか…。

490もちろん渾身のソロも!

500アンコールはキマってるわね。
「Honey Hush」、あるいは「レモンティー」…イヤイヤ「ブギウギ列車夜行便」だ!

510_tkrホンモノが観れてうれしかったな!

520総立ちのお客さんを前にメンバーも全員エキサイト

530もうコレが最後の最後だからね!

540そして、さらにもう1曲、『Five Live Yardbirds』に収録され、後にJeff Beckで録音しなおしたBo Didleyの「I'm a Man」を演奏して全公演の幕を降ろした。

550ナンダナンダ、知ってる曲がたくさんあって思いっきり楽しんじゃったよ~。
ブルースとロックが親子だった時代の音楽…やっぱりこういう音楽は問答無用でイイな。
今、ロックは最大の親不孝をしてるからね。まったくの他人丼だ。

560楽屋もそうだったんだけど、メンバーの皆さん、実に楽しそうだった。

 
Yardbirdsの詳しい情報はコチラ⇒OFFICIAL WEB SITE(英語版)

Johnny A.の詳しい情報はコチラ⇒Driven(英語版)

570それと、お名前もうかがわなかったんだけど、ツアーマネージャーのこの人が信じられないぐらいいい人で…メッチャご親切にして頂いた。
この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
そして、Johnnyありがとう!またね~!
I'm sorry for my rudeness.  I didn't have the name of Mr. Tour Manager who  looked after me very kindly. 
Please let me send big thank to him in this occasion.
And thank you very much Johnny!  See you soon!

S41a0003(一部敬称略 2016年10月23日 COTTON CLUBにて撮影 )