Marshall Blogに掲載されている写真並びに記事の転載・転用はご遠慮ください。
【マー索くん(Marshall Blog の索引)】
【姉妹ブログ】
【Marshall Official Web Site】
【CODE/GATEWAYの通信トラブルを解決するには】

« 【号外】 大好評のIRODORISAI! | メイン | ワテは60からだす!!~中野重夫の還暦を祝う <その6:最終回> »

2016年9月 5日 (月)

ワテは60からだす!!:中野重夫の還暦を祝う <その5>~私の松阪 (後編)

松阪市内観光の後半。
かなり暑かったけど少しブラブラしてみる。
ああ~、高いビルがないってのは実にせいせいしていていいもんだね~。ズッと東京にいてPCの前に座るか、ライブハウスやコンサ―ト・ホールにしか行かないとこういう景色を忘れちゃう。
空気もゼンゼン違う。
東京と同じに暑くてもイヤな暑さではない。

10_2松阪市役所。
80_2
ウワ~、懐かしいナァ~、Lo-D。
香津美さんのテレビコマーシャルを思い出す。
今考えてみると、昔は何だってあんなにオーディオが流行ったんだろうね~。経済成長のひとつの結果の現れということか?
反対にどうしてこんなにすたれちゃったんだろうね~。
今、また「レコードやプレイヤーの復活」なんて騒いでいるけど、「趣味のオーディオ」の斜陽ぶりってのもすさまじいものがある。
かつてはほとんどすべての大手家電メーカーが自前のオーディオ・ブランドを持っていたからね。
日立はこのLo-D。
三菱はDIATONE(カーステレオが存命か?)
東芝はAurex(ジャズ・フェスティバルまで運営していた)
松下はTechnics(健在)
シャープはOPTONICA(オーディオどころじゃない!)
三洋はOTTO(会社Panasonicに吸収されちゃった)
KENWOODは昔TRIOといった(レコードも作っていてECMを抱えていた)し、DENONはデンオンと読んだ。
SONYはズッとSONYだった。
ONKYOは今やGibsonだ。
サンスイなんて「AUシリーズ」というすごくいいアンプを作っていたのにナァ。
そこへ行くと同じアンプでもMarshallってやっぱりスゴイ。
54年も続いているんだから!しかも真空管でやってる!
ゼンゼン関係ないけど、今テレビのニュースで「つま恋」が今年末で営業を終了することを報じていた…時代は変わるナァ。

20_2いいナァ、クラシックだナァ。
ロンドンなんか今もこういう感じだもんね。

30v_2町のアチコチにこんなオブジェが…。

40v

50v_2さて、お昼ごはん。
焼肉を食べたのは前日のことね。一日に二回昼食を摂ったワケじゃないからね。
今日も焼肉でもいいんだけど、近くになかったので構えがカッチョいいココに入ることにした。
牛銀…小林銀蔵さんが明治三十五年に始めた、牛鍋をメインに松阪牛を食べさせる店。
ま、そっちは目ん玉が飛び出しちゃうお値段なので、隣接している「洋食屋牛銀」に入る。

60_2かなりお昼の時間を過ぎていたが少々の行列。
「カツ類は全部売り切れですがいいですか?」と言われたが、ハンバーグを食べるつもりだったのでヘッチャラ。
カツが人気なのか…牛を食べさせる店なのにトンカツが人気なのか?と不思議に思ったが、コレは牛カツだった!
失敗した!もっと早く来ればヨカッタ。
で、出てきたハンバーグ定食はコレ。
おいしそうでしょう?
結果…普通かな?
次回は牛カツ!

5_hum さて、お昼も済ませたところで腹ごなしに松坂城跡へ向かって散歩。
オイオイ、ココは「松坂」か…「松阪」じゃないんだ。昔「大坂」だった「大阪」と同じなのね?
松坂城のことはご自分で調べてみてください。
急に乱暴で申し訳ないんだけど、実物がない割に話が長くなるもんで…。
ひとつだけ言っておくと、「松坂」から「松阪」になったのは明治二十二年の実施された行政区画整理の際のことだそうだ。

70_2コレは立派な石垣!

