Kelly SIMONZ's BLIND FAITH~ARE YOU READY TO RIDE 2016 <後編>
さて、5月に開催された『Kelly SIMONZ's BLIND FAITH~ARE YOU READY TO RIDE 2016』 のレポートの<後編>。
バラードの「Stay in my Heart」でシットリやった後、ドカンといくかと思いきや、もうひとシットリ。
「自慢したくてしょうがない!」というギターを下げて弾き倒すのは「The End of the Beginning」。
「♪やさしすぎたのあなた」とテレサ・テンの歌声が頭をよぎる名旋律。
私はこの曲に猛烈に昭和歌謡に憧憬する。
アータね~、「昭和歌謡」ってのは極上の代物だよ。
才気あふれる作家たちが作った曲を、シッカリ音楽を勉強した編曲家がアレンジを施し、百戦錬磨のスタジオ・ミュージシャンが演奏していたんだから。
今のテレビの歌番組でかかる曲と比べれれば、そのクォリティやステイタスの差は一聴歴然だ。
日本の今の若い人が歌謡曲を通過できなかったのは「文化的災難」だと思っている。
ま、私なりの解釈で恐縮だが、結果的にその世界をギター的に再現しているKellyさんのセンスとアイデアが好き。
バラードでも的確なプレイでKellyさんの心情を表現するリズム隊のふたり。
KAZ
そして満を持して大爆発!
「Aregro Maestoso」だ。
Kellyさんのギターは笑っちゃうほどの弾きまくりだが、コレも「Opus#1」や「Rondo KSV007」同様、スペクタクルなバンド・エクスプレッションを楽しもう!
「Aregro」は「急速に」、「Maestoso」は「堂々と」という意味。
よって「Aregro Maestoso」で「ヤケクソにブッちぎりまくりやがれ!」という意味…なワケないけど、実際はそういうことになってる!
ところで、「Maestro(マエストロ)」という言葉は「巨匠」みたいな意味だが、指揮者や作曲家に用いられるのが普通。現在では特定して指揮者を呼ぶ場合が多いようだ。
フルトヴェングラー、ベーム、トスカニーニ、ワルター、カラヤン、クライバー、ムンシュ、ショルティ、クナッパーブッシュ、ジュリー二、ハイティンク、マゼール、アバド、メータ…挙げだしたらキリがないが、こういう人達は名前よりも「マエストロ…」と呼ばれる人達。
これでも私は結構クラシック聴いてんだよ。
さて一方、モノスゴイ演奏家には「名手」という意味の別の専門の表現があって、「Virtuoso」という言葉を用いる。
コレ、クラシックの人は「ヴィルトーゾ」と読むが、ジャズでは「ヴァーチュオーゾ」としているようだ。「ヴァーチュオーゾ」は英語読みで、「オ」にアクセントが来る。
ハイその通り、Joe Passよく聴きました。
Kellyさんのステージでは必ず登場するナイロン・コーナー!
よくもこれだけテンションが異なる楽器に持ち変えて即座に弾きまくれるものだ。
元はエレクトリックのハード仕様の「Tales of the Viking」をアコースティックに大幅アレンジ。
コレ、「Vikng」ってのはYngwieのこと?
彼、しょっちゅう「'coz I'm a viking」って言うよ。
この辺りから後半。
Are you ready to ride????!!!!
最近作から「Nobody is the Same」。
このリフ!「これからブッ飛ばすぞ」感満点!
中間部のキメが黄金時代のハード・ロックの雰囲気を漂わせていて大変よろしい。
CDではすごくいいカウンター・メロディが付いているんだよね。
曲調に合わせたソロ。このサジ加減がニクイ!
「Revelation」は前作『Blind Faith』から。
なるほど、「liberate」と「revelation」で頭韻を踏ませているのね。
こういうタイプの曲の歌詞を書くのはホント難しいと思うよね。
これまたKellyさんのショウケース的ソロ。見ていて大安心!
すさまじいハイ・トーンでメタルの真髄を暴露するYAMA-Bさん!
よく血管切れないな~。
伝統のMarshallトーンはKellyミュージックを絶対に裏切ることはない。
必ず毎回演奏するということもあるのだろうが、歌ものの中でもっともKellyフィールが強い曲。
恐らくサビのメロディがそうさせるのであろう。
普段、時々口ずさんじゃうんだよね。
人気曲だけあって、ココにきて客席の盛り上がり度がさらにアップする。
バッキング・トラックとの共演。
ドラマーはみんなコレやりたいんだね~。
ショウも後半だっていうのに少しも疲れを見せることなくパワフルに叩き切り、スティック投げもバッチリ決めた!
つづけて『Blind Faith』のオープナー。「N.W.O」。
お召し換えしたKellyさん、気分も新たに猛シュレッド!
再びステージは3人となり、会場は「Stay with me Forever」のKellyさんの歌声に満たされる。
コンパクトなソロだがKellyさんが言いたいことはすべて語られた。
8分音符15拍分の「♪Stay」は圧巻!
ロマンチックなムードで本編の幕は降ろされた。
アンコールは、まるで時間をさかのぼるようにしてアルバム『AT THE GATES~』の冒頭に戻る。
「The Journey to the Gates」から「At the Gates of the New World」へ!
前回のコンサートとは逆の構成!ニクイぞSIMONZ!
そして、2回目のアンコールで「Destisy」を演奏して11回目のキネマ倶楽部のステージを締めくくった!
Marshallをお伴に全国各地をセミナーで奔走するKellyさん。
アノ手、コノ手で前進し続ける。
「おやすみなサイモン」なんてやってるけど、その忙しくしていらっしゃる姿を目にすると本当にいつ寝ているんだ?なんて首をかしげたくもなる。身体もデカいし、丈夫な人だ。
とにかく!丈夫じゃなきゃナニもできない。
で、直近にチョット毛色の変わった催しがあるので要注目だ。
ひとつは今日使用したギターがらみのクリニック。
6月25日(土) 開場/13:30 開演/14:00。 場所は御茶ノ水楽器センター2F イベント・スペース。
もうひとつは、Kellyさん自作自演の『Kelly SIMONZ "46th Birthday Concert"~やりたいことをやるだけさ~』。
日程と会場は7月1日(金)が高田馬場音楽室DX、7月8日(金)が大阪フラミンゴ・ジ・アルーシャ。
Kelly SIMONZの詳しい情報はコチラ⇒Kelly SIMONZ Official Website
(一部敬称略 2016年5月4日 東京キネマ倶楽部にて撮影 ※東京キネマ倶楽部はMarshallの壁が設置できる英Marshall公認のオフィシャル・ライブハウスです。詳しくはコチラ)