Sound Experience 11
Yosuke Miyake's Strange. Beautiful & Loud…この人たちの演奏を今までもう何回観たかな…。
それでもまったく飽きることがない…どころか、観ていて今回も盛大に鳥肌が立っちまった!
まるで三度の食事をするように自然にステージに立ち、全身全霊を傾けてギターやベースやドラムを奏でる。
誰から教わるワケでもなく自分の耳だけを頼りに、感性と鍛錬で楽器をマスターし、自らの音楽を作っていく。こういう人種となると、彼らがステージに立っただけで音楽がにじり出てくるようだ。
Sound Experienceの11回目のレポート。照明暗し…。
マーブロ読者にはおなじみであろうStrange, Beautiful & Loudのセカンドアルバム『Orchestral Supreme』。
この日はまだCD発売前のコンサート会場先行販売とあって、終演後、三宅さんたちの演奏に感動した多数のお客さんが買い求めていた。
「ジャケット写真がカッコいい!」なんて声が聴こえてくると、へへへ、うれしいぜ。中身はもっとスゴイぜ。
ホント観るたびに凄みを増すこのバンド。特に目立って活躍が著しいのは征史さんのベース。
いったい何をどう考えてこのラインを作っているんだか…。かといってこんなアクロバチックなベースライン、人から「弾け!」って言われてもイヤだよね。
三宅さんのギターをドラムに置き換えるとこういうことになるのか…?
…というほどに当意即妙に三宅さんの頭の中の音を律動させるKKのドラム。
「Stratify」、「Solitary Past」等、ファースト・アルバムからのチョイスも交え全8曲。三宅ワールドを爆発させた。「murt'n akush」は名曲だ。
それにしても照明が暗かった!
このシリーズは三宅さんのバンドをホストに、対バンゲスト・ミュージシャンを迎える構成で会を重ねてきた。
今日のゲストはこの人…大谷令文。
令文さんはもう何回もこのシリーズに出演しているがいつでも大歓迎だ!
毎回楽しみなのがこの4人でナニを演るか。いつも最低1曲は「ウッソ!」みたいなエグイ曲が出てくるからね。
まず、向かって左は征史さんの1992 SUPER BASSね。
右が令文さんのMarshall。 そう、JVMだ。JVM201H。
令文さんはMarshallに1959と1960さえあればハッピーという位、1959に惚れ込んでいる人だ。
旅先の小さな会場ではTSL601なんかを使うこともあるが、JVMは実は今回が初めて。
さて、どんな音になるか…。
セッティングはCLEAN/ODチャンネルのOrangeモード。
驚いた。ナンじゃ、この音!
三宅さんも、征史さんも、金光さん(金光さんはギターに造詣が深い)も驚いた。
しかし、誰が驚いたって、ナント言っても一番驚いたのは実際に弾いてた令文さんだ。
「え、JVMってこんな音が出るのか?」JJJ!←「じぇじぇじぇ!」です。
令文さんが体験したJVMから出たのはビンテージのMarshallに勝るとも劣らない極上のクランチ・トーンだったのだ。
終演後の令文さん、開口一番…「JVM210Hっていくら?」
JVMが発表されてからかれこれ7年が経った。JCM2000の後を受けて発表されたJVMを指して、ツマミが多いだの、Marshallっぽくないなどという意見に接することがあった。
そんな時には令文さんやSHARAさんのJVMの音を聞いてもらえばヨカッタ。
Marshallしか知らないようなギタリストが、JVMのサウンドに満足して、こうしてもっともMarshallらしいサウンドを出しているではないか!JVMは正解だったんだ!
ま、JVM4は確かにノブは多いけどね。
でも少なきゃ少ないで「この間のコントロールが欲しい」とかなっちゃうんだよね。ループはシリーズがいいとかパラレルがいいとか…。MIDIは不可欠とか。
ええい!んじゃ全部入れちゃえと必要最低限の機能をブチ込んだ。それで、音質はまったく犠牲にしていないのだからJVMは素晴らしい。作ったSantiago恐るべし。
これを改造しちゃうなんて神戸ビーフをひき肉にしてつなぎを山ほど入れてハンバーグを作るようなものだ。
イヤ、目を覚め直したわ。
だ~か~ら~、名人の実演は見逃してはならないのだ。いい道具の素晴らしさを知る機会を失うことになる。
令文さんの足元のようす。愛用のバッファ・アンプが姿を消した。
今日も最高のドラミングを聴かせてくれるKKの相棒はNATALのバーチのキット。
フィニッシュはタバコ・フェイド。木目が美しい!
