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2016年11月29日 (火)

Marverics & Mystics ~ APHRODITE編

今回のレポートは久しぶりにご登場頂くグループがふたつ。
岡垣正志率いる様式美の雄、APHRODITEと正統派ブリティッシュ・ロックの伝統を奏で続ける不死鳥、BLINDMANのダブル・ヘッドライナーだ。
だからまずはアレをやらないと!
「ツーマン」では断じてない。「ダブル・ヘッドライナー」だ…ってヤツ。
「ダブル・ヘッダー」でもいい、とにかく「ツーマン」だけはヤメましょう。
しかし、どうして「ツーマン」なんて言葉が出て来たかね~?
おそらく、昔から広く使われている「ワンマン」という言葉の「ワン」を「ツー」とか「スリー」に置き換えた感覚なんだろうね。
そこには当然「man」の複数形が「men」だなんて感覚は介在しない完全な日本語感覚なんだろう。
だからそれを「Two Man Live」などとアルファベットで表記するなんて恥ずかしいことこの上ない…とチョット前に書いたばかり。
そういえば、昔のバスって運転手と車掌さんの「ツーマン」だったんだよね。あ、イカン!
「ツーマン」って言ってしまった!
車掌さんが真ん中あたりに乗っていて硬い切符をチョキチョキ改札していた。のんびりした時代だった。
さて、ネイティブの人にこの辺りのことを尋ねると、「ワンマン」という言葉もどうもシックリこないらしい。
「One Man Concert」なんて聞くと、あるグループから一人だけ独立して演奏する弾き語りのような形態のショウを思い浮かべるらしい。
しからば、グループがひとつだけ出演するコンサートをどう呼ぶか?…というと特別な言い方が思い浮かばないということだった。そういうコンサートが当たり前なので、ワザワザ特別な言葉を充てる必要がないのかもしれない。
そもそも昔のライブハウスはね、今ほど複数のバンドがいっぺんに出るなんてことがなかったんだよね。
だから「今度ワンマンやります!…♪ドコドン、ジャ~ン!」なんてやっていた記憶もないなァ。
私は故意に「コンサート」とか「ショウ」いう言葉をMarshall Blogで使っているが、コレらの言葉も「ライブ」…「ライヴ」か?…という言葉に押されて絶滅しそうだもんね。それより先に「リサイタル」という言葉をトンと耳にしなくなった。
本当に言葉というものは世につれて変化していくもんですな~。
でも、どんな言葉が使われようが、「ツーマン」だけはチョット…。
  
まずはAPRODITEの出番。

10さて、同名のイベントで7月にはJILL'S PROJECT-D名義でステージに上がった岡垣正志。
今回はAPRODITE!

20v荒木真為

30v西村守

40v西村さんは当然Marshall!

50ANI-Katsu

55vトレードマークのフロント・ヘッドを擁するのは…

60堀江睦男

70v一曲目は「アンシャン・レジューム」。

80タイトルの「アンシャン・レジューム(レジーム)=Ancien regime」はフランス語。
16~18世紀のフランス革命以前の絶対王政期の同国の社会・政治体制のこと。フランス以外の国々では「旧体制」を意味する比喩として用いられることが多い。
英語で言えば「ancient regime」…ほぼ同じ。

90急速調でドラマチックな展開はオープニングに持って来い。
こうしたロックがなかなか聴けなくなったのは本当に残念だ。まさに「Ancien regime」!
120
岡垣さんのキーボードから始まる二曲目は「Holy,Unholy」。

100これまた迫力のスピード・チューン。

110ギター・ソロもバッチリきまり、最近の作品で固めた滑り出しは絶好調!

130「7月は夏が始まる感じ、今日は(10月初旬)は秋が始まる感じでココ鹿鳴館のステージに上がっています」という岡垣さんの時候のご挨拶の後は「Long Live The Dead」。
150v
前二曲とは異なり、若干テンポ・ダウンしたドッシリした雰囲気が重厚感を演出する。
140v

岡垣総帥の世界をミッチリと織りなしていく三人。

160v

S41a0026

170曲は「詩人シャロー」へ…。
「♪詩人シャロ― 難解すぎて 詩人シャロ― 誰にもわからない」という歌詞が最高。
ま、私は残念ながら詩歌をジックリと味わうほどロマンティックな人間ではないが、瀧口修造という人の作品には腰を抜かしたな。
『妖精の距離』という作品はこんな具合だ…チョット飛ばさないで読んでみて!
  
うつくしい歯は樹がくれに歌った
形のいい耳は雲間にあった
玉虫色の爪は水にまじった
脱ぎすてた小石
すべてが足跡のように
そよ風さえ
傾いた椅子の中に失われた
麦畑の中の扉の発狂
   
…イッちゃってますね、完全に。
若い頃は「ロクでなし野郎赤い羽根 ミシンをかついたギタリスト 傘をかぶったベーシスト おいらは銀河のニヒリスト」にも相当ビックリしたけど、瀧口修造の言葉の四次元ぶりは尋常ではない。
まさに難解すぎてサッパリわからん!

180そのかわり、ギター・ソロはストレートにブッ放す!
やっぱりこういうギターはMarshallでないと!

S41a0310岡垣さんのキーボード・ソロ。

180v徐々にエキサイトしてキーボードをゴインゴインと猛スイング!

190そして、曲は五番目の「Fear」に突入する。
こうしたドロッとした重苦しい曲調もすごくマッチする。

S41a0128 堀江さんのドラムが雄叫びを上げた!

220
鐘や雷の音から始まったのは「Edge Of The World」。

240西村さんの流麗なギターがフィーチュアされる!

250Rick Wakemanのようなカッチョいいピアノのイントロから「人形愛」。
230v
ソリッドなリフからメロディアスなボーカル・パートへ。
290
この曲でも聴かせてくれる華麗なギター・ソロ。
280v
岡垣さんのオルガン・ソロ!
グワングワンとキーボードを前後に揺さぶる岡垣さん。その振幅は増すばかり!

260しまいにはコレもん!
200
Ani-katsuさんはゴリンゴリンと遠慮なく図太い低音を放り込んでくる!

270その低音とガッチリコンビを組む堀江さんのシャープなドラミングが小気味いい!…と、APHRODITEのエキス満開!
295v
さらに「Daydream」。
完璧なバック陣にサポートされた真為さんのボーカルが冴えわたる。

300最後の最後までとにかく突っ走る。
もう「様式美」ファンにはタマらないステージだ!

320そして、APRODITEのステージは「紅蓮の炎」で幕を閉じた。

330岡垣正志とAPHRODITEの詳しい情報はコチラ⇒Masashi "Jill" Okagaki Official Website340<BLINDMAN編>につづく

(一部敬称略 2016年10月2日 目黒鹿鳴館にて撮影)