Hard Rock Rising 2013~東京地区大会決勝戦
おいしい料理と世界のロック・スターの貴重なメモラビリアでいつでもにぎわっている六本木の人気レストランHard Rock Cafe Tokyo。
Mr. BIGの記者会見、オリジナル・ジミ・ヘンドリックスTシャツ発売記念ライブなど。さまざまなイベントにこの場で立ち会ってきた。ジム・マーシャルが1998年に来日した際、名古屋のお店にスタッフみんなで繰り出したり、横浜のお店で元マーシャルの旧友に出くわしたりと、個人的にもとても思い入れの深い場がHard Rock Cafeなのである。
近い過去にも海外のHard Rock CafeとMarshallはコラボレーション企画が実現したこともある。
そのHard Rock Cafe Tokyoが昨年、大がかりな改修工事を行い、よりゴージャスな雰囲気の空間に生まれ変わった。11月にはクリスタル・ケイちゃんを招いてド派手にオープニング・パーティも開催された。ありゃスンゲエ盛り上がりようだったゼイ。
これが新しくなった店内。
以前のような段差のないフラットなフロアとなった。前の雰囲気も好きだったけど、この使いやすくなったフロアの方が尚よろしい!色んなイベントがやりやすいもんね!
ゴージャスなバー・カウンターが人目を惹く。ついつい、もうイッパイ?!
もちろんHard Rock Cafe名物のロック・スターのメモラビリアも豊富に展示されていることは言うまでもない。
イベント時にはこのコーナーがステージになる。
2階のようす。
どこもかしこも来店者を満足させるステキな空間だ。あ~写真見てたらハラ減ってきた。
さて、4月下旬のある日の入口。
下の写真にある「Hard Rock Rising」というのはHard Rock Cafeが世界規模で展開しているバンド・コンテストのこと…ってそう書いてあるね…。リズム、リズム、文章をにもリズムが必要でしてね。自分の書き方で筆を進めないとどうも先へ行きにくい。
タイトルは「The Global Battle of the Band」。
日本国内ハードロックカフェ5店舗はもとより、世界中のハード・ロック施設で世界デビューを目指して開催されるのだが、優勝バンドには世界中の主要ハード・ロック・カフェでライブを実施するワールド・ツアーの他にアルバム・リリースとプロモーション・ビデオの制作、その上、$10,000相当の新しいバンド機材が贈られるという。
しかし、いくら世界的な組織が運営してるとはいえ、こういうバンド・コンテストもゴージャスになったもんだ。「世界」だもんね~。スケールがデカイ!
本編の前にスポンサーであるBudwiserのPR。バド・ガールズが髪を振り乱して踊り、そして舞う!もうコレでツカミはOK!コレが一番!(マイったな…ここであんないエール、エールって騒がなきゃよかったナ…)
この日はサービス・プライスでBudwiserが飲めるということで飛ぶように売れていた。イヤ、バド・ガールの効果に違いない?!
名物司会者でもある店長からごあいさつ。
まずは、最初のバンドにインタビュー。
最初のバンドは「No Name 101」。
若さあふれる4人組だ。
実はこの東京地区の決勝大会の直前の予選が1か月前に開かれ、私は審査員のひとりで参加させていただいたが、その時の優勝バンドがNo Name 101。
予選の時にもまして迫力ある演奏を聴かせてくれた。パンクっていうのかな?私にはそう聴こえる。
そういえば高校生の頃、自分たちのバンド名を決めるのがすごく恥ずかしくてね。友人のバンドで「なしよ」というのがあったな。「バンド名は?」「なしよ」…みたいな。「お名前は?」「いいの」「いいのじゃありません!お名前は?」「だから飯野!」のパターンやね。
いまでは「No Name 101」。彼らがバンド名に悩んで「No Name」にしたかは存じ上げないが、カッコよくて隔世の感があるナァ~。
続いてのバンドは「The Complaints Department」。
バンド名にビッグ・ワードが並んでいると思ったらメンバーのうちおふたりは外国の方。
でも、このお方メチャクチャ日本語がお上手で礼儀正しくて驚いた!歌は英語。
こちらのバンドもパンクっていうのかな?ニューウェイブっていうのかな?そちらの方はまったく知識がないので的確なカテゴライズができないが、パツンパツンのはじけるようなプレイだ!
