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2016年4月28日 (木)

Hooked on Jazz with NATAL! ~ ROBERTA GAMBARINI -St. Valentine's Day Special Live - <増補版>

Marshall Blogの皆さんもウスウス感づいていることと思うが、白状すると、私はジャズが大スキである。(みんな知ってるか…)
Marshallが欠かせないハードなロックももちろん大スキだけど、ジャズもクラシックも民族音楽も大スキ!
だからジャズの仕事はメッチャうれしい。滅多にないけどね。
今日はそんなジャズのお仕事なのだ~!

10主役はこの方。
イタリアご出身の歌手、Roberta Gambarini(ロバータ・バンバリーニ)。

20vそして…
アルト・サックスがJustin Robinson。

30vピアノにSullivan Fortner。

40vベースはAmeen Saleem。

50vドラムがJeremy Bean Clemons。
NATALなのだ!

60vJeremyと一緒になるのは実はコレが2回目。
このRobertaのギグに先立つこと2週間。
アメリカのNATALのスタッフ、Joshの紹介でスネア・ドラムを渡しにJeremyが投宿している汐留のホテルにお邪魔した。
その時は人気トランぺッター、Roy Hargroveのコンボでの来日だったのだが、残念ながらJeremyがリクエストするコンフィギュレーションのキットがなかったのでスネア・ドラムだけを貸し出したのであった。したがってショウにも行かず…臍を噛む思いをした。Roy観たかった。
スネア・ドラムを手渡すと、Jeremyは満面の笑顔を浮かべて「NATALは音がものすごくいいから大スキなんだ!」と言ってくれた。うれしかった。

70Jeremyのリクエストとは20"のバス・ドラム。
22"で演奏すると音がデカすぎてクラブごとフッ飛んじゃうらしい。
10"、12"、16"、20"のメイプル。
何だか知らないけど、10"と12"タムの場所が反対なんじゃないの?

80スネアはさっき書いた、事前に貸し出していたアッシュの14"x5.5"。
どうもやたらと気に入ったらしい。
こないだMarshall Blogに登場したChris DuarteのところのJohn McNightもそうなんだけど、向こうの人達って機材に関してな~んにもうるさいこと言わないんだよね。
もちろん遠慮しているワケではない。言葉の壁で諦めているワケでもない。
ところが「ハイ、これ」と渡した道具を使って、いとも簡単に最高のサウンドを作っちゃうんだな。

90vさて、Roberta、私は浅学にしてどんな音楽を演るのか知らなかった。
ホテルでJeremyに会った時、「イヤ、オレはあんまジャズは…」みたいなことを言っていたので、AORみたいな音楽を演奏するのかと思っていた。

Img_0007 ところが、アータ、フタを開けてみたらストレート・アヘッドなジャズじゃないの!
もうアタシャごっきげん!
オープニングに私が知らないミュージカルの挿入歌をア・カペラで披露。
S41a0153

続いてバンドが入って「That's Old Black Magic」。
ちょっとカーメンっぽい歌いまわしが実にカッコいい!

110

またバックのお歴々の演奏の素晴らしいこと!

120vこのアルトの人がヤケクソにカッコよかった。
リハーサルでは「In a Mellow Tone」だの「52nd Street Theme」だのを吹いていたけど、サウンドチェックで演った超高速の「Lover Come Back to Me」にはブッ飛んだわ!
調べてみると、JustinもRoy Hargroveのコンボのメンバーで、Abbey LincolnやDianna Ross、Dizzy Gillespieのビッグ・バンドなんかでも活躍しているようだ。
今度リーダー・アルバムを見つけたら買ってみよう。

205
この人、リハでズッ~とピアノ弾いていた。
もう頭の中には音楽しかない感じで、Robertaの歌に合わせて自由奔放にヴォイシングを楽しんでいる姿がすこぶるカッコよかった。
楊枝も印象的だ。行儀悪いけど…。

130何が「ちょっとジャズは…」ですか?!
すさまじいスウィングぶりが最高だった!
NATAL、ジャズばっちりだね~。やっぱりバスドラの音がクリアかつ重厚で気持ちいい!
お店の音響の方からも大絶賛して頂いた。

140続いてはDave Brubeckの名作、「In Your Own Sweet Way」。
Brubeckは「Take Five」のピアノの人ね。あの曲を作ったのはアルト・サックスのPaul DesmondでBrubeckではありません。
この「In Your Own Sweet Way」もよく取り上げられるミュージシャンズ・スタンダード(ティン・パン・アレイのような職業作曲家の作品ではなくて、ミュージシャンが作曲してスタンダードになった曲)で、ん~、ロックに絡めていえば、Soft Machineにいたギタリスト、John Etheridgeも自身のソロ・アルバムで取り上げている。
いい曲だよ。

150v次の曲を説明するRoberta。
曲は「On the Sunny Side of the Street」らしいが、ナニナニ、Dizzy GillespieとSonny Rollinsのソロをボーカライズしました…と。おお!楽しみ。
GillespieとRollinsで「Sunny Side of the Street」と来れば、パッと頭に浮かぶのは『Sonny Side Up』からか?
このアルバムにはもうひとりSonnyが参加している。大好きなSonny Stitt。だからタイトルの『Sonny Side Up』。
もちろん「目玉焼き」のシャレだ。
片面だけ焼いた目玉焼きが「Sunny-side up」、方や両面焼きは「Over easy」という。ちなみに英米の人達は寄生虫を恐れて生卵を食べることはまずない。向こうの卵って風味が強くておいしいんだよね。アレで卵かけご飯をやったらどうなんだろう?
「ボーカライズ」とは、The Manhattan Transferで知った人も多いかもしれないが、ジャズ界の詩人、Jon Hendricsが開祖と言われる。Lambert, Hendricks & Rossというボーカル・トリオなんてのがあったんだけどスッゲェかっこいいよ。
歴史的に有名なアドリブ・ソロに歌詞をつけて歌う技法だ。