90v城址に上がる途中にある「松阪私立民俗資料館」。
『昔の生活道具展』というのをやっていたので入ってみたけど、ゴメン、面白くなかった。
ナゼなら、ヘタをするとこっちの方がよっぽど「昔」の人間なんだもん!

100_3城址から市街を望む。
高いビルがないってのはホントいいものだ。
天守台跡には何もないのですぐ下る。

110_2少し下ったところにあるのがこの「御城番屋敷」という国指定の重要文化財。
石畳と緑の垣根が美しい。

120_2ココはその名の通り、お城の警備をしていた人たちの住居だ。住居跡ではない。

130_2というのは、13戸には今でも子孫の方々が実際に生活をしているのだ。
この家々が建てられたのは文久三年(1863年)のこと。
皆さん、150年ぐらい前から代々で住んでいらっしゃる。
イギリスなんかじゃ100年、200年なんて当たり前だけど、日本で150年はスゴイ。
いい材料を使って、自然環境に即した設計で、丁寧な施工をしているから建物が持つのだ。
今、鉄筋コンクリートの建物の耐用年数はたったの50年とされている。明治時代に作られたコンクリートの建物は、今100年以上経ってもビクともしない。
コレはね、どうしてかっていうと、施工なんです。
今はポンプとバイブレーターを使って柔らかい生コンをチャチャチャと締め固めるけど、昔は人海戦術で固い生コンをセッセと丁寧に人力で型枠に押し込んだ。だから、ジャンカ(「豆板」といって、砂利や砂とセメントが混ざっていないらめに強度が出ない部分。欠陥マンションにはつきもの)はないし、セメントに対する水の量が少なくて済むのでコンクリートの強度も存分に発揮する。ただし時間はべら棒にかかる。
Things ain't what they used to be…ってヤツ。やっぱりデューク・エリントンはエライ?
ま、空襲がなかったおかげも大きいんだけどね。

150 ウチ一棟は無料で観光客に開放している。
しかしね~、「150年」も、「無料」もどうってことないよ。
そんなものとは比べものにならないサプライズを味わった。
というのは…入口から入ると、右手に小さな台所みたいなところがあって、そこからオバさんがヌゥっと出てきた。
仰天したのはその格好だ。
ゴスロリ…。
すさまじいインパクト!
史跡の係員がゴシックにしてロリータ。イヤ、史跡だからゴシック様式なのか?
それがまた、どうにもアンニュイな雰囲気で、頼みもしないのに妙な説明をしてくれる。
どういう風に妙なのかというと、ココで働いているクセに史実に何やら異論を唱えるのだ。
オバさん:アノね~、ここはお城の番人が住んでいたっていうけど、私はおかしいと思っているの。だって、この場所はお城があった頃は城内なのよ。城内に番人が住んでいるワケがないでしょう?」
ワタシ:ハハ、そうスかね?
オバさん:そうよ~。そうなのよ~。おかしいのよ~。アタシはアタシで自分で研究をしてるのよ~」
ワタシ:ハハ、エライっすね!
…ってな会話をしてきた。
ビックリしたけど面白かった。

140_2とにかくこの光景はキレイだよ。

160vホラ、横断歩道も敷石でできてる。

170_2近所の一般的な長屋。
おお!トリッキーな構造!カッコいい!

180_2近くにあった高校は「県立松阪工業高校」。
ギターやってる子見てるかな?
オ~イ!キミの高校、Marshall Blogに出てるゾ~!

190どうしてこの学校が目に止まったかというと、この不思議な赤い校舎。
ジミヘンの母校か?…「Red House」、ナンチャッテ!

