JOHNNY A. Live in Japan
コレは珍しい。
私も長年この仕事をしているけど、初めて見る光景だ。
ナニがかと言うと、ステージに1962 Blueasbreakerが3台も並んでいる!
まるで1965年にタイムスリップした感じ?…って私はその頃のことは記憶にないけどね。3歳だった。
今年は2015年…そう、実は1962が発売されて50年が経ったのだ!
1959や1987なんかもそうだけど、50年も姿を変えずに生き残っている工業製品なんて滅多にありはしない。
50年前の車や飛行機に乗るなんてことはまずないもんね。
その点、楽器はスゴイ。
Les PaulやStratocaster等の名器もそうだよね。進歩がないと笑わば笑え。
いかにオリジナルの商品がパワー秘めているかがよくわかる。それはコレらの楽器が作った音楽にこそパワーがあって、どんなに時代が移り変わろうとも魅力が褪せないからだろう。
今はデジタル技術の進歩で色んなものが出ているけど、果たして50年後に残っているか…?
残念ながら私はそれを確認すことはできないが、きっとギターを嗜んでいるであろう孫が私の墓前に報告に来てくれることだろう。
「ジイちゃん、残ってないよ。でも1962は2065年の今も元気だよ!」って!
今回が2度目の来日。
2月の上旬に東京のCotton Clubにおいて2日間にわたり4回のステージをこなした。
ケーブルはカール・コード!
あ、ちなみに海外では「シールド」という言葉は通じないので注意…イヤ、少なくともイギリスでは通じない。「コード」もきいたことがない。「シールド」は日本語じゃないかな?「シールド」には「電線」的な意味はないからね。
「shielded cable」なら通じるかもしれない。
イギリスではギターとアンプつなぐ線のことを何と呼ぶかというと、「guitar lead」といいます。
ついでに言っておくと、Marshallアンプのリア・パネルのヒューズホルダーに「MAINS」って表記があるでしょ?これはイギリスでは「電源」という意味。
だからイギリスでは「電源ケーブル」のことを「mains lead」と言います。
以上、「マーブロ英語教室」終わり!
コレは昨年の6月にリリースされた最新作の『Driven』。レコ発記念来日にはちょっと日が経ってしまっているが、当然アルバムから数局が演奏された。
コレがですね~、とにかくウマいの、ギター。
勉強不足で恥ずかしいんだけど、今回初めてJOHNNYのプレイを観て、聴いたんだけど、べらぼうにウマい!
Gibsonから「JOHNNY A. Soecial Edition」なんてシグネチャー・ギターを出しているぐらいだから、ウマいのはまず当たり前なんだけどね。
JOHNNYはMingo Lewis(SantanaやAl Di Meolaのパーカッション)、Peter WolfやBobby Whitlock(Delaney & BonnieやDerek & the Dominosのキーボード)のサポートを務めキャリアを積んできた人。Peter Wolfとは7年も活動を共にし、レコーディングやワールド・ツアーを通じ活躍してきた。
アメリカにはこういうのがゴロゴロしてる。
終演後、会場でバッタリお会いした、超大物アーティストのサポートを長年務めている有名な日本人ギタリストの方も「この人、ウマいですね~!」とかなり驚かれていた。
ここでいう「ウマい」というのはもちろん「速く弾ける」とか「複雑なフレーズをラクラク弾く」とかそういうことではなく、とにかく弾くギターのメロディと音が「歌」になってるんだよね。1本のギターが「音楽の塊り」になっている。
恐らく、完全なアドリブ・パートを除いては、全パート、全ステージ同じように弾いたと思う。そういうカチっとしたキメ細やかさが見て取れるんだけど、それがゼンゼン窮屈じゃない。
海外のウマいギタリストって、みんなこういうテイストを持ってるんだよね。日本のウマい人と明らかにフィーリングが違う。
SatrianiとかSteve Vaiなんかモロにそういう感じだし(実際、JOHNNYはVaiのFavored Nationsからアルバムをリリースしている)、Paul Gilbertもそう。Zakkですらそういう感じがする。
ギターを演っている一部の方にはおわかり頂けると思うのだが、日本のギタリストのプレイよりも海外のギタリストのプレイをコピーする方が難しいと思ったことはないだろうか?日本人のギタリストだと、何となくやっていることが見えるんだけど、海外のギタリストはそうはいかない。少なくとも私の「低性能耳」はそう。
もう一度言うが、それは「速く弾く」とかいう意味においてではありませんよ。ヴォイシングとかフレーズの弾きまわし方の感覚がゼンゼン違う。
下手な比喩を用いれば、日本人は「線」でギターを弾いているような感じで、対して海外のギタリストは「面」で弾いているようなイメージなのだ。
バック陣の腕も当然第一級。
ベースのEvanもウマかったナァ。派手なことは一切しなかったけど、実にベースらしいベースで音も素晴らしかった。
もうひとりのギターのGregはほとんどバッキングに徹していたが、数回まわってきたソロ・パートでは大爆発。
かないコンテンポラリーなプレイで、コレまたカッコよかった!