うれしくておもしろかったのが、ギター・アンプ。2人ともマーシャルのハーフ・スタックを持ち込んでくれていた。キャビは1960なのだが、ヘッドがこれまた2人ともMG100HDFXなのだ!
MG100HDFXは現在のMGシリーズの一世代前の「MGIII」にラインアップしていたモデルだ。MGなのでオールトランジスタではあるが、独特なブルータルなサウンドを持っていて、Static XのWayne Staticが愛用していたことで知られる。
私はこのWayne Staticのサウンドを実際にO-EASTで体験したが、スゴカッタな~。「ザバー!」っというか「ギョギョーン!」というか、イヤ違うな、「ジャジョーン!」というか「ザホー!」ていうか、とにかく独特なサウンドだった。
The Complaint Departmentの2人はそこまでではないにしろ、爽快なギター・サウンドだったね。さすがマーシャル。MGとはいえホントに音がよく抜ける! もし、ここでWayneみたいに爆音で弾いたらホンモノのComplaintが来ちゃうもんね!
やっぱり外国の方がバンドにいるだけでエラク雰囲気が違うよね。2人ともキャラがメッチャ立ってるし!
そして、3番目のエントリーは意表をついてデュオでスタート。
前の2バンドガラリと雰囲気が変わる!
その実体は4人組のSawas Phool。
こちらのギターの方はDSLのハーフスタック。
このバンドはパンクっ気なしのストレートなロックだ。
カチッとした演奏にエネルギーあふれる熱演で持ち時間を上手に消化した。
これでエントリーはすべて終了。後は結果を待つばかり…。
審査結果を集計している間、Budwiserを片手に…
バド・ガール・ダンスをもう一度お楽しみください!
そして、結果発表!結果発表は店長から。
「優勝バンドは…」 (ドラム・ロール)ダララララララララララララララ…
「No Name 101」!
おめでとう!店長から目録を渡されてハッピー、ハッピー!
最後にバド・ガールズと記念に一枚。No Name 101は次への舞台へとひとつ駒を進めたのであった!がんばれ!
Hard Rock Cafe Tokyoの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト
<あとがき>
これも時流ゆえ、仕方のないことなのであろうが、一般論をひとつ…。
世のバンド・コンテストはいつの間にか演奏の技術を競うものではなく、ファッション(着ているものではない)を競うものになってしまったと思う。それはロックという音楽がとりもなおさずファッションの最先端を代弁するものに成長したということなのだろう。それはそれで構わない。ロックもビジネスだ。
しかし、昔のバンド・コンテストというと、「あの子、ギターうまかったね~、きっとプロになるよ」とか「あのドラムはスゴかった~」と見ている人を感心させるアマチュア・プレイヤーが必ずいたものだ。つまり楽器の演奏技術を競うところが大きな見どころで楽しみでもあったワケだ。大した演奏技術を必要としない音楽が流布するムーブメントのせいで若い人は残念ながら楽器演奏の楽しさの一部を失ってしまった。
「Smoke on the Warter」を演れ…なんていうつもりは毛頭ない。個人的にはこうした場所が、もう少し器楽演奏の真の楽しさにつながる演奏技術やカッコよさを見せつける場になって欲しいと願っている。コンテストのスケールは大きくなっても音楽のスケールは小さくならないことを願うばかりだ。
気軽に演奏できる音楽だけが音楽では決してない。「こんなのできるワケないじゃん!」というチャレンジ精神が器楽演奏にあっても全然かまわないのだ。いつも書いていることだが、若い人にはとにかくいろんな音楽を聴いてもらいたい。その上でHard Rock Risingにチャレンジしてもらいたい。また違うBudwiserの味がすると思うよ!
(一部敬称略 2013年3月24日 Hard ROck Cafe Tokyoにて撮影)