200v明治三十五年(1902年)の開校。
何でも日本で最初の県立の工業高校だとか。
昔はすべての校舎が真っ赤っかだったらしいが、現存しているのはこの製図室だけ。
硫化水素の影響を受けて建物の塗料が黒く変化すると考えられていたため、校舎の外壁の塗装には変色しない朱色の硫化水銀塗が用いられていた。

220_2この学校は開校当時から「赤壁(せきへき)」と呼ばれ、多くの人に親しまれてきたそう。
そして、平成十三年には百周年を迎え、こうして石碑が設置された。

さて、長らくお付き合い頂きました「マーブロ版伊勢&松阪観光ガイド」もコレで終わり。
最後までご覧頂きましてありがとうございました!
コンサートはまだ続くよ!


あ、そうそう、前回の「松阪商人」のところで書くのを忘れたが、「松坂屋」はどうなるんだ?!という話し。こっちは「坂」ね。
松坂屋は1611年、織田家の小姓の子孫の伊藤蘭丸祐道(いとうらんまるすけみち)という人が名古屋に開いた呉服商(また!)が元になっているそうだ。徳川家ご御用達。
一方、1707年に松坂出身の商人、太田利兵衛が今の上野店の前身となる呉服店を開業して、、自分の出身地から「松坂屋」と名付けた。
それを伊藤チームが買収して名前を「いとう松坂屋」とした後、「松坂屋」となった。
よくデパートの老舗とか一流とかいうことになると、まず「三越」の名前が挙がるが、「松坂屋」も負けていない。
調べてみるとスゴイよ。
ココが運営していた「少年音楽隊」は今の東京フィルだし、江戸時代からそのまま同じ場所で営業しているのは日本橋三越と上野松坂屋だけだという。
地下鉄銀座線の「三越前」駅と「上野広小路」駅の戦いの話しは以前どこかで書いたように記憶しているが、この話しもまたうなずける。
東京近郊以外の人、こんな話しつまんないよね、ゴメンナサイ!
結局、私だって生まれ故郷の東京が大好きなのだ!

210_2
さて、終盤に入った『ワテロク』。
MCのふたりではなく、シゲさんが直々に次のステージの登場人物を紹介する。
女性ふたり。
このコンサートのハイライトのひとつだ。

230_2中野亜衣可…

240v中野愛矢歌…

250v_2そして、お父上。
そう!ふたりはシゲさんの愛娘なのだ!

260v名付けて中野シスターズ!
もちろん、シゲさんと弟のヒデさんがやっていた中野ブラザーズの血脈の中にある。実際血がつながってるし。
演目はJimi Hendrix。
ここからワテロクは一気に地味になっていく…イヤ、派手にジミヘンになっていく!

270_2まずはおなじみのイントロから「Hey Joe」。

2_s41a0587 何せお母さんのお腹の中にいる時からイヤというほどジミヘンを聞かされていたので自然に覚えてしまったという亜衣可さん。
弾いているベースは現場で調達したものだ。

280v大学の軽音楽部でジャズ・ドラムを演っていた愛矢歌さん。
カレン・カーペンターみたいやね。
Jimi Hendrix Experienceのドラマー、Mitch Mitchellのお師匠さんのJim Marshallはジャズ・ドラマーだったからして、この系譜は正しい。
お姉ちゃんはベース、妹さんはドラム…気がついたらバンドできるやん!ということで結成!

290v娘可愛さに強引にバンドを組ませて、ロクに演奏もできないのにレコード出しちゃったオヤジならアメリカにいたけど、日本どころか世界広しと言えども、お嬢ちゃん二人にリズム隊をやらせてギター弾いて歌っちゃうお父つぁんってのは相当珍しいと思うよ~。

300vもちろん演奏はバッチリ!
何の違和感もよどみもない、ごく自然なパフォーマンス。
310_2
ふたりともずいぶん照れてたけどね!
特に亜衣可さん。
でも、曲が始まった途端真剣!
350

そんなことはお構いなしに、とうとうたどり着いたヘンドリックス・ナンバーにイキイキしまくるシゲさん。

320二曲目は「Manic Depression」。

330イントロのキメはもちろん完璧!
さすがジャズで鍛えたテクニック。
グイグイとバンドを引っ張っちゃう!
360
ウチにもセガレが二人いるんだけど、私に似ずスポーツの道に進んでしまったので、幸か不幸かバンドを組むことはできないが、もし演ったら照れるるだろうな~。そうでもないかな~?
シゲさんはゼ~ンゼンへっちゃら!
こういうところがまた「シゲさん」という人の魅力だ。
でも、実際二世ミュージシャンって増えてきたもんね。

340気が済むまで弾きまくって、何のことはないシゲさんが一番楽しそうにしているわ!
ヨカッタ、ヨカッタ!

