【50 YEARS OF LOUD LIVE】vol.9~感動のフィナーレ
すべてのセットが終わり、いよいよフィナーレを迎える「50 YEARS OF LOUD LIVE」。司会のアルも声に力が入る。
これが最後の1曲。この曲が終われば次は50年後なのだ!
最後は全員参加の「Smoke on the Water」。
やっぱりこのギター・リフが「ロック」を象徴しているということなのであろう。
もちろん会場は究極の盛り上がり状態!
今日の出演者が全員集まりソロを回す。
イングヴェイ…
サトリアーニ…
ダグ、
ポール…
ハウスバンドも この難事業を最後までうまくこなした。
グレンの向こうがギターのクリス・ジョージ。このコンサートのプランナーだ。
ベースのジャズ・ロウクリー
ドラムのブライアン・ティッシー。
他にキーボードのアダム・ウェイクマンが素晴らしい仕事をしたが、残念ながら完全死角で撮影できず…。
ボーカル陣も素晴らしかった!
ティム・オーウェンズも立派!
グレン…
もうプレス・ピットの中も最後だってーんで興奮&ケイオス状態!少しでもよいショットを撮ろうと場所の取り合い奪い合い!こりゃ、カメラマン入れすぎだ!っちゅーの!
他にもステージに上がった出演者がいたが、そんな状態だったので撮影範囲もやや限られてしまった。でも、ほぼ全員撮った!コレ全部撮れたカメラマンはいないと思うよ。
もう後は、下手なテキストを控えておくので、写真だけでこの雰囲気を存分に味わっていただきたい。
アンディもステージに上がってる!
誰?彼はベースのジャズ・ロウクリーの息子さんのベン。15歳のギタリスト。この日、お父さんのローディとして参加していたが、最後はドサクサに紛れてステージに上がっちゃった。クソ、私もステージに上がっちゃえばよかった!
仕切りはグレンだ。
フィルの姿も見える。
司会のアルまでドラムを叩いてる!
しかし、スゴイ光景だ!もうこんなの生きてる間には見れんな。
あ~、終わっちゃった~!
ほぼ4時間半!長いような、短いような…いずれにせよ、とうとう世紀の祭典が終了してしまった。
最後にニコからこのコンサート企画したマーシャルのクリス・ジョージにマイクが渡された。
お客さんや参加ミュージシャン、スタッフへの御礼が述べられた。
そして、もちろんジム・マーシャルにも…。
お客さんも大満足だ!
これほどたくさんの世界的ミュージシャンのそばで2日間過ごすなどという経験はもう二度とないかもしれない。この2日間、彼らを見ていてとにかく強く感じたことは、みな自分のイメージを恐ろしく堅固に守っているということだ。
ギタリストなのでギター・プレイに関するオリジナリティは当然のことなのだが、着ているいるものや立ち振る舞い、しゃべり方、笑い方、そうしたすべての所作まで計算されているような印象すら受けた。凄まじいまでの「プロ意識」とでもいうのかな?
こうした不変のスタイルを日本人は簡単に「ワン・パターン」といって敬遠するキライがあるように思うが、向こうの連中は違う。どこをどう切っても、いつでも同じものが出てくることこそが「スタイルを確立する」ということであって、それが尊敬の的なのだ。
そうしたことを思い知らされた2日間でもあった。
割れんばかりの拍手と歓声を浴びる出演者たち。
今日、こうしてジムが作ったマーシャル社の最初の50年が締めくくられた。
50年後に開催されるであろう【100 YEARS OF LOUD LIVE】には、今日出演したミュージシャンもスタッフも、マーシャルの社員もお客さんの多くも参加することはできないであろう。歴史の証人としこのて記念すべき祭典に参加できたことはこの上ない幸運であった。しかも、唯一の日本人スタッフとしてコンサートの手伝いができたことは私の一生の思い出となった。
【100 YEARS OF LOUD LIVE】の時にはさらに規模も大きく、ロックが今よりももっと魅力的なものでなっていることであろう。
リハーサルと本番ともにドップリとイベントに浸かったが、疲れたな~。米を食べてないから疲れがなかなか取れないのだ。終演後、スタッフの控室で思わず倒れ込んでしまった。すると、目の前に「Red Bull」って缶飲料が目に入った。私はこれまで一度も飲んだことがなかったのだが、スタミナ・ドリンクで飲めば即効性高く、疲れが取れるやに聞いていた。
「こりゃ、助かるわい」と3本ほどイッキに飲み干した。冷えてはいなかったけど、のどが渇いていたのでおいしく感じた。
でも、疲労感はナニひとつ軽減させることはなかった。後で聞いて驚いた。これ一時に1本以上飲むと命取りになるかもしれないんだって?!