いつもの1997年製のJCM2000 DSL100と1960BV。
足元のようす。
令文さんの長年愛用のバッファ・アンプよろしく三宅さんのエフェクター・ボードも大きく変容を遂げざるを得ない…などということはこの時知る由もなかった。
さぁて、今日の1曲目は「F」のオクターブの16のカッティングからの~、「Sylvia」!
もともとは歌詞のついたラブソングだったというこの曲。ああ、Thijs Van Leer…あんなルックスなのに何て愛らしいメロディを思いつくんだろう。
また令文さんの歌いまわしがタ、タマラン!しかも、JVMの音!ああ~幸せ。誰が何と言っても幸せだ~。
私はFocusの現役世代ではなくて臍を噛む思いをしているが、2010年にロンドンで観たんよ。Jan AkkermanはいなかったけどドラムはPierre van der Lindenだった。ま、Bert Ruiterは飛ばすことにして…。Jan Akkermanとはフランクフルトで会って、いっしょに写真も撮ってもらったということで一応Focus制覇ということにさせてください。
でもね、本当はPhilip Catherine観たいんだよね。私はこのベルギーのジャズ・ギタリストが大好きなのだ。
それにしてもFocus全盛の頃ってサ、ミュージック・ライフ誌のリーダーズ・ポールで上位にいたんだよね。
普通にロックを聴く人たちの守備範囲に普通にFocusが入っていたんですよ。何回も書くけど、ELPが1位だった頃もあったもんね。信じられないよ。
それが今はナンダ?人類は一体どうなっちゃってるんだ?三宅さんはサイド・ギターに徹していたが、またそのプレイと音が絶妙だった。
ところでJan Akkerman。英語圏の人は「ジャーナッカーマン」みたいに発音するけど、私も御多分にもれず大好きでしてね。
ずいぶん買った。
ところがこの人ってゲスト参加のアルバムも、自分のアルバムも、ものすごい玉石混交なんだよね。どちらかというとツマらない方が多い。出し惜しみしてないでガリガリ弾けばいいのに。
そこで、私も全作品耳を通しているワケではないのでエラそうなことは言えないが、大分失敗もしているので、これからJan Akkermanを聴こうかという人のために、頼まれもしないのにおススメ盤を紹介しおくと…
1. Live (1978)
2. 10,000 Clowns on a Rainey Day (1997)
3. Live! The Kiel Concert - The Stuttgart Concert (with Joachim Kuhn, 1979)
アララ、期せずして全部ライブ盤になっちゃったよ。反対に言えばライブ・アルバムを買っておけば安全ということか…。
是非若い人たちに聴いてもらいたいギタリストのうちのひとりだ。これらの作品には「速弾き」や「タッピング」なんかよりはるかにすごいギター・プレイが詰まってるよ。続いては令文さんのオハコ、Thin Lizzyの「Don't Believe a Word」。
「♪ドビリバ、ドビリバ、ドビリバ」が印象的だ。
やっぱり聴きどころはテンポ・アップするパート。問答無用でカッコいい!
しっかし、こういう人たちのこういうパフォーマンスは文句なしに素晴らしいね。
「こういう人たち」というのは今日演奏しているような黄金時代のロックをトコトン吸収し、自分の血や肉、イヤ細胞にまでしている人たちのことだ。もうこういう人たちは出てこない。消えゆくばかりだ。それでいいのか?!若者よ、続け!
3曲目は…うわ~、イントロでぶっ飛ぶわ~。Robim Trowerの「Day of the Eagle」。
この「eagle」ってのはナニを指すんだろう?歌詞を見ると案外「愛と平和の賛歌」的なイメージだけど、「eagle」に「the」がついているので何かを暗喩しているんだろうな。とにかく最高にカッコいい曲だ。
Robinはいまだにファンが多いね。だいぶ前に当時のMarshallのアーティスト担当と手を組んで「マーシャル祭り」のヘッドライナーで呼ぼうとしたことがあったんだけど諦めた。
もちろん令文さんもRobin好き。当然演奏は盛り上がる!
三宅さんもRobinに目がないんだよね。それだけにソロも尋常ではないほどに熱を帯びる。
またリズム隊が完璧にオリジナルを再現するもんだから聴く方も興奮してしまう!
最後はシットリとJeff Beckの「Diamond Dust」。
やっぱり今回もスゴかったSound Experience。こういう演奏はいつ観ても、何回観てもいいな~。
とにかく演奏もさることながら、JVMの素晴らしさに度肝を抜かれた夜だった!
三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Yosuke Miyake's Strange, Beautiful & Loud
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