Zappa Plays ZappaのJammie Kimeなんかもそうだったが、海外のバンドでバッキング・ギターを担当している人って指示がない限り絶対に前に出て来ないんだけど、イザ出番が回ってくると「ココぞとばかり」大抵すさまじいプレイをするんだよね。
Gregも1962だ。スタンダードなBluesbreaker。
実は今回のMarshallはすべて日本国内で用意したもの。
JOHNNYはいつもは異なるモデルを使っている。
その愛用のMarshallの情報をJOHNNYが送ってきてくれたので紹介する。
Handwiredシリーズの2245THWのハーフ・スタックが2セット。
JOHNNYはいつでもステレオでギターを弾くのだそうだ。
キャビは…皆さん、お気づきかしら?スモール・ゴールドのロゴ、ソルト&ペッパーのフレット・クロス。そして、左上に付いている「100」のプラーク。
1960AHWに見える…でもそうではない。
さて、間違い探し…答えは後で!
コチラはそのバリエーション。
やはりコレも上と同じく1960HWのモディファイではない。
ベアウッド状態のキャビ。
上部のキャビティは、インプット・ジャックプレートのためのもの。
こんなプレートが仕込まれる。構想自体は普通の1960A/Bと同じ。プレートに使われている文字のフォントやプレートのプレキシ具合まで実にそれっぽく作ってある。
搭載スピーカーはCelstionのAlnico Gold。
ハイ、ここで種明かし。これらのスピーカーは実は10"。
実はコレ、4x10"用のキャビネット(入れ物)にロードされている。
すなわち、1960より小さいサイズなのだ。
ココで今一度上のハーフ・スタックの写真をご覧になれば納得頂けると思う。
ゲストで呼ばれて軽く弾くようなときには同じくHandwiredシリーズの1958Xを使用する。この1958XにもCelstionのAlnico Goldが搭載されているそうだ。
また、ソロやデュオ等、小さな音量で演奏する機会には手前のJTM1Cを2台使う。
いつもステレオ。
こっちも音良さそうだな~。
レパートリーはもちろんオリジナル曲が中心だ。
曲はシンプルでストレート、しかし深い。それを最高のギター・トーンで一気に聴かせてしまう。
オリジナル曲以外にも、「The Beatlesメドレー」などがレパートリーに加えられ聴く者を飽きさせない。
このメドレーの選曲がまたふるっていて、「Night Before」、「And Your Bird Can Sing」、うれしいうれしい「Bulldog」。それにア・カペラで「Ticket to Ride」…変わってるでしょう?
「And Your Bird Can Sing」は以前Mike Keneallyが来日した時、弾き語りでこの曲を演っていた。もちろんあのイントロはそのままに…だ。
「Bulldog」はカッコいい曲だよね~。歌詞もカッコいい。Peter Ollie Halsallがギターを弾いているBoxerバージョンもおススメ。
さらにはStevie Wonderの「Superstition」やらThe Bee Geesの曲。はたまたAllman Brothersナンバーでは「Elenor Rigby」までガッツリ引用しちゃってもうやりたい放題。
なるほど、JOHNNYはJimiやClapton、Jimmy Pageらから絶大な影響を受けているのだそうだ。
そりゃMarshallにキマりだわな。JOHNNYのやり方は至極正しいのだ!
…とうので、まさかの「Nobody's Fault but Mine」に「Whole Lotta Love」!
もちろんそのどれもがJOHNNY流。
「計算されたハードさ」みたいなものがビシビシと伝わって来て実に気持ちがいい。
バックの押し出し感もハンパではなくて、やっぱり外人特有の奥深いパワーを感じた。
そして、アンコールは「Crossroad」。
イヤ~、おもしろかったな~。
素晴らしい演奏と最高のトーン!そして、目の前にはMarshall。シアワセ、シアワセ!
JOHNNY A.の詳しい情報はコチラ⇒Official Web Site(英語版)