何ともなかった。イヤイヤ、私の身体はそんなものを完全にはねつけるほど疲れきっていたのだ。
その後、ホテルに帰ってマーシャルの仲間と今夜のコンサートを反芻しながらみんなでワイワイやりながらエールのグラスを傾けた。これの方がよっぽど回復に効果があったよ。
こうして、ロック史上まれに見る世紀のギターの祭典が無事に終わり、ギターとマーシャルの魅力を再認識するとてもよい機会となったが、残念こともあった。
ひとつにはジム・マーシャルがいなかったこと。そして、ゲイリー・ムーアが出演できなかったこと。もうひとつは表現の仕方を気をつけなければならないが、登場したギタリストにイギリス人がいなかったこと。
演奏された曲の多くがイギリス産、つまりチャキチャキのブリティッシュ・ロックであったにもかかわらずそれを奏でたのはすべてブリティッシュ・ロックに影響を受けたアメリカ人だった。
私見ではあるが、ロックが面白くなくなったのは、ブリティッシュ・ロック・シーンからギター・ヒーローがいなくなったのが原因だと思う。もしくは、ギター・ヒーローがいないからブリティッシュ・ロックが、いやロック全体が面白くなくなってしまったのかもしれない。
現在でもアメリカのヒットチャートをにぎわしているミュージシャン(アーティストという言葉は使わない)の多くはイギリス人だとイギリスの音楽業界の人たちは胸を張るが、そんなものはロックじゃない。70年代、あれほどクリエイティブで魅力的だったブリティッシュ・ロックはパンク、ニュー・ウェイブ・ムーブメント以降まったくダメになってしまった。
音楽には流行り廃りがあることは百も承知だが、あまりにもヒドくはなかろうか?
いくらイギリスのミュージシャンがアメリカや世界のヒットチャートを賑わしてみたところで、我々は、もしくはマーブロの読者の皆さんは(多分)そんなことどうでもいいのではなかろうか?そんなものより、図太い音色で奏でるカッコいいギター・リフと野太い男性的な声でシャウトしまくるホンモノの「ブリティッシュ・ロック」を期待しているに違いない。今日の「Smoke on the Water」に対する声援がそれを証明していると思う。
そして、そのホンモノのブリティッシュ・ロックがマーシャルの三段積みから発せられることをみな望んでいると信じている。
なぜならばそれがロックだから…。
今回にて【50 YEARS OF LOUD LIVE】のレポートを完了です。長期間にわたりご愛読いただきました読者の皆様に心から御礼申し上げます。
【50 YEARS OF LOUD LIVE】関連のレポートは下記の通り掲載されています。
<Shige Blog>
マーシャル50周年記念コンサートにむけて : 【50 YEARS OF LOUD LIVE】にまつわるイギリス滞在記(その1~その3)
<Marshall Blog>
前日リハーサル : コンサート前日にロンドンのスタジオで行われたリハーサルのレポート(その1~その4)
当日リハーサル : コンサート当日、ウェンブリー・アリーナでの本番直前のリハーサル(その1~その4)
【50 YEARS OF LOUD LIVE】 : コンサート本番のレポート
vol.1 : Opening, House Band and Billy Duffy & Coley Taylor
vol.2 : Doug Aldrich, Ripper Owens and Nicko McBrain
vol.3 : Paul Gilbert
vol.4 : Phil Campbell, Kerry King, Coley Taylor & Ripper Owens
vol.5 : Zakk Wylde
vol.6 : Yngwie Malmsteen
vol.7 : Joe Satoriani
vol.8 : Glenn Hughes & Andy Fraser
この他にももう1編あるので、書きも書いたり総勢21本!しつこくてゴメンね、ゴメンね~!でも、この記念行事を具に記しておきたかったのです。
マーシャル創立50周年を記念して上梓されたシンコーミュージック刊の『Marshall Chronicle ~ 50th Anniversary Edition』も是非ご併読ください。
おわり
(一部敬称略 2012年9月22日 London Wembley Arenaにて撮影)