370イヤ~、実にカッコよかった二人!
そしてメチャクチャ親孝行の二人!
この日一番大きな歓声が上がったのは言うまでもない。
390
アレ?気がついた?
そう、妹さんの愛矢歌さん、もうすぐお母さんになる。
「Pregnant Drummer」というのも世界初だったんじゃない?
シゲさんの三番目のお孫さんだ。
スゲエな、おじいちゃんがジミヘンってどんなだろうな?
ココでシゲさんに教えてもらった孫に関する名言。
「来てうれしい、帰ってうれしい」
よ~くわかる。ウチの父も同じようなことをよく言っていた。
ウチはまだ先かな?
でも、もしウチのセガレが私と同じ年で結婚して子供を産んでいたら、私も孫二人だよ。
ホントのマーシャルじいさん。

380さて、華やかなお嬢さん方に続いて登場したのは…KISS THE SKYという新しいチーム。
まずは「Fire」。
490_3
何て迫力なんだ!
プロレス界からの参加ではござらんよ!
世界のオガンちゃん、小笠原義弘!
ヨソのウチの子とオガンちゃんは会うたびに大きくなってる。

410vドラムは堀与作。
与作さんも一時Rolloverでシゲさんと活動をしていたので、かつては何度もご一緒させて頂いた。

420v今回のイベントのビジュアルは与作さんの手によるもの。
いい仕事!

425vKISS THE SKYというバンド名は黄金期のロックを聴いている人ならすぐにピンとくるハズだ。
「♪Excuse me while I liss the sky」のアレだ。
すなわち「紫のかすみ」。昔の映画『ウッドストック』の字幕は「かすみ」になっていた。
1984年には当時の未発表音源を集めた『Kiss the Sky』というアルバムもある。

430v実は今回のメンバーは変則的で、ドラムはGargoyleのKATSUJIさんが参加している。
スケジュールがどうしても合わず、『ワテロク』ではトラで与作さんがドラムを叩いてくれた。

440バンド名「KISS THE SKY」には「SKY」にトリックがあって…
Shigeoの「S」…
KATSIJIの「K」…

450オガンの「O」…で、「SKO」。
アレ?おかしいな?
Yoshihiroの「Y」で「SKY」だ!

465今、オガンちゃんはまたChris Duarteと全米を回っている。

460vオガンちゃん、Alembicよく似合うな~。
480
この指がね~。
パッと見ると何となくぎこちないような感じがしないでもないが、この指が世界レベルのグルーヴをクリエイトする。

470そんなオガンちゃんがいつかイッパイやった時に真剣に言っていたのは、「絶対に一緒に演奏したいと思っているのがシゲさんですよ」だった。
それが実現した。
ただし、KISS THE SKYは同月に敢行されたツアーのみに結成されたワン・オフのプロジェクトで、すでに活動は終了している。
彼らの東京公演を取材しているので、後日Marshall Blogでレポートする。コレがスゴかったのよ…お楽しみに!

485v二曲目は…早速出たよ~「Red House」。

400

Marshallの陰からうニコニコしながら演奏を見守るノエル本多。
出番は次だ!

495vシゲさんのブルースに舌鼓を打つ。シゲさんの弾くブルースは好きだ。
アレ?それに意外にも今日初めてのブルースだ!

500v_2オガンちゃんのもっとも得意とするところ!

510パワフルで歯切れのよい与作さんのドラミングが二人のプレイを完璧にバックアップした。

520vさあ『ワテロク』もいよいよエンディングに近づいたよ!

中野重夫の詳しい情報はコチラ⇒facebook

530_21965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

<次回最終回につづく>

(一部敬称略 2016年7月2日 松阪M'AXAにて撮影)