160これまた胸のすくような快演!
Robertaの声は重すぎず、軽すぎず、実に聴いていて心地よい。

170その素晴らしいボーカルをサポートするバック陣の鉄壁の演奏。

180ここでピアソラを1曲はさんで…「No More Blues」。

この曲を知ったのは渡辺貞夫の『Live at The Junk』というアルバム。1969年リリース。ギターは増尾好秋だった。
その増尾さんのギターを聴きに最前列を陣どったのが渡辺香津美だったという。
香津美さんご自身がかつてラジオでそうおっしゃっていた。
話題は反れるが、そのアルバムではナベサダさんの弟の文男さんがドラムを叩いているが、その後任がつのだ☆ひろさんだった。
その布陣でナベサダさんはモントルーに出演し、それもライブ盤になっているが、そのツアーでつのひろさんはスティックを12ダースへし折ったとか…。
ところで、作曲はジョビン。好きなんだ~、コレ。
「No More Blues」は英題で、原題は「Chega de Saudade(シェガ・ジ・サウダージ、邦題:想いあふれて)」という。
ボサノバという音楽は基本的には「サンバをゆっくりにして、ジャズの要素加えたもの」と定義づけられると思うが、この曲がボサノバ第一号と言われているらしい。
「サウダージ」というのは「郷愁」という意味。
ク~、こんなこと書いてたら『Live at The Junk』聴きたくなって来た!CDを持っていないので倉庫からLPを探してこないと…。

190v_blSullivanのピアノをバックにバラード、「Never Let me go」。

195マレットに持ち変えたJeremyのドラムが実にあたたかい。

S41a0212まぁ、なんてレパートリーが広いことよ。
続いて出てきたのはLeon Russell。
「Song for you」?いいえ…

Img_0018 「Masquarade」をシットリと4ビートで!
コレがすごくヨカッタ!

200

またまた、ガラっと変わって、今度はJimmy Heath。
Jimmy Heathはテナー・サックス奏者だが、作曲家としても有名で、Jimmyの作品集をリリースしているアーティストも散見される。Jimmyと書いたのは、Heath家も音楽一家で、兄弟のPercyがベーシスト、AlbertがドラマーでともにMJQのメンバー。
そして、『On the Corner』、『Get up with it』、『Dark Magus』、『Agharta』、『Pangaea』といったエレクトリック・マイルスの黄金期を支えたパーカッションのEmtume(エムトゥーメ。昔はムトゥーメと呼んでいた)はJimmy Heathの息子さんだ。

さて、Robertも『Connecting Spirits』というJimmy Heath作品集をリリースして本人とも共演を果たしている。
曲は「Without Song」。
コレね、「Without a Song」っていうスタンダード曲もあるのよ。ややこしい。
Jimmy Heathと聞いて「C.T.A」ぐらいしか頭にパッと浮かんでこない体たらくな私は、「Without a Song」の方がなじみ深かったりして…スミマセン。

S41a0027そして、本編最後は景気よく「From This Moment on」。
ミュージカル『Kiss me Kate』の挿入歌。Cole Porterの作曲だ。

S41a0323 軽快に、そして激烈にスウィングしまくるRoberta。カッチョイイ~!

230途中、Jeremyのドラムとデュエットに!

240vエキサイティングなドラムに鼓舞されて熱唱しまくりのRoberta!

250vやっぱ、NATALって音いいな~!

260アンコールでは「私の名前はロバータ・ガンバリーニ、ガンバリマス!」と自己紹介をして観客の笑いを誘った。
ところで、Frank Gambaleというイタリア系オーストラリア人ギタリストもいることだし、イタリアのどこかにやたらみんな頑張っている地方があるのだろうか?と疑問に思って少し調べてみると、ミラノとジェノバの間ぐらいに「Gambarana(ガンバラーナ)」という人口280人程度の小さな村を発見した。
その村とRobetaの家系に関係があるのはどうかはサッパリわからないが、とにかく怠けているとたちまち誰かに怒られてしまいそうな地名だ、「オラオラ、がんばらーなあかん!」って。
ちなみにイタリア語で「ガンバレ!」は「Forza!(フォルツァ!)」というそうだ。

270アンコールに選ばれたのはおなじみ「Fly me to the Moon」。

280vこれにて最初の東京でのステージが終了。
イヤ~、聴きごたえ満点以上の素晴らしいステージだった!

290最後まで楊枝!いかにもピアノ弾き職人といった感じのSullivan。

300ヘッドにヒョイと帽子を引っ掛けたイナセなAmeen。

310vそしてNATALで怒涛のスウィングを味あわせてくれたJeremy!

320もっと観たい~!
やっぱりジャズは好き。

330At last but never least!
今回Jeremyが使ったシー・スパークルのキットはCyber New NewのセミメタルA太郎さんからご貸与頂きました。
「20"インチのキットが必要ならどうぞ私のを使ってください」と提供してくださった。
この場をお借りしまして、A太郎さんのご親切なお申し出に心から御礼申し上げます。

3401965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2016年2月11日 COTTON CLUBにて撮影)